カードファイト!! ヴァンガード -隻眼のPSYクオリア- 作:キシヨウタ
カット祭りよ〜!
『カードファイト!! ヴァンガード チャンピオンシップ』地区大会当日。
『カードキャピタル』の前には臨時休業の看板が掛けられ、店長のシンは大会に出かけるための準備をしていた。
店内には出場メンバーであるアイチ、櫂、カムイの姿があり、すでに準備万端といった様子。
ミサキの姿はないが、午後から合流する予定である事をアイチたちは知っているので、問題はない。
「さぁ、そろそろ行きますよ。」
準備が終わったシンが店内にいる三人を呼び、車に乗り込む。
車内ではアイチとカムイがデッキ調整を、櫂は窓の外を眺めていた。
するとシンが、
「『Quadri foglio』。」
「クワドリフォリオ?」
突然の事に、カムイがシンの言った言葉を繰り返す。
「チーム名ですよ。イタリア語で『四つ葉のクローバー』という意味です。櫂君、カムイ君、アイチ君、そしてミサキ。四人が力を合わせて戦うんです、『チームQuadri foglio』ぴったりの名前だと思いませんか?」
「でも『Quadri foglio』って、少し言いにくいですね…。」
「そうですねぇ…。じゃあ普段は『チームQ4』としましょう。いかがです?」
「『Q4』…。何か格好良い!」
「うん、良いですね!」
「…名前など何でもいい。」
「それじゃあ、決まりですね。」
チーム名も決まり、地区大会の会場へと急ぐ。
『チームQ4』、初めての大会である。
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地区大会とは思えないほど広く賑わっている会場。
入ってすぐの場所には『モーションフィギュアシステム』という、ファイトと連動してユニットを立体化する装置まで置いてある。
装置を見ていると、突然立体映像が浮かび上がる。
〔〔〔みんなー、こんにちはー!〕〕〕
そこに映し出されたのは、以前アイチが行ったことのあるカードショップ『PSY』で出会った三人だった。
〔はじめまして、コーリンです!〕〔スイコと申します。〕〔レッカだよー!〕〔〔〔三人合わせて、『ウルトラレア』でーす!〕〕〕
「ウ、『ウルトラレア』?」
あまりの出来事に若干思考が止まるアイチ。
無理もないだろう、『PSY』で会った時とはまるで別人の様な雰囲気なのだから。
〔今日は、ヴァンガードチャンピオンシップ関東第三地区大会にようこそ!〕〔これに勝ったら、いよいよ全国大会だよー!〕〔厳しい戦いが待っている事と思いますが、〕〔〔〔みんな頑張ってね!〕〕〕
「何であの子たちが…?」
「最近デビューしたアイドルグループみたいですよ、この大会のプロモーションをやってるみたいです。」
シンがパンフレットを見てアイチの疑問に答える。
すると、同じく会場に来ていた森川と井崎が騒いでいた。
「コーリンちゃーん!」
「みっともないからやめろ!」
「うるせぇ!運命の再会の邪魔するんじゃねぇよ!」
「いや、あっちは単なる映像だろ⁉︎」
「初めて会った時から分かっていたんだ…、あの娘には人を惹きつける力があるって…!そう、俺の目に狂いはなかった!きっと大ブレイクするぜ『ウルトラレア』!そしてコーリンちゃん!」
〔じゃあ全国大会で、〕〔〔〔待ってるよー!〕〕〕
「はーい!待っててねー!」
まるで漫才の様なやり取りで『ウルトラレア』以上に注目を集めている森川と井崎。
普通なら全力で他人のフリをしたいところだが、流石は主人公。何の躊躇いもなく二人に話しかける。
「森川くん、井崎くん。来てたんだね」
「お、アイチやっときたか!」
「クラスメイトが地区大会に出るんだ、応援しないわけには行かないだろ。」
よく見るとその後ろには三和やレイジ、エイジも来ている。
「よーし盛り上がって来たぜぇ!」
カムイがテンションを上げると、それ以上のテンションでやってくる少女がいた。
「カムイちゃーーーん‼︎」
「ぐふぉっ!」
「な、何だこいつは…。」
アイチはついこの間経験したが、森川たちにとっては驚きの光景だった。
「『こいつ』じゃない、ナギサだよ!カムイちゃんの、彼女の…!」
「か、彼女…⁉︎」
「小学生のくせにやるじゃねえか!…気をしっかり持てよ、森川。」
「フッ、変な気を使うんじゃねえよ。こんな事で俺がショックを受けると思っているのか、ん?なんたって俺にはコーリンちゃんがいるんだから!」
単純というか何というか、取り敢えずカムイに当たらなかっただけ成長と見るべきかも知れない。
「久しぶりだな、先導。」
