ニーゴに入って数日、俺はサークルの曲を作るスケジュールを立てた。
なるべくキツ過ぎず、緩すぎないように調整をして
サークルの皆に提示したところ結構高評価だった。
そして、俺の歓迎会行われることになる日になった。
夏樹「えぇっと、財布も持ったし、出かける準備は大丈夫かな」
財布や携帯をカバンの中に入れて、
集合時間に間に合うように待ち合わせの時間の三十分くらい早く家を出た。
夏樹「皆はまだ来てなさそうだな」
待ち合わせの場所に着くとまだ誰も来ていないようだった。
周りを見てニーゴの皆を探していると、
紫髪でポニーテールにしている人が複数の男に絡まれていた。
というか、ニーゴの皆絡まれてるし…。
止めに行くために皆の元へ向かった。
奏「あの…すいません、待ち合わせている人がいるので…」
男「良いじゃん、来てないんでしょ?そんな奴放って俺らと遊ぼうぜ?」
絵名「しつこいわね!行かないって言ってるでしょ!」
男2「いいから来いって言ってんだろ!」
朝比奈さん達が無理やり連れていかれる寸前で割って入った。
夏樹「すいませんね、この人達、俺の連れなんですよ、
ナンパなら他の人にしてもらえません?あと、女の子に乱暴するの良くないと思いますよ」
男を穏便にどこかへ行ってもらおうと思ったが言い方まずかったのか逆切れしてきた。
男「あ?んだとテメェ、ガキはすっこんでろ!」
沸点低いなぁ…というか俺は高校生だ、俺の背で判断しやがったなこいつ。
男は俺を押し飛ばそうとして来たが俺はそっと避けた。
夏樹「お巡りさん呼んだんで早くどっか行ったほうが良いんじゃないんですかね」
全然立ち去ってくれないので大ウソついてやった。
男「なっ、ちっ、おい行くぞ」
まんまと嘘に引っかかった男たちはやっとどこかに行ってくれた。
夏樹「すいません、遅くなってしまって、怪我はないですか?」
俺は申し訳なさそうに謝った。
奏「だ、大丈夫だよ、助けてくれてありがとう夏樹君」
瑞希「助かったよ、お巡りさん本当に呼んだの?」
夏樹「そんなの嘘だよ、あの人らを追っ払うにはああ言うのが一番だと思ってさ」
絵名「夏樹君って時々とんでもない事するのね…」
絵名さんは苦笑気味に笑った。
まふゆ「…取り敢えずお店に入ろう」
瑞希「そうだね、入ろっか」
そう言ってお店の中に入った。
瑞希「というわけで、夏樹君の加入を祝って、かんぱーい!」
暁山が元気よく音頭を取った。
夏樹「あ、ありがとう」
瑞希「はい、じゃあ夏樹君に質問とか、色々話して仲を深めていこう~!」
夏樹「え、えぇ、良いよそんなことしなくても」
瑞希「ちなみに夏樹君に拒否権はありませーん」
夏樹「ちょっと!?」
奏「えっと、じゃあ、私から、えっと、どうしてまふゆがおかしいって気づいたの?」
まぁ、やっぱりその質問来るよなぁ。
夏樹「笑顔に違和感を感じたんですよ」
奏「違和感?」
夏樹「えっと、俺人の表情に敏感で何を思ってるかは分からないんですけど、
朝比奈さんの笑顔はなんか、笑っているけど笑ってないみたいな、
張り付けられた仮面みたいなものを感じたんです」
俺は思ったことを正直に話した。
奏「そうだったんだ、ありがとう教えてくれて」
夏樹「あ、いえ、大丈夫です」
瑞希「じゃあ次ボク!どうしてボクの事名前で呼んでくれないのー!」
心底どうでもいい質問だった、まぁ、同じサークルに入ったし、呼んであげよう。
夏樹「分かったよ、呼ぶから、瑞希、これで良い?」
瑞希「この際だし皆ため口で良いんじゃない?」
奏「そうだね、敬語じゃなくても良いよ」
夏樹「わ、分かった」
ため口でメンバーを呼ぶことにした。
夏樹「えっと、奏」
奏「うん」
夏樹「瑞希」
瑞希「は~い」
夏樹「絵名」
絵名「うん」
夏樹「まふゆ、さん」
まふゆさんは何故か呼ぶことが出来なかった。
まふゆ「?うん」
まふゆさんは不思議そうな顔をしていたが気にしている様子はなかった。
瑞希「ちょっと夏樹君ー?」
夏樹「ご、ごめんって!」
すぐさま謝ったがまふゆさんは
まふゆ「別に、気にしてないし、どうでもいい」
全く気にも留めていなかった。
絵名「ちょっと、瑞希、まさかとは思うけど夏樹君ってまふゆのこと」
瑞希「いやぁ、どうだろう、本人は気づいてる様子はなさそうだけど」
絵名さん、もとい、絵名と瑞希はなんだかコソコソ話している。
まぁ、たぶん俺には関係のない話をしているんだろ。
そう思って俺はポテトをモグモグ食べた。
奏「それじゃあ、今日は解散しようか」
瑞希「そうだね、今日はもう帰ろうか」
そう言って帰宅することになった。
みんな帰って行き、俺も帰る準備をする時、瑞希と絵名に引き留められた。
瑞希「夏樹君ちょっといいかな?」
夏樹「ん?どうしたの?」
絵名「聞きたいことがあるの」
夏樹「聞きたいこと?」
絵名「夏樹君ってさ、まふゆのこと、どう思ってるのよ」
夏樹「どうって、凄く、優しい人だなって、思ってるよ」
瑞希「あー、そういうことじゃないんだ」
そういうことじゃない?じゃあどういう事だ?
そう思ったとき絵名が聞いてきたのは
絵名「まふゆのこと好きなのかどうなのかってことよ!」
好きか嫌いかのことだった。
絵名「で、どうなのよ」
夏樹「えっと、それは、まだ分からないかな、少なくとも嫌いじゃないよ」
絵名「そう、ま、それが聞けて良かったわ」
瑞希「それじゃあ、またねー」
そういって二人は帰っていった。
しかし俺は聞かれたことがずっと頭の中で流れ続けてその場から動けずにいた。