魔法先生ネギま〜紅キ魔神〜   作:火野陽仁

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注意:エヴァンジェリンがオリジナルの魔法を使っていたりします。
   小次郎がかなり強化されています。
   作者の独自解釈みたいなのもあります。(アルビレオとか)
   紅き翼が好きな方は観覧しないほうが良いと思われます。


以上の注意点を読み、それでも別にかまわないのであれば読んでください。


紅き翼との戦い

 小次郎との出会いから大分時が過ぎ、大分烈戦争の時代にへと移る。・・・ディバルたちの旅はそこまで大変なものでもなかったので、カットォ!ってな具合でとばされました。

 

 

 

 

 

 

 紅き翼がメンバーがアリカ女王とテオドラ第三皇女を救出し、彼らの隠れ家、タルシス大陸極西部オリンポス山まで移動していた。

 

「何だ、これが噂の紅き翼の秘密基地か!どんなところかと思えば、掘立小屋ではないか!」

 

「俺ら逃亡者に何期待してたんだ。このジャリはよ」

 

 まだ幼いテオドラが紅き翼の隠れ家を見やり、不満を言う。あの有名な紅き翼の隠れ家なのだからもっとすごいのを期待していたのだろう。第三皇女といってもまだ子供であるテオドラには不満であろう。・・・それにたいしてかなりマジギレしそうなジャック・ラカンのほうが大人気なく、子供である。精神年齢は下手をしたらテオドラより低そうだ。・・・・・気づけば原作と同じような喧嘩までしており、青山詠春少々あきれて、アルビレオ・イマはいつもどうりの笑みで解説のようなことをしている。

 

「さーて姫さん。助けてやったはいいけど、こっから大変だぜ。連合にも帝国にも・・・あんたの国にも味方はいねぇ」

 

「恐れながら事実です王女殿下。殿下のオスティアも似たような状況で最新の調査ではオスティアの上層部がもっとも黒い・・という可能性さえ上がっています」

 

 ナギ・スプリングフィールドが軽い口調でかなり深刻な状況をいい、ガトウ・カグラ・ヴァンデンバーグがそれを補足する。それは本来彼女にとっては絶望的な状況だろうに・・・

 

「やはりそうか。」

 

 まるですべて知っていたかのような態度であっさりとそれをかえす。

 

「我が騎士よ」

 

「だぁら、その我が騎士ってなんだよ姫さん? クラスで言えば俺は魔法使いだぜ?」

 

「もう連合の兵ではないんじゃろ。ならば主は最早私のものじゃ」

 

「な・・」

 

 原作どうりのやり取り。ナギの抗議を軽くいなし、それどころか私のものという言葉にナギが思いっきり反応し、赤面する。・・・・・チンピラっぽい割にはかなり初心である。

 

「連合に帝国、そして我がオスティア。世界全てが我らの敵という訳じゃな」

 

アリカはそ現状を確認するかのように言うが・・・

 

「じゃが、主と主の紅き翼は無敵なのじゃろ?」

 

 その言葉にそこにいる全員が言葉をなくす。・・・・・一部、変なところで反応したりじゃれている子供は除外する。

 

「世界すべてが敵―――良いではないか こちらの兵はたった八人 だが最強の八人じゃ」

 

 アリカが答える。一つ原作と違うところがあるがひとまずおいとく。

 

「ならば我らが世界を救おう。我が騎士ナギよ我が盾となり剣となれ」

 

「やれやれ、相変わらずおっかねぇ姫さんだぜ・・・・・俺の杖と翼あんたに預けよう」

 

 アリカの言葉にナギは笑い、誓いの言葉をつむぐ。ネギまの中でも印象深いシーンだ。この瞬間はまるですばらしき名画のようであり、静寂がそれを強調させるかのようであったが・・・

 

「アハハハハハ!その程度の実力で最強を名乗るなんてな!笑いすぎて腹が痛くなるぞ!」

 

「エヴァ・・・せっかくいい感じなんだからそんな馬鹿笑いしちゃダメでしょ。はしたないぞ」

 

 突如聞こえる女性の笑い声と、それをいさめる男の声が聞こえる。

 

「っ!?追っ手か!?」

 

 その声にいち早く反応したのはナギであり、いつでも戦えるよう構えた。他の面々も戦えるように構え、辺りを警戒している。

 

