魔法少女リリカルなのはVivid 漆黒の翼 作:シンタ
ヴィヴィオたち子供組は、お昼ご飯を食べて少し休ん
だあと、ノーヴェとルーテシアの案内で大人組の陸戦訓練の見学に行くことになった。
しかし、その中にアベルの姿がない……
なぜかと言うと、母親のエリスに外出禁止令を出されたからだ。
なのはやフェイトたちは『そこまでする必要はない。』とアベルを擁護したが、エリスが『これは家庭の問題です!』と頑なに拒否して今に至る。
アベルは、母親の言い付けを守り自室に籠っていた。
「うぅ………暇だよーーッ!」
「自業自得ですぅ!マスターの言ってた自分流の“水切り”がまさかあんなモノだったとは………」
「まあ〜僕的には、ほんの冗談のつもりだったけど……ちょっと、やり過ぎちゃったのかな?」
「はい!やり過ぎですぅ!今日はきちっと反省しましょう?」
「そうだね。今日溜まったうっぷんは明日の模擬戦で晴らせてもらおうっと!そのためにも、魔導兵装の調整を手伝ってね?モルガン♪」
「了解ですぅ。」
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場所は変わり、ヴィヴィオたちはというとルーテシア特製の演習場へ行く道中であった。
「え?ヴィヴィオさんのお母さま方も、模擬戦に?……」
「はい!もう、ガンガンやってますよ!」
「はぁ〜驚きです。お二人とも家庭的でほのぼのとしたお母さまで素敵だなって思ったんですが、魔法戦にも参加されてるんですね。」
なのはとフェイトのイメージを語るアインハルトの後ろで、ノーヴェが必死に笑いを堪えている。
「えっと、参加しているって言うか………うちのママは航空武装隊の“戦技教導官”なんです。」
ヴィヴィオのが説明が終わったくらいに目的地である演習場に到着した。
『セイクリッド・クラスター、スタンバイ……』
着いた時にはなのはの拡散攻撃に対して、ティアナの指示のもとスバルがカウンターコンビネーションを決めようかとしているところ。
「拡散攻撃(クラスター)、来るよ!ティア!」
「オーライ!カウンターコンビネーション、クロスシフト行くわよ!!!」
「「シュート……ッ!!!」」
お互いの魔力弾がぶつかり合い、激しく爆ぜた。
その中からウイングロードが飛び出し、その上をスバルが滑るようになのはに肉迫する。
「おおおおおッ!!!!!!」
スバルがなのはに攻撃。
六課解散から四年が経つが、絶妙なコンビネーションは衰えることはなく未だ健在……それどころか更に磨きが掛かっていた。
しかし、流石は“エースオブエース”のなのは……彼女たちよりも一枚も二枚も上手である。
苦手分野の近接攻撃を読んでいたかのように意図も簡単に防いだ。
その激しい攻防に驚くアインハルト……
「あっ、みんな来たんだ♪」
ヴィヴィオたちに話しかけたのはバリアジャケット姿のフェイトだった。
すぐ隣には巨大な飛竜フリードリヒに股がるキャロがいる。
「あの大きいのは、アルザスの飛竜ッ!!?」
「キャロさんは竜召喚士なんです。」
「エリオさんは竜騎士!あっちで……あれはアベルくんのお母さんですね。二人で打ち合ってますよ。」
アベルの母“エリス・ガーネット”は特殊犯罪捜査班の班長でもあり凄腕の剣士だ。
彼女の纏うバリアジャケットは、防御を捨てたスピード&機動性特化型の羽織袴タイプ……デバイスはインテリ型、二対のサムライブレード“雲龍・蒼龍”である。
ちなみに六課出向時、当時のライトニング分隊の隊長フェイトと副隊長シグナムを相手に壮絶な模擬戦を展開、二人を完封なきまでに叩きのめした。
そして、全管理局員の中で唯一なのはの収束砲“スターライト・ブレーカー”を切り裂いて防いだ人物でもある。
「それで、フェイトママは空戦魔導師で本局で執務官をしています♪」
ヴィヴィオたちが一通りの説明を終えた頃に、なのはたちも模擬戦を終わらせて一息いれて次のメニューに移る。
「皆さん凄いです。ずっと、動きっぱなしで……」
「そうだな………」
