さよならデスゲーム、こんにちはくそったれな異世界 作:霧ケ峰リョク
「――――結論から述べよう。僕達はどうやら異世界に来てしまったらしい」
「大丈夫? 脳みそ沸騰した?」
「ブッ飛ばすぞ」
自分でも頭のおかしい、というか割と馬鹿な発言をしているとは分かっているが、こうして他人に突き付けられるのは辛い。
しかし、もっと辛いのはこんなアホな事を口に出さなくちゃいけないような現実だが。
「まぁ、ここが異世界かどうかはさておき、そういった前提で動いた方が良い。正直な話、ゲームのキャラのまま異世界に来ようが、科学が発展してよりリアルになったゲームだろうが今の僕達には大した違いは無いんだから」
「結構違いがありそうだけど…………」
「まぁあるとは思うけど、それでも今重要なのはただ一つ。仮にここが異世界だったとしても、ゲームの中だとしても、死ぬのだけは絶対に避けなきゃいけない。何が起こるか分からない」
死ねば終わり、そこだけは二つとも共通している事柄だろう。
まぁ、デスゲームじゃなくなっているかもしれないが、それを確かめる方法が無い。確かめたいなら一度死ぬしか無いのだから。
いずれは確かめなくちゃならないかもしれない事だけど、それを確かめる気にはならない。と、いうか嫌だ。何が悲しくてそんなものを確かめる為だけに人を殺さないといけないんだ。
今までもゲームを攻略する為に少なくない人の命を奪っているんだ。プレイヤー同士の命の奪い合いとかそんなのはもううんざりだ。
「まぁ、今まで通り死なないように安心安全でやっていこうってわけだよ」
「…………言う程安心安全だったか?」
メアリーの訝しむような顔を見て、今までの記憶を思い返す。
レベルやスキル、技や魔法を得て強くなってもそれに比例して強くなっていく敵達。
そして
「…………訂正する。安心安全とは無縁な日々だった」
正直な話、毎日毎日本当に地獄のように辛かった。
特にボス戦なんかは本当にきつかった。パターンや弱点を見つけなければ勝ち目は無く、見つけても即死攻撃やスタン等の脅威が付いてくる。一番多いというか毎回あったのがスタンで硬直した直後に即死攻撃を放ってくる事だ。
ダンジョンでも即死トラップがあったり、油断や慢心していたら間違いなく死んでいただろう。
それでもまだゲームとして成立はしていた。少なくともソロでも攻略できないわけじゃないのだから。
問題なのが同じプレイヤーだ。
皆で協力すればいつかは必ずクリアする事が出来るのにも関わらず、邪魔をするプレイヤーが居た。
攻略するのを諦めて脱落するのは良い。誰だって死ぬかもしれないものを続けられる程強くは無いのだから。
攻略しているプレイヤーの足を引っ張るのもまだ理解出来る。いつ死ぬかも分からない以上、不安になるのは当たり前だ。
でも、他のプレイヤーを殺傷するPK。これだけは本当に理解できない。
彼奴等のせいでデスゲームの攻略に遅れ、支障がでてしまったのだから。
出来れば思い出したく無い、言葉にすらしたくない嫌な過去だ。
「と、取り敢えず現状どうするか考えようか」
話題を切り替えて、現状をどうするのかについて話し合い始める。
「一先ず、ゲームの能力が使えるかどうか調べようか」
「そうだな。まぁ、一番最初にやるといったらこれだろ。ステータスオープン」
メアリーがそう呟くと、彼女の前にウィンドウが現れる。
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【NAME:メアリー】【種族:吸血鬼】
【LV:85】 【職業:ガンナー】
【ステータス】
・筋力:99 ・魔力:99 ・速力:99
・耐久:32 ・精神:43 ・幸運:23
【スキル】
・銃:99(MAX) ・拳:65
【種族特性】
・吸血鬼
『この種族は筋力、魔力のステータスに+30の補正が付く。
その代償として太陽光、流水に対しダメージを受ける。
また、一部のアイテムに制限が掛かる』
【職業特性】
・ガンナー
『この職業は武器:銃を使用した場合、+30の補正が付く。
それ以外の武器を持った時、攻撃力が−30となる』
