魔法少女リリカルなのはVivid 漆黒の翼   作:シンタ

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第二話 武装化“アームズ・アップ”!

その後、アベルはモルガンと話した。

モルガンは自分がどんなに凄いかを自慢している。

しかし、モルガンの自慢話にアベルは未だ半信半疑のようだ。

 

「あぁ〜!まだマスターはワタシのスゴさを疑っていますね?ワタシぷんぷんモード全開ですぅ!」

 

モルガンはまるでお餅のように頬っぺたをぷくぅっと膨らませている。

彼女が小動物のようで、なんだか可愛い……

 

「だってしょうがないじゃん?こんなカタログスペックだけ見せられてもさぁ?」

 

アベルは空間モニターを弄りながら、モルガンにぼやく。

 

「僕は実際に見て触って感じないと信じないタチなんだよ。」

 

「じゃあ、どうしたら信じてもらえるんですかぁ?」

 

「簡単じゃん。試しにキミをセットアップしてユニゾンしてみよう!」

 

「えッ!!?だけど………」

 

先程までの勢いが、今のモルガンにはまるでない。

だが、アベルはそんな彼女を気にすることなく、空間モニターに映し出された資料を見ながら、起動(セットアップ)の準備をする。

 

「これで良し!さあ!モルガン、いくよ!」

 

「本当にやるんですね?」

 

「もちろん!これで、キミのスゴさが分かるんだよ!良いことじゃないか。モルガン、武装化(アームズアップ)!」

 

アベルが叫んだ。

次の瞬間、彼とモルガンが眩い光りに包まれる。

 

「ADF-X01モルガン・ル・フェイ。システム起動!武装化(アームズアップ)!」

 

光りの中では、モルガンの姿が飛行型ガジェットのようなモノになり、一方でアベルの身体は光の粒子と化する。

 

「「融合((ユニゾン・イン))!!!」」

 

そして、光の粒子になったアベルは飛行型ガジェットに変身したモルガンの中に吸い込まれた。

 

融合が成功し、光りが晴れていく。

 

「これが、僕………確かこの形態は、空戦と超高速巡航に特化しファイターモードだよね?」

 

アベルとユニゾンしたモルガンは、魔力による重力干渉によってフワフワと浮いてる。

また彼が喋るとそれに合わせて機首のセンサーアイがチカチカと光っていた。

 

『はいですぅ。機首を中心に円錐状に展開された電磁バリアーで空気の層を分解しながら飛行します。重力下での最大船速はマッハ5……ミッドチルダでは最速だとアナタのお母さまも自負しておりました。さらには“SFS(サブフライトシステム)”としてアナタや第三者を背中に乗せて飛行することも出来ますぅ。』

 

「あとは、人型になれるんだよね?」

 

『そうですよぉ♪じゃあ、人型にトランスフォーメーション!』

 

モルガンはアベルと融合した機体を飛行型から人型に変形させた。

機体後部の排気ノズル下部のスペースから大地に立つための脚が展開され、逆に機首は二つに折れるように胸部に収まる。

機首が胸部パーツの一部となることで、そこに格納されていた頭部が露になった。

頭部には大型のブレードアンテナとV字アンテナの複合タイプが装着され、スリットタイプの赤いセンサーアイ怪しく光る。

両頬には、近接防御用の小型火器が搭載されていた。

 

両肩には、可変後退翼や大口径の連装砲を組み込み一体化した大型防護装甲板(シールド)があり、両手には射撃兵装を装備している。

また背中には8枚の黒い放熱板の様な翼と姿勢制御用のバーニアスタビライザーがあり、腰の姿勢制御用のスラスターが組み込まれたスカートアーマーには多重砲身の大型の射撃武器があった。

 

「おぉー!実際に見てみるとカッコいいね?なんて言うの?子供心をくすぐるデザインだし………あ、だけど、何だか動きが固いなぁ……特に節々の関節とか……」

 

『やっぱり、分かりますか?実はまだ、完全には調整が済んではいないんですぅ………アナタとの最終調整はお母さまのお帰りなった際にやるそうなんですよぉ。』

 

その言葉を聞いたアベルは、少し考えてから決断する。

 

「待てない!」

 

『え?………』

 