「魔法訓練だけじゃない。あんなフィジカルトレーニングまで………管理局の方たちは……皆さんここまで鍛えていらっしゃるんでしょうか?」
「ですね。」
「まあな……スバルは特殊災害も担当したりする救助隊だし、ティアナは凶悪犯罪担当の執務官……他のみんなも頻度の差はあっても全員が命をかけて働いてるわけで、力が足りなきゃ救えねぇし、自分の命だって守らなきゃならねぇからな……」
「ノーヴェさんも救助訓練はガッツリやってますもんねー♪」
「ま、まあ……////」
その後、ヴィヴィオとアインハルトはうずく気持ちを抑えることが出来ず、見学メンバーから抜けて二人でミット打ちに励んだ。
そして、なのはたちの訓練が終わる頃にはすっかり日が落ちていた。
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一方“ホテル・アルピーノ”に残ったアベルは、あまりの暇さからメガーヌの手伝いをしていた。
今は帰ってくるメンバーの為に夕飯の支度をしている。
メガーヌは、アベルの手際の良さに驚いていた。
「アベルくんって凄く手際が良いのね?私、驚いちゃった♪」
「まあ、普段は一人暮らしだから……ママは仕事が忙しくてたまにしか帰ってこないし、パパは僕が物心着いた時には居なくて……お母さんが言うにはパパは有名な“科学者”なんだって……」
両親の話しをするアベルの表情は少し寂しそうだ。
年相応の反応かもしれない。
「あ、メガーヌさん、そのお肉を取ってくれます?」
「あ、はいはい♪」
「おーい、アベルー!こっちも終わったぞー!」
「マスター次は何をしましょうかぁ?」
食堂からセインとモルガンが顔を出す。
セインはもとナンバーズで、今は聖王教会に所属している。
彼女は昼過ぎに、聖王教会から野菜などの食材を差し入れに来たところをアベルに捕まり夕飯の準備の手伝いをさせられていた。
「モルガンはもう良いよ。先にお風呂でも行ってきたら?メガーヌさんがここの温泉は最高だって♪」
「わーい、やったですぅ♪じゃあ、お言葉に甘えて行ってくるですぅ~♪」
モルガンは目にも止まらぬ速さで温泉に向かう。
「セインさん、次はこのお皿を並べといて~!」
アベルは歳上のセインにどんどん指示を出す。
「何で私だけッ!!?お前、けっこう人使いが荒いなッ!!?」
セインはたじろいでいた。
「でもセインちゃんは、このまま帰る気もないんでしょ?」
「ま、まあ……それはそうなんだけど!せっかくだから軽く温泉ドッキリの一つでも仕掛けて、みんなを楽しませてやろっかな~とは思ってるけど……」
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大人組が陸戦訓練を終えてホテルに戻る時、子供たちとノーヴェから出迎えられる。
しかし、その中にヴィヴィオとアインハルトの姿が見えない。
スバルが子供たちに聴くと、二人はウズウズが止まらず、別の場所でミット打ちに励んでいると言う。
それから、すぐにヴィヴィオとアインハルトも彼女たちに合流した。
「やっぱり、ずっとやってたんだ。」
「あははーちょっと、気合い入っちゃって~」
「どうだ?アインハルト……近代格闘技のミット打ちもなかなか面白いだろ?」
「はい………良い練習と経験になりました。」
「そう言えば、ママたちは?まだ?……」
「あ、なのはさんとフェイトさん、エリスさんは少し残って練習の仕上げだって……」
「三人で空でも飛んでるんじゃないかな?……」
「さて、もうすぐホテルに到着するけど、お楽しみはまだまだこれから!ホテル・アルピーノ名物“天然温泉大浴場”にみんなで集合ね!」
エリオ以外のメンバーは、ルーテシア自慢の大浴場に集まる。
そこへタイミングよく、モルガンもやって来た。
「あ、ヴィヴィオちゃん~!皆さん~!」
「モルガンちゃん?アベルくんはまだお手伝いしてるの?」
「はいですぅ♪マスターは全部終わらせないと気がすまいたちなので………」
「そうなんだ。じゃあ、仕方ないね……」
脱衣場で服を脱いだヴィヴィオたちは大浴場に出た。
そして感激する。
