誰もが願うはハッピーエンド   作:すすき(仮)

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倉崎茜の理由のない苛立ち・裏

突然だが、倉崎茜は優等生だ。

 

「あー…新しい風紀委員長か。よろしく頼むよ。」

 

成績優秀で、

 

「では、倉崎さん。すでにお分かりとは思いますが風紀委員長としての仕事内容の説明を…」

 

魔術も熟達していて、

 

「…ま、こんなところですね。風紀委員長のお仕事頑張ってくださいね?」

 

なのにどうして、学院長も梶島教諭も私に一切興味を示さないのだろう。

倉崎茜はこんなにも優等生だというのに、どうして?

 

___

 

「あ~、今年もこんな時期か…」

 

学院の春の風物詩、新入生を囲む上級生と教師、そして更にそれを囲む別の上級生と教師は風紀委員が目を逸らすべきものだ。生徒会の取り締まり対象なので関係は一切無いし生徒会が総辞職しようと知ったことではない。

 

「風紀委員長?!お助けを~…いやせめてこっち向いて?」

「アー、キョウモイイテンキダナー」

 

襲われているのが自分の知り合いで無ければ、ではあるが。

知り合いならばここは関係がないことを示して離れるべきだろう。誰も好き好んで邪魔をしたくなりはしない。

風紀委員詰所の布団も新調したから、新しく風紀委員になった四月一日君と佳織を見回りにでも行かせて早く堪能したいものだ。

…しかし目の前で囲まれているこの男も新しく風紀委員になった四月一日も坂宮もそうだが私ではなく風紀委員長という肩書でしか私を見ていないのではないか?あの学院長や梶島教諭と同じような目で皆が私を見ている気がする無性に腹が立ってきた嫌だイラつく気持ち悪い嫌だやめてくれ見ないでくれ嫌だそんな目で見るな嫌だ吐き気がする嫌だ嫌だ嫌だ…

 

「聞いて下さ~い!実は風紀委員長って~クール系に見えて~ヒデブッ」

「…潰す」

 

とりあえず、落ち着くとしよう。

函部修一を拳で殴った私は兎にも角にも落ち着いて、オフの時のリラックスした私を晒そうとしたこの男を詰所に連行するのだった。

 

___

 

「こ、こんなやつ打ち首獄門さらし首よっ!」

「あ~大体何があったか分かったけど風紀委員にそんな権限ないからね?茜。」

「?」

 

大分落ち着いた私は少しテンションが上がっていたが、どうやら佳織にも四月一日君にも苛立っていたのはバレていない様で安心した。

ちなみに佳織にはオフになってリラックスした私を見られたことはあるが、それより奥には踏み込んでこなくて安心している…やはり坂宮にとって私は踏み込むような近しい人間と見られていないんじゃないか?だから坂宮はそんな目で私を…

はっ!いかんいかん。つい雷を撃ってしまった。気をつけるとしよう。

しかし、新入生が入学してから『発作』の間隔が短くなりつつあるな…部屋の隅で頭を少し冷やそう…これ以上こいつらの目を見ていると頭がどうにかなりそうだ。

そして、そのあと数分後。

 

「…!そんな馬鹿な!一体どうして?…はい。ええ。…茜、四月一日君。校門に行くわよ。」

 

まさかずっと三角座りで佳織と函部君の掛け合い聞かされるとは思ってなかったよ…

しかしわざわざ学院に侵入して何をするつもりなんだ?特に何もないはずなんだがな…

 

___

 

阿川さくらの研究室。

上級生が軒並み幽霊と化し、唯一の新入生も風紀委員の仕事に行った今室内には勧誘に失敗した阿川さくら一人のみであった。

 

「あ”ーーー!ダメだー!脳が!脳が潰れるー!」

 

鼻血を出しながら桃の前で『杖』を振る阿川さくらだったが、体に限界が来たようで後ろに準備していたマットに倒れこむ。

数分後、魔術使用過多に一日何回もなっているだけあって手際よく立ち上がるとおもむろに散乱している資料へと向かう。

 

「チッ!黄泉比良坂からの桃複製には演算量が足りなかったか!桃で新入生を釣るのには無理があった…と。…で、副作用は~『一時的記憶喪失』…あ~これならもう一回やれるか?」

 

説明しよう!阿川さくらは日頃から副作用を受けまくってるため、知能低下以外の副作用なら大体感覚で分かってしまうという特殊能力を身に着けているのだ!

ちなみに桃は件の新入生から頂いたものだったりするぞ!

 

「でもこれ累積するからな~…一回待つか。」

 

この後桃は阿川先生が美味しくいただきました。

 

「おっ!忘れてた記憶が戻ってきたぞ~!え~っと?あ~…アサちゃんからの弟が反抗期~って愚痴と…『ラプラス』は動くわけない?学院がヤバい場所…?…アサちゃん、機械詳しかったからな~…ヤバくない?!酔ってた時の記憶碌なもんねぇな!?」

 

どうやら阿川さくらの現実逃避は失敗したらしかった。

 

___

 

「予想外に早いな!」

「…早くて悪いことはないはずですが?」

 

学院長室。モニターに映し出される校門には現代兵器で武装した男たちが乗り込んでくる様子が映し出されていた。

 

「確認だが…『あくのひみつけっしゃ』には学院関係者に内通者がいる。そうだな?」

「ええ、その通りのはずですが。」

 

老人の座る机の上には大量の人物名のリストがおいてある。

大半には『死亡』又は『無関係』と書かれたリストだが、一部にはそうでない物もあった。

 

「阿川さくらは7割がた白、坂宮香織は100%白。堂岡明はまだグレーの範疇で、警察長官の婆さんは…話してみたがアレは9割がた白だな。食えない奴だよ全く。」

「そして、最後に検証していないのがこの男…と。」

 

秘書はそう言うと、『要検証』と書かれた名前を指さした。

 

「『山寺夕輝』ですか…」

「おそらくこいつも白だが、検証するのに越したことはないだろう?…これが終われば()()()()()()()()手詰まりにはなるがな。」

「確かに。それはそうですね。」

 

学院長室に、老人の笑い声が響き渡った。




倉崎茜さんのスペックです。
ネタばれは入れていないのでどうぞ。

___

倉崎 茜(クラサキ アカネ)

国立第一魔術学院に入学するまでは普通の優等生だったが、風紀委員長になってから徐々に頭のネジが飛んできた。
『発作』が起こると雷を周りに乱射するヤバい人になるが、そうならない為に詰所で一人の時には布団でだらけてる。見られたら恥ずかしいから怒るが、素の頭は良く魔術も使えるため、ブチギレ状態になったら『怒った』レベルではなくなる。地雷。
ちなみに『発作』の引き金は『倉崎茜がそこら辺の石並みにおざなりに扱われた』と感じるとゲージがたまるようなイメージ。なので…?
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