今日からはじめる 目指せデュエリスト日記   作:すずなりゆうか

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23週目 暑すぎてなんのやる気も出ない

【百四十四日目】

盗賊王さんに匿われて九日目。特に進展もなく、自分の記憶を元に作られたデッキで盗賊王さんとデュエルの練習をしていた。「本当なら俺様だけじゃなく、色んなヤツとデュエルしたほうが腕は上がるんだが…俺様しかいねぇからな」っと残念そうにしてた。あんまり同じ人ばかりとデュエルしてると変な癖とかつきやすいからオススメはできないんだって。

 

やっぱり、学校のあった次の日は疲れてしまうのか大寝坊した。まぁ、今日のやることといえば明日のテスト勉強くらいだからセーフといえばセーフ。

 

でも、私は物覚えが悪いから苦戦気味。文章長いの苦手、要点どこなのぉ?って湯気でそう。テストがなければマスターデュエルしながら配信しちゃうんだけどなぁ。明日の楽しみにしておこうと思う。

 

テスト勉強するものの緊張してるのか全然落ち着かなくて頭に入らない。元々、物覚えよくないからそれにプラスしてる。しかたないからちょっと早いけどこのまま寝てしまおう。明日のことは明日考える。

 

 

【百四十五日目】

盗賊王さんに匿われて十日目。今日は以前見つけた壁画の部屋を見ていたんだけどその途中、誰かに呼ばれたような気がして『早く助けに行かなくちゃ』という焦燥感に襲われた。自分でもどこに向かって走っているかはわからなかったけど異変に気がついた盗賊王さんに腕を掴まれて思いっきり殴られた。「落ち着けよ、今のお前が行っても暴走するだけだぜ?」って言いながら口の中に草のようなものを無理やり突っ込まれた。

 

「気つけ薬みたいなもんだ」って言ってたけど凄く口の中がスースーして、現実でもスースーしてた。キシリトール味とかミント味とか苦手なのに。現実にも反映する強い味ってなにさ。

 

昨日、居眠りしないように早めに寝たけどなぜかそれでも授業中に居眠りしてしまう謎。眠くなければ寝ないと思ってたけど眠気すら感じずスッと眠ってしまうのはなんだろうね?おかげで「おい、今…お前の世界では昼間じゃねぇのか?」って盗賊王さんにジトっと見られた。わざとじゃないし。

 

昼休み後、テスト勉強をしつつ授業に挑んだわけだけど今回の内容は全然頭に入ってこない。テストの内容の手応え的な感じでは…満点は取れなかったなぁってことはわかる。悔しいなぁ!

 

一昨日に出した予告通り夜の11時までアプリでラジオ配信をした。やっぱりラジオ配信しながらのデュエルは楽しい。でも、ゲームをしながらの配信なのに画面が見えないから分かりづらいと思うんだよね。いつか、フォロワーさんに画面を共有してデュエルできるといいなぁ…とは、思うけど…それってミスも共有されるのよね。ちょっと悩むかも。

 

やり方わからないし、しばらくは私の声だけの配信になるだろうけどそれで楽しんでくれる人もいるし今はそれでいっか!

 

 

【百四十六日目】

匿われて十一日目。今日は盗賊王さんと記憶のデッキを回しつつ時間を潰していたら「アルカナフォースってデッキ面白そうじゃねぇか。使ってみねぇか?」と言われたけど私の記憶には〈アルカナフォース〉というデッキが頭に浮かばなくて首を傾げてしまった。そしたら「タロットカードみたいなデッキだ!」と言われてやっと「あっ、アニメでクルクル回ってたあのカードたちか!」って気がついた。でも、私は占いに興味はあってもタロットカードの意味とか知らないし運も微妙だから使えるか怪しいなぁ。面白そうではあるけど。

 

ちなみに、今日もうっかりミスを繰り返すもんだから「ポンコツか…」って言われました。わざとじゃないもん。

 

今日は疲れているにしても長く眠りすぎたみたいで危うくお昼ごはんも食べそこねるところだった。エアコンの風に当たってたご飯、少し乾燥してて固かった。母もまさか私がそんな時間まで寝るとは思ってなかったみたいでラップしなかったみたい。これは私が寝坊したのが悪いね!

 

リミットフェステバルのアンケートが届いたことで「フェステバルが終わってしまう!」って大慌てで夕飯前にリミットフェステバルに参加した。一人で参加するのは心細かったから配信しながらデュエルをしたんだけどいつもより早い時間だったのにも関わらず駆けつけてくれた人がいて楽しくデュエルできたよ!