「待てないって言ったの!僕との最終調整は今、僕自身がやる!」

 

『えぇッ!!?ダメですよぉ!勝手にやるとお母さまに怒られちゃうですぅ!』

 

モルガンは彼のデバイスとして、アベルを止めようとした。

 

「いいの!僕は我慢弱いの!それに僕はエリス・ガーネットの息子だよ?任せて………」

 

しかし、アベルは聞く耳を持たない。

アベルは即興で自作の制御プログラムを構築し始める。

 

『はわわあぁ~何だかワタシ、身体中がムズ痒いですぅ……』

 

「もう、うるさいな……あと少しだから、頑張ってよ……」

 

『うぅ……だけど~。』

 

「もう少し…………あとはコレと……念のためにアレも組み込んでおこうかな…………っと、で~きた!うん、関節の動きもスムーズだし、全システム、オールグリーン!良しイケる!」

 

アベルは体を動かして各関節の調子を調べた。

予想以上の仕上がりにアベルも満足している。

 

「あとは飛行テストだけだね?」

 

『マ、マスターッ!!?さすがに空を飛ぶのは………!』

 

「大丈夫、大丈夫!キミのシステムはチェック済みだよ。僕を信じて!ね?さあ!」

 

アベルはリビングの庭に通ずる窓から外に出た。

 

「でも実際に飛ぶのは緊張するなぁ……ちょっと、練習ぐらいしとこうかな?モルガン、まずは出力10%でお願い。」

 

『了解ですぅ。』

 

背中のメインブースターとバーニアスタビライザー、腰のスカートアーマー、そして足裏のスラスターが甲高い音共に一気に火を噴いた。

 

「うわぁーっ!!?」

 

凄まじい加速度ともにアベルとモルガンは後方へ5mほど吹っ飛び、母親の大切していた花壇を完全に破壊する。

 

「痛ぅぅ……大丈夫?モルガン……」

 

『はい~なんとか……って、ちょっとマスター!これはマズイですぅ!花壇が……』

 

「あ〜あ、ヤっちゃったね……まあ実験には失敗は付き物さ。今度こそ上手くやるぞ!」

 

『まだやるんですかぁ?』

 

「もちろん!次は出力をさらに下げて1%~順に上げていってね。」

 

『了解ですぅ。』

 

再び各スラスターに動力が伝達される。

スラスターの噴射口から炎が吹き出し、アベルの足裏が地面からゆっくりと離れた。

出力計を見ると約3%ほどのチカラで安定して浮遊することが出来るようだ。

アベルは地面から2mを超える高さを浮きながら右へフラフラ、左へフラフラと動き回る。

 

「けっこう難しいね、バランス取るの……」

 

『当たり前ですぅ。あ~あ、庭がメチャクチャですぅ。』

 

モルガンの言う通り、エリスが丹精込めて造った庭は、スラスターから放出される高温のガスと強い風で見るも無残な姿になっていた。

あれほど右往左往していたアベルだが、10分しないぐらいで彼の身体は一定場所で浮遊して留まっている。

 

「いい感じ……慣れてきた。」

 

空を飛ぶコツを掴んだアベルは、一度着陸すると決心した。“次こそ上手く空を飛んでやる”と……

 

「モルガン、改めていくよ?覚悟はいい?」

 

『分かりました。じゃあ、まずはミッドチルダ上空の………風速とか他の飛翔体のようすを………』

 

「もう、そんな面倒なことはいらないよ。」

 

『ですが、空を飛ぶことは危険なことですぅ!それに空を飛ぶためには莫大な演算をしなきゃいけないですし………』

 

「いいの!昔から言うでしょ?慣れるより、慣れろ!歩く前にまずは走れってね♪」

 

『何ですかッ!!?それッ!!?聞いたことない……って、ひゃわああぁぁぁ〰〰ッ!!?』

 

アベルは青く清み渡る空へ飛翔する。

 

「スゴい!スゴいよ!僕、空を飛んでるッ♪アハハハ……♪」

 

アベルは心から感動していた。

 

「次はファイターモードに変形するよ。トランスフォーメーション!」

 

『了解ですぅ!トランスフォーメーション!』

 

アベルは飛行型(ファイターモード)に変形する。

 

