照橋さんは告らせたい   作:ナイルダ

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原作にて斉木くんは何回か転校しているようですが、当二次小説では明智透真が通う学校を去った後、ずっと左脇腹町で暮らしている設定にしております。悪しからず。
加えまして、タイトル詐欺のようになってしまいますがしばらく照橋さんは出てきません(約3話ほど)。これもまた悪しからず。


育成計画『序』

 〝ぼくのかんがえたさいきょうのイケメン育成計画〟

 

 並行世界の斉木楠雄が去った後、僕は上記の計画を遂行した。そして、当時の僕が考えた最強のイケメンとは以下の通りだ。

 

 ・うんどうしんけいばつぐんっ!

 ・ずのうめいせきっ!

 ・こみゅりょくかんすとっ!

 ・あっとうてきこうかんどっ!

 ・がんめんへんさち1000っ!

 

 やれやれ、当時の僕はどうかしていたな。思い出すと顔から火が出そうだ…パイロキネシスで(超能力ジョーク笑)。

 しかし、あの時は楽しかったな。超能力により生まれながらにして全てを奪われた僕だが、他者を育成するという未知の感覚にはワクワクしたものだ。

 まあそれはともかくとして、僕はこの育成計画にのめり込んでいった。

 

 さて、最初に考えたのは、項目の1〜4までは後からどうとでもなるということだ。運動能力は鍛えればいいし、勉強面も努力でカバーできる。コミュ力と好感度も口調や仕草次第で如何様にでもコントロールできるし、これも後天的に身につけることが可能だ。

 そう、専らの問題は5番目の項目になる。〝顔面偏差値1000〟……まあ1000は言い過ぎにしても、こればっかりは先天的な才能と言わざるを得ない。だからこそ、僕は対照橋心美用の人選から──この育成計画を始めることにした。

 

 

 

計画始動!

 

 

 

 さて、肝心の人選方法だが……僕は結局、全国規模のテレパシーによるローラー作戦を取ることにした。要するに、テレパシーを使って片っ端から良さそうな人材を捜すといった方法だ。

 何でもありな超能力者といえど、特定の個人──しかも僕の理想を満たす人物をピンポイントで捜し出すことはできない。正直この時の僕は、自分にもできないことがあると知り微かに喜んだ記憶がある。

 まあ僕の超能力に関する制限はともかく、話を戻すぞ。

 方法を決め、早速計画に取り掛かろうとした僕だが、捜す人材にはある程度の前提条件がある。

 

 まず男性であること。まあ照橋さんが同性愛者であれば女性になるわけだが、〝僕〟の話によれば男性を恋愛対象として見ている。よって男性だ。

 次の条件だが、なるべく同世代であること。これはまあ、僕と同級生となる照橋さんに対し防波堤としての役割を持ってもらう以上、同じ年齢であることが最も好ましい。とはいえ2、3歳差であれば誤差の範囲だ。1年でも同じ学校に通っていれば、彼女の好意のベクトルをその人物へと向けることができるだろう。

 

 おおよそこんなところかな。だがしかし、依然として困難な作業に変わりはない。なんなら僕が捜しているような人材など、この世界に存在していない可能性だってある。仮にそうなってしまえば、僕の完璧な計画は根底から瓦解しかねないのだ。最悪他人の顔面を変形させるという選択肢もあるが、そんなことはしたくない。超能力は使えど、人の道は外れない──これは僕が〝ファイちん事件〟を機に転校した際、母さんに誓ったことだ。だから反故にすることはできない。

 

 しかし、ずっと悩まされ続けているテレパシーを自分の意思で使う日が来ようとは思ってもみなかったが、この瞬間に限っては広大な受信範囲に助けられたな。瞬間移動で各地を回り、その都度テレパシーを使っていては途方もない労力が必要だ。最悪、瞬間移動後にすれ違う可能性もある。

 

 

 

 ともあれ僕は覚悟を決め、テレパシーを使う。いつもは不快な雑音にしか聞こえない声に──僕は意識を傾けた。

 

 

 

ΨΨΨΨΨ

 

 

 

(楠雄、どうせテレパシーで聞こえているんだろ? 今日はJUMP FORCE(ジャンプフォース)でお兄ちゃんと勝負だっ! だからサイコキネシスで扉を固めてないでさっさと出てきてくれっ!!)

 

 うるさい。黙ってろ。僕にはやらなくちゃならないことがあるんだ。それに、その作品に僕は出てないだろ。やるならJ-STARS(ジェイスターズ)だ。

 

(空助も楠雄も手のかからない子だし、今夜にでも3人目を……)

 

 おい。思春期の子供を前になんてこと口走っているんだ。僕がテレパシーで苦労していることを知っているだろ。今夜いい雰囲気になったところで突入してやろうか?

 ……やれやれ。これではいつも聞いている内容と大差ないな。他に聞こえてくるモノもどうでもいいことばかりだ。もっと遠距離の声を集中して聞いてみようか。

 

 

 

ΨΨΨΨΨ

 

 

 

 その後、僕は慎重にテレパシーによって得られる情報を精査し、求める人材を捜し続けた。

 さて、突然だがここで質問だ。僕が使っているこのテレパシー、便利なモノだと思うだろうか? まあ人によっては便利に感じるだろう。しかし、僕の答えは断固として〝NO〟だ。こんな能力は必要ない。理由は単純、能力のオンオフが効かないのだ。つまり、四六時中心の声が聞こえてくる状態である。流石にもう慣れたが、煩わしいものはいつまで経っても煩わしい。

 では話を戻させてもらうぞ。

 常日頃から前述の考えを持っている僕だが、実はこの時だけは違った。何故なら、この時の僕は──まるで宝探しをしているような気分だったのだ。

 例えば、海水浴場などのイベントで見かける、砂浜に隠された景品を掘り出して探す催し物だったり……。川の底を掬って砂金を探すことだったり……。

 とにかく、超能力によって奪われた高揚感を──この時の僕は味わうことができていたのだ。勿論、聞くに耐えない心の声を聞きもした。しかし、この作業は間違いなく──僕にしかできない宝探しだったのだ。

 

 

 

そして7日後……

 

 

 

 雑に省略してしまったが、僕は1週間に渡る捜索の末──ついにお目当ての人物を発見した。そう、その人物こそが皆さんご存知〝念花美くん〟だ。探索の道中で発見した照橋さんともなかなかいい勝負のチヤホヤっぷりだったぞ。正直とんでもないご都合展開ではあるが、それは些細なことだ。

 しかしなんだ、途轍もない達成感だったことを僕は今でも覚えている。とはいえ、かなり消耗したのも事実だ。もう一度やれと言われたら……無理だな、やりたくない。一度味わえただけでも満足だ。

 

 

 

 まあこうして、僕は様々な感情を抱きながらも計画の第一段階を突破したのだった。

 

 

 

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