それは補給で暫く滞在していた島での事だった。
おれは突然降り出した雨に高級なスーツが駄目にされてはかなわないと、軒下で雨宿りをしていた。
すると、おれの立っていた僅かに雨が防げる場所へピンク色のワンピースを来た女が駆け込んで来たんだ。
『降られちゃいましたね!もう、びしゃびしゃ!』
言葉とは裏腹ににこにこと笑う女に、思わずおれは声をかけていた。
『…そんなずぶ濡れでなんで笑ってるんだ?』
『私、好きなんです雨!…貴方も好き?雨!』
そう言って日だまりのように暖かく微笑んだ彼女に。
おれは、気付けば恋に落ちていた。
ずっと日陰で生きてきたおれには眩しい女。
ルシアンは美しく、時に無邪気で愛らしい。
おれには勿体ないくらいのイイ女だった。
忙しい日々の中に時間を作り、おれはルシアンとデートを重ねた。
本当に心から愛していた。
だから…だからおれは嘘をついてしまった。
『嫌いなもの?
…あ、海賊!死ぬほど嫌い!!』
きっぱりと言いきったルシアンに、職業を聞かれたおれは真実を隠した。
『あァ…銀行で……仕事を。』
初めてルシアンについた嘘はこれだった。
ひとつ分かって欲しいのは、おれは“海賊”という生き方を。
若の下での生活を不満に思っていたり、嫌だと思っている訳ではないと言うことだ。
おれを拾ってくれた若には感謝しているし、ドンキホーテファミリーの一員であることは誇りですらある。
だが、それでも。
おれはルシアンに嫌われたくなかった。
初めて心のそこから愛おしいと思えた人を、手放したくなかったんだ。
……大切な人に嘘をつくような、最低なことをしても。
その後も、おれはルシアンとデートを続けた。
会えば会うほど、話せば話すほど。
ルシアンという女の存在はおれの中で大きくなっていた。
“結婚”……その2文字が頭に浮かぶほどに。
けれど、おれは仲間達に何故かルシアンの話はしていなかった。
……いや、出来なかった。
何故かは自分でも良く分からなかったが、話す気になれなかったのだ。
プライベートな事だ、言う必要はなかったかもしれない。
けれど、その選択は未来の自分の首を締めるような結果となった。
それは、おれが彼女と結婚式を終えてすぐの事。
百獣海賊団がルシアンの住む街をナワバリにした事が理由だった。
前々からあの街は悪い噂があった。
上層部が腐敗しているやら天上金を払えなくなるやら、不穏な話が多かったんだ。
だからおれはいざと言う時、自分の手の届くドンキホーテファミリーのナワバリに彼女を何とかして移住させようと、こっそりとあの手この手を駆使していた最中だった。
……だが遅すぎた、全てが。
若や仲間達に話して居なかったせいで協力は仰げず、ルシアンにも海賊だということを黙っていたせいで上手く説得できず。
気付けばあの街は百獣海賊団の手に落ちていた。
おれはどうすればいい…?
絶望するしか出来なかったが、それはおれ自身のせいだ。
初めから嘘などつかなければ…と後悔しても全てが遅かった。
一度吐いた言葉は、取り消せない。
そんな当たり前な事は、分かっていた筈なのに。
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ルシアンの住む街が百獣海賊団のナワバリになってから少し経った頃。
おれはなんとかナワバリへの侵入を果たした。
ドンキホーテファミリーだとバレれば不味い事になるかもしれない。
でも、それでもおれはルシアンを連れ出さなくてはならなかった。
本当に心配だった。
あの破壊の化身や最強生物と恐れられる男が統べる海賊団に、ルシアンが酷い目に遇わされているかもしれない!
そう思うといても経ってもいられなかったのだ。
おれは若から休暇を貰い、街へ急いだ。
だが、思いの外あっさりとナワバリには侵入出来た。
その街の人々がおれを知っていてくれていた事が大きかったように思う。
最初こそ不審がられたが
『おぉ、ピンクさん!』と声をかけてくれた彼らには感謝だ。
出張から帰って来た街の住民だと、見張り達を騙せたおれはすぐさま家へと走った。
今にも本格的な嵐になりそうな豪雨の中で、見慣れた屋根を前に深呼吸をして、おれは家の扉を開いた。
『あら…?
