※この話はもしもの世界線なので本編とは繋がっておりません。
こんな世界線もあったかも…?みたいな世界だと思っていただければ!(パラレルワールド軸)
※俺がカイドウの息子?世界線なのでテゾーロがゴルゴルじゃないです!推しの方はご注意ください。
この話の時間軸はマリンフォード編から1年くらいと思っていただければ…
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まるで最高級スイートルームの様な一室。
そのチリ1つない机の上にいる電伝虫に受話器を戻すと、派手なスーツに身を包んでいた男。
テゾーロは深い溜め息を吐く。
ほんの数秒前まで会話していた相手はさらっと爆弾発言をしていったのだ。
『…と、言う訳で3週間後に父さん達と顔を出しに行かせてもらう。
テゾーロも忙しいだろうから接待は無しで構わない、あまり気を使わないでくれ。
ただ、極秘にしてもらえると助かる。』
そう普段よりも上機嫌な声色で言って来た相手の名はレオヴァ。
あの百獣海賊団の総督補佐官であり、ワノ国の王である。
そんな相手から接待はいらないと言われて、はいそうですか、と終われる筈もない。
挙句の果てに四皇であり、あの最強生物と名高い“百獣のカイドウ”まで連れてくると言うではないか。
『そんな化け物をカジノに連れてくるな!!』と喉まで出かかった言葉を飲み込んだテゾーロは褒められるべきだろう。
「レオヴァだけでも、あの
苛立ちを吐き捨てるとテゾーロはソファーに深く腰掛け直し、ワインを煽った。
レオヴァとテゾーロ、この二人の出会いは数年前に遡る。
テゾーロは非能力者でありながら、巧みな話術と鋭い観察眼。
そして、人々を沸かせるエンターテイナーの素質をこれでもかと生かし裏の世界でも少しずつ有名になっていった。
そうして満を持してカジノを開いたテゾーロはドフラミンゴと出会い、手を組むことにした。
裏の世界でも顔が利くドンキホーテファミリーのネームバリューを利用したいというテゾーロと、儲かる可能性が高く情報も手に入りやすい発展途上のカジノに恩を売りたいというドフラミンゴ。
この二人の思惑が上手く合致したのだ。
こうしてドフラミンゴの協力もありグラン・テゾーロはまた規模を大きくしていった。
その後もブローカー同士としての打算的な交流を続けていた時、ドフラミンゴからレオヴァを紹介しようかと提案されたのである。
しかし正直、テゾーロとしては乗り気ではなかった。
相手は四皇の息子。
それも病弱やら非戦闘員、中には龍の失敗作という噂まである男だ。
ただの低能相手なら巻き上げるのは簡単だが、四皇という後ろ楯のある道楽息子の相手などリスクが高いだけでリターンがない、とテゾーロは考えていたのだ。
だが、テゾーロは世渡りの天才である。
直接的に言葉にはせずにやんわりと断る方向に持っていった。
けれどもドフラミンゴの話を聞くうちに気が変わったのだ。
この男にここまで言わせるのなら、レオヴァという男は無能ではないのではないか?
寧ろ有能な取り引き相手になり得るのでは?
と、いうような気持ちが湧いてきたのである。
テゾーロはドフラミンゴを
だからこそ、噂よりもドフラミンゴの話を優先的に取り入れた。
そんな経緯の
レオヴァと出会い、取り引きを通じてテゾーロは様々な物を手に入れた。
その中でも一番と言えるのは、船上都市と呼ばれるグラン・テゾーロだろう。
1つの場所ではなく色んな場所でカジノを開けるようにしたいと言うテゾーロの話を聞いたレオヴァは
『なら、カジノ自体を移動式に変えればいい。
そうすれば面倒な政府への対応も楽になるし、客も増やせるんじゃないか?』
と、事もなさげに言ったのだ。
その言葉にテゾーロはそれが出来れば苦労はないと笑ったのだが、次に会った時にレオヴァは設計図を持参して来た。
事細かに設計されている船の構造やカジノに、希少な資材や初めて聞く道具。
全てにテゾーロは驚かされた。
その後、レオヴァから事細かに設計の話を聞き、自分の要望を出してテゾーロは都市と言えるような船を手に入れたのである。
それ以来、更にレオヴァとの親睦を深めていったテゾーロだったが、今日ほどそれを後悔した日はない。
こうなると今までのレオヴァとの取り引きが全て順調過ぎたツケでも回ってきたのか、と思いたくなるほどだ。
本当に、心の底から“百獣のカイドウ”と言う男の訪問は最悪の2文字に尽きる。
今まで積み上げて来た全て。
それがこのグラン・テゾーロだ。
だが、それも四皇である百獣のカイドウの逆鱗に触れれば一晩で海に沈むだろう。
まだ上を目指す為に絶対に必要なこの場所を失う訳にはいかない。
このグラン・テゾーロ始まって以来の最大の危機を前に、またワインを呷りテゾーロは低く唸るのだった。
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「グラン・テゾーロに行くぞ、レオヴァ!!」
それは鬼ヶ島にて何の前触れもなく、突然なカイドウの一声で決定した。
その脇では唐突過ぎるぜ…とクイーンが頭を抱え、幹部達は我こそがお付きに!と瞳を燃やしていた。
そんな突拍子もないカイドウの発言には理由がある。
それは可愛がっている息子がドフラミンゴという男とグラン・テゾーロという、カジノ兼テーマパークに行ったと言う話を聞いたのが切っ掛けだった。
カジノなんて若い頃以来行ってねェなァ…と、物思いに
そう、カイドウはレオヴァとテーマパークと言うものに行った事がない。
連れて行ってやる場所と言えば海軍基地や敵対勢力の根城と言ったような“戦場”ばかりである。
しかし、それでもレオヴァはいつも楽しそうにしていた。
何処へ行こうと何をしても
『父さんと一緒にいられるのが、おれは一番楽しい。』と言って上機嫌に横に並んでいる記憶しかカイドウにはない。
だが、最近ドレークやローが部下達と
更には今度はレオヴァを誘って行こうと言うではないか。
カイドウが知る限り、レオヴァが“仕事以外”でテーマパークに行ったという話は聞いたことがない。
ならば!
