「仕事終わった……グラドス、タレット……終わったぞ」
『ムニャ……終わりましたか?』
『ウェイク アップ!!! ご苦労様ですぅ』
授業中もお構いなしに仕事を進め、ようやく本日分の書類全てに目を通し終えた。
ふと窓の外を見てみれば暗くなってきている……もうこんな時間か。
明日はもう少し速く済ませないとな……。
「すまないな……あんまり話とかできなくてさ」
『傍に居られれば私はそれで構いませんよ?』
『スタンド バイ ミー 私の傍に居てくれれば……私はそれで構いません』
仕事ばっかりでも許してくれる……本当に、良い嫁さんだよ……結婚までの過程はアレだったけどまぁ、もう良いや。
それはともかくお昼時間も二人はすぐ近くにいたし、二人ともお腹を空かせている筈だ……飯にしよう。
「飯にするか……さ、行くぞ!」
『ケーキありますかね?』
『ウィーーーー!!! やった~!』
「ハ ハ ハ……行くぞ」
俺が食堂へと向かうと、二人は後ろからトテトテと着いてくる。
比喩ではなく本当にトテトテと着いてくるのだ。
「二人は何を食うよ?」
『ポテトグラタンでも食べたいですね……あとケーキ』
『アイム ハングリィ~ 一杯食べたいです』
「そうだな……食いたいだけ食え!!!」
『『やった♪』』
食堂に到着……流石に時間が時間だから(と、言っても早かっただけだ)人は少ないが、これはこれで好都合だ。
二人の頼んだ料理の皿を置くのに気兼ねなくテーブルを使える。
早速二人はどんどんカウンターで食堂のオバチャンに注文している……オバチャンの顔がみるみるうちにこれ全部食べるの!?と、いった風に変わっていっているが……暫くしたら慣れるだろう。
「支払いは現金……ですか?」
カード支払いできないのか……
「あ、ちょっと待ってくださいね………はい、現金一括で」
財布から諭吉さん等を取り出してオバチャンに渡す。
計三万五千四百円。きっかり。
『楽しみですね……』
『イェ~イ!!! 楽しみぃ……』
「そうだな……楽しみだな」
ちなみに俺の本日の晩飯は麻婆豆腐……え、何?それだけだが……何?
麻婆豆腐一品、これで俺の腹は一杯さ。
『あなたはそれだけで良いのですか?』
『アー ユー オケェ~? いつもそれだけで大丈夫なのですか?』
「あぁ、なんならチョッと分けてくれ……」
本当にありきたりだとは思うけどもさ、腹一杯に食ってる二人を見てるだけで俺は満足なんだ。本当に。
「お、早速一品目ができたみたいだぞ……どれ、持ってきてやろう」
『え、あ……よろしくお願いします』
『サンキュゥ~ ありがとうございます』
「おう、ついでに水も持ってきてやるさ」
そういや、二人とも妙に歌が上手いんだ……また暇になったら歌ってもらおうと思う。
「特盛りラーメン……いきなり炭水化物とは……やるなぁ嫁よ……あ、意外と重い……」
しかしここでもたもたしていると麺が伸びてしまう……それはよろしくない。
嫁にマズい飯を食わせる気は俺には一切ない。
「ほい、お待たせ……」
『ありがとうございます……では、いただきます』
『ウィー ハッピィ~ いただきます』
所要時間約10秒弱……ドヤ。
「次々……っと?」
オバチャンが麻婆豆腐をカウンターに置くと、サムズアップしてきた。
「(まだ時間かかるから今食っちまいな……)」
そういうことか……親切感謝しますよ。
「(可愛いお嬢ちゃん達の為に頑張りなよ?)」
ああ、勿論だ…………あ、旨辛い。
この麻婆豆腐、激辛とか書いてある上にあんまり注文されてないみたいだったけど……何だ、旨いしアタリじゃん。
「ごちそうさん……さて、家族サービスだ……」
出来上がった料理を嫁のテーブルに運ぶ……で、美味しそうに食うのを暫く眺めたら次の料理を運ぶ。
そうこうしていると夕飯時になってきたので人も集まるようになってきた……はっきり言って視線が凄い。
『あ~ん……してください』
「あ、ああ?おう、あ~……」
グラドスは唐揚げをひとつ……俺の口へ運び、放り込んだ。
まぁ、嫁さんにこれされたらどんな飯でも旨いわな……あ、言っとくけどここの料理は最高だからな。
『ムゥ アーンしてください』
「ん、おぅ……あ~……」
タレットが魚のフライをひと欠片俺の口に運び、放り込んだ。旨い。
「旨い……」
『『は…は…は……』』
「何だその不吉な笑いは……」
『間接キス達成です』
『ラブ ラブ ウィ~!!! やりましたね!』
朝昼晩とキスしてくる癖して何を今更……とも言えない。
何せ人前だ。流石にキスは誰もいない自宅でしかしたことがない。
公の面前で間接キス……考えてみると結構な事なのかもしれない。
現に周囲の騒がしさが増してきたし、視線が更に集まってきた……
「シット……やっちまった」
今はこれしか言えない……さぁ、可愛い小悪魔な嫁二人の為に料理を運ぼう。