魔法先生ネギま〜紅キ魔神〜   作:火野陽仁

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親子

 結界が砕ける。恐らくは結界を張っていた転生者が死んだからだろう。そこへ・・・・・・

 

「親父!!何があったんだ!?」

 

 エヴァンジェリンが何か異変に気づいたのだろう。大慌てで飛んでくる。

 

「おお、エヴァ。飛行魔法も随分とうまくなったな。かなりはやい速度じゃないか」

 

 ディバルは軽口で話す。だが、エヴァンジェリンはそうではなかった。

 

「このバカ親父!!そんな事を聞きたいんじゃない!いったい何があったんだ!?」

 

「いや何、恐らくはここの城主らしき男と戦ってな、あんまりな変態だったから、消しとばしちゃった」

 

 そう、おちゃらけて話す。しかしエヴァンジェリンは・・・・・・

 

「・・・・・・この・・・・・・バカ親父がぁぁ!!」

 

 今までにない大きな声を出す。しかも涙を流している。流石のディバルもこれには慌てる。

 

「え!?ちょっと、何でそんな泣くの!?なんかした俺!?」

 

「・・・・・・親父・・・・・・私がどれだけ心配したか解るか!?親父が強いのはわかるがもしもが起きたら・・・・・・・・・私はまた独りになるだろうが!!」

 

「ッ!!」

 

 そう、エヴァンジェリンはディバルがいなくなると、また独りになってしまう。同族でもないし、この二カ月は苦しい修行の日々だったが、・・・それでもエヴァンジェリンにとっては吸血鬼になってから初めてできた家族なのだ。不老不死とはいえ、対処法がないわけでもないのだ。最初の百冊以上の魔導書を読んだときそういったものも書かれていたのだ。

 

 

 また独りになる。

 

 エヴァンジェリンは十歳の時に吸血鬼になった。たった十歳の少女が他者の身勝手により人生を狂わされた。幼い少女には辛いもので、誰も助けてくれない。それどころか、何もしていないのに他人から憎悪を、嫌悪を向けられる。だが、それよりも辛かったのが、・・・・・独りだ。孤独であることが一番辛く、恐ろしかった。

 

 エヴァンジェリンはここまで感情的になっているのはその恐怖を知っているからだ。

 

「・・・・・・すまない」

 

 ディバルはすなおに謝罪する。

 

 実はディバルも転生した最初の頃はエヴァンジェリンと似た経験をしている。ゆえに、独りの辛さも知っていた。

 

 

「・・・ヒグッ・・・いやだぁ・・・独りは・・・グス・・・も・・・いやぁ・・・」

 

 泣きながら喋るエヴァンジェリンをディバルはしっかりと抱きしめる。それは、本当の親子のようだ。

 

 

「・・・落ち着いた?凄い泣いてたから顔大丈夫?」

 

「・・・うるさい、黙れ。そこまで泣いてない」

 

 十分程たち、エヴァンジェリンはようやく泣きやんだ。恥ずかしいのか顔をあかくしている。

 

「・・・・・・それよりもだ、親父はここで城主らしき男と戦っていたと言ってたが、私は気配に気づかなかったが、かなりの使い手だったのか?」

 

 エヴァンジェリンはそうたずねる。まだ、そこまでの力はないという自覚はしているが、この二カ月の修行でだいぶ強くなったのだ。さらに、襲撃者達から身を守ったり攻撃するのに気配を読むのは必須であり、かなりの数の襲撃者と戦ったのだ。そのため、気配を読むのは少し自信があった。

 自分が全く気づかない程の実力をもつ者がどのような者か気になるらしい。

 

「う〜ん、どうだろうな、俺の場合は相性がよかったとも言えるしな。精神的にはかなり弱かったけど・・・・・・実力は全くないと言うわけでもなかったしな」

 

 あの時ディバルは、転生者を弱いと言ったが、実のところそれなりに強い部類に入る。

 

 直死の魔眼や身体能力だよりではあったが、その戦い方は間違っていなかった。あの転生者は目隠しをはずしたあと、ディバルの死角に入り攻撃するために、かなりのフェイントをいれていた。並みの転生者ならばそれだけで、対処できず直死の魔眼により倒されていただろう。

 

 ディバルが圧倒できたのはひとえにその能力によるところもある。

 

 創りだした能力の一つ"理不尽条約" は直死の魔眼などの干渉や影響下におくものの効果をもうち消すことができる。

 

 さらに、ディバルは他の転生者以上の年月と様々な経験を積んでいるため、別の直死の魔眼使いにも遭遇し戦ったこともあった。

 

 魔眼の効果が効かず直ぐに自分の能力がばれ、ディバルの異様な雰囲気にのまれたのだろう、戦意喪失してしまったのだ。

 

 ここまで語ったことをみれば勝てないと思うかもしれないが、まだ勝機があったのだ。

 

 逃走経路遮断のためであろう結界を、わずかな時間で張った能力をみるに、魔法関連にもあかるかったのだろう。このことを考えれば魔法を使った戦闘も可能だったはずだ。さらには・・・・・・

 

「広範囲探索の力を使ってみれば、・・・・・・城内にでも入って戦闘すればもう少しましな戦いになってただろうにな」

 

 城内には様々な罠が仕掛けられていたのだ。それらを使い戦えば、少なくともあそこまで呆気ない終わりではなかったはずだ。

 

 だが、精神修行が些か足りなかったのだ。精神的余裕もなく、経験も少ないわけではないが十分とはいえなかった。

 

 そのための圧勝なのだ。

 

「・・・・・・残念すぎだろそいつ」

 

 エヴァンジェリンはそう言うが、残念なのはそれで終わりではない。

 

「しかもそいつ、重度のロリコン・・・・・・つまり幼女ずきでな、ロリコン帝国建造を目指していたんだ。・・・エヴァのことにめ気づいていて、狙っていたようだぞ」

 

 「なにそれこわい」

 

 エヴァンジェリンはどん引きで色んな意味で恐怖した。






 次回は、少し間が空くかもしれません。
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