採掘場の外ではカタロン部隊がほぼ全滅しようとしていた。そして、時を同じくして採掘場の内部では銃声と悲鳴が交錯していた。その交錯の真ん中に沙慈・クロスロードはいた。
「何なんだよこれ....」
彼はただの民間人だが、濡れ衣を着せられてカタロンの構成員と共にここに収容されていた。そして、アロウズの新兵器の生贄になろうとしていた。もう生き残りは誰もいない。
「何でだよ...!」
それに呼応するように何者かが一言。
「軍を気取っておいて...!!」
その後爆風が吹いた。沙慈の周りの人物を蹂躙していった機械がいつしか瓦礫になっていた。
「沙慈なんだな!大丈夫か!」
もう1人の声の主は沙慈にも聞き覚えがあった。
「刹那!どうしてここに?!」
「時間はない!脱出するぞ!」
「牽制はこっちでする。君たちは先に脱出を!」
「え...」
「すまない、そうさせてもらう。」
「気にするな、こっちもバックアップぐらいあるさ」
その頃にはカタロン部隊は完全に全滅した。
しかし、アロウズも投入したオートマトンは回収しなければならなかったため、アヘッド1機とGN-XⅢ4機も待機していた。その4機の中にルイス・ハレヴィイもいた。
「オートマトンが減っている...変だな...」
「4時方向より光熱源体反応!」
「各機散開!」
「レーダーがジャミングされています!」
「初陣を死なすわけにはいかん、通信が使える内にハレヴィイ准尉は離脱させろ。」
アヘッドからの通信が終わると同時に1機が爆散した。レーダーには映っていないが確かに緑色の4枚羽はそこにいた。
「ミノフスキー粒子散布完了。牽制を継続する。」
クシャトリアはビームサーベルを抜いてアヘッドに切りかかる。とはいえ、隊長機なので簡単に片付くわけがない。
「GNドライブ非搭載型の割にやるじゃないか」
「なんだこのプレッシャー、アヘッドからではないな」
クシャトリアに射撃を加えていたGN-XⅢが1機撃ち抜かれていた。
「あれは...ガンダム!?」
白と黒を基調にした射撃メインのガンダム、例のソレスタルビーイングだ。
「聞こえるか、マリーダ中尉」
「こちらマリーダ機」
「採掘場からガンダムが出た。とても満足に動くとは思えん。あれを最低限フォローしてほしい。ヒッチハイクになっても構わない。」
「貸しを作る、か。了解した。」
「すまないな、俺の機体はまだ誰にも見られるわけにはいかない。」
「わかっている。」
採掘場を闊歩していたオートマトンはクシャトリアの放ったファンネルで全滅していた。
「よし、離脱だ。ソレスタルビーイングとの商談がうまく行けばいいんだがな」
ハサウェイはコックピットの中で呟いた。