「どこにいやがる!姿ぐらい見せやがれ!」

 

 ナギが大声を上げ周囲を見回す。周りには自分たち、紅き翼のメンバーしかいない。

 

「!お前ら、隠れ家の上だ!!」

 

 原作にいない黒髪に赤目の女性にも見えるほどの美形の男が声の主が上にいることを察知し声を張り上げる。全員が隠れ家の屋根の上を見上げると・・・

 

「・・・これがこの世界で、最強と言われてる奴らか?・・・あんま強くなさそうだな」

 

「ふむ、ランサーよ。油断大敵という言葉を知っておるか?あまり慢心せん方がよいぞ。意外なことで足元をすくわれかねんぞ」

 

「小次郎様の言うとおりだとおもいますよ?ランサー様」

 

「・・・そこまでダメだしするほどか?」

 

 そこにいたのは、ディバルたち五人の姿があった。・・・ランサーは小次郎とフェレスにダメだしされまくっているが。

 

「まあ、あんま油断すんなってことだな。どこぞの金ぴかみたいにそれでやられちゃ世話ないしね」

 

「お前まで言うか?ディバル」

 

「仕方がないだろう?昔、そういってなめた真似しまくったせいでいっぱいくわされたりしただろ?あそこのアルビレオなどに」

 

「・・・・・ぐうの音もでねえよ」

 

 ランサーの抗議にディバルとエヴァンジェリンもダメだししている。アルビレオに対し遅れをとったことがあるようだ。

 

「・・・アル、あいつらと会った事あるのか?」

 

「ええ、昔・・・五十年ほど前でしょうか。一度だけ会ったことがあります。・・・あの時はただひたすら逃げることだけを考えて行動し、持っていた魔法薬を目くらましにして、なんとかにげきりましたが・・・」

 

 ナギの質問にアルは汗をたらし顔を強張せながらも答えた。その様子を見、全員に緊張が走る。

 

 普段、こんな汗をかくこともなく涼しい顔をしている彼がここまで顔を変化させるのだ。よほど恐ろしい相手と判断したのだろう。

 

「・・・で、あいつらはなんだ?」

 

 黒髪に赤目の男の娘・・・転生者、伊吹晃がアルに質問する。彼としては紅髪の男と金髪のずっと笑っている男・・・ディバルとフェレス以外は何なのか大体分かるが、一応聞いておきたいらしい。

 

「・・・あの金髪の美女はエヴァンジェリン・A・K・マクダウェル・・・かの闇の福音です。今見せているあの姿は幻術によるもので本当の姿は可愛らしい幼女です。ちなみにミドルネームのA・Kは、アタナシア・キティといってこれまたかわいらしい・・・」

 

「喧嘩売ってるのか古本?殺すぞごらぁ!!」

 

「落ち着きなさいってエヴァ。はしたない」

 

 アルビレオの言葉にきれそうになるエヴァンジェリンをディバルがいさめる。こんな状況であっても挑発する辺り良い度胸をしている。

 

「今、エヴァンジェリンを抑えている男性は、彼女の父親と名乗る”紅髪の魔神”ディバル・クリムゾン、ずっと笑顔でいる彼は、”嘲笑う黒”フェレス・ファウスト、あの青い彼は”飢えた戦闘狂”ランサー、そしてあの侍はここ百年で現れた”謎の剣豪”佐々木小次郎と呼ばれる人物です。彼の場合は現れたのがここ百年であり、彼自体あまり問題を起こしていないため賞金はかけらていませんが、他の四人にも劣らぬ実力を持っています」

 

「・・・そうか」

 

 アルの答えに伊吹晃はなにか考えているようだ。

 

(あいつも転生者か?原作レイプなどが目的か?それともハーレムか?)