レオヴァの初めてのテーマパークはこのおれと一緒であるべきだ!!
…という極端な思考に至ったカイドウはその日の夜、すぐに行動に移したのであった。
しかし、何故グラン・テゾーロなのか。
それはカイドウなりにレオヴァはもう幼い子どもではないと理解しており、大人でも楽しめる場所……ならばドフラミンゴの野郎と行った場所でも構わねェか!という“大人な”配慮なのである。
一方、あの発言から日を跨いだ頃。
そんなカイドウの思考回路など知るよしもなく、レオヴァは内心で
久々に休日に父さんと出掛けられる!
それだけでレオヴァの機嫌は急上昇し、仕事の効率も上がっている。
更に同じ頃、とある会議室には幹部達が集められていた。
「よォ~し、いいかテメェら!!
今からくじ引きでカイドウさんとレオヴァの休暇遠征の護衛を決めるぜ!!!気合い入れて引けよ~!?」
ノリノリで巨大な箱を手にしたクイーンの言葉にその場に集められていたキング、ロー、ドレーク、スレイマン、フーズ・フー、ササキの6人は各々の反応を示す。
まず、ローがクイーンの持っているくじ引きの箱を指した。
「そのくじ引きの作成者は?
言っておくがこの中にいる誰かの場合は作り直さねェと細工されてる可能性がある。」
「細工ゥ!?
くじ引き1つでンな面倒くせェことする野郎いるかよ!?!
……あ、いやいるか。」
「オイ、何こっち見てんだ脳ミソ豆粒野郎。
目玉を潰されてェのかァ…?」
ローの言葉に突っ込んでいたかと思うと、キングを振り返ったクイーンの行動でこの場に殺気が漂い始めた。
しかし、クイーンはくじ引きの箱を地面に置くと口を開く。
「誰が脳ミソ豆粒だ!?おれ様の脳ミソと比べたらアホキング、テメェなんてミジンコだわ!!!
はぁ~~!本ッ当テメェらと話してるとイラつくぜェ……ま、だがそこらへんは安心しろよ。
これ作ったのホーキンスの野郎だからな。」
「ホーキンスが?
成る程、奴なら安心だな。」
少し安堵したような顔で呟いたドレークに続けてフーズ・フーが笑いながら言葉を続ける。
「ハッ、そこのデブ……クイーンが作ったなんて言われた日にはすぐにでも作り直しになってる所だぜ。」
「ムハハハハ~!!言い直せば許されると思ってんのかァ?仮面クソ野郎、いっぺん死んでみるかァ~!!!」
何処からともなく武器を取り出したクイーンを鼻で笑うとキングも便乗して口を開く。
「テメェは日頃の行いだろ。
言われたくなきゃ真面目に働いて痩せろ風船野郎。
それともおれが斬ってその無駄に腹にたまってる汁粉を抜いてやろうか?」
「よし、テメェら全員死刑!!!」
構えていた武器をクイーンがキングに向けた瞬間だった。
部屋の扉が遠慮なく開かれ、バレットが入って来たのだ。
そして、武器を構えているクイーンを見ると眉間に皺を寄せた。
「おい、何を遊んでる。
レオヴァから休暇遠征のメンバーを聞いてこいと言われたってのに……この様子じゃまだか。
貴様らが早く決めねェとレオヴァの野郎の仕事が長引くだろうが。」
何をたらたらやっているんだと言いたげなバレットの顔にクイーンとキングが眉間に青筋を浮かべていると、スレイマンが口を開いた。
「…バレットの言うことも一理ある。
手早く護衛メンバーを決め、レオヴァ様の執務がこれ以上滞らぬ様にするべきだ。」
スレイマンの言葉でバレットへの暴言を飲み込んだ数名はくじ引きに向き直ったのだが、誰から引くのかでまた睨み合いが始まってしまう。
数分ほど揉めた所でバレットが我慢の限界を超えて怒鳴りながら正論を叩き付けたことで、無事じゃんけんにて順番が決められた。
そうして何とかくじを引き終え、全員でいざ開封。
護衛の枠は3名である。
約1名、クイーンを除き皆が緊張の面持ちで紙を開いた。
「ッ~!よし、引き当てたぞ!!!」
「…フッ、まぁ当たり前だな。」
「当然の結果だ。
…ベポも連れて行っていいんだよな?」
「クソォ~!!
