ドッペルゲンガーの話   作:生活リズム

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 お、パフェが来ましたね。ほんとに作家さんは何も食べないんですか?

 歳を取ると重いものがキツくなるとか。おじさんっぽいですね。見た目は割と若いのに雰囲気とか好みとか。

 ん。うま。

 いいですね。生クリームとアイスクリームの味がします。つまり幸せの味ってことです。

 イチゴ?私は後で食べるタイプなんです。あげませんよ。

 

 話の続きをしましょうか。

 例の時間に入ったなっていうのは分かりました。これでも経験豊富ですから、不自然に人通りが少なくなった時点で大体察します。今回はどんな人が来るんだろうなんて思ってたところに、あいつはやってきました。

 最初に上から見た時にはあいつのおかしいところ、つまり私と同じ容姿であることがわかりませんでした。あいつの周りに人がいないという状況から、きっとあいつには何かしらのおかしいところがあるんだろうと判断していました。

 私そっくりと気づけなかった理由ですか。なんというかあいつは普通だったんです。自分で言うのもなんですが、私って割と顔が整っているじゃないですか。でも整っているだけで特徴は薄いんですよ。格好も特段奇抜じゃないですし。悪印象でもなければ特別良い印象でもない。

 だから近くならまだしも遠くから見たら、あいつが凡庸な私の鏡写しと気づくことなんて無理です。もし私に似ているように見えたとしても、ガラスの反射かなんかだと勘違いします。

 さて。おかしいはずなのに普通そうなやつがきちんとおかしいことを確かめるために、私はあいつに近づいて行きました。気づかれないように細心の注意を払って。そいつが人混みに紛れないことを祈りながら。

 今まで自分が生きている社会の常識から外れた人なんてたくさん見てきてました。それでも、自分の経験から外れた現象に遭遇してしまうと、信じていた世界が崩壊したような気分になりました。私は変な趣味を持っている小心者に過ぎなかったということがよくわかりますね。

 急いで下へ行って壁ごしにそいつを覗いた時、自分と同じ顔のやつがいることにもちろん驚きました。少々固まってしまうほどでしたけど、でも安心しました。ちゃんとあいつがマトモに奇妙であるとわかると安堵感すら覚えました。

 

 問題はその後でした。ドッペルゲンガーに会ってしまうと死ぬと聞いたことはありました。本当は生きた人もいるのかもしれないですけど、そんな話はなかなか聞いたことはないですし。私は近いうちに死ぬのかななんて思ってました。

 しかし、いざ会ってしまうとなんだかムカついてきたんです。たかが自分の鏡写し程度に殺されてしまうなど、無性に悔しい。どうせならこいつの住処でも暴いてやろうか、なんて考えが浮かんでました。

 私はあの時まで奇妙な時間で見た人に関わったことはありません。それがあちらとこちら側に引かれた最後の一線、彼らの常識を私の常識にしない手段だと直感的に理解していました。

 しかし、私はそのルールを破っても、あいつに一矢報いてやろうと思っていました。

 あいつに近づいた時点で私もどこかおかしくなっていたのかもしれません。冷静に考えることも出来ないままに、私はそいつを尾行することにしました。

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