 

 ディバルの目的が何か考え込んでいるようだ。伊吹晃は転生者である。しかもかなり典型的な。紅き翼に参加したのも、暴れまわって楽しく生きるといったものである。

 

「へえ、こいつらが」

 

 伊吹が考えている間に、ナギたちがディバルたちに興味を持ち出したらしい。

 

「あの赤毛が”変態魔神レッドマン”ディバルか・・・思ったほど強くなさそうだな」

 

 ナギが笑いながらディバルの二つ名を・・・それも彼がもっとも嫌う名前を口にしてしまう。それを聞いた瞬間、ディバルはそれはもう爽やかな笑顔を作り・・・

「よし、殺そう」

 

 ディバルは笑顔のまま、そんな物騒なことを言い出し、エヴァンジェリンをはなして、二人仲良く歩き出そうとした。

 

「って、落ち着け!?なにさっきまで怒り狂いそうだったエヴァを止めてたやつが、笑顔で何とんでもねえことをぬかしてんだ!」

 

 ディバルの発言にランサーがツッコミをいれ、ディバルとエヴァンジェリンの手をつかみおさえる。

 

「離せランサー!あのチンピラ、言っちゃあならねえことを言いやがったんだ!よくもその異名を言いやがったなゴラァ!!」

 

「古本がぁ!シュレッダーにかけて燃えるゴミで出してやる!!」

 

「エヴァ!怒りすぎて顔がもう鬼の形相ってレベルじゃねーぞ!」

 

 ディバルはもちろん、エヴァンジェリンも怒り狂い、顔がもう女性がするもんじゃねーよ、っといった感じになっている。

 

「コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス・・・」

 

「ぎゃああああ!?フェレスに限ってはすでに理性が崩壊してる!?」

 

 ディバルがコケにされた事に腹が立ったのか、フェレスはかなり危ない雰囲気を醸し出している。

 

「はっはっはっは!なかなか面白いことになっているな」

 

「小次郎!笑ってねえでテメーも抑えるのを手伝え!」

 

 小次郎がのんきに笑い、ランサーが手伝うように吠える。なかなかカオスである。

 

「へっ、いいからかかってきな。何が目的でここにきたかは知らねえが、別に話し合いにきた訳じゃねえんだろ?返り討ちにしてやるぜ!悪趣味魔神とその他大勢ども!!」

 

 ナギが威勢のいいことを言い挑発する。だが・・・

 

「待て我が騎士ナギよ。ここは私に少し任せてくれないか?」

 

 アリカがナギを制し、前へと出てきた。

 

「古くから生きる大いなる人外たちよ、何故私たちの前に現れた?」

 

 アリカがディバルたちに問いかける。するとあれほど騒がしかったディバルたちはアリカを見やり、静かになる。

 

「ほう、多少は話せるのがいたか。礼儀正しいな」

 

 ディバルはアリカの態度に関心したように話す。

 

「褒めていただき光栄ではあるが、質問に答えてもらいたい」

 

「・・・そうだな。ただ単に取引にきただけだよ」

 

「取引?」

 

 アリカの疑問にディバルは答えていく。

 

「貴様等に協力する代わりに、いくらかの要求をのんでほしいというだけだ」

 

「・・・・・その内容は何だ?」

 

「!?姫さん!!こいつらと取引するとでも言うのかよ!?」

 

 ナギの疑問は当然のものだろう。相手は世界最高金額の賞金首たちだ。普通そのような者と取引など考えはしないだろう。むしろ何らかの罠ではないかと怪しむのが普通である。他のメンバーも似た考えなのか、否定的な言葉を呟いている。

 

「このような状況で罠も何もないであろう。それに残念ながら先ほどはああは言ったが、戦力は少しでも多いほうがよいであろう?」

 

 状況を冷静に分析した結果ゆえの判断であろう。確かに最強の八人の兵とは言ったが、今は少しでも味方がほしい状況である。しかし・・・

 

「必要ねえよ!!こいつらも完全なる世界も俺たちがやれば絶対勝てる!」

 

「・・・何を根拠に「晃!みんな!いっちょっやろーぜ!!」ナギ!!」

 

「ああ!!行くぞナギ!」

 

 ナギや紅き翼のメンバーは交渉する必要はないと言い、ディバルたちに襲いかかった。

 

「ちっ!交渉決裂か」

 

「いや、そうでもないだろう。少なくともあの王女は交渉に応じる気でいたようだしな。チンピラどもを黙らせればまだ交渉できるのではないか?」

 

 ランサーが舌打ちするも、エヴァンジェリンがまだ交渉の余地ありとし、紅き翼のメンバーを倒すことを進言する。

 

「エヴァの言うとおりだな。・・・それぞれ適当に相手をして交渉に戻るか。・・・・・あと、殺さんように気をつけてな。交渉しづらくなる」

 

「ちっ、面倒だな」

 

「まあまあ、いいではありませんか。久しぶりの実戦ですよランサー様」

 

「ふん、ランサーの言いたい事は分からんでもないがな」

 

「まあ良いであろう?一応は世界最強を名乗る者たちとの死合いであるしな」

 

 ディバルたちも戦うことを決め走り出した。それぞれの戦いが繰り広げられる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 青山詠春は焦っていた。自分の戦っている相手が余りにも格上の存在だったからだ。

 

(!まさかこれほどとは・・・!)

