魔法少女リリカルなのはVivid 漆黒の翼   作:シンタ

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第十一話 陸戦試合!

 

AM6:00……

アベルとモルガンは朝早くから、陸戦場で仮想標的(ターゲット)を相手取り汗を流していた。

 

「いや~昨日は驚いたよ。モルガンの変貌ぶりには……」

 

時間は昨日の夜までさかのぼる。

セインが起こした温泉での騒ぎだ。

アベルとエリオが駆けつけた時、セインは見知らぬ美女にバインドで締め上げられていた。

その美女というのが、何とアベルのデバイス『モルガン・ル・フェイ』だったのだ。

モルガンいわく、普段は余計な魔力を消費しないように省エネモードだと言う。

昨晩はさすがにやり過ぎなセインにお灸を据えてやろうと真の姿に戻ったようだ。

その時の彼女は、女王様気質の性格になる。

 

『ごめんなさいですぅ~マスターのお母さまに黙っとくように言われていたもので………』

 

「まあ、その事はもういいよ。キミはキミでしょう?僕は気にしてないよ……♪」

 

『ありがとうございますぅ!』

 

「さあ、そろそろ朝ごはんだし戻ろうか?」

 

『はいですぅ♪』

 

二人はホテルへ戻り、全員で朝食を摂る。

少し休んだあと、陸戦場に集合したアベルたちは試合プロデューサーのノーヴェから説明を受けていた。

 

チーム分けはご覧のとおり……

●赤チーム『フェイト、ティアナ、ノーヴェ、キャロ、アインハルト、コロナ』

 

●青チーム『なのは、スバル、エリオ、ルーテシア、ヴィヴィオ、リオ』

 

ちなみにアベルとモルガンは、第三軍黄色チームとして両チームを相手に戦う。

最初はなのは達に反対されたが、エリスが「これは命令♪」と無理やりに決めた。

まさしく鶴の一声、職権乱用だ。

 

「じゃあ、赤チームのみんな!元気にいくよー!」

 

「青チームもせーーの!」

 

「「「「「「セーーット・アーーップ!!!!!!」」」」」」

 

両チームが一斉にバリアジャケットを纏う。

遅れてアベルもモルガンを起動した。

 

「モルガン、僕らも行こうか!」

 

「はいですぅ!」

 

「モルガン、アームズ・アップ!」

 

アベルは武装鎧(アームド・アーマー)化したモルガンを纏い、漆黒のロボットの姿になる。

両チームのリーダーは、各メンバーと最後の打ち合わせをした。

 

『それでは、皆さん準備は良いですか~?』

 

『では、元気に~♪』

 

『『試合開始~ッ!』』

 

この旅行二日目の大イベント!大人と子供入り乱れた総力戦“陸戦試合(エキシビション)”が始まる。

 

「ウイング・ロード!!!」「エアライナー!!!」

 

スバルとノーヴェが先行して魔力で道を作り出した。

 

「行くよ!リオ!」

 

「オッケー!ヴィヴィオ!」

 

「コロナさん!リオさんの足止めお願いします!」

 

「分かりました!任せてください!」

 

四人は魔力で構成された道を駆けて行く。

また、アベルは四足歩行獣化形態(ビーストモード)で移動しながら試合の戦略を考えていた。

 

「おお!ヴィヴィオたち、相変わらず元気が良いねぇ♪」

 

『まったくですね♪』

 

「さあ、先ずはどこから潰すかな?………メインはもちろん、なのはさんかフェイトおばさま!でも、ここから一番近いのは………スバルさんとノーヴェさんだね♪」

 

アベルは狙いを彼女たちに絞る。

 

『では、お二人に攻撃を開始するですよぉ!』

 

**************************************************************************************************

 

アベルがターゲットを吟味している頃、ノーヴェとスバルは互いの拳を交えていた。

 

「「おおおおおおッッ!!!!!!」」

 