カイドウさんとレオヴァさんとカジノとかスゲェ楽しそうじゃねェかよ、羨ましい!」
「なっ!?……カイドウ様、レオヴァ様…」
「チッ……」
「危ねェ~!
レオヴァだけならまだしも、あの二人揃うとやべぇからなァ。
なんとか回避出来たぜ!!」
ドレーク、フーズ・フー、ローが勝ち誇ったように声を溢す横ではササキは悔しげにぼやき、スレイマンは膝から崩れ落ち、キングは忌々しげに引き当てた三人を睨んでいた。
そんな中、一人助かった!と喜ぶクイーンはバレットを振り返る。
「つーわけで、今回はドレーク、仮面野郎、クソガキの三人だ。
レオヴァにちゃんと伝えろよ!!」
「…言われずともだ。」
クイーンに短く返すと混沌と化している部屋からバレットはさっさと抜け出すのであった。
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ギラギラと主張の激しい港に停められた巨大な船に掲げられた旗を見て、カジノに来ていた人々は一気に距離を取っていく。
そんな中、1人船の近くで笑みを崩さず佇んでいる女性の名はバカラ。
このグラン・テゾーロのオーナーであるテゾーロからVIP専用の案内人を任されているルビー色の髪が印象的な絶世の美女である。
大勢の人で賑わっていた港は、まるで百獣海賊団の船の周りだけ別世界のように
船から巨大な足場が降りてくるとドスンと音を立てながら勇ましい男が黄金の港に降り立つ。
真っ白な編み上げシャツに黒のパイレーツジャケットを肩にかけ、港を軽く一瞥した男の名はカイドウ。
この広い海で知らない者などいない大海賊団を統べる男であり、最も恐れられている海賊と言っても過言ではない。
そして続くようにその横に並んだ男はカイドウと同じく白の編み上げシャツにロイヤルパープル色のファーコートを羽織っていた。
彼の名はレオヴァ。
このカイドウの実子であり、総督補佐官を務めている。
近年では
更にそんなカイドウとレオヴァの少し後ろに控えるように並んで立っている3人の男がいる。
右端の男はオレンジの髪を普段とは違いオールバックにしており、ブラウンのスーツに同色の柄ベストを合わせ、しっかりとネクタイを締めていた。
上に着ているナポレオンコートは彼の厳格さを引き立てている。
続いて中央の男は真っ赤な仮面を被り、黒いスーツの上にワインレッドのロングコートを着ていた。
ネクタイは着けておらず、開いた胸元からはタトゥーが覗いている様は彼のエキゾチックな魅力を引き立てている。
最後の左端の男は黒い髪とは正反対のホワイト系でまとめられたカジュアルスーツを着こなしており、肩にはブラックのチェスターコートをかけていた。
鋭い目付きと対比になっている爽やかなスーツの着こなしは洗練されている。
加えてこの3人には共通点があった。
それはそれぞれが着ているコートに百獣海賊団の海賊旗がモチーフにされているラペルピンがついていることだ。
男3人が周りを軽く見回しているとレオヴァが振り返る。
「ドリィ、フーズ・フー、ロー。
3人とも良く似合ってるぞ。」
そう言って笑うレオヴァに3人の男。
ドレークとフーズ・フー、ローは小さく笑って礼を返した。
穏やかなやり取りをしているレオヴァを眺めてカイドウは微かに目を細めると一歩前に踏み出す。
カイドウが歩みを進める雰囲気を察したレオヴァ達も前へと一歩を踏み出すと、その光景に一瞬圧倒されていたバカラが側へと近付いて来た。
「ようこそ、百獣海賊団総督カイドウ様。
微笑みを浮かべながらカイドウのすぐ側まで来たバカラを警戒するようにフーズ・フーは2人の間に立つと、睨みを利かせる。
「おい、それ以上近付くな。
テメェのことは
仮面越しでも分かるほどギロリと睨んでくるフーズ・フーに内心で冷や汗を流しながらも、微笑みを絶やさず向き直ると、突然周りがザワザワと騒がしさを増した。
何事かとドレークとフーズ・フー、ローの三人がバカラの後方へ目を向けるとそこには
微かに驚いたような顔をするバカラの少し前に来るとテゾーロは立ち止まりニコリと笑みを浮かべながら軽く会釈をする。
「ようこそ、いらっしゃいました!
