カードファイト!! ヴァンガード -隻眼のPSYクオリア- 作:キシヨウタ
レン様登場〜!
「『ウルトラレア』に会いたい?」
地区大会も終わり、いつもの日常に戻った『カードキャピタル』。
店内ではアイチとカムイが話をしていた。
「はい、『ウルトラレア』はアイチお兄さんとヴァンガードファイトをして、負けず劣らずの実力だったって聞きました。そいつらとファイトすれば、全国大会への強化になりますよきっと!」
「…うん、行こうか。」
『スイコさんの言ってた事もあるし…。』
「よーし!そうと決まったら、『チームQ4』全員集合!」
そんなカムイの言葉に、櫂は自分には関係ないという様に立ち上がり、
「フン、そんなカードショップに興味はない…。」
「お、おい櫂…!あっはは、じゃあな!」
櫂はそのまま帰ってしまい、三和もそれに着いて行く。
「…なんだアイツ、まあ放っておきましょう。…。」
カムイが横目で店番をしているミサキを見る。
その視線に気づいたミサキは、
「…、行かない。」
「お前ぇ、『耕運機』とか『高級品』とかってもんがねぇのか!」
「えっと、『向上心』かな?」
「そう、それです!向上心!」
「部屋に忘れて来た…。」
やる気のないミサキの姿に、カムイは憤りを感じる。
次は全国大会。
より強い相手との戦いが待っているというのに、コイツも櫂と同じかよ…、と。
「そう言わず、行って来たらどうですか?」
「店の手伝いはどうするの…?」
「…でしたら、『業務命令』です。ライバル店の調査をして来て下さい。」
シンからそう言われて、ミサキは渋々ながらアイチたちと出かける事になる。
すると、
「…聞いたぞ、コーリンちゃんに会いに行くって…?」
「「「えっ…。」」」
いつの間にそんな所にいたのか、『カードキャピタル』の店の外壁に寄りかかっていた森川が話しかけてくる。
「仕方ねぇ。『ウルトラレア』ファンクラブ会員を代表して、俺が連れてってやるぜ!」
結局森川も着いてくる事になり、四人で都会へと繰り出す。
目指すは『ウルトラレア』のいるカードショップ『PSY』だ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「あれ、どこだったっけ…?」
無事にカードショップ『PSY』がある都会の駅前のショッピングモールへとやって来た四人。
無理矢理着いて来た森川は先程まで「連れてってやる!」などと意気揚々に言っていたが、まるで役に立っていない。
「案内になってねえじゃん。」
「うるへぇな、すぐに見つけてやらぁ!俺のコーリンちゃんを愛する心があれば、絶対見つけられるんだ…。コーリンちゃーん、待っててねー!」
そう言って森川は駆け出して行ってしまう。
そんな彼の様子に呆れながら、カムイはアイチに場所を覚えてないか尋ねる。
頼りにならない森川を欠いたこの三人の中で、その場所に行った事があるのはアイチだけなのだから当然だ。
「うーん、思い出そうとしてるんだけど…。ッ!」
以前来た時と同じに、まるで突然そこに現れたかの様に、アイチはその店を見つける。
「…あった。」
「へ〜。ここが『ウルトラレア』がいる…。」
「カードショップ『PSY』…。」
三人は店の中に入っていく。
その姿を辛うじて見つけられた森川も、追いかけて自分も店に入ろうとするが自動ドアが反応しない。
「おい、皆!開けろって…、コーリンちゃんに会わせろ〜!」
…ご愁傷様です。
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久しぶりに訪れた『PSY』の店内は相変わらず独特の雰囲気だったが、一つだけ以前とは違う所がある。
人がいたのだ。
それも『ウルトラレア』ではない、全く知らない『赤い長髪の男』が。
「こんにちは。あの、あなたは…。」
アイチが挨拶をするとその人物はゆっくりと振り返り、
「……僕は、店員ではありません…。」
そういう事を聞いたわけではないのだが…、と思うミサキとカムイ。
「じゃあぼくたちと同じ、お客さんですか?」
「いいえ、お客でもありません。」
「なら、『ウルトラレア』の…。」
「『ウルトラレア』でも、そのファンでもありません。」
アイチの質問を悉く否定する彼。
まあ、本当にそうではないのだから仕方がないが。
すると、
「ようこそ、カードショップ『PSY』へ。」
アイチが次の質問を考えていると、いつの間にかそこにいた『ウルトラレア』。
その内のスイコが彼らを歓迎するが、コーリンは想定外の人物の存在に驚いていた。