「さすがにやるね♪ノーヴェ!!!」

 

「ったりめーよ!!!仕事じゃともかく、格闘戦技(ストライクアーツ)じゃ………ッ!」

 

『リボルバースパイク、スタンバイ……』

 

「とはいえ、アタシもお姉ちゃんだから………ッ!」

 

『キャリバーショット!』

 

「負けねーーッ!!!」「負けないッッ!!!」

 

二人の蹴りは凄まじく、大気が震えるそんな感じがした。

そんな良い勝負を繰り広げる二人に水を刺すように、彼女らの間を深紅の魔力エネルギーが奔る。

 

「くッ!今の攻撃は!」

 

「アベルだね!」

 

二人が魔力エネルギーの出だし源を見るとツインフレアライフルを構えたアベルが立っていた。

 

「ねえ!その戦い、僕も混ぁーぜてぇーッ♪」

 

アベルは両手に装備したフレアライフルを二人に撃ちながら向かって来る。

 

「ノーヴェ!!!」

 

「応よッ!任せろ!」

 

一瞬、アイコンタクトをしたかと思うとノーヴェがアベルの関心を自身に惹いた。

アベルは、スバルから視線を外す。

その隙をスバルは見逃さなかった。

 

「もらった!剛腕爆砕!ディバイン………」

 

スバルがアベルとの間合いを一気に狭めながら、拳を振るう。

 

「バスタァァァァーって!!?エェ〰ッ!!?」

 

しかし、その一撃はアベルに届かなかった。

彼の左側から攻撃を仕掛けたスバルは、モルガンが大型装甲板(シールド)内から展開した“対装甲破砕爪(エクスブレード・クロー)”に捕まっていたのだ。

 

「残念だったね?スバルさん……まずは一人!」

 

アベルが止めを刺すためにクローに圧力をかける。

スバルは苦しそうな声をあげて、そのまま気を失った。

 

試合開始から2分……

アベルがスバル、ノーヴェに攻撃を仕掛けてから35秒

スバル、意識消失により戦闘不能……

 

「なんてヤツだ!試合が始まって、まだ3分も経ってないんだぞ!クソ……!」

 

ノーヴェは、改めてアベルの恐ろしさを知った。

そんな時、左翼ガードウィングを担当するフェイトから通信が入る。

 

『ノーヴェ!援護するから、一度下がって!』

 

「りょ、了解ッ!……」

 

ノーヴェはフェイトの指示に従い、合流ポイントに向かった。

 

「逃がさないよ!」

 

アベルはすぐさまノーヴェの追撃に移る。

ビーストモードに変型し、ウイングロードやエアライナー、地面を縫うように彼女のあとを追いかけた。

 

「ヤベぇ!マジでヤベぇッ!」

 

後方から射撃走行をしながら追いかけて来るアベルは驚異だ。

ノーヴェも始めて味わう恐怖に危機感を募らせていく。

しかし、ここでようやく逃げるノーヴェに対して援護が入った。

オレンジ色の魔力弾がアベルに向かって延びて行く。

 

「あれは、ティアナの誘導弾!これならアイツも………」

 

ティアナの援護射撃が追撃中のアベルに着弾した。

その瞬間、アベルは爆風と立ち上る粉塵の中に消える。

ノーヴェは、足を止めて後方を振り返った。

 

それと同時に、フェイトとアインハルト、そして青チームのフロントアタッカーのヴィヴィオが合流する。

 

「大丈夫?ノーヴェ………」

 

ヴィヴィオが聞いた。

 

「あ、ああ……大丈夫だ。それにしてもアイツ、姉貴を開始3分で撃墜しやがった!」

 

「うん……私も驚いた。あの子たちを少し侮ってたよ。」

 

四人が話していると粉塵の中からアベルが歩いて出てきた。

あれだけの攻撃を受けて彼のライフの減りは微々たるものだった。

 

「いや~ちょっと、避けそこなったね~?」

 

