takt op. 運命という名の巨人/ガンダム   作:Gfish

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アンナに連れられた3機のMSと、タイタンやワルキューレを運んだ3機のMSはロングアイランドのラガーディア基地でD2を合流。さらにヅダも介入したことも幸いし、被害をなるべく抑えながらD2の殲滅に成功。命の恩人でもあるタイタンとの再会に歓喜するアンナであったが、それはニコルの悲鳴でかき消された...


Rafflesia Bloom/ヘリオポリスの怨念

「ザフトのMS....」

 

「避難しろぉ!」

 

「こっちd..ぐぁぁぁ!」

 

「ここは中立じゃなかったのか!?」

 

ヘリオポリスの悲鳴が聞こえる。ヘリオポリスはオーブ系の中立コロニーで、連合とザフトの争いからは距離を置いているはずだった。しかし、実態は「中立」ではなく、「二枚舌」の方が近いだろう。

 

「G兵器をまm..うわぁぁぁ!」

 

ヘリオポリスを崩壊させ、自分たちを問答無用に戦場に引きずり出したG兵器の存在。本当は連合の切り札となるべきものだったが、それは1機を除いてザフトに渡り、自分たちを苦しめ続けた。

 

G兵器さえなければ.....少なくとも戦時下とはいえ、マシな青春を過ごせていたのだろうか、キラやサイ、ミリアリア、カズィ、フレイと...

 

「あんな機体さえ存在しなければ....」

 

トールの瞳は淀んだままだった。ラガーディアに着くまでアストレイは動く気配すらなかった。補助席のワルキューレは意識を失ったまま。しかし、ブリッツがモニターの視界に入ると....

 

「そうだ、お前さえいなければ.....!」

 

モニターにはゲージが表示される。ゲージが満タンに近づくにつれ、アストレイはゆっくりと腰を上げる。ブリッツの背中を捉えていた。

 

「返せよ....何度でも殺してやるから....返せよ...」

 

ゲージは満タンになり、モニターにはこう表示されていた。

 

Rafflesia Bloom Activated

 

 

 

花のバーニアを咲かせたアストレイは赤いフィールドに囲まれて射撃は何一つ効かない。Destinyの高エネルギービーム砲も例外ではなく、実弾の依存度が高いヅダやサイコザクに至っては全く話にならなかった。その中で、アストレイはブリッツを執拗に追い回す。

 

「死ねぇぇぇぇぇ!!!」

 

トールは完全にアストレイに呑まれた。機体のモニターの下の部分にEmotional Statusの項があり、そこにはWell conditioned、つまり概ね良好とあった。トールの心の奥底に眠るヘリオポリスで経験した負の感情がアストレイを暴走させていた。

 

ブリッツは距離をとろうとするが、アストレイの機動力を前にビームサーベルで応戦するしかなかった。しかし、アストレイは鍔迫り合いの間にも容赦なくバーニアを吹かし、ブリッツを格納庫に叩きつけた。その間にもDestinyやフルアーマーガンダムなどからの射撃を浴びているが、赤いフィールドのおかげで無傷だった。

 

ブリッツの動きが止まるとバーニアに備え付けられているレールガン4問を全てブリッツに向け、一斉砲火。ブリッツのPS装甲がまだ落ちていないのが幸いだったが、ここからアストレイの戦い方はどんどんサイコパスになっていく。

 

「くぅぅ、あれはもはや新米の操縦じゃなくて純粋な殺人兵器だ...」

 

ハイネは眉間にしわを寄せる。アストレイは動けなくなったブリッツを盾にDestinyに突っ込む。Destinyは肩透かしをする要領で背後に回ろうとするが、バーニアの先端部のサブアームから出てきたビームサーベルで逆に動きを止められてしまう。が、ハイネにとっては問題ではなかった。

 

「ニコルには悪いが、これで遠ざけることはできたな...」

 

遠ざける...基地にはモビルスーツ以外にも当然ながらシンフォニカの要員やムジカートもおり、アストレイの暴走に巻き込まれないようにする必要があった。早い話、避難させれば済む話にも思えたが、ニューオーリンズでの一件からモビルスーツ(表向きは新種のムジカートということにしているが)が関わるときにはシンフォニカの監視は必須になっていた。実際のところそれ抜きでもアンナたちは残るのだが。

 

「お前の気持ちはわからんでもない、俺は戦争に狂わされたあげくにテロリストになったからな」

 

アストレイの前にいたのはXIだった。

 

「.....」

 

ハサウェイは無言でアストレイの前にXIを立たせる。次第に機体は緑色の光に包まれていった。それに呼応するようにアストレイはみるみるうちに赤いオーラに包まれていく。

 

「やっぱり....」

 

ダリルの勘は当たらずとも遠からず、今回のアストレイのようにシステムに呑まれるような戦い方をしている機体は少なからず耳にしている。ジオンが連邦から奪取した青い機体のように。しかし、緑色の光をまとい始めた機体はそうではないようだ。

 

「コゼット....運命...」

 

「レニー....」

 

幻聴なのだろうか。それとも遺した人を憂う故人の思念なのだろうか。それともこれは神のいたずらなのだろうか。少なくともアンナとタイタンには聞こえていた。

 

ハサウェイは一呼吸おく。

 

「なんとだってなるはずだ!」

 

XIはビームサーベルをアストレイの胸部をめがけながら突進していく。アストレイはサブアームで抑えていたDestinyをスラスターで吹き飛ばし、XIに突っ込む。この戦いの後、ハサウェイは大目玉を食らう羽目になる。

 

「ハサたん!あんなんじゃワルキューレたんもトールたんもミンチになっちゃうと思わなかったの!」

 

ゼロ距離でマッハのスピードでアストレイに突っ込むのである。ビームサーベルはアストレイの赤いフィールドの干渉でそられた格好にはなったが、格納庫を10前後は貫通しながら最後は大西洋上に不時着水、機体が木端微塵にならなかったのが不思議だ。

 

「分からない、とっさのことだったからな....」

 

ハサウェイがタジタジになっていた現場はニューヨークシンフォニカの医務室だった。

 

 

 

 




次回:安らかな目覚め
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