カイドウ様方にお会い出来て光栄です。
……それとバカラの能力についてはレオヴァも昔から認知している事だ。
そのように警戒なさる必要はないかと思うがね?」
カイドウに挨拶を終えると相変わらずの笑みを浮かべたままフーズ・フーにテゾーロは言葉を返した。
フーズ・フーが確認するように後ろを振り返ると、レオヴァが軽く頷いて返す。
その光景を見て、テゾーロは笑みを浮かべたまま少しオーバーにリアクションを取り、口を開いた。
「まぁ、もしレオヴァが知らなかったとしても。
カイドウ様とレオヴァ…この御二方ならばバカラの能力は簡単に
ま、私は御二人にそんな命知らずな真似をしろなど部下に指示を出したりはいたしませんがね。」
「………」
無言でテゾーロを見るフーズ・フーの横にレオヴァは並ぶとにこやかに言葉を返す。
「それもそうだな。
バカラはとても優秀だが、覇気はおれ達の方が得意なのは間違いない。」
「そう!
レオヴァに覇気で勝てる者など今のグラン・テゾーロには存在しないだろうさ!!」
「謙遜は止せテゾーロ、お前も強いだろう。
…それに父さんがいる。」
レオヴァがカイドウを仰ぐと、笑い声が降って来た。
「ウォロロロロ!!
それくらいにしとけレオヴァ、組手がしたくなっちまうだろォ!?
それよりさっさと行こうじゃねェか、カジノに!」
そんなカイドウの言葉にレオヴァは頷くと、バカラが用意させていた特注のカメ
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ホットシェル。
それはカメ
このレースに勝てば参加費が10倍になり返ってくるという新しい形のギャンブルなのだ。
他ではあまり見れぬ種類のギャンブルを専用の特等席から映像電伝虫を通じて眺める男、カイドウは少し拗ねたような声を出す。
「なんだって
ウチじゃ逆に珍しいぜ、あんなミニカーはよォ。」
ぼやきながら酒を呷るカイドウの隣のソファーに腰かけているドレークとローは苦笑いを溢す。
「カメ車が小せぇってよりカイドウさんがデカイんだと思うけどな…
レオヴァさんもギリギリだったし。」
「ウチはカイドウさん達が基準で作られてるものが多いからな。
しかし、レオヴァさんとフーズ・フーが参加してるんだ……楽しみだなカイドウさん!」
「ったく、おれがレオヴァと出るつもりだったってのに…
だが、よくよく考えりゃあ…見る側ってのも悪くねェ!!
ドレーク、ロー!テメェらも飲んで楽しめ!!」
そう言うとドレークとローの二人に無理やり酒を持たせ、またカイドウはモニターへと視線を戻した。
一方その頃。
会場ではレオヴァとフーズ・フーがカメ
「改造済みのカメ車だらけのレースで無改造の借り物で出るなんて、正気か?レオヴァさん。」
煙草を咥えながら片手でハンドルを握り、少し呆れたような声色で言うフーズ・フーにレオヴァは笑いながら返す。
「ふふふ、分かりきったレースなんざ面白いか?
父さんが見てるんだ、少しくらいおれ達がハンデを背負っていた方が楽しんでくれるさ。」
「…っとに、アンタのその自信は相変わらずだな。」
「フーズ・フーとおれの二人で挑んで、負ける要素があるか?
お前の運転はワイルド過ぎる節があるが、レースとなればそれが活きる。
何より
たまには海賊らしく…楽しもうじゃねェか。」
「ハハハ!ま、それもそうか。
レオヴァさんがいりゃあ、おれも負ける気がしねェよ。」
咥え短くなっていたタバコを胸ポケットから出した携帯灰皿に慣れた手つきでしまうと、フーズ・フーはニヤリと口角を上げてみせた。
ゴールラインにぴったりと停めると、客席もコースも全てがギラギラと光る世界が二人の目前に現れる。
司会が会場を更に盛り上げながら出場者の紹介をして行き、遂にレースが始まった。
計6台のカメ
他の参加者達が百獣海賊団でも自分達の速度には付いて来られないか、としてやったり顔になる。
映像を眺める人々も、これは厳しいレースだなと大海賊の苦戦に盛り上がりを見せる。
そんな中、ホットシェル鑑賞用VIPルームでレースを眺めていたカイドウとドレーク、ローの三人は楽しげに笑っていた。
「ウォロロロロ!!
レオヴァの奴、わざと最後尾を陣取ってやがるなァ?」
「確かに序盤は先頭車両のゴタゴタに巻き込まれない方が有利か…」
「レオヴァさんにしちゃ保守的じゃねェか?」
成る程と頷くドレークと、不思議そうに首を傾げるローにカイドウが得意げに声をかける。
「おいおい!ロー、ドレーク!