『ごめんなさいですぅ。弾道予測の処理が追いつかなかったですぅ……』

 

「仕方ないか……まあ、そこら辺は要改良だね♪スバルさんは戦闘不能にしたから良しとしよう。あと残り人数は11人……」

 

スバルを戦闘不能にしたとはいえ、11対1。

未だに不利な状況が続いている。

目の前には、ノーヴェ、ヴィヴィオ、アインハルトの各チームのフロントアタッカーが三人。

その後ろに、自慢の機動性を生かした赤チームのガードウイング担当のフェイトが待機している。

また、青チームのガードウイング担当のエリオもアベルを背後から狙っていた。

各チームの射撃と司令塔を担うなのはとティアナも、後方からアベルの動向を伺っていた。

 

完全に追い込まれたアベル……

そこへ、ルーテシアから通信が入ってきた。

 

『アベル、ワナにかかったわね!全部計算どおりにっては行かなかったけど、ここでゲームセットよ!』

 

「アハハハ!面白いこと言うね?ルーお姉ちゃん……決ーめた。次はルーお姉ちゃんを潰してあ・げ・る♪」

 

アベルが動いた。

ノーヴェの撃墜を止めたアベルは、方向を180度転換してルーテシアのいる場所へ向かう。

 

「ルールーはやらせない!」

 

エリオがストラーダで高速突きを連続で放った。

しかし、アベルは彼の攻撃が見えているかのよう回避すると反撃に至近距離からエリオにフレアライフルの集中砲火を浴びせた。

激しい砲撃に晒されたエリオはその場に倒れる。

 

「はい、二人目~♪」

 

アベルは倒れているエリオを見下して薄ら笑いを浮かべていた。

 

試合開始から4分……

エリオ撃墜、残り10人……

 

**************************************************************************************************

 

場所は変わり、外野席で試合を見ているメガーヌとエリス、セインの三人は………

 

「あらあら、アベルくんは元気ね~♪」

 

「私も、あんなに楽しそうにしているアベルを見たのは久しぶりだわ♪……」

 

エリスからも、思わず笑みがこぼれる。

 

「でも、メチャクチャだなアベルは……あのフェイトさんと互角に戦っているよ。」

 

フェイトは、愛機のバルディッシュを双剣型に変化させた“ライオット・ザンバー”で嵐のような斬撃をアベルに放つ。

一方アベルも、ツインフレアライフルから持ち変えた“対装甲断砕刃(エクスカリバー)”で受け止め、往なし、隙あらば反撃を繰り出した。

だが、フェイトと戦うアベルの回りをフロントアタッカー組がぐるりと取り囲む。

 

「これで万事休すだな……」

 

「あら、それはどうかしら?………」

 

戦局の映し出された空間モニターを見ながら、アベルの母親のエリスは不適に笑っていた。

 

**************************************************************************************************

 

「なかなかやるね!アベルくん!」

 

「フェイトおばさまこそ!」

 

二人の攻防は激しさを増していく。

アベルのテンションは最高潮、ヴィヴィオたちには目も繰れていない。

そこに漬け込むように、ヴィヴィオたちが襲い掛かる。

 

「スタン・ショット!」

 

「覇王流、断空拳ッ!」

 

「アクセル・スマッシュ!」

 

しかし、アベルの対応は彼女たちの予想の斜め上をいっていた。

フェイトの放つ左からの横凪ぎをビーストモードに変形して緊急回避したのだ。

 

「私の斬撃をかわしたッ!!?あり得ないッ!!?」

 

彼女の魔力刃(やいば)から繰り出される、鋭い横凪ぎが空を切る。

 

「きゃあッ!!?」

 

変形した勢いを殺さず、そのままフェイトを体当たりで突き飛ばしたあと、左右から迫り来るノーヴェとアインハルトに向けて“六銃身連装電動駆動式機関砲(デュヒュージョン・ブラスター)”を掃射した。

