機動戦士ガンダムOOΞ   作:Gfish

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実はアナハイム組合の営業もかねてプトレマイオスに「投降」したマリーダにプトレマイオスは頭を痛めていた。マリーダを尋問したティエリアもマリーダの口から出てきた内容があまりに唐突だったため、頭の中は混乱していた。ティエリアは営業のためのブラフだと自分に言い聞かせるが、「もし最初にガンダムを作ったのが連邦だとすれば」の発言がどうしても気になる。そんな疑問を抱きながらティエリアはあるガンダムの起動テストに臨む。


ダブルオーガンダム起動

「ダブルオーガンダム、これより起動テストに入る」

 

ティエリアはプトレマイオスに予め格納してあった青いガンダム、ダブルオーガンダムのコックピットにいた。

 

「ツインドライブ同調率30、40、45...」

 

「80以上にならないと安定しないというのになぁ...エクシアのGNドライブが最後の綱か...」

 

声の主はイアン、しかし、マリーダの発言のことで頭がかき回されているティエリアに声は届いていない。

 

(連邦が最初に...思えば武力介入以前にそんな組織は存在していないな...)

 

「ティエリア、もういいぞ」

 

(だとするとやはりこの世界のイレギュラーなのか...或いは...)

 

「ティエリア、聞こえてるか?」

 

「了解した」

 

ティエリアはダブルオーガンダムをパワーオフにし、コックピットを後にする。

 

(マリーダの詮索はよすとして、スメラギに契約書を見せるのが怖いな...)

 

刹那が地球に発つ前、スメラギを連れ戻しつつ、パイロットをリクルートすると公言していた。

 

ラッセは笑い転げていたが、尋問のはずが営業に押し負けたと言うのはさすがのティエリアにもある種の恐怖だった。

 

とは言え、マリーダがそもそもこの世界の人間じゃないということを言われれば常人ならそもそも信じない。

 

が、コロニー落としや隕石落としなど、この世界になかった出来事を昨日のことの如く生々しく話すものなので、はったりとも言い難い。

 

(こんなことを言いふらされたらどうなるか分からないからな...封じておくので一生懸命だった以外に言葉はないな...)

 

そして何より、ティエリアにとって気になったのが「ニュータイプ」、宇宙に適応した新人類というキーワードだった。

 

(ニュータイプ...彼女の機体は確かに並みの人間では操縦しようものなら生きているだけでいい方だろうな...)

 

ティエリアの視線の先にはチューニング中のクシャトリアがあった。イアン曰く、ファンネルは前回の戦闘でエネルギー切れになったので応急措置としてGN粒子を補充するとのことだった。この結果をもとにケルディムガンダムに導入予定のシステムにフィードバックしたいとも言っていた。

 

ちなみに刹那は後数時間もしない内に戻ってくるようだ。

 

一方のマリーダは沙慈の部屋をノックしていた。一応ソレスタルビーイングの人間ではないのでミレイナが付き添い役として同行している。

 

マリーダは片手にプロテインボトルを持っていた。

 

(ネェルアーガマで治療されていた時を思い出すな)

 

確かに、あの時もマズい栄養液を持ってバナージの部屋に入った。

 

「入っていいって言ってませんよ...」

 

それでもマリーダは強引に部屋に入る。

 

「これが体にいいのは分かるんだが、正直マズい。協力してくれないか?」

 

「はぁ...」

 

これはだれの目から見ても想定外だ。

 

が、沙慈は確かに例のプロテインドリンクは飲み干していた。

 

「マリーダさん、お残しダメですぅ!」

 

「分かってる、だから協力してもらおうとしているんだ」

 

ガンダムによって家族を奪われたルイス、ソレスタルビーイングに関わろうとしたばかりに命を落とした姉、そして連邦に抵抗する組織のメンバーというレッテルを突然張られた沙慈、彼はエクシアに救出されてからもただひたすらソレスタルビーイングやガンダムを憎み続けた。

 

が、マリーダの突然の一言で沙慈を覆っていた感情は憎しみから呆れに変わった。

 

「別にいいですけど、いきなりこれはないんじゃないですか?」

 

「あくまでも残さない主義なのでな」

 

「うんもぉ!マリーダさんったら!」

 

プンプンするミレイナだったがすぐに表情を戻す。

 

「用事が終わるまでドア前で待ってるです!」

 

ミレイナが出るとマリーダは沙慈にいきなり爆弾発言をする。ティエリアが封じたと思った類のような発言を。

 

「私もガンダムを憎んでいた。しかもガンダムに乗ってガンダムともやり合った、ガンダムのシステムに自分が飲まれながら...」

 

「ガンダムを憎みながらガンダムに...」

 

とてもルイスの家族を葬ったガンダムのパイロットとは思えなかったが、何よりガンダムを憎みながらガンダムに乗ったというのにはどうも理解が追い付かない様子だった。が、それを余所目にマリーダが発言する。

 

「テロリストの一味といる羽目になって気分は悪いだろう」

 

(ガンダムの発言は迂闊だったな、ティエリアに文句を言われても仕方がないか)

 

「ええ、武力介入さえなければ今更こんなことはないんですよ...!そしてまたテロを...!」

 

「お前は戦うべきじゃない。なのに身を追われる...世界とは本当に理不尽だな」

 

諫められると思った沙慈にとってはこの返事は意外だったようだ。

 

「あなたこそ何故テロリストと共にいるんですか?」

 

「私の乗っていたMSのエネルギーロスが激しくて元の場所に戻れなかった。拾われていなかったら今頃宇宙の藻屑だっただろうな」

 

「せめてあなただけでもここから...」

 

「残念ながら私の勤め先も汚職疑惑をふっかけられてアロウズから追われる羽目になってな、連邦と取引してたのにこの有様だ。」

 

(まぁ連邦ダゲスタン管区の隠れ蓑で横流ししたから当然と言えば当然なのだがな)

 

間もなくサイレンは鳴った。遂にアロウズと再びやり合う羽目になるようだ。

 

刹那があと少しで戻ってくるというのにタイミングが悪い。

 

「あなたも出るんですか?」

 

「ヒッチハイク中に死ぬのはごめんだ。ところで、お前には想っている人がいるようだな」

 

「え...」

 

「大切な人のためにも腐らないことだな。それと、ソレスタルビーイングにクレームするのもおすすめだ。まだ情報はろくにもらってないんだろ?」

 

沙慈が言葉を探していた間にマリーダは部屋を出た。

 

格納庫では刹那が戻ってきたときにいつでも使えるようにダブルオーガンダムは起動済みだった。エクシアのGNドライブも添えて。

 

刹那が戻ってくるまで20分、接敵まで15分。

 

ダブルオーガンダムの前ではクシャトリアのチューニングが終わっていた。




6話:用心棒
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