お帰りなさい、あなた!
遅かったわね?今回もお仕事大変だったの?
もう、こんなに濡れちゃって…風邪引いたら大変!』
そう言っていつもの暖かい微笑みを向けてくれるルシアンを見て、おれは胸を撫で下ろした。
怪我もなく、変わらず笑えている姿に心底安心したおれはルシアンの座っている椅子まで駆け寄り抱き締めた。
突然、びしょ濡れのまま抱き締めて来たおれに少し驚いた様子だったが、嫌な顔をするどころか小さく笑うとルシアンも抱き締め返してくれる。
『ふふふ、どうしたの?
もしかして……何ヵ月も私に会えなくて寂しかったとか?』
悪戯っぽく笑う彼女の頬におれはキスを落とす。
『……あぁ、ルシアン。
君に会えない海の上は寒くて…』
『なら私が暖めてあげるね!
ほら、ぎゅって!うふふふふ!』
無邪気にまたおれを抱き締めてくれるルシアン。
……幸せってのはこういう時間のことなんだと、彼女が教えてくれたんだ。
手放したくない。離れたくない。
そんな想いが胸を締め付けた。
だから、おれは本当の事をルシアンに告げた。
そしてこの街から逃げようと彼女の手を握った。
だが、返って来たのは鋭い痛みだった。
銃で撃たれたとしても、ナイフで刺されたとしても。
このルシアンの平手打ちの痛みには敵わないだろう。
『っ…嘘つき……
ずっと、私を騙してたの!?
私はっ……私は心から愛してたのに!!』
『ち、違うんだ…ルシアン。
おれは…!』
伸ばした手は彼女に拒絶され、叩き落とされた。
家を飛び出してしまった彼女を追いかけ、おれも外へ。
『駄目だ、ルシアン!!
お腹に子もいるのにこんな雨の中…!』
『放っておいてよ!
あなたなんて知らない!!ついてこないで!!!』
『ル、ルシアン…』
また伸ばした手はただ虚しく雨に濡れ、彼女を止める事は出来なかった。
最愛の人に拒絶された悲しみに少しの間固まっていたおれだったが、ハッとしたように動き出す。
例え嫌われようとも、憎まれようとも。
全てはおれの自業自得。
それでも、彼女をこんな豪雨の中に一人にしていい筈がない!
もし、ルシアンの身に何かあったら…
おれはルシアンが消えて言った森の道へと駆け出して行った。
『ルシアン!
何処にいるんだ!?ルシアン!!』
叫び続けながらおれは彼女を探した。
雨も風も強さをましていく。
胸騒ぎが止まらない。
男のおれでさえ前が見えないくらいの大雨。
不安で押し潰されそうになりながら、おれは一晩中探し回った。
そして、明け方頃だろうか。
ヘトヘトになり、更には全身びしょ濡れのおれは悪魔の実の能力者だということもあり力が上手く入らずにいた。
だから、気付けなかったんだ。
足下の地盤が緩んでいたことに。
轟音に驚いた時にはもう遅かった。
山の土砂崩れに飲み込まれたおれは、上手く能力を使えず意識が途絶えた。
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次に目を覚ますとおれはベッドの上に居た。
天井もカーテンも真っ白な空間は。
ここが病院だと気付いたおれは飛び起きた。
『ルシアンッ……ルシアンを探さないと!』
思わず出た叫びにおれのベッドの脇にいた人影が動く。
ハッとしてそちらを見れば、泣き腫らした目をしたルシアンが居た。
『ルシアン…?』
『っ…あなた!!』
椅子に座って寝てしまっていたルシアンはおれを見ると目を潤ませながら抱き付いて来た。
状況は分からなかったが、おれはルシアンが無事な事に安堵し抱き締め返す。
『良かった…!ルシアン!!