一分間に約3000発、一秒に50発を超える驚異的な発射速度を持つ“デュヒュージョン・ブラスター”は、瞬時に二人を無力化する。

 

試合開始から6分48秒……

ノーヴェ、アインハルト撃墜……

残り8人……

 

「ノーヴェ!アインハルト!」

 

崩れ落ちる二人にフェイトが目をやった隙を、アベルは見逃さなかった。

 

「隙あり!ストライク・レーザークロー!」

 

炎熱変換された赤々と猛る爪はフェイトの防護服(バリアジャケット)を紙切れのように引き裂き、そのまま彼女に馬乗りになると、フェイトをズタズタになるまで執拗に攻撃を加える。

 

「いやあぁぁあーーッ!!!!!」

 

恐怖に駆られたフェイトは、ろくな抵抗も出来ず泣き叫ぶことしか出来ない。

また攻撃を受けるフェイトの直ぐ側にいたヴィヴィオは、足が竦み何もできないでいた。

結局フェイトは甚大なダメージを受け戦闘不能になる。

 

試合開始から7分、フェイト戦闘不能……

残り7人………

 

「フェイトママ!ノーヴェ!アインハルトさん!」

 

あ然としていたヴィヴィオは我に返り、思わず叫んでしまう。

圧倒的不利な状況をひっくり返す破竹の勢いのアベルに、ヴィヴィオは血相を変えて逃げ出した。

 

「あ、逃げた!ねえ?ヴィヴィオ?自分だけ逃げるなんて、ズルいんじゃない?」

 

アベルはヴィヴィオを追いかける。

 

「こ、このままじゃ私も……!今の私じゃアベルくんには敵わない!」

 

「ほらほら〜ヴィヴィオ♪もっと頑張って走らなくちゃダメだぞ♪」

 

逃げるヴィヴィオの横にアベルが並んだ。

そして、彼女にデュヒュージョン・ブラスターの砲身を向ける。

 

「じゃあね♪」

 

ヴィヴィオが撃墜を覚悟したその時!

桜色の魔力砲撃がアベルの目の前に着弾した。

着弾した瞬間、衝撃波と共に膨大な量の粉塵が舞い上がる。

 

「今のは、なのはママのディバインバスター?助かった……」

 

『ヴィヴィオ、大丈夫?』

 

「うん、ママありがとう……」

 

『ヴィヴィオ、こちらルーテシア!その建造レイアウトは中に入ることができるから、立体的に動いて戻って来て!態勢を立て直すよッ!』

 

「りょ、了解!」

 

ヴィヴィオの近くの建物の中に飛び込んだ。

一方のアベルは粉塵の中でヴィヴィオを探し、がむしゃらにデュヒュージョン・ブラスターを撃っている。

 

「どこだぁぁッ!ヴィヴィオぉぉぉーッ!」

 

『落ち着いてください!マスター!私のセンサーアイには温度を視覚化して関知するモードが登載されています。』

 

アベルの視界モニターが切り替わり、温度を視覚化するサーモグラフィックになった。

無機質な壁を透視し、熱源であるヴィヴィオの姿が露になる。

 

「見いつけたぁぁあ♪」

 

アベルはデュヒュージョン・ブラスターを仕舞って、ツインフレアライフルと右側の“大型防護装甲板(シールド)”さらに“光波高機動ウイングシステム”を連結させた超砲身を持つ“超射程収束魔力砲(フレアブラスター)”を作り出した。

 

『魔力エネルギーチャージ中………!』

 

フレアブラスターからジリジリと不快な音が漏れる。

彼は狙いを定め、トリガーを引くタイミングを図っていた。

アベルの行動を観察していたなのはは、少し違和感を感じる。

 

「(あの様子だとアベルくんは、ヴィヴィオの動きを完璧にトレースしているはずなのに、どうして撃たないの?)」

 

なのはは考えた。

 