「三人で決めたのはあいつでしょ、どうして先導アイチが…。」
「私が招待したの。」
「え…?」
「二人ともよく来てくれたわね。先導アイチ君、そして『雀ヶ森レン』君。」
「雀ヶ森レンって、まさかあの…。」
その名前を聞いてカムイが反応する。
「そう。前回のヴァンガードファイト全国大会で、初出場ながら圧倒的強さで優勝した『チーム
カムイのセリフにレッカが答える。
前回大会のチャンピオンという事もあって流石のカムイでも名前だけは聞いた事があったが、「まさかこんなぼーっとしたヤツが…。」とまるで信じられないといった顔をする。
「早速だけど雀ヶ森レン、約束通りヴァンガードファイトの実力を見せて貰うわ。」
「…ヴァンガードファイト…、フフッ。僕と戦おうというのですね?」
コーリンにそう言われた途端、レンの雰囲気が変わる。
「ええ。」
「良いですよ、あなた方にはその資格がある様です。」
「…ただし、使うのはお互いにこのデッキよ。」
「ふーん…、女性ユニットばかりのデッキですか…。確かに、プレイヤーの手腕が問われそうだ。そしてあなたも同じデッキという事は、実力の差がはっきり見えるというわけですね。」
渡されたデッキを見つめるレンの瞳が怪しく光るのと同時に、アイチの目の前にイメージの世界が広がる。
そこでは三人組のマーメイドが水面から飛び出し、美しく宙を舞っていた。
『今のは、バミューダ△の《ブレザープレジャーズ》…?』
最近妹のエミがヴァンガードを始めて、『可愛いから』という理由でバミューダ△のユニットを集めているのを見ていたアイチは、その中にあった《ブレザープレジャーズ》のカードの事を憶えていた。
「君が切り札になりそうだね…。」
イメージの世界から現実の世界に意識を戻すと、レンが一枚のカードを見つめてそう呟く。
不思議とアイチも、彼の言う通りそのカードが勝負のカギを握る様な気がした。
「こっちよ。」と言われ着いて行き、ファイトテーブルの前に立つコーリンとレン。
その周りには、全国大会優勝チームのリーダーの戦いを見ようとアイチたちが集まっていた。
アイチがふと、レンの方に視線を向けると彼もまたアイチの事を見ていて、誰に向けてか唐突に喋りだす。
「ヴァンガードファイトは良いですよね…。相手に怪我をさせる事もなく、粋がる必要もなく、ただただ勝ち続ける事が出来るのですから…。」
そう言っている内に、ファイトの準備を互いに終える。
「…始めるわよ。」
「いつでもどうぞ。」
「「スタンドアップ・(the)ヴァンガード!」」
「《スフィア・メイガス》!」
「同じく《スフィア・メイガス》。」
「私の先攻、ドロー。《バトルシスター しょこら》にライド!《スフィア・メイガス》は左後列に移動し、ターン終了。」
コーリンの手札・5枚
V・《バトルシスター しょこら》(G1、パワー6000、能力)
R・左後列《スフィア・メイガス》(G0、パワー3000、能力)
「僕のターン、ドロー。《お天気お姉さん みるく》にライド。《スフィア・メイガス》は中央後列に移動し、右前列に《バトルシスター ここあ》をコール。《ここあ》の能力で山札の上を確認して、このカードはそのまま上に。バトル。《みるく》でVをアタック。」
「ノーガード。」
「ドライブチェック、《メイデン・オブ・ライブラ》…トリガーなし。」
「ダメージチェック、《レディ・ボム》…トリガーなし。」
「《ここあ》でVをアタック。」
「ノーガード。ダメージチェック、《みるく》…トリガーなし。」
「ターンエンド。」
レンの手札・5枚
V・《お天気お姉さん みるく》(G1、パワー6000、能力)
R・右前列《バトルシスター ここあ》(G1、パワー6000、能力)、中央後列《スフィア・メイガス》
コーリンのダメージ・0→2
「私のターン、ドロー。《トップアイドル アクア》にライド!左右前列に《ブレザープレジャーズ》、中央後列に《みるく》をコール。左の《プレジャーズ》の能力で《アクア》にパワー+2000、もう1枚の能力で左の《プレジャーズ》のパワー2000。バトル!右の《プレジャーズ》でVをアタック!」
「ノーガード。ダメージチェック、《バミューダ△候補生 キャラベル》…トリガーなし。」
「《みるく》のブースト、《アクア》でVをアタック!」
「ノーガード。」
「ドライブチェック、《キャラベル》…トリガーなし。」
「ダメージチェック、《レディ・ボム》…トリガーなし。」
「《スフィア・メイガス》のブースト、左の《プレジャーズ》でVをアタック!《スフィア》の能力でパワー+3000!」
