「では、これより刑を執行する!」
中年の男の声が辺りに響き渡る。
中世ヨーロッパにおける、最も愚かしい事であろう一つ・・・・・・魔女審判の刑の執行だ。
此度の刑は、・・・・・・一人の少女が磔にされ足下には、多くの薪がある。おそらくは火炙りだろう。
現代では、考えつかない残酷でいい加減な裁判・・・・・・それこそが魔女審判だ。
神の名の下に。それを免罪符として、罪無き民を虐殺してきた。
最近、流行病が発生した。農作物が枯れ、凶作になってしまった。これらは全て魔女のせいだ。魔女を探せ。魔女を裁け。魔女を殺せ。
当時、こんな考えが本気で信じられていた。科学が発達していない時代とはいえ、あまりにも野蛮な考えである。
実際は、教会側が適当な人間を魔女として祭り上げ、ありもしない噂をひろげて、身に覚えのない罪状をきせ、民衆の憎しみを集め、処刑し、不満を解消し、自分達は悪を滅したとし、指示を集める。
こういう推察もある。・・・・・・分かり易くいえばゼロレクイエムの強制的に行う縮小版といったところだろうか。・・・・・・無論、なんの正義も、理想もなにも無いが。
さて、話を戻そう。今、魔女として裁かれようとしている少女、・・・・・・名をエヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。後の闇の福音である。
最も、今はまだ吸血鬼としての歳も若く力もない少女だ。
何年も同じ姿で、傷もすぐに治る。彼女ぐらいの年ならば、一年、二年で、だいぶ成長する事が多いのだが、正真正銘の不老不死・・・・・・真租の吸血鬼である。
そのため、成長出来ず周りからは気味悪がられいま魔女として裁かれようとしていた。
(どうして、こうなったのかな?)
少女の疑問。ただ、普通の生活を望んでいたのに悪として裁かれようとしているのだ。
確かに、十年以上の歳月を、吸血鬼になってから重ねているが、"精神は肉体に引っ張られる"と言う言葉があり、彼女の精神はいまだ、少女といっても違いないものだ。
この世の理不尽に内心、怒りで震えているが、肉体は少女のものである。抵抗は、できなかった。
「・・・・・・・・・よって、この者を火炙りとし、その罪を浄化する!願わくば、この者の魂が主の下へ導かれる事を願わん!」
(・・・・・・勝手な事ばかり言って・・・・・・)
エヴァンジェリンの心の中にどす黒い物が生まれようとしていた。
(・・・・・・何が浄化だ!何が主の下へだ!)
怒りは憎悪へと変質しようとしている。
(そんなに悪としての私が望みなら!私は!)
愛らしい顔が歪もうとしている。
「よし!では、火をつけろ!」
男の命令により火をつけられそうになったその瞬間。
上空から、全身真紅の男がエヴァンジェリンに、火をつけようとやってきた者の間に、降ってきた。
突然の出来事に周りはあ然とし、まるで時が止まったかのように誰も動かなかった。
そして・・・・・・
「ドーモ、ミナ=サン。マジンディバルです」
片言で全身真紅の男はそう言った。
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