 

夕飯後、夜9時半から引き続きラジオ配信しながら30分ほどリミットフェステバルをしてから、ラジオを聞いてくれてる人とともにデュエルを楽しんだ。いつもは11時におわりだけど今日の配信はちょっと長かったかな?って思う。その代わり、色んなデッキが見れて楽しかった。楽しむことを優先しちゃったからあんまりメモは取れなかったよ。

〈巨大要塞〉とか歴代主人公たちのモンスターが入り交じる〈エンタメデッキ〉とか〈精霊獣〉とか〈月光鉄獣〉とか〈スターダスト〉とか。凄いデッキたくさん見れたなぁ。本当はもっと細かく書きたいけどそれはちゃんとメモを取れるようになってからじゃないと多分無理だ。

 

私はその何回かのデュエルの最後で攻撃力6000の〈わくわくメルフィーズ〉でダイレクトアタックできたので個人的に満足してる。メルフィーたちが〈団結の力〉でたくさん集まって相手に猛スピードで大行進する光景とかわくわくしない?つい、また「わくわく大行進!!」って宣言しながらダイレクトアタック仕掛けちゃった。もふもふの大行進…。これだったらダイレクトアタックくらっても痛くなさそうだよなぁ。

 

 

【百四十七日目】

今日で匿われること12日目。2週間が経ったわけだけど私の体に戻れる兆しはなく、石造りの迷宮のような場所を探索しても特になにも見つかってない。

盗賊王さんと話をしていたらなんか、私がこの場所にいる理由が〈パラサイトマインド〉に近い状態。「千年リングというアイテムに魂を避難させている状況」なのだという。元々、千年アイテムは多くの人の命を犠牲にして作成された物だから魂を避難させるのに相性が良かったらしい。

体が呪われているからこそ、無事な魂を避難させている…って状態なのは理解したが、そうなると体に魂は残ってないんじゃないかって不安になる。体に魂が残ってなかった場合、私が現実で摂取しているため夢では必要ない食事が必要となるから…かなり心配だ。大丈夫だろうか…、体に戻ったら腐敗始まってましたとかだったら嫌だなぁ。

 

…まぁ、この話したら「心配するとこそこかよ!」って盗賊王さんに爆笑されたけど。

 

今日はなんだかうまく体が動かない日。暑いからかもしれないし、体力が尽きてるのかもしれないし。寝るのが遅かったからかもしれない。ただ、カロリーとは別のエネルギーが不足してる気がする。今日はベッドでゴロゴロしてしまおう。きっと明日は今日とは別の意味で体が動かしづらいだろうな。

 

いつの間にか寝てしまったらしく、夢を見てた。

盗賊王さんと色々話し合って『今の魂の器が千年リングなら、千年リングをベースとして魂を実体化できるんじゃないか』って。盗賊王さんに話したら「魔術に関することを俺様に聞いてどうすんだ。魔術についてはお前自身が考えろよ」って思考放棄された。

 

術式を組み立てながら色々試してみるしかないけどたぶん、実体化自体はできると思うんだ。でも、どこまでできるかがわからない。おそらく、千年リングの中に魂の一部しかない自分では人としては実体化は難しいと思う。どこまでできるかなぁ。

 

 

【百四十八日目】

私が千年リングの中に魂を避難させられてから13日目。今日はひたすら魂を実体化させるための術式を構築していた。最初はいつもの式で大丈夫だと思っていたが発動せず、何がいけないのか少しずつ解きほぐしながら探っていたら単純にそのまんま人の姿で完全に実体化するには魂のエネルギー不足だと判明した。

 

完全な実体になるにはもっと原始的で小さな生物に形取るしかなさそうだ。虫…とまではいかないけど1メートル未満の生物に限られそうだ。馴染みのある動物といえば銀狼か、梟か。悩みどころ。

 

目が覚めたら4時だった。さすがにこの時間は起きるのに早すぎるのでもう一度寝るけど…なんとなく部屋を出てうろちょろしてみるけどなんもなく、そのまんま寝た。

 

久しぶりに遊戯王以外の夢を見た。たぶん、私は夢の中で精神的に疲れて寝たんだと思う。

夢の中の私は誰かとルームシェアして住んでいた。私が料理をしていた。モヤシを料理して、食卓に並べて同居人と共に美味しく食べていただけの夢だけど、炒めただけのモヤシが山になっていた変な夢。

 

「■■■さん、モヤシ好きなんですね」って。夢に出てきた同居人が微笑んでいたけどあれは誰だっけ。

 

