ディバルがランサーを喚びだしてから五年ほどたった。今彼等はまだ魔法世界にいる。龍種やその他の様々な魔法生物にランサーが興味を示しもう少し放浪することにしたのだ。エヴァンジェリンにはレーベンスシュルト城へはまだ帰らない事を一応連絡している。ほぼ一方的なものだったため帰ったとき恐い気もするが。なお、ディバルは忌々しいあの体質をついに封印することができたが、臭い物に蓋と同じなのでまた封印が解けたとき、たまっている不幸が一気に襲い掛かってしまうが・・・今は何も言わないでおこう。はかない幻想だとしても幸せであることに変わりは無いのだし。
さて、そんな二人だが今現在誰もいない広大な荒野にてそれぞれ自身の武器を持ち構えている。ディバルは見た目は一般的だが確かな魔力が宿る魔剣を、ランサーはやはり真紅の槍だ。久しぶりに手合わせをしようとディバルが提案してきたのだ。ここ最近多くの龍種や魔法生物と戦っていたが、二人が満足するほどのものになかなか出会えず暇つぶし代わりにやろうということだ。さらに言えば、最近は対人戦をやっていないためその稽古もかねているのだ。そして・・・
「先手必勝だ!」
ディバルが駆ける。剣を両手でしっかり握りランサーに向かって振り下ろそうとするも・・・
「当たるかよ!」
剣を見切り、最小限の動きで回避し魔槍を驚くほど速さで突き出す。しかしディバルは魔力を纏わせ強化した手甲で軌道を逸らし回避する。二人は後ろへ大きく跳び距離をとる。また膠着状態が続くかと思われたが二人は一気に駆け出し己の得物で攻撃またはそれを防ぐ。二つの鉄がぶつかり合い荒野にその音が響き渡る。
「ジャァァァ!!」
「オォォォォ!!」
ディバルとランサーの雄たけびも大きく響く。二人は獰猛な笑顔で嬉しそうに戦う。そしてディバルが再び跳躍するが、上へと飛びそのまま滞空する。
「ハッ!」
それを見てランサーも飛び、滞空する。ランサーはディバルにいくつかの異世界と彼自身が考案した術を教えてもらったことがあり、この飛行魔術もその一つである。が、ランサー自身は自分の強化系のものを好み魔術らしい魔術はあまり使わないが。
何はともあれ戦いは空中戦へと移る。飛行魔術といいながらも実際は飛ぶというよりも、空を走り回っているかのような動きでぶつかり合っている。・・・・・わかりやすいものならBLEACHの空中戦に近いものだろう。
空中での戦闘のため全方位の立体的な戦いで、さらに二人の速度が尋常ではない速さで動き回り何が起こっているのか確認するのも困難である。そして、二人は駆けながらまた距離をとりそのままの勢いをつけ相手に突っ込んでいく。鉄がぶつかり合う大きな音が響く。それぞれの刃が相手の首筋に突きつけあう形となっていた。
「また引き分けか・・・。やっぱ簡単には勝たせてくれないか。真名開放しなかったのに勝てないのは悔しいな」
「よく言うぜ。テメエ本来の戦い方じゃねえだろうが。おかげでこっちは自信なくすぜ」
ディバルがぼやくように言い、ランサーは彼の本来のやり方を知っているため苦言を言うがどことなく嬉しそうに笑っている。
「いや、しょうがないだろ。俺本来の戦闘スタイルって広範囲を殲滅するいわば固定砲台だし。隙が大きすぎるって」
「固定砲台じゃなく防御力もあり速度も速い移動砲台・・・いやこれも違うか。テメエはいわば周りを破壊しまくっちまう強力な爆弾だな。・・・これからMr.ボンバーとでも名乗ったらどうだ?」
「・・・遠慮する。何?そのいかれたテロリストっぽい名前」
ランサーの例えはなかなか的を射ているだろう。ニックネームは微妙で、ディバルも本気で嫌そうな顔をしている。二人は笑いながらそれぞれの戦闘での分析ををしていた。
後日、二人の手合わせが目撃されていたのか、もともと手配書が作られそうだったランサーに三百万の賞金といくつかの異名がつけられた。
その異名は・・・・・・・・”神速の蒼狼”・”飢えた戦闘狂”・”うほ、いいおとこ”である。・・・最後はなんか可笑しいきもする。ランサーもこの異名を聞いたとき顔を青くして周りにおかしなのがいないか警戒していた。ちなみにディバルの懸賞金が五百万ほどに上がり、異名も”笑う高速魔神”・”なんか飲食店で最後はよく楊枝を咥えてる人”・”見た目は若造、中身はおっさん”などの異名が増えた。また妙なものが増えたため、ディバルは大変落ち込んでいた。・・・・・これを見てわかる通り、ディバルは体質を封印できても元々の幸運値はかなり低い。哀れディバル、不幸からは逃げられないらしい。