レオヴァがンな守りだけに徹すると思うかァ…おれの息子だぜ?」
カイドウの言葉に確かにと微かに目を見開いたドレークとローは再びモニターへ顔を向けた。
「見とけお前ら、レオヴァなら絶対この局面で一発ぶちかます。」
カイドウ達が会話していた頃。
レースに参加しているレオヴァとフーズ・フーも言葉を交わしていた。
「んで、レオヴァさんよォ。
指示通り最後尾を走ってるワケだが……どうすンだ?」
前方の戦闘の流れ弾を巧みなハンドル捌きで
「何でもありが醍醐味のレースだ。
少しばかり
声色からレオヴァが悪巧みをしている時の気配を察し、フーズ・フーは愉しげに笑う。
「そりゃ楽しみだ。
おれへの指示はあるか、レオヴァさん?」
「そうだな……障害物が転がって来るだろうから上手く避けてくれればいい。」
「了解。」
短い返事を聞くとレオヴァが手を上へ翳す。
すると先ほどまで星が輝いていた夜空に雲が立ち込めて来た。
突然の天候の変化に司会が疑問を吐き出した瞬間。
レオヴァの手を下ろす仕草に合わせたように、前を走っていた1台のカメ車に雷が落ちる。
ただでさえ乱戦だった中央のカメ車が鉄の塊になりスリップしたことで近くを走っていた2台のカメ車と衝突してしまった。
グルグルと回転しながら此方へ迫ってくるカメ車やまるで岩のように転がってくるカメ車をフーズ・フーは危なげなくハンドルをコントロールし避けて見せる。
その障害物にかする素振りもなく3台を抜かし、前を走るトップに並んだ百獣海賊団のカメ車を見て会場は大いに盛り上がった。
余裕の表情で1位と同列をキープするとフーズ・フーは軽くレオヴァの方を見て笑う。
「一発で3台もかよ、流石だぜレオヴァさん。」
「いや、流石と言うべきはフーズ・フーだろう。
狭いコース内で全て上手く避けたなァ。
おれなら正面へ電磁波でもぶつけて無理やり進むしか出来なかった。」
「いや、それは力業過ぎるだろ!?」
「そうか?
フーズ・フーのテクニックが凄いだけじゃねェのか?」
「…天性の脳筋だぜ、アンタとカイドウさんは。」
溜め息を吐きながらも楽しそうに運転するフーズ・フーにレオヴァも嬉しげに笑い返すと、隣を走っていたカメ車が改造した大砲を向けて来る。
同時に後方からも攻撃の気配を感じてレオヴァが動こうとした時だった。
「座っててくれよ、レオヴァさん。
アンタにばっかり処理させたとあっちゃ、カイドウさんに怒られちまう。」
「なら、任せるぞ。フーズ・フー。」
「あぁ、しっかり座っててくれよレオヴァさん。
ちょっとばかし…揺れるぜ?」
言い終えると同時にフーズ・フーがハンドルを勢い良くきる。
すると隣に並んでいるもはや戦車のようなカメ車に向かってレオヴァ達のカメ車が突撃していく。
その突然の方向転換のせいでこちらへ向かって放たれた砲弾は
悔しげに顔をしかめた砲撃者の乗るカメ車の横に車体をスレスレまで近付けると、相手はこちらを潰そうと右へハンドルをきって来た。
その瞬間を待っていたのだとばかりにフーズ・フーはアクセルを踏み、わざと少し車体の後方を当てさせる。
目標がいなくなったせいで右に寄りすぎた戦車さながらのカメ車は、後方で百獣を狙っていた奴らの鉄球を食らい完全にバランスを崩し、ガードレールを破りながら高架下へと落ちて行った。
一方でわざと少し車体を当てさせたフーズ・フーはその衝撃を利用して半回転し、慣れたてつきでギアをリバースへ切り替えるとそのままバックの状態でゴールへ進み始めた。
なんとかデカい戦車モドキのカメ車を避けてコースを進む後方のカメ車は、何故奴らはバックで走っているんだ、と驚き目を見開くとフーズ・フーはハンドルを片手で握り笑った。
「あばよ……“
避ける間もなくドライバーが撃ち抜かれたことで最後に残っていた後方のカメ車は制御不能になり、速度を落として行く。
それを確認すると、またフーズ・フーはハンドルをきりギアをドライブへ戻す。
バック走行から通常に戻ったカメ車はそのまま目前に迫っていたゴールへと走り抜けた。
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見事、レースで優勝を果たしたレオヴァとフーズ・フーは上機嫌なカイドウから良くやったと労りの言葉を貰い。
次の場所へと足を運んでいた。
そこでは鉄の網に囲まれたリング場の中で体格の良い男達が戦い。
どちらが勝つかを予想するという種類のギャンブルが
しかし、それでは退屈だと言うカイドウの言葉でこの日1日だけの特別ルールが儲けられた。
内容はシンプル。
ただカイドウが自分の部下を1人出し、グラン・テゾーロに雇われている者や飛び入りの挑戦者が戦い。
部下が勝てば掛け金はカイドウに。
相手が勝てば百獣海賊団から大金を支払うというものだ。
更に百獣海賊団側は武器を使用せず、出るのは1人のみ。
けれど相手側は武器も人数も好きにして良いという極端に相手に有利な内容であった。
ギルドオーナーであるテゾーロの承諾もあり、このルールならば一攫千金を狙えるのではないか?と企んだ挑戦者が何百と集まった為、早速試合が開始される運びとなった。
「ウォロロロロ!
