ディバルがレーベンスシュルト城に帰還して一ヶ月
「エヴァ、明日俺の眷族がこっちにやってくるからそのつもりでな」
「いやまて、いきなり何だそれは?」
「何だと言われても、そのままの意味だが」
「・・・・・・まず親父に私以外の家族がいたのか?」
エヴァンジェリンは少々不満そうに聞く。それはそうだろう、付き合いは三年程たつのにそんな話を聞いたことがなかったのだ。それに、本来眷族とは血のつながった親族という意味だ。エヴァンジェリンはディバルも自分と同じ天涯孤独の身だと思っていたのだ。どこか、裏切られたように感じたが・・・・・・
「眷族といっても血のつながりはないよ。天涯孤独の身だし。・・・・・・まあ、家族というのに違いはないがな。と言うよりは仲間と書いてファミリーかな?」
「・・・・・・家族だというなら何故、今までその話をしなかった?」
エヴァンジェリンの疑問は当然だろう。この三年間、共にすごしてわかったことがいくつかある。そのうちの一つは、ディバルはかなりの家族を大事にしていることだ。
普段は修行でとても厳しいが、それもエヴァンジェリンのことを思えばであろうし、ムチャのことをやらせることは多少はあるが、エヴァンジェリンの身が本当に危険になることをさせたことは無い。エヴァンジェリンは不老不死の存在である。危険なことをさせてもそこまで心配するほどではない。そういう危険性の少ない修行を中心としており、過保護といってもいいだろう。だがそれは、ひとえにエヴァンジェリンを大事な家族として考えているからである。
そのため、エヴァンジェリンは、何故ディバルが家族である自分に別の家族とも言える眷族のことを話さなかったのか気になったが・・・・・・
「・・・実は、エヴァの修行が一段落するまではと今まで黙っていたんだ。・・・・・・エヴァは家族に飢えているふしがあったから、眷族の事が気になって修行に集中できないなんてことも考えられたからな」
なるほどとエヴァンジェリンは納得する。確かに、ディバルとすごし、自分が多少なりとも家族に飢えていたのは認めざるえない。
「・・・だけど、いまの城の惨状を考えたら呼んだ方がいいと思ってな。ソイツは俺の秘書みたいなやつで執事のような存在でもあるんだ。城の管理をお願いしようと思ってな」
「・・・・・・確かに、そうかもな」
周りを見てエヴァンジェリンも賛同する。周りはまるでゴミ屋敷!・・・・・・とまではいかないが、あまり綺麗だとは言い難いだろう。汚れが目立ち、埃もたまってきている。本や修行用の道具などもキチンと整理されているというわけでもない。・・・・・・一応、二人の名誉のために説明するが、二人共掃除や整理整頓ができないというわけではない。ただ、修行に集中しすぎて他のことが厳かになってしまったのだ。さらにレーベンスシュルト城自体が大きいので、いくらなんでも二人でこれを綺麗なままで保のは無理だろう。
「ソイツは使い魔を大量に使役できるからな。うってつけだ。・・・・・・それに俺と違って、料理もうまいからな。久しぶりにちゃんとしたものが食いたいだろ?」
「・・・・・・まあ、それは確かに」
なお、今まではディバルが料理を作っていたが、お世辞にも上手いとはいえないだろう。
簡単に言えば男の料理というものだ。栄養面を考えたわけでもなく、食材の大きさはバラバラで、味付けも適当に近い。エヴァンジェリンも料理はできないというわけではないが、ディバルと似たり寄ったりの腕である。
「・・・まあ、そういうわけだ。わかったか?」
「まあな。・・・・・・あ。あと一つ聞きたいんだが」
「なんだ?」
「親父の眷族は、明日来る奴だけなのか?」
「いや、あと何人かいるが・・・・・・それはまた今度な」
「・・・・・・仕方がないな。今度ちゃんと教えろよ」
ディバルは苦笑し、エヴァンジェリンは少し楽しみな顔をしている。
次回は、新キャラを出したいと思います。あんまり多すぎないように気をつけたいです。