ルーテシアの自慢にも頷けた。
「あ~~スッゴく、良いお湯加減~~」
「本当ですね~~」
ティアナとキャロは先に湯船に入りくつろいでいる。
スバルとノーヴェの姉妹は汗を流してから湯船に入った。
「あっちの岩造りのところが熱~いお湯ね。」
「わーい、熱いの好き~♪」
リオは熱めのお湯が好みらしく、その湯船に入って足を伸ばす。
「で、向こうの滝湯はぬるめだから、のんびりできるよ♪」
「「滝湯ッ!!?」」
ルーテシアの滝湯発言にヴィヴィオとコロナは目を輝かせ心踊らせた。
そして、モルガンは体の大きさの関係からお湯を張った風呂桶に入ってくつろいでいる。
「はい、着いたわよ♪どうかな?新しく作った滝湯は……?」
「スゴイ!スゴイよー!ルールー!」
「見てください!アインハルトさん!……」
「修行!」「修行!」
ヴィヴィオとコロナの二人は、滝湯に当り合掌をし精神統一をしている。
「はぁ……アナタたちは、いったい何をやっているんですか……意味がわかりません……」
アインハルトは頭を抱えてため息を吐いた。
「スバルとノーヴェはお湯加減はどう?」
「もう、サイコーだよ~♪」
「ああ~まったくだよ、お嬢……しかし、アレだな……前に来た時よりまたパワーアップしてんな。」
「建築デザインとか、設備設計をやってると楽しいんだよね♪ま、この温泉もロッジの改装も、お遊びレベルだけど♪……これ、設計図だよ♪」
このすべてのレイアウトがルーテシアの趣味の領域だから凄い。
「いやいやいやッ!!!」
「ありえねぇって!!!」
スバルとノーヴェは、全力で否定する。
「まあ、みんなに評判良いのは嬉しいな♪泊まりに来てくれたみんなが笑顔になってくれたら、さらに嬉しい!」
「んなもん、めちゃめちゃ笑顔だっつーの!な、スバル!」
「ほんと、ほんと♪」
三人は湯船に浸かり、楽しそうに話していた。
しばらく、みんなが楽しそうに湯船に浸かっている。
その時だった。
「ふぇッ!!?」
キャロは何か違和感を感じ、湯船から立ち上がる。
「キャロ、どうかしたの?」
ティアナがキャロに聴く。
「何かこう柔らかいモノがもにょっと………」
不安になったキャロは、キョロキョロとお湯の中を見ながら、ティアナに応えた。
そして、またお湯に浸かる。
『もにょっ………』
次は確かに感じた。
柔らかく、何か生暖かいヌルっとしたモノを……
「ひゃッ!!?」
それは、ティアナにも触れた。
「ふわぁッ!!?」
二人は、急いで湯船から上がる。
「本当に何かいるッ!こう何かヌルっとしたヤツが…!」
「でしょ!でしょッ!!?」
二人はパニックなる。
そんな時、ちょうど二人の近くをルーテシアが通りかかった。
「ねえ、ルーちゃん!湯船の中で何か飼ってたりしないッ?!!」
「えー?別に何も飼ってないよ~?」
「何、言ってんの?!!本当に何かいるんだって!」
「だって、そんな珍しい動物がいたらソッコーで捕まえてみんなに紹介するよ~♪」
「「((確かに、そうだ!!!!!!))」」
笑顔のルーテシアに、二人は納得する。
彼女の性格だ。やりかねない……
ヴィヴィオがいる滝湯付の湯船では、アインハルトとコロナが一緒にいる。
「ねえ、ヴィヴィオ?何だか向こうが騒がしいね?」
「野生の動物とかが出たのかな?……」
「分かりません……」
騒ぎのもとを作っている謎の物体は、次のターゲットをヴィヴィオたちに絞っていた。
そして、魔の手が彼女たちに伸びる。
ヴィヴィオの太もも………
コロナのおしり……
アインハルトの胸と触っていった。
「はわわッ////」
「きゃあッ!!?」
「この………変態が〰〰ッ!」
アインハルトのキレ方は半端ではなかった。
その勢いで放った掌底が、皮肉にも水切りを成功させてしまう。
「あ、水切り出来ました……」
「(あーびっくりした~あの娘がウワサの覇王っ子か……しかし、このセインさんの敵じゃーないね♪)」
そう、この騒ぎを起こしている張本人はセインであった。
彼女の固有能力『ディープ・ダイバー』がこのイタズラを可能とさせている。