「確かこの方向には、ティアナとキャロがいたず………」

 

長年の経験を生かしなのはは脳をフル活用する。

そして、アベルのやろうとした事に気づいてしまった。

 

「まさか、建物の中を移動しているヴィヴィオごとティアたちを撃ち抜く気ッ!!?」

 

彼女は正直『ありえない』と思った。

15年間、管理局員として第一線で活動してきたなのはとしても初めて見る光景……

 

「ティア!キャロ!コロナちゃん!アベルくんから砲撃が………ッ!」

 

なのはがティアナとキャロに警告をしたが、時すでに遅し……

 

『魔力圧縮率97%!マスター!発射準備、完了したですぅ!』

 

「了解!フレアブラスター!いっけぇーーッ!」

 

魔力エネルギーの充填を済ませたアベルがフレアブラスターのトリガーを引いた。

高濃度に圧縮・収束された深紅の魔力エネルギーが、建物の壁を撃ち抜き中にいたヴィヴィオを飲み込む。

 

「そ、そんな………」

 

そのまま赤チームのティアナとキャロ、コロナの三人がいる方に向かって伸びた。

 

「マジッ!!?あり得ない!」

 

「いったい、どうすれば……ッ!!?」

 

「私に任せて下さい!」

 

コロナが叫ぶ。

そして開口一番、構築していたゴーレム“ゴライアス”をフレアブラスターの射線上に仁王立ちをした。

 

「いくよ!ゴライアス!私流だいぼうぎょ!」

 

コロナの指示で、アベルのフレアブラスターをゴライアスが両腕を広げて受け止める。

 

「やるじゃない!コロナ!」

 

「本当だよ!コロナちゃん!」

 

コロナはティアナとキャロから称賛を贈られ、鼻たかだかだ。

 

「これでこの模擬戦のMVPは私のモノ…………」

 

コロナはニヤニヤが止まらない。

しかし、コロナのデバイス“ブランゼル”が警告を発する。

 

『マイスター。耐久限界値です。』

 

「そんな、もうちょっと頑張ってよ!ブランゼル!」

 

『無理なモノは無r…………』

 

次の瞬間、ゴライアスを破壊したフレアブラスターがコロナたち三人を飲み込んだ。

 

「そんな~!私のMVPが~ッ!!?」

 

「エェッ!!?悔やむのそっちぃぃーッ!!?」

 

試合開始から8分15秒……

ヴィヴィオ、ティアナ、キャロ、コロナ戦闘不能……

これにより、赤チーム全滅……?

 

青チーム残り、なのは、ルーテシアのみ……

 

「あと二人……♪」

 

『ルーちゃんの撃墜ついでに赤チームを潰しちゃうなんて、やっぱりマスターはスゴいですねぇ♪』

 

「僕だけがスゴいじゃないよ。僕とモルガンがスゴいだよ♪」

 

『マスター。』

 

アベルの言葉にモルガンは目を潤々としていた。

 

「ほら!まだ模擬戦は終わってないよ!さっさとルーお姉ちゃんを倒して、なのはさんに空戦を挑むよ!」

 

『はい、了解ですぅ!』

 

フレアブラスターを解除したアベルは、“光波高機動ウイングシステム”のスラスター全開でなのは達に突っ込む。

 

『マイスターなのは、彼が来ます。』

 

「うん!ルーテシアも気をつけて!」

 

「は、はい!」

 

二人は警戒する。

建造物レイアーの影からアベルが飛び出した。

 

「レイジング・ハート!フォトンブラスター、セット!」

 

『了解。フォトンブラスター、エネルギーチャージ………完了。』

 

「シューーート!」

 

桜色に輝く射砲撃がアベルに向かって伸びる。

このままでは直撃は必至だ。

しかし、アベル避ける素振りもなく真っ直ぐ来る。

 

「えッ!!?」

 

「そんな、避けないのッ!!?」

 