 

 詠春の相手・・・小次郎にいいようにあしらわれていた。圧倒的な剣技、以上に長い刀による広範囲の間合い、小次郎の攻撃がすべてが首ねらいの一撃必殺の攻撃ばかりである。さらに詠春を驚愕させたのは・・・・・

 

(気や魔力による強化を全然してないなんて・・・)

 

 そう、小次郎は気や魔力による強化をしていない。一応、彼もランサーと同じようにディバルから幾らかの魔術を習っている。彼の生い立ちからか、教わるものは何でも興味を持ち真剣に学んでったので下手をしたらランサーより異界の魔術を扱うことが出来るやも知れない。しかし、小次郎はそれでも余り術による強化を良しとせず、強化系の術にしても極力使わないようにしていたのだ。そのため現在彼は、詠春にたいしても強化を行わず、先ほどのべた彼の複数の理由で圧倒しているのだ。詠春は全身は勿論、得物にまで気による強化を行っており、普通なら上記の理由があっても勝てるはずなのだが・・

 

 

(どんな剣技なんだ!気ごと斬りさくなんて!!)

 

 そう、気による強化を行っていれば普通はどんな名刀による斬撃でも同じような気の強化や魔剣などでもない限り、せいぜいかすり傷をつけられるかといったあたりなのだが・・・・

 

「シィ!!」

 

「グッ!!?」

 

 小次郎の一撃を辛くもなんとか避けたのだが、少しかすったのだろうか?右頬にきれいな切り傷が出来ており、血が流れ出てくる。詠春は小次郎の間合いの外まで全力で離れ息を整える。そして詠春は改めて理解する。

 

 こと剣に限って言えば、この男に常識など通用しないのだと。

 

「ふむ、これが今現在での世界最強の剣士か・・・。いやはや、この程度の剣技しかないとはな・・・余り失望させてくれるな、神鳴流剣士よ」

 

 小次郎が歌うかのように話していたが、後半からは明らかに怒りと侮辱がこめられた言葉を発す。そう、貴様は弱すぎる、と・・・

 

「・・・なんだと」

 

 小次郎のその言葉に怒りでふるえる詠春。

 

 

「違うと言い切れるのか?気や魔力による強化を一切使っていない私に対して決定打を与えられず、それどころか防戦一方となり苦戦していたりという事実。其の方が気に頼りすぎている良い証拠ではないか。・・・それだけとは言わないが、己の強さにかまけて技を磨く事を忘れた者に易々と敗北するつもりなどないぞ」

 

「・・・・・・」

 

 小次郎の言葉に詠春は黙ってしまう。別段今の自分の強さにかまけて鍛錬を怠ったつもりなどないが、小次郎の言うとおり気を使った強化に頼りすぎ、現状に満足し技の鍛錬を厳かにしてしまっていたやもしれない。と詠春は思っている。

 

 だが、詠春がそう思おうが実際には詠春の剣技は小次郎には大きく劣るものの、彼は間違いなくこの世界では最高の剣士である。小次郎の腕が常軌を逸脱しているのだ。

 

「・・・だが!」

 

 詠春は覚悟を決めたのか、長刀を構え直す。先ほど以上の気迫を放ちながら・・

 

「ほう・・良い気迫だ。今までの腑抜けた空気がうそのようだな。」

 

 小次郎がゆっくりとした動作で刀を水平にし、詠春に背中を見せるような形で刀を構えた。

 

「その覚悟に敬意をひょうし、我が秘剣を魅せてやろうぞ」

 

 小次郎の言葉に詠春はその身を震わせる。それはわずかな恐怖と、これほどの剣士が自分を認め、秘剣を披露すると言ってくれたことにたいしての喜びにより震えているのだ。さらに先ほどまで一切の構えなどなく、いかなる体勢でもあの長刀を自身の体の一部として扱ってきた彼が始めてみせる構えにより、ただ事ではないと剣士としての本能が訴えてきているのだ。