「この間の借りを返しに来たぜ!」
「ジャパ〜ン!」
ナギサがいるという事は当然彼らもいる。
「『チーム男前』の皆さん…。」
「俺たちの誘いを蹴ってまでカムイが選んだチーム。か細い野郎ばっかりだが、油断はしないぜ。先導、どんな組み合わせになるかは知らねぇが、俺たちと当たるまで負けるんじゃねぇぞ。」
「もちろん。ゴウキさんたちも、頑張って下さい!」
「へっ、当たり前よぉ!」
「カムイちゃんまたねー!」
『チーム男前』と別れ、ファイト会場へと向かう『チームQ4』。
「ミサキさんは午後から合流だから、決勝戦までは僕たちで頑張らないと。」
「任せて下さい、アイチお兄さん!」
「……。」
いよいよ地区大会が始まる。
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〔さあ、コンピューターがランダムに選んだ組み合わせは…!と、その前に。申し遅れました、私本日の司会を務めます『MCミヤ』と申します!〕
「そんな事はどうでも良いから、早く組み合わせを教えろ!」
森川がヤジを飛ばす。おそらく、この会場にいる誰もが同じ事を思っていただろう。
〔それでは改めて、関東第三地区大会一回戦の組み合わせは…、これだ!〕
天井に近い位置に取り付けられたモニターを見上げると、『チームQ4』の名前が出てくる。
「最初の相手は、『スリーブラックス』…。」
「最初の相手はお主らか…、くっくっくっ…。」
黒い外套に身を包み、全く素性の知れないチーム『スリーブラックス』。
果たして、どんなファイトをするのか。
━━「《騎士王 アルフレッド》Vをアタック!」
「《槍の化身 ター》と《魔竜聖母 ジョカ》でガード!」
「ツインドライブ‼︎ファーストチェック、《閃光の盾 イゾルデ》…トリガーなし。セカンドチェック、《幸運の運び手 エポナ》…☆トリガー!効果は全て《アルフレッド》に!」
「何だと⁉︎…ダメージチェック、《魔竜戦鬼 ヤクシャ》…トリガーは、ない…。」
━━「《ドラゴニック・オーバーロード》でVをアタック!」
「だめだ…、ノーガード…。」
「チェック・the・ドライブトリガー、《魔竜導師 ラクシャ》…ゲット、☆トリガー。効果は全て《オーバーロード》に!」
「まだだ、治トリガーを2枚引ければ…!ダメージチェック、《ドラゴンナイト ネハーレン》…トリガーなし。セカンドチェック、《ワイバーンストライク ジャラン》…トリガー…なし。」
あっけなく終わった。
チーム『スリーブラックス』の実力はそこそこといったくらいで、アイチと櫂の力量を持ってすれば苦戦せずに戦えるレベルだった。
「櫂くん、おめでとう!」
「…この程度、何という事もない。」
「ケッ、勝った時くらい嬉しそうにすりゃあいいのに。」
櫂のすました態度が鼻についたのか、カムイが悪態をつく。
「そう言うなって、そういうヤツなんだよ。それに、嬉しそうに笑ってる櫂なんて想像出来るか?」
三和の言葉に他の観戦メンバー(森川、井崎、エイジ、レイジ)はイメージをしてみるが、全く頭に浮かんでこなかった。
そんなやり取りをしていると、
「『チームQ4』のみんな、お疲れ様!」
何とも爽やかな声で挨拶をしてくる声。
そこには、フードを取り素顔を晒したチーム『スリーブラックス』の姿があった。
「完敗だったよ!」「強いな、君たちは!」「いやぁ、本当に参ったよ!」
負けても気持ちの良い、爽やかイケメンチームだった。
…ちなみにファイトをしようとしたカムイが、先に二勝したら大将戦はやらない事を知るのは、この直後のことである。
━━その後も『チーム武道』を相手にカムイと櫂が勝利を収め、準決勝の『チーム科学部』に対しても危なげなく勝利してみせる。
トーナメント表の反対側では『チーム男前』が順調に勝ち進み、決勝戦まで勝ち残る。
『チームQ4』対『チーム男前』。ここまで無敗の両チーム、実力者同士の戦いが始まる。
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昼休みを挟み━その時一悶着あったが━、決勝戦が始まる前。
ミサキも無事合流し、『チームQ4』のメンバーがようやく揃う。
「ミサキさん、待ってました。」
「ごめん。それで、どうだった?」
「櫂くんとカムイくんが頑張ってくれたおかげで、次が決勝戦です。」
「そう。じゃあここまで三人でやって来たんだから、決勝もアイチが出なよ。」
「良いんですか?…それじゃあ、お言葉に甘えて。」
「でも、決勝戦もアイチお兄さんの出番はありませんよ!オレと、櫂のヤツの二連勝で決まっちゃいますから!」