「ねぇ、モルガン……?」

 

『はい、何でしょう?』

 

「今現在記録されている“高さ”の最大到達点ってどのくらい?」

 

『えっと……ちょっと待ってください…………ありました。管理局が開発した高高度極超音速実証試験機が叩き出した最大到達高度は27600mですね。』

 

「了解!」

 

一言そう言うとアベルは一気に高度を上げ始めた。

モルガンのデバイス性能はかなりの物で、理論上オプションパーツ無しの状態で宇宙空間に進出可能である。

 

「2000、2500、3000、4000………」

 

グングンと高度が上がっていく。

その景色は素晴らしいものだった。

雲を見下ろすと言う滅多に味わうことの出来ない体験……アベルとモルガンは、言葉に現せない感動を覚えていた。

だが最大到達点までは、これの5倍以上も昇らないといけない。

しかし、ここで問題が起きる。

 

『マスター!魔力変換式装甲が凍ってきてますぅ!このままじゃワタシの機能が……ッ!』

 

「もっと!もっと!もっとォォ〰ッ!」

 

しかし、記録を超えることに集中するアベルの耳にモルガンの発する警告は聞こえず、スラスター全開でさらに上を目指した。

 

『寒い………寒いですぅ………』

 

その結果、けたたましい警告音を最後に全てのシステムがエラーを起こした。

機体制御を受け持っていたモルガンは意識を失い、全ての機能が停止し操縦不能となる。

スラスターの勢いを無くしたアベルは物凄い速さで落下し始めた。

 

「うわあぁぁーッ!モルガン!どうしたのッ!!?返事をして!」

 

アベルが必死になって彼女に呼び掛けるが応答がない。

落下スピードは増しに増し、既に時速200キロを超えていた。

 

「こうなるんだったらモルガンの言うことちゃんと聞いとけば良かったな……って、後悔するのは後回しにして、まずは装甲に張り付いた氷をどうにかしないと……!」

 

アベルは人型に変形することで、装甲表面の氷を割ろうと考える。

錐揉み状に長らく降下していくアベル。

下にはミッドチルダ屈指の混雑ポイント首都クラナガンの幹線道路が走っている。

地面に激突するまで時間がない。

 

「激突まであと40秒!いい加減に……動けェェェーーッ!」

 

アベルの願いも天に届き、運良く人型に変形できた。そして、全身に張り付いていた氷が一気に砕け装甲表面から剥離する。

それと同時にモルガンの意識と彼女が司る全システムが一気に回復し、制御系もアベルの手に戻った。

 

「モルガン!起きて!」

 

『ふぇッ!!?』

 

「ふぇッ!!?……じゃないよ!スラスター全開!上昇!上昇!」

 

『りょ、了解ですぅ!』

 

「行っけェェェーーッ!」

 

ギリギリのところだった。

アベルは地面に激突をする寸前で並行飛行になる。

 

「イーーヤッホーーー!」

 

最高のスリルを味わいテンション爆上げのアベルは、幹線道路を高速で走る車の間を縫うように爆音と共に飛び去って行った。

その後、危機を脱したアベルとモルガンはそのまま首都クラナガンを抜け広い海上までやって来ていた。

 

「ふぅ~一時はどうなるかって思ったよ。」

 

『ふぅ~じゃ、ありません!私の警告を無視するからこういう目に会うんですよ……ッ?!!』

 

海面の水を切りながら超低空飛行しているアベルの眼下にはたくさんのイルカが泳いでいる。

 

「わぁー!イルカさんだぁ♪」

 

『本当ですぅ♪……って聞いてますかッ?!!』

 

「もう、ちゃんと聞いてるよ……分かってる。次からはこうならない為にも…………」

 

『ならないためにも……?』

 

「氷結対策を考えないとね……」

 

『えぇーッ!!?気をつけるとこはそこなんですかぁ〜ッ!!?』

 

「そんなことより、モルガンはイルカさん初めてじゃないの?」

 

『まぁ、確かに……』

 

アベルたちはしばし、イルカと戯れた。

 

『じゃあ、改めて私の全性能を教えておきますね。まずは動力源についてですが、ワタシは“魔力変換式縮退炉”と補助動力として“対消滅機関”を搭載していますぅ。』

 