 

「「・・・・・・・・・・」」

 

 静寂が辺りを包み、緊張か高ぶる。小次郎が涼しげな顔をしているのに対し、詠春は汗がだらだらと流れ少し顔色も悪い。この時点で二人の実力の差がはっきりわかる。詠春自身も、小次郎に勝てないよ分かっているようだが、剣士の誇りのためか引く気は無いらしい。

 

「神鳴流奥義・・・百烈桜花斬!」

 

 先に動き攻撃を仕掛けたのは詠春からだった。百烈桜花斬の超高速の連続の斬撃が小次郎に襲い掛かろうとしたが・・・・・

 

 

「秘剣―――――――――燕返し」

 

 小次郎がそれはもう小さく呟くような、しかしはっきりとした声で詠春には聞こえた。それは詠春が繰り出している百烈桜花斬の剣速を遥かに超える速さで疾さで繰り出された。

 

「ッツア!!」

 

 だが、先に繰り出されていた百烈桜花斬の最初の剣撃で防がれた。いくら速くても先に出している詠春の攻撃の一つを弾いただけだ。連続斬りである百烈桜花斬の斬撃を一つ止めただけであり次の斬撃が小次郎を切り裂くだろう。

 

(もらった!!!)

 

 そう、詠春は勝利を確信した。だが・・・

 

「ガッ!!??」

 

 突如どこからか詠春の首に衝撃があたえられた。

 

(な・・・なんだ・・?)

 

 薄れいく意識の中、詠春は何が起きたのかを確認しようとしていた。しかし、詠春はなにがおきたか分からぬまま意識が途切れた。

 

 

 

 

 

「ふむ、最後はなかなかであったな。・・・侘びを言おう、神鳴流剣士よ。其の方は充分強かったぞ。最後はこちらの攻撃を二度も防いだとは・・・・・すばらしい防御であったぞ」

 

 小次郎は自分の足元近くに倒れふしている詠春を見下ろし、彼に対して暴言をはいたことを謝罪し、賞賛の言葉を送る。最後の攻防に満足したらしい。

 

 燕返しの最初の一撃は述べていたように防ぎきっていたが、二つ目の攻撃はおそらく無意識かであろうが、それも防ぎきったのだ。しかし、すべての攻撃が完全同時であり、詠春の剣速を遥かに超える小次郎の最後の太刀筋には対処できなかったらしく、それをもろに食らってしまったのだ。

 

 しかし、小次郎の攻撃を二度も防いだ詠春の実力は賞賛するべきものであろう。峰打ちでの攻撃であったため、気を失っただけである彼に小次郎は敬意を表していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「詠春!??」

 

 ジャック・ラカンは詠春が敗北した事実に驚きを隠せずにいた。戦いの最中だというのに。

 

「余所見をしている余裕などあるのですか?」

 

「ぬお!?」

 

 フェレスの逆手持ちをした二本の片刃剣の斬撃がラカンを襲う。それはまるで舞い踊るかのように芸術性を感じる動きでありながら、その鋭い攻撃はラカンをして、ゾッとするものである。

 

「たく、ころころと戦い方を変えやがって・・・やりづれーことこのうえねーよ」

 

 ラカンの言うとおり、フェレスの戦い方は基本的今の二本の剣を逆手で持ち、舞うかのような戦いがものだが、時には剣をしまい、素手で戦い投げ技や関節技などでラカンを攻撃しようとしたり、どこからか銃を取り出し、術式が編まれた魔弾を討ってきたり、ヌンチャクや三節根やら、手裏剣・戦斧・槍・チャクラム・戦槌などなど、数え切れないほどの武器を取り出し攻撃してきているのだ。そりゃラカンもやりづらいだろう。

 

「あなたにだけは言われたくないですねえ・・・」

 

 フェレスの言うことも尤もだろう。ラカンのアーティファクトの『千の顔を持つ英雄』は様々な武器に姿を変えるというものなのだ。ラカンが言えた義理ではないだろう。

 

「ですが、これで終わりです。」

 

「んあ?」

 