ドレーク、ウチの“戦力”ってヤツを馬鹿共に教えてやってこい!!」
「あぁ、見ていてくれカイドウさん!レオヴァさん!」
ウチの幹部が負ける筈がないと自信たっぷりに笑うカイドウの言葉に嬉しそうに返事を返し、ドレークはステージへ向かうと顔を引き締める。
司会者の熱気を煽るようなトークが終わり、歓声と共にゴングが鳴らされた。
一番初めの相手は銃を構えた5人組であった。
素手のドレークから目一杯に距離を取り、開始と同時に発砲してくる。
これは流石に挑戦者の勝ちか!?そう観客達がゴクリと息を飲み込むより早く、ドレークは自分目掛けて飛んで来た弾を武装色で覆った手で掴み取る。
突然、放たれた弾が消えたことに理解が追い付かない周りを気にすることなく、ドレークは掴んだ弾を軽く握り直す。
「この弾は返そう。」
ドレークの手から離れた弾はまっすぐに5人組へと飛んで行く。
同時に上がった悲鳴に観客が混乱していると、凛とした声が響く。
「急所は外してある。
どうする?まだ続けるのなら相手はするが……
肩や太股を押さえている銃を構えていた男達は、顔を青くしながら首を横に降った。
「「「「こ、降参だ!!」」」」
揃った声に司会者が挑戦者の敗けを宣言すると、会場がまた沸き上がる。
「なぁ、なんだよあれ!?スゲェな!!」
「素手で弾丸掴む野郎なんざ、初めて見たぜ!」
「ほっほっほっ!これは普段は見れぬ良い見せ物ですなぁ。」
「ありゃ、手配書と違う髪型だがX・ドレークじゃねェかよ!?」
「これに勝てる奴いたら盛り上がるぜ!!」
ザワザワと騒がしくなって来た観客席には目もくれず、ドレークは正面の頭上にある特別席がある部屋へ目を向ける。
すると満足そうに頷くカイドウと軽く手を振っているレオヴァが見え、ニヤけそうになる口元を引き締めた。
(カイドウさんとレオヴァさんが見てくれている。
…絶対に格好の悪い所は見せられん!!)
張り切るドレークを他所に、挑戦者としてエントリーしていた者達の中には既に諦めたような雰囲気の者も少なくなかった。
だが、そんな状況でも意気揚々とリングへ足を踏み入れる男達がいた。
1人2人、3人4人…とどんどん入って来る。
終いには100人以上になった所で観客席からは思わず
『いや、多すぎるだろ!?』という突っ込みが入った。
しかし、彼らは何人でも良いってルールだろうが!と叫ぶとそのまま開始のゴングを迫る。
彼らの気迫にゴング係は申し訳なさそうな顔でチラッとドレークを見た後、いつものように音を響かせた。
鳴り響いたゴングと同時に約100人の野郎共がドレークへ向かって武器片手に襲い掛かってくる。
もはやリンチと化した試合に観客が何とも言えぬ声を盛らしていたが、すぐに状況は一変した。
襲い来る屈強な男達を上品なスーツ姿のドレークがちぎっては投げ、ちぎっては投げと簡単に処理して行くではないか。
ある意味少しシュールな光景に呆気にとられていたのは数秒ほど。
すぐにそれは歓声に変わり、ドレークがひとり、またひとりと投げ飛ばす度に客席は盛り上がった。
あっという間に100人ほどを
圧倒的な実力差に、司会は笑みを引き吊らせながら次の挑戦者の名を呼ぶのだった。
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あれから挑戦者数百名に実力の差と現実を叩き付けたドレークはカイドウとレオヴァから褒められ、ほくほく顔で護衛任務を続行していた。
そうしてカジノ内を周りながら、次に選ばれたゲームは“クラップス”だった。
このゲームは2つのサイコロを使うゲームであり、プレイヤーが自らサイコロを振れるという珍しいルールが特徴的だ。
サイコロの出目で7または11が出れば投げ手の勝ち。
逆に2、3、12が出ると負けとなり、それ以外の数字が出た場合は投げ手を交代して続行という単純明快なルールである。
そんなクラップスの台に座ったのは斑柄のモノクロ帽子が印象的な男、トラファルガー・ローだった。
座席に座りディーラーから説明を受けているローに、VIP席からフーズ・フーが専用のスピーカーでヤジを飛ばす。
「お前、賭け事なんざやらねェだろ。
カモられてカイドウさんとレオヴァさんに恥かかせるなよ?」
「うるせぇ。
カイドウさんとレオヴァさんの面子潰すような真似しねェよ。」
子機のスピーカー越しでも分かるほどからかうような声色のフーズ・フーを横目で睨むとローの手元にサイコロが運ばれて来る。
ローはそのサイコロを少し観察し、軽く手の中で転がすとボードの上へと放った。
コロコロと転がって行くとボードの角に当たりサイコロが止まる。
出た目は3と5、合計8である。
「では、次は私が投げさせて頂きます。」
そう言ってにこやかにサイコロを手に取るとディーラーは手慣れたように綺麗に転がしていく。
カラコロと音を立てながらボードの上を跳ねたサイコロが止まり、周りからは歓声が上がった。
「おぉ!まさか一回で“11”が出るとは!!
