誰もが願うはハッピーエンド 作:すすき(仮)
「山寺夕輝さん、速やかな投降を勧告します。繰り返します。山寺夕輝さん―――」
建物の中に立てこもり始めたアメリカTシャツとおっさんに、降伏勧告を拡声器を使って呼びかける秘書さん。
走ってきたときは今にも飛び込みかねない勢いだったけど「銃持ってますけど大丈夫ですか?」という護衛対象君の優しい言葉で我に返ってからはずっとあの調子だ。
…全く応答はないからか、数分しかたってないのに冷や汗だらだらだ。
「Mr.コー!お呼びになられましたでしょうか?」
「ボブ先生、建物の入り口だけを壊して突入を。できるだけ急いでください。」
そんな秘書さんだが、すんごいスピードで駆けつけてきたアフロのおっさんに突入を頼んだようだ。
アフロの星眼鏡をつけて今にも踊りだしそうな人が先生なのかぁ…とかいう学院にまともな人がいない疑惑は置いておいて、アフロ先生は『杖』を構えて魔術を展開するようだ。
「勿論。わかっておりますでしょうとも!では拙者の「Wait!Wait!待て待て待て。流石に死にたかねぇから投降だよ投降!山寺のおっさんも、な?」」
「…投降だ。」
しかし、魔術の演算を始めようとした矢先、建物から二人が投降する。
アフロ先生は憮然とした表情で…いや、星メガネのせいでまったく表情読めねぇ!
まあそれはおいといて、秘書さんはすぐに飛び込んでいきアフロ先生も後から悠々とついていき…風紀委員さんも自然に入ろうとするが「だめでありましょう?」ってアフロ先生に言われて締め出されてやがる…というか何でついていった?
「あ~、嬢ちゃんしかいねぇなら…俺は帰らせてもらうぜ」
「へっ?あっ!ちょっと!」
しかも、その隙にアメリカTシャツはがうたたね先生から一瞬で逃げ出してくし…
「待ちなさーい!」
「Oh…レーザー乱射はやめてくれよ…」
結局学院襲撃事件はおっさんが捕まっただけで他の奴らは捕まらずに幕を閉じたのであった。
「だ~か~ら~!俺たちゃこの襲撃を止めに…」
「あっ!運び屋の兄貴!兄貴からも何とか…」
いや、正確に言うとおっさん+αだな。
おっさん以外に捕まったのは、どこからどう見ても世紀末チンピラの二人組。
かくして学院襲撃はしまらない終わりを迎えたのであった。
いや、さぁ…
___
と、思っていたのだが。
「1年A組函部修一君。1年A組函部修一君。至急風紀委員詰所まで来てください。繰り返します…」
数日後、風紀委員詰所まで呼び出された先には。
「あ~、うん。とりあえず入って?」
すごい気まずそうな護衛対象君。
「こいつ…?」
少し困惑しているような風紀委員さんに、
「…すまなかったな、坊主。」
憑き物が落ちたようなおっさん。
「ハハハハハ!」
そして最後にいつも通りの学院長…
どうやら、学院襲撃事件は終わっていなかったようだ。
「とりあえず、彼が明君の護衛を担当していた函部修一君…っと言われなくてもわかっているか!ハッハッハ!」
開口一番大声を出す学院長。風紀委員長が謹慎食らってここに来る生徒がいないからいいけどさぁ…
というかバラしていいんだ。
「では、函部君!君に新しい…いや、そんなことはする必要はないな…今まで通りの契約で頼むよ?」
「は、はぁ…別にいいですけど」
そもそも学院に通ってんのはそのためって聞いてるんですが。
やはり学院長にはボケが入ってる可能性も捨てがたいのかもしれない…
「と、いうわけで君たちの健闘を祈ろう!学院長としても君たちに協力するよ!」
「…はい。」
「わかったわ。」
「ハイ以外に答えられない質問をさぁ…」
ほかの三人が了承して解散する流れになっているところ申し訳ないが…
俺、全く話を知らないんですけど?
「あ…そういえば、モヒカンとスキンヘッドは…」
「あぁ、安心したまえ!地下街の山寺君の事務所に帰しておいたよ!」
…よかった。