takt op. 運命という名の巨人/ガンダム   作:Gfish

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アニメ「タクトオーパス」の後の世界を舞台にしています。

時々回想でコズミックイラ(ガンダムseed)などが出てくることがあります。


ラス・ベガス戦線 GAT-X207

「アスラン!」

 

黒い人型の機体は対艦刀を構えた白い機体をめがけて突進する。

 

対艦刀を向けられていた機体は赤から灰色に脱色した状態でなす術もなく横たわっていた。

 

結局、対艦刀が向けられた先は黒い機体だった。

 

「アスラン...逃げて...」

 

黒い機体はまもなく爆散した。

 

「ニコルぅぅぅぅぅぅ!」

 

爆散した機体に搭乗していたのはニコル・アマルフィ16歳、彼はボスゴロフ級潜水艦に作曲中の楽譜を残して散った。

 

 

場所も時間も変わって西暦2048年、アメリカ合衆国。10年前からD2と呼ばれる生命体の襲来により、アメリカを含めて世界は疲弊していた。

 

音楽に反応するという特性からこの世界で音楽は自粛対象となっていたが、それでもくじけない音楽家は何人もいた。

 

しかし、末路はどれもひどく、5年前は「ボストンの惨事」で朝雛ケンジは殉職、その息子のタクトも去年コンダクターとなった後、シンフォニカ本部での戦闘を最後に回復が絶望的な後遺症でコールドスリープになっている。

 

タクトと共にムジカートとして戦った「運命」も形見の指揮棒を残して消えた。運命の肉体の元の持ち主であるコゼットがそうであったように、あの世にいってしまったのだろうか。

 

2048年9月、コゼットが死亡してからちょうど1年が経つが、タクトは相変わらず起きる気配がない。

 

そんなタクトの病床を訪れていたのはシンフォニカの制服姿になっていたアンナだった。

 

「タクト...もうちょっと待ってて...」

 

アンナは「運命」が消え、タクトがコールドスリープに入れられてからすぐにシンフォニカに入隊した。

 

「行ってくるね」

 

アンナは起きることのないタクトに満面の笑顔を見せて病室を後にするが、アンナの心には穴が開いたままだ。

 

「ファームのみんなにも挨拶しなくちゃ」

 

アンナの言うファームとはラス・ベガス近郊にある農場で、創設には故レニーなども関わった。

 

アンナもタクトや運命をニューヨークに移送した際にそこで過ごした経験がある。

 

そして、アンナの赴任先はそのファームに隣接している前線基地だった。

 

アンナがラス・ベガス基地に着任したのは9月7日、指令室のオペレーター席に着くと同時にサイレンが鳴った。

 

アメリカ中西部ではD2との戦闘が激化の一途を辿っていた。

 

この日だけでサイレンは7回鳴った。

 

 

「....感覚がある...?」

 

ニコルは腑に落ちない様子で手をお腹に当てる。

 

「ストライクにやられて...」

 

たまたま押したボタンで内部が明るくなり、モニターには現在地の座標が示されていた。

 

ラス・ベガスの北西40㎞地点、ストライクにやられて仮に生き残ったとすれば、オーブ沖から連合によって大西洋連邦まで移送されたことになる。

 

しかし、レーダーには何も表示されていない。

 

ところが、メインカメラを起動させると同時に衝撃が走った。

 

「いきなり!しかも生物兵器!?」

 

ニコルは戦闘態勢にすぐに移行した。

 

レーダーには「UNKNOWN」と表示されていた。

 

 

「ムジカート部隊間もなく接敵します!」

 

アンナの声を聞いた上官は何も言わず、静かに戦況をモニター越しに見守る。

 

これは7回目のサイレンの後のことである。

 

アンナは上官へ報告してまもなく表情が険しくなった。

 

「ムジカート部隊...通信途絶しました」

 

「いくら相手が大型でもすぐにやられるとは思えん。引き続き....」

 

上官が返事し終える前に指令室は爆風に飲まれた。

 

アンナは遠のく意識の中で黒い羽つきの巨人が見えていた。

 

羽つきは緩やかに上昇し、立ち去った。

 

「コゼット...会えるかな」

 

 

「これじゃただの虐殺じゃないか!」

 

ニコルは屍の山と化した砂漠で顔が青く、体が白い化け物をビームライフルで焼き払っていく。

 

サイズこそニコルの機体に及ばないが、機動力に優れていることから思うようにビームライフルが命中しない。

 

戦闘を開始してから40分、レーダーに表示されているUNKNOWNの残数は8で、その内の4は何らかの施設と思われるところに表示されていた。

 

ニコルはただがむしゃらに「何らかの施設」へ機体を走らせる。

 

途中で化け物4個体に囲まれたが、ビームサーベルで難なく蒸発させた。

 

 

アンナが目覚めたとき、基地の大部分は瓦礫の山と化し、火の手も至るところであがっていた。

 

アンナのいた指令室に至っては原型が全く残っておらず、アンナが生きていたのはむしろ奇跡だった。

 

しかし、瓦礫にとらわれて身動きがとれないアンナに無慈悲にもD2が迫ってきていた。

 

4個体、アンナの脳裏に走馬灯が走った。

 

1年前、「運命」とタクトを乗せて世話を焼いた日々。

 

「タクト...ごめんね...」

 

アンナが再び視線を上げると突然、無から現れたかのごとく黒い巨人が光の刃でD2を蒸発させた。

 

その後、黒い巨人はまもなく灰色に脱色し、肘をついて動きを止めた。

 

その巨人の肩には「GAT-X207」とあった。

 

そう、アンナの目の前にいたのはニコルの機体、ブリッツガンダムだった。




次回:第2話 ニコル・アマルフィ

ニコルはもしやムジカート...?
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