魔法先生ネギま〜紅キ魔神〜   作:火野陽仁

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魔神の過去~眷族篇~

 

 昔々の物語である。

 

 

 

 剣と魔法の世界のある王国がありました。その国には一人の王子様がおりましたが、わがままばかりいい、とてもではありませんが次代の王様に成るのにふさわしくありませんでした。王様もそのことが分かっているのか、いつも頭を抱えていました。

 

 そんな王様には、王子様の母親とは違う、市井の娘の愛人がおりました。王様は、王子様の母親であるお妃様の怒りっぽさに嫌気が差し、身分を隠し城下町へと足を運びその娘と恋に落ちたのです。市井の娘も王様に恋をしてしまいました。

 

 そうして、王様は何度か時間を作っては町へと足を運び、その娘とあっておりました。王様と娘はとても幸せでした。そして娘は、王様の子供を身篭りました。

 

 王様は喜びましたが、城にいるお妃様と王子様にそのことが知れ渡れば娘に危険が迫ってしまいます。王様は娘に自分の正体を明かし、涙ぐみながらも別れを告げました。

 

 そうして時が過ぎ、娘は子供を産みました。それは王様と同じ色の金髪をした赤ん坊でしたが、金髪の人間は多くいるので王様の子供とは誰も思いませんでした。

 

 そして、さらに時が過ぎると、その子供がその才能を遺憾なく発揮しました。まだ幼いのに難しい書物を読みあさり、学校に入学し少ししたときには全ての科目で一番の成績を収めました。

 

 王様はそんな自分の子供のことを信頼できる部下たちから聞き、誇りに思っておりました。

 

 ですが、王様ははやり病で倒れてしまいました。権力を握った王子様とお妃様が好き勝手に暮していると、王様の信頼できる部下たちが、ついぽろっと王様のもう一人の子供のことを喋っているのを聞いてしまい、怒り狂ったお妃様はその部下を処刑したあと、市井の娘をひっ捕らえて、その娘も処刑してしまいました。

 

 王様のもう一人の子供も処刑しようとしましたが、前の王様を慕っていた人たちが必死で頼み、処刑は回避されました。

 

 ですが、その子供を放置する気など無いお妃様は、その子供を奴隷とし、王子様・・・新しい王様にあげました。前の王様の時代には奴隷制度などありませんでしたが、新しい王様とお妃様と有力貴族が奴隷制度を作り上げてしまったのです。

 

 ここから、前の王様のもう一人の子供の苦難が始まりました。

 

 

 新しい王様とお妃様は、子供をいじめ続けました。わざと熱い飲み物を手が滑ったと言い子供に引っかけたり、新しい王様の趣味である狩猟に出かけたときは子供を獲物に見立てて矢を放ったこともありました。そのときは流石に矢じりがついたものではありませんでしたが、子供は大怪我をしてしまいました。新しい王様は、自分より優秀といわれている子供に嫉妬しておりました。

 

 時がたち、子供は青年へと成長しました。いじめが無くなる事はありませんでしたが、青年はくじけずに生きておりました。そんな青年には同じように奴隷である仲間たちと仲がよかったのでした。仲間たちが青年を励まし、青年も仲間たちお助けたりと、とても仲が良かったのです。しかし、新しい王様はそんな青年の現状に不満を感じました。

 

 

 そして、そんなある日のこと、新しい王様は青年以外の奴隷たちをありもしない罪を着せ処刑してしまいました。

 

 青年は絶望で嘆き悲しみ苦しみました。そんな絶望に打ちひしがれていた青年に、光が舞い降りました・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・どうしてこんなめに!?」

 

 奴隷用の汚く狭い部屋で青年は涙を流しながらそう叫ぶ。

 

 自分と仲がよかった仲間たちが兄に殺されてしまったのだ。一人残されてしまった彼は、絶望の真っ只中にいる。救いも希望も無く、自分を支えてくれた人たちを失い自分も死にたいと感じていた。

 

 そう落ち込んでいると、自分しかいないはずの部屋の壁に魔方陣のようなものが浮かび上がり光出した。

 

「なっなんだこれは!?うわっ!!?」

 

 その魔方陣は、円の中に五芒星がえがかれており、さらにその中心には瞳のような炎のようなものもえがかれていた。そして真っ赤に光り輝き青年は目をつぶる。・・・・・・・・そして光が収まると、魔方陣がきれいさっぱり無くなっていたが・・・

 

「・・・ふ~、転移終了っと」

 

 魔法陣があった壁の前に、全身深紅の服装をした人物がいた。

 

「あ、あなたは・・いったい・・?」

 

「って、げっ!?人がいたのか。っていうかどっかの部屋か?随分汚ねーけど」

 