探していたんだずっと!君に怪我がなくて本当に良かった!!!』
安堵から声が震えたが、そんな事はどうでもいい。
ただルシアンが無事だった。それだけで十分だ。
力強く抱き締めるおれに涙を流しながらルシアンも声を上げた。
『聞いたの…グスッ……あなたがずっと私を探して走り回ってたって…
で、でも、そのあと森で土砂崩れがあったって……それから連絡取れなくてっ……私、あなたが死んじゃったんじゃないかって!うぅ…!』
心配だったと、ごめんなさいと泣きながら言うルシアンにおれは慌てて謝った。
悪いのは君じゃないと。
悪いのは嘘をつき君を傷つけたおれなのだ、と。
それからおれとルシアンは抱き合って泣いた。
ルシアンは声をあげて大粒の涙を流し。
おれは声を殺して静かに泣いた。
互いにごめんなさいと、ごめんなと言い合いながら。
そうして、嘘を許されたおれはなんとか気持ちを落ち着かせ、どうやって自分が助かったのかをルシアンに聞いた。
そこで出た人物の名に、思わずおれは固まる。
『数ヶ月前からこの街を守ってくれてる百獣海賊団って人達がいるんだけど…
そこのレオヴァ様って人があなたを病院に運んで治療してくれたのよ!』
『ひゃ、百獣海賊団のレオヴァ……』
おれの知っている人物と同じならば
レオヴァとは百獣海賊団の船員であるだけでなく、あのカイドウの息子の筈だ。
どうするべきか……そう頭を悩ませているとルシアンが話を続ける。
『本当に大きな土砂崩れだったの…
なんか前の貴族が木を伐りすぎたせいで地盤が緩んで…?みたいな話を聞いたわ。
私も後少しレオヴァ様達がくるのが遅かったら巻き込まれて…』
『なっ!?
ルシアンもあの時あそこにいたのか!?』
『うん……だって街で森が危ないって話をしてる時にあなたが私を探してたって聞いて…』
『ルシアン…君に嘘をついたおれなんかの為に……』
また目頭が熱くなる。
ルシアンの目も潤んでいた。
『それで、すごい勢いで山が崩れた時…レオヴァ様が来てくれたの。』
『そうだったのか……でも、何故山に百獣が?』
疑問を口にするとルシアンが説明してくれる。
『なんか山上りとかキノコ集めしていた人達を避難させてた所で私が見えたから、助けに来てくれたって!
レオヴァ様の持ってた大きな籠にはお爺さんやお婆さん達が10人以上いたから…』
『も、持ってた籠…?』
『あら?あなたは知らないの?
レオヴァ様は大きな鳥になるのよ?』
『そうなのか!?
いや、初めて聞いたな…
という事はその時におれも?』
『ううん…違うの。
避難も終わったからって船に帰ろうとしてたレオヴァ様にあなたが居ないから探して欲しいってお願いして、また森に行ってもらって……』
こうして事の顛末を聞いたおれの腹は決まった。
どうしようかと悩んでいたが、ルシアンを救って貰ったと聞いた以上。礼を言わない訳にはいかない。
ルシアンにレオヴァという男にはどこで会えるかと、聞こうとした時だった。
病室の扉が開き、長身の医者が入って来る。
『そろそろ時間だ…と、伝えに来たんだが。
ふむ、思ったよりも目覚めが早かったな。
セニョール・ピンク、体の具合はどうだ?
痛む箇所があれば教えてくれ。』
『ん、あぁ…少し背中が痛むが……大した痛みでもないな。』
『そうか、呼吸器系も問題はないし明日には退院しても問題なさそうだな。』
そういってにこやかに微笑むと、ルシアンが立ち上がって頭を下げた。
『本当にありがとうございました!
レオヴァ様のおかげです!!』
『この病院の医師じゃないのか!?』
おれも慌てて立ち上がり礼を言おうとしたが、白衣姿のレオヴァに止められる。
『礼はいいから安静にしていてくれ。』
『だ、だが……あんたにはルシアンを助けてもらった礼も…』
『ナワバリに住む人々を助けるのは当然だろう。
おれは彼らに物資や土地を提供してもらう代わりに何かあれば助けるという約束の元、この街をナワバリにしたんだ。
百獣の名を出した以上、しっかりと約束は守らなくてはな。』
当たり前の事だろう?と語るレオヴァにおれが目を丸くしていると扉からオレンジの髪の少年が顔を覗かせた。
『レオヴァさん、306号室のお婆さんが話がしたいと…』
『そうか、分かった。
ドリィはもう休憩に行っててくれ。』
『えっ……いや、おれもレオヴァさんと…』
『腹はまだ減ってないのか?』
『その…た、食べるならレオヴァさんと一緒に……』
おずおずといった様子のオレンジ頭の少年にレオヴァは優しく笑うと、おれ達の方へ向き直る。
『では、また何かあれば声をかけてくれ。』
『あぁ……本当にありがとう。
ルシアンを、おれを救ってくれて。』
『気にしないでくれ。
それよりも本当にルシアンが大切なら、自分の事を粗末にしない事だ。
お前が眠っていた2日間彼女はずっと側にいてろくな食事も摂っていなかったぞ?』
レオヴァの言葉におれはルシアンの方を見た。
確かに目の下には隈があるし、やつれている気もする。
『すまなかった…ルシアン……ありがとう。』
『っ…うん、起きてくれて……良かった!』
また抱き合うおれ達の邪魔をしないように空気を読んでくれたのか、気付けばレオヴァは居なかった。
これが、おれとレオヴァの出逢いだ。
この後、退院したのちおれはドンキホーテファミリーの幹部だと素直に打ち明けたのだが、レオヴァは知っているようだった。
『セニョール・ピンクだろう?