それではまず、私の一勝とさせて頂きます。
このグラン・テゾーロでは10ゲームでワンセットとさせて頂きますので、1度にいくら賭けるのかの計算をお間違いないようお願い致します。」
明るい声を上げて喜ぶとディーラーはローの賭けていたチップを慣れた手つきで回収して行く。
そのローの姿に言わんこっちゃないと頭を抱えるフーズ・フーと心配そうな顔をするドレークの後ろのソファーで並んで座っているカイドウとレオヴァには焦る様子はない。
「ローには1億ベリーしか渡してねェんだ。
勝っても負けても良い経験になるだろォ?」
「いや、カイドウさん……1億ベリーはかなりの大金なんだが…」
構わねェと言いながら酒を飲むカイドウへ思わず突っ込んだドレークにレオヴァが笑いかける。
「そう心配そうな顔をしてやるな、ドリィ。
1億なら数日で稼げるし、父さんなら今日勝って終いの額だろう。
それに、ローは
「ローの奴ァ、昔から頭も良く回りやがる!
てめぇらも信じてドンと構えてやれ!ウォロロロロ!!」
呑気なカイドウとレオヴァの笑い声に二人は大人しく頷くとまた部屋のガラス越しに見えるローへ目を向けるのだった。
あれから既に5ゲームが終了しており
ディーラーが4勝、ローが1勝と苦戦を強いられていた。
しかし、6ゲーム目7ゲーム目とローは連勝を納め、次の8ゲーム目。
ディーラーのターンから始まり、出目は3と2で合計5となり、ローが投げ手となる。
サイコロを掴むと軽く手の中で転がし、ローは指で軽く握りそのままボードの端に当たるように放った。
二つのサイコロは軽く跳ねると直ぐに止まる。
出目は4と3で合計7、ローの勝ちである。
6、7、8ゲームと前半の負けを取り返すように連勝するローに周りにいたギャラリー達が大きな盛り上りを見せる。
ディーラーとローは現時点で互いに4勝4敗。
そして、残りのゲーム数は2ゲームだ。
相変わらずのポーカーフェイスで薄く笑みを浮かべているローとは対照的にディーラーは内心焦っていた。
前半で手に入れたローの賭け金は今ので全て回収されてしまったどころか、1000万ベリーほど勝ち越されてしまった。
しかし、顔色は優れないディーラーだが諦めの色はない。
「流石、お強いですね!
では、次の
ニコリと笑みを張り付け、身振り手振りを交ぜながらローへサイコロを手渡す。
そして、投げるローを尻目にどうするかと戦略を立て直そうとしていたディーラーの目が驚きに見開かれた。
ローの投げた9ゲーム目のサイコロの出目はまたもや4と3、
5連勝目を掴み取ったローは怪しげに笑みを深めながらディーラーにサイコロを投げ渡す。
「やっとおれにもツキが回ってきたみてェだな。
賭け金の5000万ベリーは貰うぜ。」
投げ渡されたサイコロを受け止めたディーラーの表情が僅かに歪んだ。
「……お、お待ち下さい。
恐れながら…トラファルガー様はずっと3と4の目を出し続けていますが…少しばかり不自然ではありませんか?」
「さぁな、おれに言われても困る。
このダイスはそっちで用意されてるモンだろ。」
「はい……ですから、どの様な能力なのかをお聞きしたく…」
「へぇ?
それは要するに、おれが能力で
ゆったりとした動作で頬杖を付くと、こちらを真顔で見据えてくるローの迫力にディーラーは思わず言葉を失った。
決して殺気を向けられた訳でもなく、ドスの利いた声を出された訳でもない。
それでもローには強者の風格があった。
無意識のうちに手が震え始めたディーラーにローはまた薄く笑うと、元の姿勢に戻る。
「いいぜ。
疑うなら海楼石でも持ってこいよ。
おれとしてもイカサマで勝ってるなんて言われちゃ、百獣海賊団の幹部として立つ瀬がねェ。」
「……よろしい…のですか?」
絞り出したようなディーラーの声にローは大きく頷いた。
「あぁ、問題ねェ。
おれは正々堂々やって勝ちを手に入れてるに過ぎない。
それをお前に証明してやるだけだ。」
自信を滲ませるような笑みにギャラリー達が面白くなって来たと騒ぎ始める。
そして、ローの同意もあり海楼石の腕輪が用意された。
「おい、右じゃなくて左にしてくれ。
利き手が使えねェのは困る。」
特に焦った様子もなく、平然と海楼石の腕輪を受け入れる姿にディーラーの焦りは加速していく。
ローが連続で勝てる筈がない。
その確信がディーラーにはあった。
その理由は単純である。
このゲームに使われているサイコロに仕掛けがあるのだ。
いや、もっと正しく言うのなら。
実はローとディーラーの二人が使っているサイコロは共通のように見えて、二種類あったのだ。
ひとつはボードの磁石に反応するように作られていた為ある程度投げる方向で出目を操れるようになっており、もう一つは細工のないただのサイコロとして作られていたのである。
そのサイコロをディーラーは袖に隠し、長年培って来た巧みな手さばきと視線誘導で悟られぬように入れ替えていた。
その為、ローのあの出方は異常だとディーラーは言い切れたのだ。
けれどもイカサマの正体は分からない。
ディーラーの目から見てもローに不審な点はない。
そうなれば考えられる可能性はひとつ。
悪魔の実の能力だ。
そう、結論付けたディーラーだったがローに焦る様子がない事がただただ不気味であった。
海楼石の腕輪を付けられたローはカジノチェアに座り直すと、ゲームを再開するようにと目線をディーラーに向ける。
焦りと緊張が溢れだしそうになるディーラーがサイコロを握ろうとした時だった。
「おれはこのゲーム、1億ベリーかけるがお前は?」
「いっ!?1億っ!?
