「助手、これに何の意味がある?」
嫁+aの宣言より数時間、シジルは人型兵器と対面していた。
シジル本人はこの状況に本当に府に落ちていない様子で、自身の助手へと不服を申し立てている。
「こんなことするくらいなら仕事をしたいのだが……」
【駄目です】
「何で?」
【社長はあの女を打ちのめさなければならないのです……鍛えるのです!】
「あそ、何でも良いからとっとと済ませてくれ……」
【では小手調べから……】
人型兵器が動き始めた……無論、シジルに向かってである。
小手調べからと言っていた割に意外と速い。
「…………」
ガッシャーン……そうホールに響いたのは人型兵器が動き出してから間も無い事だった。
「何をしている……特訓するんだろ?」
【な……】
いつの間にやら、シジルの目の前で人型兵器が倒れていた。
「早く」
【い、いきますよ!】
倒れていた人型兵器がグワッと立ち上がると、シジルに掴みかかった。
が、それをいなすとシジルは人型兵器を投げ飛ばした。
「背負い投げ……まぁ、これくらいなら?」
【くぐ、意外とお強いのですね……でもこれならどうです?】
人型兵器が銃機らしき得物を構える……
【御安心を、中身は訓練用のゴム弾です……では行かせていただきます】
シジルを狙ってゴム製の銃弾が発射されるが狙われた本人は見事に避けてみせ、御返しとばかりに拳を人型兵器の腹に打ち込んだ……すると決して軽くはない人型兵器のボディが宙を舞い、地面に落下した。
「子供達が悪用された時、親が止めてやらなければならない……俺はそれだけの力を持っているつもりだ」
シジルは人型兵器の装甲を“素手で”剥がすと、一本導線を切った。
すると人型兵器の動きは止まり、沈黙した。
「次は……何だ?」
【いえ……まさかエンジニアが総力をあげて開発した兵器をものの数分で無力化されるとは思いませんでした】
「…………案は良かった。機械の精密な動きに期待して新作のスナイパーライフルを持たせると良い」
【お強いんですね】
「…………最初は子供達が悪用された時の為だったんだがな」
いつの間にか嫁さん達を守る為に運動をするようになっていた。
まぁ、嫁さん達は俺の開発したAIな訳だし……必要ないとは思うんだけどね。
「心配するな……会社の名に恥じない戦果を挙げてやるさ……」
【会社の為にですか?……主にお二人の婦人の為なんでしょう?】
「鋭いな……その通りだ」
隠すこともないだろう。
この状況は嫁さん達が俺を信頼しすぎているが故に巻き起こった結果だ。
嫁さん達の顔に泥を塗るつもりは一切ないし、逆に誇れる結果を残してやるつもりだ。
「その為に新兵器を開発している…………私の専用機……だったか?カスタマイズの進行状況は?」
協定を結んでいるIS会社よりラファールの支援があった。
これを俺に……とね。
とりあえず御礼に新装備の設計図を贈っておいたが……それはさておき、俺専用にカスタマイズしているラファールは、アセンブルしている変態エンジニア共曰く最早ラファールではないらしい。
ラファールを超越したラファールなんだとか。意味わからん。
【予定よりも早く進行しています……】
「変態共め……張り切ってるな」
【積み込む兵器やシステムOSがそろそろなくなるそうですが……】
「わかった、なるべく早く次の兵器とOSを用意する……変態共にはそう伝えておけ」
【了解しました……】
あぁ、そうそう……嫁さん達は今飯を食っている。
俺と一緒にいると言って聞かなかったが、どうにか食堂へと送った。
オバチャンに任せたが……大丈夫なのだろうか。