「今日こそ嫁との時間を作らねば……」
言うまでもなく、それをする為には仕事を早く済ませなければならないので、昨日以上に早く仕分けなければならない。
授業中も勿論仕事時間だ。
異論は認められない……異議を申し立てた奴は二度と喋れない様にしてやる。
「有朱兄、これは何だ?」
「シールド」
却下
「絶対防御領域」
保留
「IS搭乗者」
保留
「つまりパイロット」
却下
「を保護する役割を持ち」
採用
「ある一定のあらゆる攻撃を防ぐと同時に」
採用
「シールドエネルギーが減る」
却下
「一定の攻撃と言うのも」
却下
「衛星兵器による攻撃は防げないでしょう……」
保留
「コンテナ社のコロニーマスドライバー等が例ですね」
保留
「コロニー…………よろしい」
保留…………ん、何か俺質問されたか?
まぁ良いか……却下保留採用却下却下却下保留保留却下保留保留却下却下保留採用……ふむ、今回は採用案が多いな。
エンジニアの変態共め……調子が良い様だな。
もしも、もしもだ……仕事中に突然嫁が怒り、静かな冷たい声で怒鳴ったらだ……まず俺は冷静にその怒りの原因が自分である可能性を探すだろう。
と、言うのもやはり仕事も後半に差し掛かった瞬間の嫁の一声にある。
『私の旦那を侮辱するのですか?』
『ターゲット ア クワイエット するのですか?』
…………一瞬思考が停止するが、直ぐ様回復する。
十秒ほどの思考会議の結果原因は俺ではないようだ。
グラドスの言う旦那ってのは俺の事だし……うん。
「ど、どうした二人共……ん?」
嫁バカには嫁しか見えないってのは本当らしい。
ふと周りを見てみると、大分人目が……ううん……
「わかるように説明しろ」
『この人間があなたを馬鹿にしたのです』
『ギルティィ です』
「…………それくらい放っておけ」
『『無理です』』
「…………はぁ」
嫁二人が頑なに拒否するってのは珍しい……
「何てバカにされたって?」
察するにバカにしたらしいのはそこで棒立ちしている人間らしいが……
『猿だと』
『頭が悪いと』
『所詮男だと』
『『何の仕事をしているかは知らないがここでやる程ではないだろうと』』
「その程度……騒ぐほどでもないだろう?」
何せ入社した直後の方が酷かったからな……所詮子供だとかね。
『『無理です』』
「そうかい……じゃぁ、好きにしてくれ」
こうなったら彼女達は俺でも止めることはできない……好きなだけやりたいことをやらせるしかない。
『では遠慮なく……』
『ロック オン!!! 攻撃します』
…………後始末するのは俺だけど、まぁ、いっか。
『私の旦那様はおおらかなので気にしていない様子ですが夫をバカにされた私はそうはいきません……』
憎い人間に詰め寄り、合金でできた長い指を立てる。
旦那様が気が強そうで可愛いと言ってくれた目で睨み付け、意思を固める。
『旦那様を他の人間と同じ目で見るなら間違いです……良いでしょう、ならば証明して差し上げます』
シジル、ごめんなさい……でもレッドコアが主導権を握っている今の私にはこれしか考え付かないのです……。
『勝負です……貴女がISを動かせる“特別”な人間だと言うのなら……タレット』
『アワワウィーーー!!! あと5秒……』
「せ、先生!未確認輸送機が接近中だそうです!!!」
「何?」
到着した様ですね……さぁ、反撃の時間です……
【我々は……企業です……ワールドコントロール・テクニカルウェポンズ・ナビゲートテラー社……本社含め全支部が御相手致します……】
スピーカーより流れたのは、シジルの助手と思わしき女性の声。
「ワールド……そうか、有朱はコンテナ社の社員だったのか?」
先生は薄々感ずいていた様子ですね……しかし間違いです。
『ただの社員ではありません……』
『スペシャリスト!!! 本社社長の次に権限があります』
『社長のミギウデ……社長からの絶対の信頼を得ている社長代理です』
『ビーケァフリィ シージルブランドは彼の開発した兵器に付けられる称号……』
『ここの警備システムにも使用されているのを知らないとは言わせません……』
ここまで来たならもう言うしかないです……
『覚悟してください……そして御自身の発言を後悔なさい……』
…………これも言っておきましょうか。
『終わったらケーキをお出しします』
「お前グラドスにケーキって言わせたかっただけだろ」ってのはナシです。