takt op. 運命という名の巨人/ガンダム   作:Gfish

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2048年9月11日のJuego de fuegoと呼ばれたニューオーリンズでの乱戦で意識を失ったダリルは夢の中で「運命」という少女に出会った。夢の中でアンナを助けるよう懇願されたダリルだったが、状況が分からないまま夢から引きずり出された。ロッテはダリルから事情を聞くなり、ニコルと同類であることを察する。(それはイオにも当てはまった。)何故ダリルが「運命」を知っているのか気になるロッテだが、その前にダリルは深い眠りについた。そして待っていたのは敵だったはずのパイロットと援護してくれたパイロット、そしてシンフォニカの女性だった。

同じころ、五大湖にほど近いところで新たに2機の巨人が目覚めようとしていた。


ZGMF-X42S Destiny

視界が明るくなったころには体中に衝撃が走っていた。視界はまだぼやけているが、コックピットにいること、そしてひっきりなしにズシン、ズシンという音が振動と共に響く。そこに不意を突くように通信が入る。

 

「どこの誰だか知らないが、お前さんのアストレイ、化け物に取りつかれてるぞ。」

 

いきなり化け物というキーワードが出てきたことにますます訳が分からなくなった様子だが、とりあえず起動してみる。すると、モニターに映っていたのは確かに「化け物」としか言いようがない体が白く、顔や手などが紫色の生物だった。しかも、紫色の結晶から湧き水のように湧いている。

 

「うわ、きもっ...」

 

そして声の主はあることを思い出す。

 

「そういえばオーブ沖で...」

 

(スカイグラスパーの割にはコックピットが広いなぁ)

 

改めてOS画面に目を向けるとそこにはMBF-M01RF M01 Rafflesia Frameとあった。

 

そしてレーダーに目を向けると数多あるUNKNOWNの表示の中で1つだけ目立つものがあった。

 

「ZGMF-X42S Destiny...?ザフトの機体を認識してる...?」

 

レーダーに映っていた「Destiny」をモニター越しに改めて確認すると、オレンジ色の翼が背中にあり、対艦刀から重火器まで揃っている。そして、飛行中は翼からオレンジ色の光が出ている。その機体は例の「化け物」を軽いフットワークで焼き払っていた。

 

「おい、そこのバーニア付きのアストレイ、どうにかしないとまじで化け物の住処になっちまうぞ」

 

通信が入るとDestinyはバルカンをふかして花が開いたようなバーニアを背負ったアストレイに取りついていた「化け物」を排除した。そして、最後にアストレイの動きを妨げていた紫色の結晶に赤いビームを打ち込んで吹き飛ばした。

 

「どうだ、化け物と一緒に紫色のクリスタルからゾンビになる気分は?」

 

声の主はさらに続ける。

 

「しっかし、ザフトもよくこんなDestinyなんぞじゃじゃ馬を作ったもんだ。Destiny Planなってかっこつけやがってよぉ、しかもおまけになかなかえげつないプランなんか作りやがったもんだ。そっちもそっちで見た目からしてとんだじゃじゃ馬に見えるがな」

 

もっと続ける。

 

「おっと、自己紹介がまだだったな。ちなみに俺は元ザフト特務隊のハイネ・ヴぇステンフルスだ。ハイネでいいぞ。お前さんは?」

 

「お...俺はトール、トール・ケーニヒ。」

 

(まずい...敵だ...)

 

「トールといったか、気を悪くしたようですまない。」

 

トールは戸惑う。彼にとってコーディネーターはキラ・ヤマトがいたので初めてではなかったが、ザフトの軍人とは初めてだったからだ。しかも、自分が成り行きとは言え、連合の人間になっているにも関わらず親切にされていることに余計戸惑う。

 

「俺の同僚のアスランがお前を殺ったことについては聞いている。どういうわけか、俺の機体には終戦までのログが入っていてな。」

 

「じゃぁ、キラ...ストライクは...?」

 

「ログを送るよ、きっとびっくりするぞ。それと、目を通し終わったら特訓だな。」

 

ハイネから送られたログに目を通したトールは3つの結論を得た。

 

・自分はイージスに墜とされた。

・ハイネはC.E73年に連合が半ば一方的に再燃させた戦争の中で墜とされた。

・キラは両方の戦争の終戦に貢献した

 

トールはひとまず、前の世界にいたような狂気としかいいようのなかった憎しみの世界から解放されたこと、そして親友が生き延びたことに安堵した。前者については機体が示していた座標からも裏付けられた。大西洋連邦の主要都市の1つであったバッファローを示していたにも関わらず、見る限りそれは跡地でしかなかった。

 

そんな跡地には2機の巨人を目撃した者がいた。

 

「わーお、本当の巨人だ!」

 

そう漏らすのはオレンジ色のツインテールの少女。片手にはライフルがある。

 

「あのオレンジ色はまさに騎士だ...」

 

もう1人は水色の髪をし、右手に剣、左手にシールドを持った如何にも中世の女騎士という見た目の少女。

 

「片方Destinyってあるけど....まさかとは思うけど運命タンじゃないよね...」

 

水色の少女が考え込むと「Destiny」の右手にあったのは先ほどまで握らていたビームライフルから白旗に変わっていた。隣に立っている花のようなものを背負った巨人に至っては微動だにしない。

 

「頼りない奴め...やはり運命だな...」

 

「とりあえず行こうよ!ワルキューレたん!」

 

これは9月11日、Juego de fuegoと同じ日の出来事であった。もともとアメリカ北中部での黒夜隕鉄の大量発生を調査する目的で派遣された2人だったが、「Destiny」がD2を殲滅していなければいくらムジカートとはいえ、とても相手にできる量ではなかっただろう。

 

そして2人はまもなく、その「Destiny」はかつて親しんだムジカートではなく、別の世界で残酷な運命をたどってきた戦争の産物であることを思い知ることになる。

 

 

 

場所は変わってニューオーリンズ、9月14日。跡地となったニューオーリンズはJuego de fuegoの件もあり、急ピッチで前線基地として再整備されていた。その中でも特に賑わいを見せているのが突貫工事でできた地下格納庫で、そこには3機のMSが鎮座していた。そこは跡地になる前のニューオーリンズを彷彿とさせる音楽に満ちていた。

 




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