 フェレスの言葉にラカンが何言ってんのこいつ?みたいなことを思った瞬間・・・

 

「って、ぬおっ!?」

 

 ラカンの足元が突然ぬかるみ引きずり込んでいく。

 

「私の魔術の一つ”地形変化術”によりあなたの足元を特殊な底なし沼へと変えさせてもらいました。この底なし沼は踏み込んだ者の魔力や気力などを吸い取る効力があるので、いくらとんでもな事をを行うあなたでも、そう易々と脱出することは出来ませんよ」

 

「こ、こいつはさすがにやべーな」

 

 ラカンは笑いながらも言うが、内心かなり焦っている。

 

(本当に俺のいろんなものが吸い取られてやがる。これってマジでやばいかも)

 

「あと、ダメ押しでこれも追加しますか」

 

 フェレスは指を鳴らす。すると・・・

 

「げぇっ!?なんかヤベーのが出てきた!?」

 

 沼の中から巨大なミミズみたいな化物が数匹現れ、ラカンに襲い掛かってきた。

 

「暫くそいつらと遊んでなさい」

 

「ぬおぉぉぉぉぉ!??」

 

 こちらの戦いも、ほどなくしてラカンが動けなくなり決着がついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オラオラァ!!今度は容赦しねーぞ!!」

 

「くっ!これは流石にまずいですね」

 

 ランサーの猛攻にアルビレオは防戦一方であった。ランサーの速さに対処し切れていないのだ。

 

「ぐぅっ!・・・ア、アル」

 

 ガトウが腹部を押さえアルビレオの名を呼ぶ。ガトウはランサーの攻撃になすすべなく腹部他、数箇所をランサーの槍よってさされ倒れてしまったのだ。

 

「う、迂闊だった。まさかあれほどとは・・・」

 

「し、師匠!!」

 

「ガトウ!今は休んでください!何とか後にでも治療を・・・」

 

「出来ると思っていいるのか?アルビレオ」

 

「くぅっ!」

 

 ランサーの攻撃は容赦なく続いていく。アルビレオは重力魔法をランサーに放つもあっさり避けられてしまう。しかし何とか距離をとることはできたようだ。

 

「こんな老体相手にやりすぎではないですか?」

 

「はっ、ぬかせ。老体だ何だのといっても、貴様のような奴は油断も好きもあったもんじゃないからな。・・・・・あの時は貴様の正体に気づかなかったゆえに死んだふりをし、仕掛けていた魔法薬を爆発させ逃げ出したんだ。・・・油断しちまったぜ」

 

 ランサーは昔アルビレオの心臓を突き殺したと思っていたのだが、魔導書である彼には大きなダメージは与えられても殺すには至らなかったのだ。その隙を突かれ逃げ出されてしまった。

 

「・・・だがもう油断はしなねーぞ。覚悟するんだな」

 

 ランサーの顔に幾らかの血管が浮かび上がる。本気で戦うようだ。このままではディバルの殺さぬようにという命令が守られるか心配であるが・・・

 

「・・・・・いえ、このままでは殺されかねません。それにガトウの治療を行いたいですしね・・・降参しますよランサー。・・・ですから槍を収めてはいただけませんか?」

 

 アルビレオの降伏宣言にランサーは眉を顰める。

 

「その言葉を信用しろと?」

 

「仲間の命には代えられませんよ」

 

「・・・・・いいだろう、さっさと治療でもしな。」

 

 その言葉にうそ偽りなしと判断したランサーは紅き魔槍を消す。しかし・・・

 

「・・・だが、だまし討ちをしようものなら、ディバルの指示を無視してでも、貴様らの心臓・・・貰い受けるぞ?」

 

「承知していますよ」

 

 アルビレオはガトウの治療を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「アハハハハハ!!これが最強の魔法使いの師、ゼクトの力か?弱すぎるぞ!!」

 

「ぬう、驚きじゃのう。手も足もでんとは」

 

 エヴァンジェリンとゼクトの戦いだが、それはもう戦いとはいえるものではなかった。

 

「氷爆!!」 「こおる大地!!」

 

 エアヴァンジェリンが次々と放つ強力すぎる氷系の魔法に彼の最強の防御が全く役に立たなかった。

 

「ふん!」

 

 ゼクトは反撃に移り、エヴァンジェリンに攻撃を仕掛けたが・・・

 

