今日からはじめる 目指せデュエリスト日記   作:すずなりゆうか

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【二十八日目】夢の記録

これは、たぶん誰かの記憶だった。

□はボロボロになりながらも誰かとデュエルしていた。

 

『もう一回、もう一回だ!!まだ私は認めない!!認めるものか!』

『いい加減にしろよお前ッッ!!雑魚が何回デュエルしたところで勝てるわけねぇだろ!』

『黙れ!!もう一回だ!』

 

何度も吹き飛ばされて、ボロボロになって。

もう何回負けたんだろうか…。それすらわからないほど負けて負けて…それでも立ち上がって悔しくて『もう一回!』と噛みつくようにデュエルディスクを構えていた。

 

『もう止めてよ!!もう、いいから!!』

『止めないよ!』

『クソッ、しつけぇ!!』

 

小さな手が□に『止めて』と止めに入るがその手を振り払って□はデッキから、カードを5枚引く。先行は□、手札から察するに―――

 

『私のターンッ!』

 

一枚の裏守備と一枚の伏せカード。

夢としてみている私にはそのカードたちの詳細はわからないままエンドを迎えた。相手のターンに移り変わり、カードを引く。

モンスターがフィールドに降臨してなんらかの効果が発動して別のモンスターが現れて2体のモンスターが合わさり別の姿へと作り変えられた。

 

『バトルッ!』

 

いともたやすく破壊され、悲鳴をあげ崩壊していく守備モンスター。□は攻撃の風圧に耐え、再び自分のターンが回ってくる。

 

『私のターン、ドロー!』

 

やはり、カードの詳細はわからない。

 

『私は…ッ!二重召喚を発動して通常召喚を2回行う!』

 

手札から魔法カードを場に出して発動させ、2体のモンスターを召喚した。しかし―――それでもデュエルの負けて、風圧で吹き飛ばされて。

身体にもダメージが入っているだろうに腕を掴み『もう一回』と食らいつく。おそらく、デュエルの原因となったであろう子どもが別の涙を流すほどにその体はボロボロで、それでもまた『もう一回』と口にする。

 

 

 

―――まだだ。もう一回ッ

 

これは、何回目?

□は何回負けて、何回吹き飛ばされた?

 

 

―――私は、まだ戦える。

 

この心がある限り、私は諦めるつもりはない。それが夢をみている私にも強く伝わってきた。

 

 

『さぁ、構えてよ。デュエルだ。私の心が折れるまで。この子の友達を返してもらえるまで続けてやる…!』

 

勝つとか、負けるとか関係ない。

□は重くなった体を引きずりながらもデュエルディスクを構える。私の心はまだ死んでいないから戦える、と。

 

『は、はは…化け物かよ』

 

相手は引きつった笑みを浮かべながらポツリとそんなことを呟いた気がした。本来は一度のデュエルで終わるところを何度も何度も引き止められて行われるデュエル。もう、何回負けたかもわからない。既に体力も尽きているはずなのに。

 

『うる…っ、さい!もう一回!!』

 

そうして、またデュエルが始まり何ターン目かにはまた敗北し風圧に吹き飛ばされる。そんなことを繰り返してた光景に変化が訪れたのは聞いたことのあるフレーズが負けっぱなしの□の口から呟かれた時だった。

 

『オーバーレイ、ネットワークを…構築。来いNo.■■ ■■■■■』

 

『な!?ナンバーズカードだと!?それは危険指定カードだぞ!!そんなのを使えばただのデュエルじゃ済まなくなる!!』

 

危険指定カード。初めて聞くワードだった。

察するに『使うことが危険なカード』って感じだが実際似合ってるかどうかはわからない。それでも危険なカードということだけはわかった。

 

聞き取れない名前を呼び泣きじゃくりながらどうにかデュエルをやめさせようと袖を引く子ども。デュエルディスクを構えた私はそれに構いもせず、そのモンスターを降臨―――

 

『□□、もうやめてよぉおおお!!!』

 

―――しなかった。

 

 

『は…?』

 

もう、止まらないところまで来ていたはずなのになぜ?と、呆けていると―――バチンっと勢いよく『私』が叩かれた。

 

 

 

「ゆうかさんッ!」

 

 

その言葉で私の意識が別の場所へと浮上する。

目を開けば、ボヤケた視界。

だんだんとハッキリと見えて来る中、私は思い出す。―――そういえば、私は夢から長く覚めないからしかたなく美雨の家に泊めてもらってたんだって。

 

 

「あー…、…」

 

ぐったりとソファに脱力したまま、深みのある赤毛と藍色の2色で編まれた三編みの彼女を見て言った。そういえば、泣きじゃくってた子どもと歳が違うだけでそっくりだ。本人かどうかは置いといて、きっと過去の記憶なんだろう。

 

「急いで思いっきり叩いちゃいましたけど、大丈夫ですか?」

「めっちゃヒリヒリするよ…、本体にまで響くことはないけど…もうちょっと手加減してほしかったかな?」

「ごめんなさい。ゆうかさんの身体が消えかかってたからつい…。あっ、これ飲んでください。」

 

くるくるとホットミルクをかき混ぜながらティーカップを差し出してくれた。飲んでみるとほんのりと蜂蜜の香りがして、なんとなく安心できるような気がした。

 

「…あれ、ゆうかさんの髪の色ってそんな明る…」

「酷いなぁ。若年性白髪なんて」

「誰がそんなこと言いましたか!!言ってませんよ!!絶対ふざけてるでしょう!」

 

そんなにムキになって答えなくてもいいのに。

私以外の夢を渡る面々に会ったら簡単におもちゃにされてしまいそうで心配だ。なんて、考えているうちにいつの間にか現実のベッドに戻っていて『色々、タイミング悪いなぁ』とため息をついた。

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