今日も暑くてやる気が出ない。冷房かかってるはずなのに暑い。たぶん、やる気がでないのはそのせいだと思う。私は暑いのが苦手だからしかたないのかもしれないけど…こんな暑さでも動けるようになりたいと思うのはわがままだろうか。

 

プール行きたい。

 

 

【百四十九日目】

千年リングの中に避難して14日目。とりあえず、器用さが高い梟をベースとして術式を仮組み立てて実体化をしようとしたんだけど半分成功、半分失敗って感じだ。なんとか表には出られたんだけど実体を保てるのはほんの僅かな時間だけ。外には居られるもののほとんど幻影みたいな形になってしまった。もう少し練り直したほうがいいのかもしれない。

 

千年リング自体は美雨と私が住んでいるアパートのダンボールの中にあったみたいで私はそこで表に出たわけなんだけど私の体も美雨もいなくて情報が得られなかったからしかたなくアパートから飛びだって近くの公園へ言ったら志代がいた。木に止まって様子を見ていたらバッチリ目があって、何を思ってか近くの店でドライマンゴーを買ってきて、一切れを手に誘ってきた。ドライマンゴーの誘惑に負けた。

 

「やっぱり、フクロー先生だ!」ってドライマンゴーを啄む私を突きながら言ってきたけど〈フクロー先生〉って誰だろうか。

 

今日の気温はまさかの38℃らしい。夏の暑さを越えてるような気がするのは気のせいか。冷房をかけているのに一向に涼しくならない部屋にうんざりしながら過ごしていると母が「これ、ゆうかが欲しがってたやつじゃない?」ってストラクチャーデッキの〈宝玉の伝説〉を手渡してきた。

 

予約もしてないし、当日も買いに動けないほど金欠だったから諦めてたものが目の前に現れてビックリした。これは…私が〈宝玉獣〉を使ってもいいって精霊たちが認めてくれたのかな!?嬉しくて10分くらい眺めてから開封したんだけど、ひと通り見て、そっとテーブルの上に置き直した。

 

「………かわいいんだけど、回し方、わかんないよ」って。

〈メルフィー〉とも〈堕天使〉とも違う、今まで触れたことのないような効果を持つモンスターたちをそっと、箱の中に戻した。たぶん、次開けるときはデッキケースとカードスリーブを買った後だと思う。

 

 

【百五十日目】

昨日、表に出られたけど私が現実に戻ると自動で千年リングに戻るらしい。再び表に出たら、どうやら千年リングは公園の木の枝にぶら下がっていたらしくて梟ではなく銀狼(白い犬)の姿に設定した私は空中落下した。やっぱり、意識しないと幻影みたいな状態になってしまって実体を保ててないらしい。

 

今日はクリステルタワーへ向かってみた。昨日の時点の情報ではクリステルタワー周辺でモンスターがデュエル中に実体化する事件が多発していてデュエル禁止になっているらしい。実際、周辺広場に足を踏み入れてみると幻影状態だった体が実体を取りやすかった。クリステルタワーに近づくに連れて実体を保ちやすかったからたぶん、タワーになにかあるんだと思う。

 

今日は早く起きられたから、なんとなく外に出てみたけど暑かった。いや、うん…時間帯的に耐えきれないほど暑いってわけではなかったけど暑いもんは暑かった。きっと昼間になったらもっと熱くなるんだろうなぁ…ってげんなりした。

 

小説を読んでるときって時間を忘れてしまうくらいすごく楽しいんだけど、それを読み終えてしまうと一気に虚しくなってしまうのはなんでだろう。

物語にはハッピーエンドもあるし、バッドエンドもある。読み終えた直後はそれぞれ読み切った達成感とか、感想に溢れてるけどしばらくすると次はどうしようか困り果ててしまう。とても長い小説だったら読み直すのもありなんだけど、今回読んだのはそこまで長いものじゃなかったから次の読み物を探してるんだけどやっぱり悩む。今回は完結済みから選ぼうかな。

 

やっぱり、朝起きるのが早かったみたいで私はうっかり寝ていた。夢の世界は現実世界が昼なら夜になるから、真っ昼間に寝てしまった私は夜のクリスタリアを梟の姿で飛び回った。特に変な気配も感じないし、異変を気配的にキャッチすることはできなかったけど白服の集団とか、黒衣の集団とかが増えたなぁって。デュエリストっぽい人は大抵白か黒かのどっちかに染まってる。洗脳合戦でもしてるのかな。

 

真夜中なのに塾に住んでる人の気配はなく、遊羽の家も美雨のアパートも、サツキさんの家も人の出入りした形跡がなかった。みんな、どこにいったの?こんなことなら志代と遭遇したときに後をつけるべきだった。


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