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見覚えのあるそれはゴッドライズのステータス画面だった。
最上位、それも攻略の最前線で活躍してラスボスを攻略した最強のガンナーだ。
銃の熟練度は当然カンストしているし、サブとして使っている拳も吸血鬼の特性も相まってかなり高威力だ。
遠近両方を使い分ける事が出来る有能なプレイヤーだ。
「これは問題なく使えるみたいだ。ユウの方は?」
「一応確認してみるか…………ステータスオープン」
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【NAME:ユウ】【種族:人間】
【LV:88】 【職業:マルチウェポン】
【ステータス】
・筋力:99 ・魔力:74 ・速力:73
・耐久:65 ・精神:69 ・幸運:51
【スキル】
・剣:99(MAX) ・槍:73 ・槌:64
・拳:18
【種族特性】
・人間
『尤も平均的な種族で弱点やアイテムの制限が無い。
オールマイティなタイプ』
【職業特性】
・マルチウェポン
『この職業は全ての武器を使用する事が出来る。
全ての武器、及び素手に対し+5の補正が付く』
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自分のステータスもメアリー同様に確認する事が出来た。
特にこれといった問題点は無い。装備の画面に移動しても変わった所は皆無だ。
「そうだ。称号の所はどうなんだ?」
「少し確認してみるよ。あのラスボスも倒したし、何かしら乗ってるかもしれないから」
画面を移動し、称号の項目に移動する。
ゴッドライズにおいて、称号というものは攻略や戦闘、及び日々の生活においてかなり重要なものだった。と、いうのも称号を獲得すると、その称号によって特殊な効果がプレイヤーに付与されるのだ。
例えばゾンビ系モンスターを100体以上倒したら手に入る【ゾンビキラー】という称号は、ゾンビ系のモンスターに対し与えるダメージ量が増加する。他にも50種類以上のアイテムを獲得した時に貰えるドロップ率が上昇する称号【コレクター】や、魔法をある程度の回数使うと消費MPを減らす【マジックエキスパート】等が存在する。
ならばクリフォトを攻略した今の僕等ならば何かしらある筈だ。
そう思いステータス画面から称号一覧の方に移動する。
「何か、2つ新しい称号があるな…………」
今まで獲得してきた沢山ある称号の中に3つ、見覚えの無い文字が書かれていた。
「何々…………? 【クリフォト踏破】に【異界渡り】」
「そして【魔王征伐者】ね…………」
新たに獲得した称号を確認する。
【魔王征伐者】は文字通り魔王に関連する称号だ。
クリフォトの階層、全てに座するボスを全て倒した者に送られる称号で、以降魔王系の敵に対し特攻が乗るようになるというもの。
これに関しては特別問題視するようなものじゃない。
だけど、問題は残った2つだ。
「何だ…………これ、文字化けしてて殆ど読めない」
【クリフォト踏破】に関しては前半だけならば読むことは可能だけど【異界渡り】に関しては完全に読めない。
一応読むことが出来る箇所は『クリフォトを踏破した者に与えられる称号、セ■@ロ!に』と書いてあるだけ、それより先は全く意味が通じないような内容だ。
「多分、この異界渡りってのが関係してそうなのは分かるんだけどよぉ」
「…………現状、自分達の置かれている状況を変える事は出来なさそうだね」
と、いうか十中八九関わっているだろう。
ただそれを確かめる方法は今の自分達には不可能だ。
「これからどうしようか…………?」
「取り敢えずギルドの連中で話し合った方が良くないか? オレ達だけでそれを決めるのはちょっとな」
「まぁ、そうだね。じゃあ、全員ギルドサーバーに集合で。使えるかどうかは分からないけど」
ステータス画面を操作して確認する。
どうやらこれに関しても問題なく使用する事が出来るみたいだ。
後で何が出来て、何が出来ないのかも確認しないと。
「本当、次から次へとやる事が多過ぎる」
あんなに苦労してラスボスを倒したって言うのに、全く休まらない。
これじゃあ何のためにラスボスを倒したんだよ。