「ノーガード。ダメージチェック、《バトルシスター しょこら》…トリガーなし。」
「ブーストした《スフィア》を山札に戻し、ターン終了。」
コーリンの手札・3枚
V・《トップアイドル アクア》(G2、パワー10000)
R・右前列《ブレザープレジャーズ》(G1、パワー6000、能力)、左前列《ブレザープレジャーズ》、中央後列《お天気お姉さん みるく》
レンのダメージ・0→3
「フフッ…。」
「…?あなたのターンよ。」
「ああ、スタンド&ドロー。《メイデン・オブ・ライブラ》にライド。《ここあ》を後列に移動し、右前列に《レディ・ボム》をコール。バトル。《スフィア》のブースト、《ライブラ》で左の《プレジャーズ》をアタック。《スフィア》の能力でパワー+3000。」
「ノーガード。」
「ドライブチェック、《アクア》…トリガーなし。《ライブラ》のアタックがヒットした時、CB2で1枚ドロー。《ここあ》のブースト、《レディ・ボム》で右の《プレジャーズ》をアタック。」
「《キャラベル》でガード!」
「《スフィア》は山札へ。ターンエンド。」
レンの手札・6枚
V・《メイデン・オブ・ライブラ》(G2、パワー9000、能力)
R・右前列《レディ・ボム》(G2、パワー9000、能力)、右後列《バトルシスター ここあ》
コーリンの手札・3→2
左前列《ブレザープレジャーズ》退却
『こちらの手札を使わせて自分は能力で手札を増やす…、か。まあ、このくらいやって貰わなくては困るんだけど…。』
「私のスタンド&ドロー。《トップアイドル フローレス》にライド!《プレジャーズ》を後列に移動、《キャラベル》を右前列にコール。《キャラベル》の能力、SB2で1枚ドロー。バトル!《みるく》のブースト、《フローレス》でVをアタック!」
「ノーガード。」
「ツインドライブ‼︎ファーストチェック、《アクア》…トリガーなし。セカンドチェック、《フローレス》…トリガーなし。」
「ダメージチェック、《フローレス》…トリガーなし。」
「《プレジャーズ》のブースト、《キャラベル》でVをアタック!」
「《アクア》でガード。」
「ターン終了。」
コーリンの手札・4枚
V・《トップアイドル フローレス》(G3、パワー10000、能力)
R・右前列《バミューダ△候補生 キャラベル》(G0、パワー3000、能力)、右後列《ブレザープレジャーズ》、中央後列《お天気お姉さん みるく》
レンのダメージ・3→4
手札・6→5
「スタンド&ドロー。《フローレス》にライド。さらに左前列に《フローレス》。そして…、フフッ。」
レンの口角が吊り上がる。
その時、アイチはレンの持っている手札が把握出来る位置にはいなかったが、不思議とそのカードが何なのか分かった気がした。
『まさか、《ブレザープレジャーズ》…?』
そしてその予感は、現実のものとなる。
「《プレジャーズ》を中央後列にコール。能力でVの《フローレス》にパワー+2000。バトル。Rの《フローレス》でVをアタック。」
「ノーガード。ダメージチェック、《ライブラ》…トリガーなし。」
「《プレジャーズ》のブースト、Vの《フローレス》でVをアタック!」
「ノーガード!」
「ツインドライブ‼︎ファーストチェック、《レディ・ボム》…トリガーなし。セカンドチェック、《ドリーム・イーター》…引トリガー。《レディ・ボム》にパワー+5000、そして1枚ドロー。」
「ダメージチェック、《オラクルガーディアン ニケ》…☆トリガー!《フローレス》にパワー+5000。」
「《フローレス》の能力。アタックがヒットした時、SB2でバミューダ△のR1枚を手札に戻す事が出来る。戻すのは、《ブレザープレジャーズ》。そして《ここあ》のブースト、《レディ・ボム》でVをアタック。」
「《スフィア》でガード!」
「ターンエンド。」
レンの手札・7枚
V・《トップアイドル フローレス》
R・右前列《レディ・ボム》、右後列《バトルシスター ここあ》、左前列《トップアイドル フローレス》
コーリンのダメージ・2→4
手札・4→3
「トリガーと能力で、また手札を増やしやがった…!」
「本当に初めて使うデッキなの…⁉︎」
観戦していたカムイとミサキが全国チャンピオンの実力に驚く中、アイチは一人、別の事を考える。
『さっきのカード、やっぱり《プレジャーズ》だった…。そして、手札に戻した事によってまたあの能力を使える…。あの時のイメージは、まさか…。』
そんなアイチの様子を、スイコが見つめていた。