「うん。頑張ってね、カムイくん!」
『ウルトラレア』のライブも終わり、決勝戦が始まる。
〔地区大会決勝に勝ち進んだのはこの2チーム、初出場『チームQ4』!四つ葉のクローバーの名の通り、勝利という名の幸運を掴む事は出来るのか!対するはご存じ大本命、前回の地区大会優勝チームにして、全国大会でも活躍した大文字ゴウキ率いる『チーム男前』!どんなファイトを見せてくれるのか!さあ、勝つのはどっちだー!〕
「先鋒戦、出場者は前へ!」
審判の掛け声でカムイが前に出る。
対する『チーム男前』の先鋒は、昼休みの時に対戦を約束したゴウキ…ではなく。
「ワタシが相手よ。」
「え。」
「ナギサが勝ったら、カムイちゃんナギサと結婚ね!」
「え、えええぇーーー⁉︎」
まさかの対戦相手にカムイは驚く。
「ゴウキ、お前オレと戦うって男の約束したろ!どう言う事だよ⁉︎」
「…確かに。だが俺は一人の『男』である前にナギサの『兄』だ、可愛い妹の頼みを断るわけにはいかぬ。…笑うなら笑え、だが最後に勝つのは愛だ!」
開き直るゴウキに呆れるが、とにかく決勝の先鋒戦には違いない。
「さっき言った通り、ナギサが勝ったら結婚よ!」
「…分かった。そのかわり、オレが勝ったら諦めろ!」
「「スタンドアップ・ヴァンガード!」」
「《バトルライザー》!」
「《バトルライザー》!」
「グランブルーじゃないのか…⁉︎」
「カムイちゃんと同じがいいんだもーん!」
「…とにかく。オレのターン、ドロー!《タフ・ボーイ》にオレ様ライド!《バトルライザー》は左後列に移動、ターン終了。」
カムイの手札・5枚
V・《タフ・ボーイ》(G1、パワー8000)
R・左後列《バトルライザー》(G0、パワー3000、能力)
「ワタシのターン、ドロー!いくよーカムイちゃん!《クイーン・オブ・ハート》にナギサ様ライド!《バトルライザー》は中央後列に移動、バトル!《バトルライザー》のブースト、《クイーン》でVをアタック!《バトルライザー》の能力でパワー+3000!」
「ノーガード!」
「ドライブチェック、《シャイニング・レディ》…☆トリガー!効果は全て《クイーン》に!」
「ダメージチェック、《ハングリー・ダンプティ》…トリガーなし。セカンドチェック、《クレイソルジャー》…トリガーなし。」
「ブーストした《バトルライザー》は山札に、ターン終了。」
ナギサの手札・6枚
V・《クイーン・オブ・ハート》(G1、パワー6000、能力)
カムイのダメージ・0→2
……その後も。
「━━《ラウンドガール クララ》…治トリガーゲット!」
「なっ。」
「━━《シャイニング・レディ 》…☆トリガー!」
「にっ!」
「━━《ツイン・ブレーダー》で完全ガード!」
「ぬっ⁉︎」
「━━《バトルライザー》…醒トリガー!《ライオン・ヒート》にパワー、《マジシャンガール キララ》をスタンド!」
「ねぇっ!⁉︎」
「《ライオン・ヒート》の能力、CB2で《タフ・ボーイ》をスタンド!そしてスタンドした《タフ・ボーイ》のブースト、《マジシャンガール キララ》でVをアタック!」
「ノオオォォォーーー‼︎‼︎⁉︎」
「先鋒戦、大文字ナギサの勝利!」
怒涛のトリガーゲットと完全ガードで、カムイを下してみせる。
…これが、愛の力だというのか…⁉︎
「…負けた…、エミさんとの結婚が…。」
「カムイちゃん、約束通り結婚ね!新婚旅行はどこにする?七つの海巡りなんて素敵だと思うの!」
いつの間に着替えたのか、ナギサはウエディングドレス姿でカムイの前に現れる。
逃げようとするも、後ろに回り込んでいたゴウキに退路を断たれる。
「新居は海の見える丘の上だ、カムイ!」
「…お断りだッ!」
なんとかゴウキの手から免れたカムイはアイチの後ろに隠れ、
「た、確かにオレはお前に負けた!だがな、『チームQ4』が負けたわけじゃねぇ!まだ約束はお預けだ!」
と何とも見苦しい言い訳をする。
「お願いしますアイチお兄さん、ゴウキのヤツに勝って下さい!」
「あはは…、うん。約束の事はともかく、全国大会に行くために頑張るよ。」
「…いいだろう、俺も先導に返さなくちゃならない借りがあるからな。」
そしてゴウキもこれを承諾する。
果たして、ウエディングファイトから始まった波乱の地区大会決勝戦は、どの様な結末を迎えるのか…。
…ちなみに次鋒戦の櫂対カオルは、櫂の圧勝で終わった。
「あんまりジャパ〜ン‼︎」
今後も特に展開が変わらない所は容赦なくカットしていきます、アニメを観て補完して下さい。
あしからず。