で、でしたら……」
頭で必死に適切な数字を考えるディーラーだが、ここで少なく出せば周りの客からの反感を買う。
しかし、大金を賭けてもし負けたら……
最悪の想像が脳裏を駆け巡る。
けれど、ここで場を白けさせてはそれこそカジノの評判を下げたとテゾーロからの罰が重くなると結論を出したディーラーは断腸の思いで口を開いた。
「私は8800万ベリーを…賭けさせていただきます!」
「そうか、今回で一番デカいゲームになるな。
最後の10ゲーム目はお前からだが…もしこれでおれが勝ったら落とし前は付けてもらうぞ。」
「…ぉ……落とし前、ですか…?」
声の震えを抑えられなくなって来ているディーラーに冷たい表情を向けると、ローは言葉を続けた。
「当たり前だろ。
これでおれが勝てばイカサマはしていない証明になる筈だ。
と、なれば…お前は大勢のギャラリーの前でおれを侮辱した事になるよなァ?」
極度の緊張感から唾を飲み込む音がやけに大きく鳴った。
ディーラーが言葉を返せずにいるとローは悪い笑みを浮かべて脚を組み直す。
「…ま、今回は遊びで来てるし今のは冗談だ。
ほら、この回はお前が
早く投げろよ。」
焦りが頂点に達したディーラーは言われるがままにサイコロを投げた。
出目は7と6で合計13、投げ手はローへと移り変わる。
最初の頃と比べて動きが鈍くなりながらも、ディーラーはすかさずサイコロを回収し、ローへ手渡した。
しっかりとサイコロを
ディーラーと周りのギャラリー達が息を飲む中、ローがサイコロを放る。
投げ出されたサイコロの出目はまたしても3と4だ。
合計7、ローの勝ちが確定した。
手持ちを倍よりも多く増やして、1億4800万ベリーの勝ちをもぎ取ったローに一斉に歓声が上がる。
億単位の大勝を前に興奮しきった様子の周りの人間を尻目に、ローはカイドウ達が待つVIPルームへと向かうのだった。
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クラップスというサイコロゲームでのローの大勝利の後もカイドウ達はカジノを存分に楽しんでいた。
レオヴァのポーカーでの連戦連勝具合も、カイドウの丁半で当て続ける規格外の運もドレークとフーズ・フー、ローにとっては日常の当たり前の“勝ち”であり、特に驚くような事はない。
その後、テゾーロの出ているショーを5人で見終えてホテルへと到着していた。
一番良い部屋を準備してあると言うテゾーロの好意を受け取り、カイドウ達は各々の部屋へと別れて行く。
しかし、解散後のカイドウの部屋がノックされる。
気配で誰なのかを察したカイドウが入れと声をかけると、レオヴァが部屋に入って来た。
「父さん、二人で飲まないか?」
そう言うと伺うように大きな酒瓶片手にこちらを見上げてくるレオヴァに、カイドウは勿論だと手招きをする。
途端に明るい表情になり、側に腰掛けたレオヴァにカイドウは穏やかな雰囲気のまま声をかけた。
「…レオヴァ、どうだった。
今日は楽しめたか?」
普段よりも心なしか柔らかい声にレオヴァは口元を緩め、微笑んだ。
「本当に楽しい1日だ、父さん。
また時間を作れたらこうやって……」
「あぁ、また出掛けるぞ。
レオヴァ達がいりゃあ、たまには戦場以外の場所も悪くねェもんだ。」
カイドウとレオヴァはお互いに顔を見合わせると、本当に楽しそうに笑い、共に酒を口にした。
ー補足+後書きー
・クラップス
最初の2ゲーム目でローは相手のイカサマを完全に把握。
その後、ボードの磁石の位置を微妙にずらしつつサイコロを入れ替えたり戻したりしてディーラーに悟らせないようにしていた。
最後は、海楼石を付けられるまえに完全にサイコロを入れ替えており
ローからプレッシャーをかけられたディーラーは僅かなサイコロの異変に気付けず、細工されている方のサイコロと入れ替えてからローに渡してしまった為に負けた。
正々堂々発言は完全な嘘。
ロー:相手が先にイカサマして来たのが悪ィ。
レオヴァさんも褒めてくれた。