「私のスタンド&ドロー。《キャラベル》を退却し、右前列に《フローレス》をコール。さらに左前列に《アクア》、左後列に《しょこら》をコール!」
「…良いですね、その目。このターンで決めに来ましたか…。しかし残念ながら、僕を倒す事は出来ない。」
「…ッ、証明して貰うわ!《しょこら》のブースト、《アクア》でVをアタック!」
「《キャラベル》でガード。」
「《みるく》のブースト、Vの《フローレス》でVをアタック!」
「《ニケ》と《スフィア》でガード。」
「ツインドライブ‼︎ファーストチェック、《フローレス》…トリガーなし。セカンドチェック、《ニケ》…☆トリガー!効果は全てRの《フローレス》へ!そして《プレジャーズ》のブースト、トリガーの乗ったRの《フローレス》でVをアタック!」
「《レディ・ボム》、《ドリーム・イーター》、《ライブラ》でガード!」
「くっ…、ターン終了…。」
コーリンの手札・3枚
V・《トップアイドル フローレス》
R・右前列《トップアイドル フローレス》、右後列《ブレザープレジャーズ》、左前列《トップアイドル アクア》、左後列《バトルシスター しょこら》、中央後列《お天気お姉さん みるく》
レンの手札・7→1
「ね、言った通りでしょ。僕には『見える』んです、全てが…!」
「……。」
「スタンド&ドロー。…来たね。」
『あの人の手札にあるのは《プレジャーズ》のカード。そして今引いたカードもおそらく…。』
アイチにはわかった。
彼、雀ヶ森レンがたった今引いたカードが2枚目の《プレジャーズ》のカードだという事を。
そしてそのカードが、このターンで決着をつける『切り札』になる事を。
「フッ…、ファイナルターン。」
「…ッ⁉︎」
レンのファイナルターン宣言に、アイチ以外の全員が驚く。
「左後列と中央後列に《プレジャーズ》をコール。能力でRの《フローレス》にパワー+2000、同じ能力でさらに+2000。」
「ッ、まさか…!」
「ほう、わかったようですね。でももう遅い。《ここあ》のブースト、《レディ・ボム》でVをアタック。」
「…ノーガード。ダメージチェック、《キャラベル》…トリガーなし。」
『『治トリガーは来ない』…、って事か…。』
「《プレジャーズ》のブースト、Vの《フローレス》でVをアタック。」
「《ニケ》でガード!」
「ツインドライブ‼︎ファーストチェック、《ここあ》…トリガーなし。セカンドチェック、《みるく》…トリガーなし。では最後の攻撃です。《プレジャーズ》のブースト、Rの《フローレス》でVをアタック!」
「ノーガード…!ダメージチェック、《しょこら》…トリガーなし…。私の、負けだ…!」
「フッ…。」
テーブルに手をついた事によって、彼女が持っていた手札が見える。
《フローレス》と《ここあ》、ガードに使えるのは《ここあ》のみ。たとえRの《アクア》でインターセプトしても、ガード出来る数値には届かない。
トリガーを引けなかった時点で、コーリンの敗北は決まっていたのだ。
「君もそこそこやる様ですね。でも、僕には敵わない。…絶対にね。」
「くっ…。」
悔しそうな表情を見せるコーリン。
その一方でスイコは満足気な表情をしていた。
「私たちが見込んだ通りだった。あなたには━━、」
「『力』を感じるんだろう?…何が目的なんです?」
「そうね…、次の大会を見てから話すかどうか決めるわ。」
「そうですか。では次の大会で見て貰うとしましょう。その時こそ、君たちと話し合いたいものだね。『力』について…。」
そう言ってレンは、カードショップ『PSY』を後にする。
そのレンが出て行った後、ウルトラレアの三人が話し始める。
「…あんなヤツ、絶対認めない…!」
「でも、現在のトップに変わりはないわ。」
「イケメンだからいいじゃん!」
「そういう問題じゃないの!」
「はいはい。…それよりさぁ、『あの子』呼ぶ必要なかったよねぇ。」
そう言うレッカの視線の先には、頭を押さえるアイチの姿があった。
先程のレンとコーリンのファイトが終わってから急に頭痛がして、今はミサキとカムイに身体を支えてもらってなんとか立ち上がっている状態にある。
「…彼はあれでいいの…。」
スイコが微笑みながら言う。
そして当のアイチは、頭痛に襲われながらも自身の見たイメージの事を考えていた。
『あれは多分、ぼくのイメージじゃない…。あの人が、雀ヶ森レンさんが見たイメージだ…。だけどどうして、そんなものが…?』
ほんの少しずつ、それも無意識に、アイチはこの不思議な現象の正体を掴みつつあった。
今作のアイチ君は勘がいいねぇ。
何でだろうねぇ?(すっとぼけ)