ポケモンエンジョイ勢がレジェンズアルセウスの世界に迷い込んだようです。   作:つちのこ。

39 / 41
◇第37話 カミナギの予言

 

 

「ふぅむ...これは困ったことになったな...。」

「どうなさいましたか?」

「いやちょっとな...。」

 

 

 

1人の荘厳な男が玉座にて頭を抱えていた。男の目線の先にあるのは禍々しい紫色をした水晶。元より透明だったそれはなんの影響か禍々しくなってしまっていた。

 

 

 

「各地の王に集まってくれと至急伝えよ。...これは全員に伝えねばならぬ。」

「っ...かしこまりました。」

 

 

 

未だ水晶の中で渦巻く黒く、紫色の雲は不吉な前兆として諦めたような目をする王の目に留まったのだった。

 

 

 

───────────

 

 

「良くぞこの地に集まってくれた。感謝する。」

「とんでもない。カミナギ殿の言うことなれば集まらぬ訳にはいかぬ。」

「そうですわ。一国の王としてカミナギ殿の予言は助かっておりますもの。」

 

 

 

各地の首領が集まり、杯を掲げて乾杯する。皆の視線はこの場の実質的なトップであるカミナギ王と呼ばれる男に向けられていた。

 

 

「...悪しき予言が出た。」

「なんとっ!」

「...それは本当か?」

「っ...!」

 

 

 

先程までの歓談はその一言で止まり、シンとした空気が漂う。カミナギ王は目を閉じ、深呼吸をしてから口を開いた。

 

 

「...1年後、世界が滅びる。」

「は?」

「え...?」

「か、カミナギ、殿?お戯れは...」

 

「冗談なものかッ!!」

「「「「っ!!」」」」

 

 

 

ドンッと大きな机を叩き、ざわめいた場を沈める。

 

 

 

「...世界を崩壊させる敵の名は、ギラティナ。」

「ギラティナ...聞いたことがありませんね...。」

「それもそのはず。奴はこの次元にはいないからな。」

「どういう...?」

 

 

 

カミナギ王の体が震える。水晶玉を覗き込んだ彼だからこそギラティナの恐ろしさを知ったのだろう。そして、ギラティナの棲む()()()()を幻視した事がその恐怖をより煽っていた。

 

 

 

「ど、どうにかならないのですか...!?」

「そ、そうですわ!私たちにはポケモンがいるじゃない!」

「無理だ。ギラティナはポケモンの範疇を超えておる...。格が違うのだよ...。」

「だが、何もしない...というのも癪に障る。」

「そ、そうだ!そんな輩に我らの世界を壊させてたまるものか!!」

「しかし!...うぅむ...1年後か...。」

 

 

 

カミナギ王は楽観的に聞いている各地の首領達に苛立つも、たしかに何もせずただ世界が滅びるのを待つというのにも癪に障るようで腕を組んで思案する。

 

 

 

「───各地の強いポケモン共を捕獲せよ。」

 

 

 

後に神話となる人とポケモンの大戦争。その火蓋が切って落とされようとしていた。

 

 

 

─────────

 

 

 

「ゴゴゴッゴゴッ!!!」

「グルルルッッ!!」

「ガァァァッッ!!!」

 

 

「ふむ...これだけいればギラティナとやらもなんとかなるのでは無いか?」

 

 

「ピュゥイイイインッッ!!」

「サーナッ!!」

「ピカピーカッ!!」

 

 

「そうね。カミナギ殿の予言は百発百中...しかし、どうにもギラティナが強いとは思えないわ...。」

「ふん!お主の集めてきたポケモンは弱そうじゃがな。」

「なんですって!?」

 

 

「ゴガァァァッッ!!!」

「ゴボッッ!!」

「ギャァァァッッ!!!」

 

 

「兵士共!逃げられぬようしっかり檻を見張っておけ!」

「「「「はっ!」」」」

 

 

 

1年かけて集めた大量のポケモン達。しっかり調教師によって調教されているのか言うことは聞くものの、野生特有の荒い気性はなりを潜めていない。檻のそばに立つ兵士達はいつ暴れ出すか気が気でない様子だが、各国の王たちはそんな事など気にも留めていない。

 

 

──ピシッッ!!バキンッッ!!!

 

 

「っ!来たぞ...!」

 

 

 

突如としてひび割れた空に浮かぶ超巨大な黒い影。巨大な翼を持つ何かが見下ろしている。その巨体は実に1000mを超えているだろうか。ポケモンの範疇を超えたその黒い影に人やポケモン...その場にいる生物全てが恐怖する。

 

 

 

「き、来たかギラティナ...!」

「う、嘘でしょ...あんなに大きいの...?」

 

 

 

 

ギュイィィイイイッッ!!!

 

 

 

───ビリビリビリッッ...!!

 

 

 

叫ぶだけで矮小な人間達は尻餅をつき、か弱いポケモン達は萎縮して戦意喪失する。もはやこれは戦争ですらなかった。...弱者を痛ぶるだけの暴力だった。

 

 

ズドオオオオオオオオオンッッ!!!!

 

 

 

地に落ちる一筋の黒い光線。それはけたたましい音を立てて何千何万もの死者を出した。たった一度の攻撃で折れかかっていた人間やポケモンの心がポッキリと折れてしまった。

 

 

「...やはり駄目だったか。」

 

 

 

この戦争(一方的な)で逃げ延びた人間、ポケモンはたった僅か。黒い光線によって地殻変動が起き、バラバラとなった土地。その1つである後にヒスイと呼ばれる地にてカミナギ人達は寺院を立て、カンナギ王を祀った。

 

 

そしてその地の各場所に王より授かった予言を壁面に書き記したのだった。

 

 

 

「一度目は終わった。」

 

 

 

 

 

 

「数千年後。...二度目の厄災が起きるだろう。どうか...気づいてくれ...。」

 

 

 

 

かくしてカミナギ人は王より授かりし予言を未来の人間たちに託したのであった。

 

 

 

 




完全なるオリジナルストーリー()

この頃のギラティナさんは「破れた世界」に追いやられたばかりでめっちゃ力有り余ってます。今のギラティナさんよりも数百倍大きくて世界に干渉できるぐらいの力がありました。...という設定()

好きな御三家をどうぞ

  • ヒノアラシ
  • モクロー
  • ミジュマル

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。