すぐ側にドンキホーテファミリーのナワバリもあるからな、情報はしっかり頭に入っている。』
さらりと言ってのけたレオヴァに、なら何故追い出さなかったのかと問えば彼は不思議そうな顔をした。
『流石に病人を海に放り込むような真似はしないが?
それに悪さをしに来た訳でもないだろう。
お前の話は街の人達や、ルシアンから聞いていたしな。』
海賊だと言うのに何処か品を感じる話し方や態度に、おれは少しずつ心を開いていった。
ルシアンの引っ越しはする必要もないか…そう思っていた頃だ。
おれはレオヴァからある提案をされた。
それはドンキホーテファミリーと取引出来ないか、というものだった。
見せてもらった取引用の品々も良いものばかり。
なにより、おれはレオヴァを信頼出来る男だと評価していた。
こうして、おれが若に話を付けたことで対談が実現し、百獣海賊団とドンキホーテファミリーの取引関係が成立したんだ。
百獣との関係が構築された事で、おれは気兼ねなくルシアンの元へ行けるようになり、若にも結婚の話をすることが出来た。
ラオGやディアマンテはあまり良い顔をしてくれなかったが、若に認めて貰えたことでおれの中にあった謎の後ろめたさは消えた。
ルシアンにも隠し事をする必要がなくなり、本当にこれ以上ないほど幸せな日々が戻って来た。
最初はあれだけ海賊を嫌いだとキッパリ宣言していたルシアンが許してくれた事に首を傾げていたが、理由を聞いたら納得出来た。
なんでも百獣海賊団が街に来てから海賊への印象が変わったらしいんだ。
そりゃそうだ、おれもあんな海賊に会うのは初めてだったしな。
だが、そのお陰でおれはルシアンに捨てられずに済んだんだ。
そんな事もありながらも、おれとルシアンの結婚生活は順調に年数を重ねて行った。
そして、気が付けばギムレットという世界一可愛い息子が出来ていた。
おれに似て凛々しい瞳に黒い髪、ルシアンに似て素直で愛らしい笑顔。
間違いなく、ギムレットはおれとルシアンの何よりも大切な宝だ。
だが、そんなギムレットが熱を出した。
若から頼まれた任務で外にいたおれはどうすることも出来ず、全てを終わらせ家に着いた時。
ギムレットは苦しそうにベビーベッドの上で泣いていた。
ルシアンも瞳を揺らしながら、医者に見せたが理由が分からないのだと泣いていた。
この時ほど自分の無力を呪ったことはない。
愛する女が絶望しているのに、愛する息子が苦しんでいるのに。
何故、何故おれは助けてやれないんだ!!