 深紅の男はかなりマイペースに現状を確認している。

 

「あ、あの・・・・」

 

「ん?ああ、すまんすまん。自己紹介をいようか。俺はディバル・クリムゾンというものだ」

 

「え、え~と・・・わ、私は・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 ディバルは青年の話を聞き、怒りで震えた。そしてディバルは青年に復讐をしたいかを聞く。青年は首を縦に振った。

 

 この国の上層部は、そのほとんどが腐敗しきっていた。前国王を慕っていた良識あるものたちは、現国王や王太后、腐敗した貴族により無実の罪を着せられ処刑されたため、彼らの暴挙を止めることが出来なくなっていた。そしてディバルは、暴政により虐げられていた市民を扇動し革命を起こさせた。

 

 宮殿仕えの魔術師たちが迎撃に出ようとしたが、ディバルが蹴散らしてしまう。

 

 そうして、その国は革命が成功し、民主主義の新国家となった。

 

 

 

 

「どうだ、革命を成功させた気分は?」

 

 ディバルは青年に尋ねる。復讐を成功させた気分はどうかと。

 

「・・・最高です。・・・・・これで母や、自分を守ってくれた多くの人たちや仲間たちの敵が討てました」

 

 青年はそう笑顔でかえす。

 

「そうか。・・・しかし、驚いたぞ?国王と王太后を殺さず、法によって裁かせるなんてな」

 

 ディバルが言ったとおり、青年は復讐の対象であるはずの国王と王太后の首を切り落とすチャンスがあったのに、あえて殺さず法によって裁くようにしたのだ。

 

「今この国は変わってきているのです。私一人の復讐であの二人を殺すより、新しい国の始まりとして法による裁きではじめるのもいいと思ったんです」

 

「ふ~ん」

 

 青年の話にディバルはそこまで興味なさそうに返事をする。

 

「・・・・・で?前国王の血を引くお前が国トップになってほしいって話も来てるんだろう?返事したのか?」

 

 前国王の善政をしいていたのと、優秀な能力はこの青年が引き継いでるといわれており、民衆から是非に指導者として立ってほしいという話があったのだ。民主主義の国なろうとも、王政国家であった彼らは、すぐに自分たちで出来るとは思えなかったらしく青年にその話をしたのだ。だが・・・

 

「その話なら断りましたよ」

 

 そう、笑って答えを言う。余りにも重大なことをさらっと言ったので、流石のディバルも唖然としてしまう。

 

「こんな、復讐のために戦う男が上に立つ資格なんてありませんから」

 

「い、いや、それじゃあ誰がこの国を?」

 

 ディバルの質問は重要なものだろう。いくら民主主義に生まれ変わっても、それを引っ張っていけるものなどいるのかどうかといったものだったのだが・・・

 

「それでしたら、この国の良識があり、優秀である貴族や役人などを調べておいたのでその者たちを推薦させていただきました」

 

「・・・い、いつのまに?」

 

 青年の抜け目の無さと能力に驚くばかりのディバルであった。

 

「・・・それに、やりたいことも出来ましたしね」

 

「やりたいこと?」

 

 ディバルが疑問の声を上げると、青年が片膝をつき、臣下の礼をしはじめた。

 

「どうか、私をあなた様の眷族にしていただきたいのです」

 

「はあ!?」

 

 その言葉にディバルは驚きの声を上げる。自身のこともいくらか話しており、魔神であることも話し、危険な旅を続けていることも言っているはずなのだが・・・

 

「あの時、絶望に溺れていた私を救ってくれたのはあなたです。例え偶然によりあなたが現れたとしても、私にはあなたはまさに救世主に見えたのです。あなたのその旅路に私も連れて行ってほしいのです。危険な旅であるのは承知しています。ですが、どうかお許しを・・・!」

 

 青年の目を見、何を言っても無駄と思ったディバルは青年に話しかける。

 

「・・・なら、再びその名を名乗れ。名前を名乗り我に永遠に従うならばこの血を飲め!されど平穏を望むなら我のことを忘れたまえ!!」

 

 ディバルはどこからか取り出したナイフで己の腕を切りつけ血を流す。これも儀式の一つだ。だが、最後に引き返すチャンスを与えたが・・・

 

「是非もなし!!このフェレス・ファウスト、永劫の忠誠を誓わん!!」

 

 青年・・・フェレスは迷うことなくその血を飲む。ディバルは呆れながらも儀式に必要な呪文を唱えた。

 

 

 

 こうして、フェレスはディバルの眷族と化した。

 

 

 




取引のときで、ディバルが奴隷制度の廃止を願った理由が、フェレスの過去を知っていたが故でした。
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