大体6章ぐらいの時のお話。
――腹が減った。
確か、通算何度目のシミュレーションだろうか。
M16A1は大きく空を仰ぎ見る。
電子の空はまっこと快晴、時折ノイズ。
得物の
――腹が減った。
例え仮想の世界といえど、熱く熱くCPUを回せば休息と補給が要るのだ。
「あと、何周回れば今日のノルマはクリアだったかなぁ……」
ちらりと後ろを見やれば同じようにくたびれきった新米人形が数体と。
「もう壊れちゃったの? 大したこと無いんだから♪」
流石に今ばかりは、可愛い妹の声が煩わしかった。
「ああくそ、腹が減った……」
さて、いつの話だったろうか。
あの
その後にS09地区に着任した新任指揮官に助けられた事で再集結を果たした私達は、一つの作戦報告書を託すことを決意した。
それを回収するため、私達はどう目論み、どう動き、……そして、どうハメられたのか。
きっとあの指揮官なら、この作戦で得られたデータを有効に活用してくれるのだと信じて。
事実、その選択は確かだった。
あの新進気鋭たる指揮官殿はそれは素晴らしい手腕で私たちの軌跡をなぞり、手繰り
いつかの私たちに勝る手腕を以てあの惨劇を乗り越えてみせた。
……そして気づきやがったのだ。
「あれ。 このぼったちのカカシ共*1、丁度良い的にならね?」
「その、……大丈夫ですか?」
「……ぉぅ」
終わった。
何故新兵への研修内容がああも私に酷いのか。
引率二人で、一人が殲滅、私が弾除け。わざわざ
そうして新米人形共を引き連れSOPMODⅡとカカシ共を殲滅し*2、Gr G11とカカシ共を殲滅し*3
416とカカシ共を殲滅し*4、FALとカカシ共を殲滅し*5、Zas M21とカカシ共を殲滅し損ね*6
カカシ共を殲滅しカカシ共を殲滅し殲滅殲滅めつめつめつめつ……
「だめそうですね……」
ぉぁぁぁぁ……
もう頭も動かない。CPUが弾けそうだ。
もう鉛の塊なんじゃないかと思うほど重い足を動かし、ようやく基地内のカフェにたどり着いた。
もうつらい。それでもひとつ、私の最期の望みだ。それが今日の私の最後の寄る辺だ。
許せM4……
「じゃっくだに」
そう言い残してM16A1は息絶えた。まだ死んでない。
先程までM16A1と言葉を交わしていたカフェの主は大きくため息を付いた。
ここ最近の指揮官はなんかちょっとおかしい。
この間も「直にイベント始まるのに全然戦役進んでないんだけど」とかいってゴソゴソしていた。
最近はもう鉄血なんて叩き潰されて私たちは軍の拘束から解放された社長と一緒にS09地区に戻ってきたばかりじゃないですか……。
……ん?
兎も角さりとて、この惨状を放置するわけにはいかない。
さあどうしようかと子首を傾げて、閃いた。
そうだ。ちょうどあれを仕込んだのだから一緒に味を見てもらおう。
いそいそとカフェの主はキッチンの奥へ入っていった。
「……さん、M16さん」
待ってくれM4。私はまだ大丈夫だ、だからもうちょっとだけ寝かせてくれ。
ああ、くそ。首が痛い。寝心地が悪い。良い匂いがする。ミルクと貝の……
「う……」
「ああ、よかった。起きてくれました」
首を上げればカフェの主。
ことりと机に置かれた深皿には真っ白なスープ。
「明日のランチに出すつもりのクラムチャウダーです。折角なので一緒に味見しましょう?」
過日。あの地獄のような地獄は終わった。
幾多もの周回を越えた新兵たちはすっかり面構えも変わり、頼もしい。
M16A1は、泣いた。 あのなんか、もうあの、言葉にもならない。
カカシ共相手にカカシのように弾除けになる日々は終わったのだ。
今後彼女らは鉄血のクズ共相手に素晴らしい戦果を挙げるだろう。
きっとそれは私達Anti-Rain小隊にも負けない素晴らしい活躍となるに違いない。
「今回の作戦はS05地区にある施設、プリンセス・マリオンへの救援だ」
「現在、件の施設には先の作戦よりAR小隊が収容、保護されている」
「そこへ狙ったように鉄クズ共の急襲だ。 ハイエンドモデルが来ていると見て間違いはないだろう」
「執拗に鉄血に狙われる彼女たちについて疑問を持つ者もいると思う」
「だが、私は彼女たちのことを信じている。 …… 疑っていない、という方が適切な表現だろうが」
「今は時間が惜しい。 理由を語るためにも、まずは彼女たちを救い出してくれ。 健闘を祈る」
んん、あれ?
飯食ってる描写ってどう書けばいいんだ…?