「(フフフ♪みんな、驚いてるな?残りはあと四人!行くぜぇッ!ヒャッハー!)」
「(ルーお嬢にスバル!そして、ノーヴェ!)」
「あッ!!?」
「ふぇッ!!?」
「うわッ!!?」
セインによるセクハラ被害者が次々と増えていく。
「(コンプリートまで、あと一人!残りはヴィヴィオの友達の元気っ子!…………がおぉぉぉッ!!!!!!)」
最後のターゲットであるリオに襲い掛かったセイン。
しかし、これがマズかった。
セインは後ろからリオに抱きつき、さらに胸を数回揉んだのだ。
脱衣場に置いてきたリオのデバイスが、彼女の危険を感知、緊急起動をする。
いきなりのセットアップ、雷と炎に変換された魔力が彼女の周囲のお湯を吹き飛ばし、セインの姿を露にした。
「ええーーーッ!!!!!?」
ここから起きたことは早く、バリアジャケットを纏い少し成長した姿になったリオは、セクハラを働いたセインの右手首を掴むと力いっぱいブン投げる。
「チ、カァァァーン!………“絶招炎雷炮”ッ!!!!!!」
「どうして、こうなるのぉぉぉぉーーッ!!!」
リオが放った渾身の蹴り技を受けたセインは夜空の彼方に消え、そして星になった。
「な〜んだ、セインじゃないか………」
「まあ、だろうと思った……♪」
ジト目で空を見上げるノーヴェ、だいたいの目ぼしが付いていたのかやたら落ちているルーテシア、スバルはリオの能力に言葉が出ず唖然としている。
「リオ!」
「リオ、大丈夫ッ?!!」
ヴィヴィオたちもリオのところに集まってきた。
「…………ううぅ、誰かアタシの心配もして………」
チカラなく、まるでクラゲのように湯船を漂うセイン。
そこに助け船が現れた。
「ならば、妾が助けてやろうぞ………」
漂うセインの前には、風呂桶を被った銀髪のプロポーション抜群の美女が仁王門立ちしている。
「へッ!!?アンタ、誰ッ!!?」
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温泉大浴場での騒ぎは、アベルたちの居た食堂まで伝わってきた。
謎の衝撃でホテル自体が揺れる。
「えッ!!?地震ッ!!?」
「いや!これは魔法によるモノだ!ストラーダ、どこからの反応か分かる?」
『少々お待ちを………この反応は温泉大浴場が発生源です。』
「何があったのかしら?エリオくんとアベルくん、ちょっと様子を見に行って来てくれる?」
「分かりました。」
「行こう!エリオお兄ちゃん!」
二人は温泉に急いだ。
向かう途中にエリオは“ストラーダ”を、アベルは遠隔詠唱で魔導兵装“ツインフレアライフル”を召喚し、両手に装備する。
大浴場に到着した二人は脱衣場を抜け、何も考えないで露天風呂に突撃した。
アベルとエリオが向かった先に待ち受ける光景。
「いったい、何があったんだ?」
「どうしたの、みん……な………あ……あぁぁぁッ!」
アベルは全裸姿のヴィヴィオたちと目が合う。
ヴィヴィオは、顔を赤くして口をパクパクさせて………
「きゃああぁーーッ!アベルくんのエッチぃぃーッ!」
「どうして、エリオくんがッ!!?」
「わあぁぁあーーッ!キャロ、ゴメン!」
「ここは女湯だぞぉぉぉ!出ていけぇぇーーッ!」
顔を赤くしたノーヴェたちは、シャンプーやリンス、ボディーソープに風呂桶をアベルとエリオに向かって投げつけてきた。
特に射撃の名手ティアナ・ランスターの命中率は凄まじかったという。
その後、この騒ぎを起こした張本人ことセインは、遅れて帰ってきたなのは達から地獄も生温いと思えるほどの扱いを受けるのだった。
「全力全開!“スターライト・ブレーカー!”」
「天罰降臨!“トライデント・スマッシャー”!」
「我流二刀剣術!最終奥義“妖華狂月爪”!」
「瞬間凍結!“絶対零度(アブソリュート・ゼロ)”!」
「「「「合体攻撃!“星喰い(ディメンション・イーター)!”」」」」
なのはの桜色、フェイトの金色、エリスの藤色、そして謎美女の桔梗色と四色の魔力が混ざり合い漆黒となった魔法攻撃にセインは真正面から飲み込まれた。
「ぎょえぇぇえーー!何だかとってもやな感じぃぃーッ!」
次回に続く。