「しまった!?」

 

 攻撃を当てたのは、何時かに入れ替わっていた氷の分身であり、砕けて周りに散らばり・・・

 

「氷爆人形!」

 

 氷の破片が爆発し、辺りをさらに凍らせていく。

 

 ディバルが考案した彼女の人形師としての能力を考え編み出した術式であった。

 

「・・・ふう、危ないところじゃったな」

 

 ゼクトは離れた場所でため息を吐く。ところどころ凍りかかっているが何とか離脱出来たらしい。しかし・・・

 

「ケケケ、安心スルニハ速スギンジャネーノ?」

 

「ぬ!?」

 

 ゼクトの後ろにはいつの間にか両手に大き目のナイフを持ったチャチャゼロがいた。

 

「ケケケ、久々二暴レラレルゼ」

 

「最強防護!!」

 

 幾重にも及ぶ障壁を展開するが・・・

 

「ケケケケケ!!」

 

「何じゃと!!?」

 

 それをまるでバターのように切り裂いて接近してきた。ゼクトは何とかそれを防ごうと防御体勢に移ろうとしたが・・・

 

「おい、私を忘れていないか?」

 

 後ろからエヴァンジェリンの声が聞こえてきた。そこには巨大な氷の槍を空中で静止させている真の最強の魔法使いがいた。

 

「いかんっ!!」

 

 ゼクトが気づいたときにはもう遅い。エヴァンジェリンは槍を放ち、チャチャゼロは切りかかってきた。

 

 

 

 

「フン!これで最強を名乗るとはな。おかしくて笑いが止まらんぞ!アハハハハハ!!」

 

「ぐっ!」

 

 エヴァンジェリンが倒れふしたゼクトを踏みつけながら大笑いしている。

 

 ・・・・・・・・・・第三者がみれば美女がいたいけな少年を踏みつけ女王様気分でいる危ない趣味を持った人に見えるだろう。

 

「ケケケ、ノリノリダナ御主人・・・シカシ、旦那ガ鍛エタッテイウ、コノナイフハスゲーナ。魔力ヲ喰ラウトカ言ッテタケドヨ、反則ジミテヤガンナー。魔法使イニハタマッタモンジャネーダローナ」

 

 チャチャゼロが今もっているナイフはディバルが作り出した魔道具である。切り付けたものから魔力を吸収し自分のものとするというものであり、ゼクトの魔法障壁でさえも切り裂き吸収してしまったのだ。魔法使いにとっては、驚異的な武具だろう。

 

「確かにな。まあ、貴様に送る魔力も節約できて私としてはすばらしい武器だな」

 

 エヴァンジェリンは問題ないと言い、笑い続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・他の奴らは終わったか」

 

「なんて硬さだ!!」

 

「クソ!みんなが・・・!!」

 

 ディバルの戦いはいまだ続いているが、晃とナギはディバルに傷一ずつけられず、満身創痍だ。ディバルが張っている障壁を突破できず、ディバルが放つ魔導砲などでダメージを負っている。ナギは仲間が敗北したことにショックを隠せないでいる。

 

「おいおい、サウザンドマスター(自称)よ、仲間が敗北して動揺するのは分かるが、今は戦っている最中だぞ。余り表に出すな。隙を突かれて殺されかねないぞ」

 

「余計なお世話だ!それと俺の称号が自称ってどういうことだ!!」

 

「落ち着けってナギ!!」

 

 ディバルの言葉に憤慨するナギ、それを何とか抑えようと晃がなだめようとしている。

 

「言われてもしょうがないだろう?実際貴様が覚えている呪文は六つで、カンニングペーパーみたいのが無いとろくに魔法が討てず、いまだに発動体を手放せずにいるのだからな。俺からすれば、サウザンドマスター(笑)だ」

 

「こ、こんにゃろぉぉ!!よくも好き放題言いやがって!!!」

 

「落ち着けって言ってんだろバカナギ!!相手の挑発にノンな!」

 

 ディバルの言葉にさらに怒りを募らすナギであるが、事実なだけに余り言い返せず冷静さを失いかけており、晃が何とか抑えているところだ。

 

「調子に乗りやがって!!」

 

「あっ、ばか!」

 

 とうとう、晃の制止を振り払って突っ込んでいくナギ。しかし・・・

 