おれは唇を噛み締めた。
しかし、最悪の事態を迎えることはなかった。
百獣海賊団で開発されたという薬を投与してもらったら、治らないと言われていたのが嘘のようにギムレットの熱は引き、すっかり元気になったんだ。
おれとルシアンは涙ながらに、その薬を運んで来てくれたレオヴァに礼を言った。
どんなお返しをすればいいかと迫るルシアンとおれにレオヴァは微笑みながら口を開いた。
『薬の1つや2つ、気にしないでくれ。
それよりもギムレットが無事で良かった。』
と、優しい声色で言うのだ。
おれとルシアンは心から感激し、感謝した。
ギムレットはおれ達の愛の結晶、代わりのない唯一の宝だ。
レオヴァ……あいつは最高にイイ男だ。
おれにとっても、ルシアンにとっても。
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ー後日談ー
ルシアンの住む街にある百獣海賊団の守備拠点。
そこにセニョールはワイン片手にやって来ていた。
本来の仕事であったレオヴァとの新しい商談の仮日程を決め終え、セニョールは土産に持って来ていた高級ワインのボトルを空ける。
そしていつものように2人で飲んでいると、程よく酔いが回ったセニョールは最近の悩みを吐き出していた。
「…ってことがあってな。
おれはギムレットの親父として相応しくねぇのかもな……なんて、ハハハ。
いや、情けねぇ話をして悪かった。
子育てなんて初めてだからよ、なにが正解か分からなくなってたんだ。」
珍しく弱気なセニョールのグラスにレオヴァはワインを注ぐ。
「そりゃあ、誰だって最初は分からない事だらけだろう。
だが、おれからすればピンクは良い父親だと思うぞ。」
「おれが、良い父親?……海賊でもか?」
「あぁ、海賊でもだ。」
言いきったレオヴァの顔をセニョールは仰いだ。
「……なぁ、ピンク。
この世に何人親から愛される子どもがいると思う?
親が子を選べぬように、子も親を選べねェ。
そんな世界で、忙しい中時間を作って側に居てくれて……愛をくれる父親は得難いモンだ…そう、なによりもな。
望んで手に入れられるモンじゃねェ……そう考えればギムレットは幸せだろう。
お前とルシアン、両親から愛されているんだからな。」
そう言うレオヴァの事は真剣なものだった。
心からそう思っているような言葉に、セニョールは僅かに表情を明るくする。
「…そうか……ギムレットが幸せだと思ってくれてたらこれ以上に嬉しいことはねぇな。」
「あぁ、きっと思ってるさ。
……おれはな、ピンク。
子どもにとって重要なのは父親が世間からどう思われてるのか、地位や金があるかどうかじゃなく。
側にいて、自分を愛してくれるかどうか……だと思ってる。
そりゃあ、生きる為に最低限の財は必要なのは間違いない。
だが、いくら金があろうとも地位があろうとも……愛してくれない父親は子どもを歪ませるだけだ。
だからピンク、お前は立派な父親だ。」
微笑みながらまっすぐセニョールを見て、レオヴァは告げた。
その言葉に自信を貰ったのかセニョールはいつものように笑う。
「…ありがとうよ、レオヴァ。
ギムレットへの愛はルシアンにだって負けない自信があるんだぜ?
そう思えば……おれでも、ちゃんと親父を出来る気がしてきたよ。」
肩の荷が降りたと穏やかな声を出すセニョールを見て、レオヴァはワイングラスを傾ける。
「…おれはお前のそういう所が好きだ、ピンク。
ルシアンもギムレットも、きっとそんなお前が好きなんだろうな。」
「フッ……照れるぜ、レオヴァ。」
お互いに目を合わせ小さく笑うと、またワインに口を付けるのだった。
セニョール:自分と家族の恩人であるレオヴァに恩を感じているし、信用もしている。
ただあまりにもレオヴァとの仲が良いとたまに一部のファミリーから小言を言われている。
妻と息子を愛するダンディパパ。
ルシアン:海賊嫌いだったが百獣と出逢いそれが和らぐ。それでも海賊は怖いことには変わりない。
セニョールに怒ったのは海賊だったことではなく、嘘をついたこと。
ギムレット:パパとママ大好きな男の子。
父のセニョールやレオヴァ、ナワバリの百獣クルーを見て育ったので海賊に憧れている。(セニョールは海賊になるのは反対中)
レオヴァ:本当にたまたま手に入れたナワバリで、セニョール達と出会った。
最初に助けたのは百獣の印象を良くする為だったが、その後はドンキホーテファミリーとの繋がりの為に何かと世話を焼いた。
その後、ギムレットと接するセニョールを見て思う所があったのか少し素を見せ始めた。
ギムレットが病気になったと聞き、仕事をクイーンに任せて飛んで来た。
自分でも何故そこまでしたのか分からず困惑していたが、結果的にセニョールからの信頼を更に強固なものに出来たのだから良いだろうと結論付ける。
ドレーク:入団直後の研修中にこの街に来ていた。
まだモジモジしていた頃。