誰もが願うはハッピーエンド   作:すすき(仮)

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東と西の遭遇戦

「あのー…」

 

風紀委員詰所で縛られて放置プレイ(二回目)を受けている俺はそろそろ脱出の仕方を考えつつあった。

 

ドア…急いで出ていったようだが鍵は閉められてある。合金製。

窓…ここは三階だ。ちなみに防弾。

壁…学院内の建物は大体『ロードローラーだッ!!』しないと壊せない。頑丈。

 

もしかして、詰み、という奴じゃあなかろうか。

 

「わ~きれいなはなび~」

 

とりあえず窓の外で光り輝いてる雷でも見て和むか。(幼児退行)

 

___

 

~数十分後~

 

相変わらず脱出のめどは立たず、窓の外では雷が打ちあがっている。

何かつるつるした者が体をぶつけているようだ。

ドアを押し破るようなことは出来はすまい。

いや、そんな!あの頭は何だ!窓に!窓に!

 

「モヒカンにスキンヘッド!」

「運び屋の兄貴!鍵開けましたよ!」

 

どうやらドアは内側からは鍵が必要でも外からは必要ではないらしかった。

 

「ついに年貢の納め時がきたっぽいですね…ずらかりましょう!」

「なんで???そんな捕まるような悪いことしたか?!」

 

風紀委員の連中とは別ベクトルに扱いがひどい。

まぁ縄ほどいてくれたからいっか。

 

「ちょっと待て!俺たちゃ兄貴に伝えたいことがあるんだったろ!」

「そうだ…兄貴、山寺の親父が今学院を襲ってるんでさぁ。」

 

…もしかしなくても、あの雷のこと?

 

「そうです!…親父を止めてください!」

「山寺さん、『学院にかちこみにいく』っていって銃持って飛び込んでったんです!」

 

関わらないほうがいい気がするなぁ。

そもそも、おっさんと俺とはそこまで親しいわけじゃないし助ける必要は…

 

「…わかった。とりあえず居場所はわかるか?」

「知りません!多分学院の中じゃないですか?」

「そういえば親父が電話で『ラプラスが~』とか『立ち入り禁止の場所~』とか言ってた気がします!」

 

俺の第六感が言っている。協力しろ、と。

断じてこいつら二人がかりで襲ってきたら負けんじゃね?とか考えたわけではない。

そうだとしても長いものには巻かれるタイプだから俺に問題はない!

それにしても立ち入り禁止か…

そんな場所学院にあったっけ?教員棟も男子寮棟も普通に入れるし、風紀委員の詰所も講堂も…まさか?!

 

「多分だが、おっさんのいる場所が分かった。」

「どこですか?!」

「この学院の地図持ってきますね!」

 

一息ためて、その思いついた場所の名前を言う。

 

「そこは…」

「「そこは?」」

 

「ずばり。男子禁制の『女子寮棟』だ!急ぐぞお前ら!」

 

___

 

「…よし、今だ。」

 

女子寮棟の近くには侵入者がいるからか、ほとんど人影はない。

しかし一応こいつらも侵入者を止めるために入ってきたとはいえ侵入者であることは変わらない。

 

「やっぱり兄貴の気配の消し方すごいですね。」

「目の前にいても気を緩めたらもう気づきませんね。」

 

ふっ。これが前世も含めてボッチだった俺の影の薄さのたまものよ。

まあ学院では目立ってるんだけどな!入学式不参加したせいで!

 

「もうそろそろ女子寮棟だ…おっさんはこんなところまで何しに来るんだ?」

 

至極まっとうな疑問を口に出して尋ねる。

まさか、おっさんは…!これ以上は言わないが、止めなかった場合おっさんが女性用の服飾を頭につけたまま連行される恐れもある。

 

「…さぁ?」

「とりあえず待ちますか!」

「…何を待つんだ?」

「ん?山寺の親父ですよ。きっと誰かがそそのかしてるんですよ!」

 

そうじゃなきゃ困るわ。自分の意志で軽犯罪法に突っ込んでたら変態だぞ?

…まぁそそのかされてたとしても変態だが。

 

「というか何で女子寮棟の前で隠れてるんだよ」

「山寺の親父の目的地はここだ!って兄貴が言うもんですから…」

「…でも、親父が行った道から来るとなると相当遠回りになるんですよね」

「待て、お前ら誰と話ししてん…だ?」

 

変態を探してたら、女子寮棟の前の植木に潜む中二病君を見つけてしまったんだが…

そういえば俺ってこいつの護衛だったから好都合だったわ。気にせずおっさんを待とう。

 

「ど~う~お~か~く~ん!何で迂回するだけでこんなに遠回りになるのかなぁ!」

 

前言撤回。

縛りプレイ大好き風紀委員さんに捕まるのは嫌だ。逃げ…られない?1

 

「全くもう…って函部?!なんで女子寮棟の前で堂岡君に押さえつけられて…まさか、この混乱に乗じて…?」

 

ま、待て!誤解だ!誤解なんだ!変態なのは俺じゃない!

 

「…さいてー。変態野郎。」

 

やめろー!風評被害だ!

 

___

 

「まあいいわ。変態っていうのはやめてあげる」

「あ~、ごめん。チンピラっぽいやつらと一緒に何かやってたから函部も侵入者の仲間かと思ったんだ。」

「分かればいいっすよ!」

「それにしてもその眼帯いかしてるな~」

 

モヒカンとスキンヘッドが詳しい話を説明してくれた後、俺たちはおっさんをとりあえず止める、ということで一致しおっさんの目的地に先回りすることになった。

ちなみにおっさんの目的地はいつも遊びに行ってる立ち入り禁止区域らしい。盲点を突かれた気分だ…

 

「あんたの秘孔をついてあげたいわ!」

「次の角を…右だったっけ?左だったっけ?」

「直進です!堂岡さん!」

「…まずい。地下街のチンピラどもも親父が連れてきたみたいです!山田と一緒に引き付けるので早く!」

「モヒカン!スキンヘッド!」

 

そんなこんなで、俺たちが無事?球体上に抉れたところが特徴的な建物に到着したとき。

 

「…はぁ…おっかねえもんだな。最近の学生ってもんは。函部、こいつら抑えてくれねぇか?」

「あ、ちょっとパスで。そもそもできませんし。」

「あなたが山寺夕輝?」

「おとなしく投降してください」

 

地下街のおっさんはいつも通りの悪い笑顔で提案をしてきた。

 

「…なぁ。『いいこと』教えてやろうか?『旧学院』の昔話だ。いい話だぞ?」

 

『杖』を構える風紀委員さんが、一瞬固まった。そんな気がした。

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