「阿呆が・・・・・百烈炎拳!」

 

「ゲ!?しまっ・・!」

 

 ディバルが拳に炎を纏わせそれを連続でたたきつけていく。このままナギに直撃し、勝敗が決するかに思われたが・・・

 

「武装錬金!!シルバースキン!!!」

 

 晃の声と共にナギの体に防護服(メタルジャケット)が展開される。そして、ディバルの攻撃はナギにたたきつけられたが、シルバースキンはディバルの攻撃に耐え切り、ナギは無傷だった。

 

「わ、わりぃ晃。助かったぜ」

 

「礼は後でもかまわん。今はあいつを何とかしないと・・・」

 

 伊吹晃の転生得点の一つがこの武装錬金だ。彼は武装錬金で出てきたすべての武装を扱うことが出来るのだ。まだ彼らが立っているのは晃が発動しているこのシルバースキンのおかげでもある。

 

「・・・やはり硬いな。もう少し強めに殴ってみるか?どれだけの攻撃に耐えられるかもう少し調べてみるか」

 

 ディバルの言葉に二人が固まる。今彼は、手加減をして戦っているといったのだ。先ほどのディバルの攻撃でも、ラカンが放つパンチ以上だというのにである。

 

「い、今まで手加減してたのかよ?」

 

 ナギは外れてほしいと思いながらディバルに恐る恐る聞く。

 

「ああ、俺は魔道具の作成なども行い、半ばそれが趣味に近くてな。防御用の魔道具を作るのも悪くないと思い参考にするため試していたんだ」

 

 二人は開いた口が塞がらないといった感じだ。

 

「バケモンじゃねーか」

 

(こいつ!?どんだけ強い転生者なんだ!!?あの攻撃を防いだにしたって、シルバースキンはかなりギリギリだったんだぞ!!??)

 

 ナギは乾いた笑みを浮かべ、晃はディバルの力に恐怖する。

 

「しかし、あきれ果てたぞ。その程度で最強を名乗るか。エヴァも言っていたがおかしすぎて笑えてくるぞ」

 

「何?・・・じゃあ、俺たちを圧倒しているお前が最強だとでも言いてーのか?」

 

「・・・・・は?俺が最強?・・・・・・・・・・・く・・・クハハハハハハハハハハハ!!!アッハハハハハハ!」

 

 ナギがムッとし、ディバルに最強は自分なのかを聞く。だが、ディバルはそれを聞き一瞬キョトンとした顔をしたかと思えば大声で笑い出した。

 

「アハハハ!・・・笑わせるな。俺より強い奴などごまんといるぞ。俺なんぞ精々下の上・・・高く見積もっても中の下といったところだ」

 

「「なっ!?」」

 

 ディバルの言葉に今までにない衝撃を受けた二人。今目の前にいる自分たちを圧倒している男が、自分なぞたいした者じゃないと言えばこの驚きは仕方がないだろう。

 

「まあ、この世界しか知らんのだから無理はないか。・・・・・だがな、貴様らは己を過信しすぎだ。自身より強いものなど幾らでもいるものと知れ、井の中の蛙ども」

 

 ディバルの言葉が嫌に響く。二人はただ呆然とその場で立っているだけだ。

 

「・・・・・で?まだやるか?・・・幾ら貴様らがアホとはいえ力の差ぐらいは分かっただろうが。これ以上やるとなれば・・・命を賭けねばならんぞ」

 

 ディバルがそう言うのにたいし、ナギと晃は何も言えなかった。ディバルの言ったとおりその力の差は歴然だ。これ以上は、シルバースキンの防御を超える攻撃を繰り出すことを考えれば確かに命はないであろう。そして・・・

 

「・・・わかった。・・・俺たちの・・・負けだ・・・・・」

 

「・・・・・・・・クソ」

 

「物分りが良くて助かるぞ」

 

 ナギの敗北宣言が響く。ここに最強と謳われた紅き翼が完全敗北した。

 




 裏設定

 備中青江・改

 ディバルが小次郎に頼み込み彼の愛刀を改良したもの。改良といっても決して折れないようにや、魔力や気を通しても余り負荷がかからぬように手を加えたものである。しかし、備中青江の最大の弱点である強度の問題が改善されたため、小次郎はかなり強化されたことになる。
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