「魔力変換式ってことはその動力炉にいく魔力は僕から供給されるんだね?」

 

『その通りですぅ。マスターの魔力は縮退炉によって潤沢なエネルギーに変換され、そのエネルギーは推進材や機体制御、おまけに次元跳躍も可能ですぅ。』

 

「次元跳躍?それって何?」

 

『次元航行艦よりも効率的かつ素早く世界移動できるんですよ~!』

 

「すっげ!」

 

『だけど、専用の外装オプションパーツが無ければ次元跳躍は愚か次元航行すら出来ません。』

 

「作れないの?」

 

『そもそも、このオプションパーツ自体がロストテクノロジーですからね……しかたありません。』

 

「でもさ、キミの記憶(データ)の中に残ってるんでしょ?だったら……」

 

『マスター、次元跳躍に関してのお話しはひとまず置いといて説明に戻っても良いですか?』

 

「………分かった。」

 

アベルはしぶしぶ諦めて今はモルガンの説明に耳を傾けることにした。

しかし、自身を魅了するモノには貪欲になるアベルはその性格もあって、モルガンの記憶の中に眠る次元跳躍を可能とするロストテクノロジーの設計書を見つけ、その後すぐに創りあげてしまう。

 

『良いですかマスター?動力炉で生成された魔力エネルギーは他にも熱や電気変換して各魔導兵装に転用されてますぅ。次に兵装についてですが………』

 

「さっき資料には目を通したけど、けっこうな量があったよね?」

 

『はいですぅ。主兵装から説明させていただきますぅ。両手の射撃武器からですぅ。マスターの魔力を炎熱変換させて撃ち出す“ツインフレアライフル”。これは連結してさらにシールドとウイングを繋ぐことで長射程、超高出力の“フレアブラスター”になりますぅ。』

 

「確か“フレアブラスター”は連射できなかったよね?」

 

『凄い!短時間でそこまで理解していたのですね。』

 

「まぁね〜♪」

 

『その通りですぅ。一射ごとに強制的に排熱しますので、くれぐれも使い過ぎには気をつけてくださいね?』

 

「分かった。これは格闘専用の武器だね?」

 

『はい!これですぅ。“近接対装甲断砕刃(エクスカリバー)”!超高出力のプラズマアーク刃を1秒間に数万回発生させ、その刃を電磁フィールドで力場を固定させることで剣として実体化させた物ですぅ。』

 

「一撃必殺って感じだね?」

 

『はいですぅ!ワタシに搭載されている全ての武器は超科学の結晶なんですよ~♪次は背中の翼についてですぅ。』

 

「えっと、“モルガナイト機動兵装ウイング”だったけ?」

 

『そうですぅ。光波高機動ウィングシステムと無線誘導攻撃兵装と名付けられたモルガナイト・システムのプラットフォームとなっている背部の複合可変翼ですぅ。高品位・大容量のパワーコンジットを内蔵した強度の高い大型マウントアームによって本体と接続されてますぅ。コレを使いこなせば、相手を一方的にボコボコにできますよぉ!』

 

「この腰のスカートアーマーにあるでっかいのは?……」

 

『これは、“六銃身連装電動駆動式機関砲(デヒュージョン・ブラスター)”ですぅ。カートリッジシステムを転用した射撃武器で、弾速は各砲身毎分3000発、ベルト給弾式、左右それぞれのスカートアーマーに20000発の弾丸(カートリッジ)を内蔵していますぅ。』

 

「圧倒的じゃない。キミはスゴいよ!」

 

『エヘヘ♪』

 

モルガンは嬉しそうに照れていた。

 

『他にも固定及び内蔵式の魔導兵装がありますぅ。』

 

モルガンが魔導兵装の説明を一通り終えたその時だった。

彼女の持つ高性能レーダーがこちらに向かって急速に接近する飛翔体を確認する。

 

『マスター、何かが接近してますぅ!この反応は…………空戦魔導師ッ!!?推定Sランク!』

 

「えッ!!?いったい、誰なの?!!」

 

『待って下さい!管理局のサーバーに接続してます。えっと………分かりました!首都防空隊所属の“シグナム”二等空尉ですぅ!』

 

次回に続く。

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