次の瞬間、二人は驚いた。

なのはの放った魔法が当たる刹那、アベルは飛行形態(ファイターモード)に変形する。

なのはの魔法を螺旋状に回りながら急接近した。

 

「な、何ッ!!?こんな機動見たことない!」

 

「アハハハ!なのはさんは最後だよ!まずは、ルーお姉ちゃんから……ッ!」

 

アベルはなのはを無視、素通りすると人型になりながらルーテシアの前に立つ。

大量の魔導兵装を搭載する漆黒の魔法鎧を纏うアベルの姿には、どこか異様な恐ろしさがあった。

スリッド状のセンサーアイで睨まれるルーテシアは、萎縮して動けない。

 

「これで、ルーお姉ちゃんは終わりだよ。」

 

アベルの右腕から三発のカートリッジが射出される。

射出されると右手に魔力が充填、収束した。

 

『“零距離超高出力収束魔力砲(プラズマ・ラム)”、いつでも行けますぅ!』

 

「じゃあね。ルーお姉ちゃん♪これはお姉ちゃんが考えついたつまらない作戦に対しての僕からのプレゼントだよぉぉぉッ♪」

 

「ヒ………ッ!!?」

 

ルーテシアはアベルの中に潜む悪意の片鱗を見て恐怖する。

臨界まで収束され、深紅に輝く右手がルーテシアの腹部に当てられると同時に絶大なる威力の魔力エネルギーの衝撃が彼女を襲った。

 

「がはぁぁッ!!!!!」

 

彼女は200m以上弾き飛ばした。

吹き飛ばされたルーテシアが、ぶつかった二棟の建造物レイアーは衝撃で土煙を上げて倒壊する。

 

試合開始から9分……

ルーテシア、戦闘不能。

残り、高町なのは一名……?

 

「さてと……残りはなのはさんだけ……」

 

アベルがなのはに向き直った。

 

「強いね……圧倒的戦力差だったのに、ひっくり返されちゃった。」

 

「でしょ〜?褒めてくれる?」

 

「ううん、褒めないよ……むしろ、私は認めない!こんな戦い方は間違ってる!」

 

「どうして?これは模擬戦(ゲーム)だよ……要は、勝てば良いの!勝てば……ねぇぇッ!」

 

アベルはツインフレアライフルを撃ちながら、彼女との間合いを一気に詰める。

なのはは彼の射撃から逃げるために、アクセルフィンを発動し空へと舞い上がった。

 

「釣れた……!」

 

アベルは不敵に笑う。

なのはとの空戦を確実なモノにするために、さらに追い討ちを仕掛けた。

 

「まだまだぁぁ!行って!モルガナイト!」

 

“モルガナイト”とは、全部で8基ある“光波高機動ウイングシステム”のプラットフォームに搭載れている“無線誘導魔力砲塔”のことをいう。

また、この魔導兵装は使用者の任意で射撃と刺突、斬撃をマルチにこなすことができる。

このシステムを扱う為には高次元の空間把握能力が必要だが、アベルは潜在的にこの能力を持っていたので、何の支障もなく扱えた。

 

射出されたモルガナイトが鋭い機動でなのはに襲いかかった。

なのはは必死になってモルガナイトの攻撃を避ける。

 

「スゴい!スゴいよ、なのはさん!僕のモルガナイトが一撃も入らないや……♪」

 

魔力エネルギーが切れたモルガナイトが、アベルのもとに戻り、エネルギーの最充填を始めた。

 

「はあはあ……管理局の教導官は伊達じゃないよ!」

 

「そうだよね!そうこなくっちゃ!」

 

アベルの興奮も最高潮。

飛行形態になり、深紅の魔力粒子を撒き散らしながら飛翔する。

 

「じゃあ、見せて貰おうかな?“管理局の白い悪魔(エースオブエース)”の実力ってモノを♪」

 

アベルは、なのはに一対一の決闘を挑むのだった。

 

次回に続く。

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