怪獣皇女の英雄伝   作:ユリゼン

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プロローグ オリジン

 事の始まりは中国の軽慶市。

 『発光する赤子が生まれた!』というニュースが流れ、全世界に衝撃が走った。

 以降、世界各地で『超常』が発見され、原因も判然としないまま、時は流れてゆく。

 

 いつしか『超常』は『日常』に、『架空』は『現実』に。

 

 そして世界総人口の約八割が何らかの“特異体質”である超人社会となった現在。

 混乱渦巻く世の中で、かつて誰もが空想し憧れた『英雄』という職業が脚光を浴びていた。

 

 

 ────しかし、光あるところに闇もまた在る。

 あらゆる”個性“が溢れるが、中にはあまりにも危険なために存在してはならない”個性“も存在する。

 

 

 これはかつて世界の頂点に君臨した『王』の力をその身に宿した少女の物語。

 

 

………

……

 

 

 「『雄英高校に入学』……だと?」

 

 都内の高級マンションの一室のリビングにて、一人の少女が怪訝な表情を浮かべる。

 闇を写したかのような漆黒の長髪に雪のように白い肌に黒い痣のようなものがついた小柄な体躯、鋭い鉤爪と漆黒の鱗に覆われた手脚に腰から長い尻尾が生えた異形の姿の少女『アルヴィオン』は目の前に座る人物達を見る。

 

 「YES! ぜひとも君に入学してもらいたいのさ!」

 

 そう返してきたのはネズミにも犬にも熊にも見える人物、雄英高校の校長である『根津』だ。

 

 「アルヴィオン、君の実力は前線で活躍するプロヒーローにも匹敵する。しかし、その実力を殺しておくのはもったいない。そこで、雄英高校でその実力をさらに伸ばして英雄を目指してほしいのさ」

 

 そう言った根津は用意したコーヒーを飲む。

 すると隣に座っていた骸骨と見間違うほど痩せ細った金髪の男性が口を開いた。

 彼こそこの“個性”溢れる超常社会において、『平和の象徴』として犯罪の抑止力となっている英雄『オールマイト』であり、アルヴィオンの育ての親でもある。

 

 「アルちゃん。勘違いしないでほしいんだが、私達は君に強要しているわけじゃない。ただ、君に今後のことを提案しているだけなんだ。だから嫌なら『嫌だ』とはっきり断ってくれても構わない」

 

 そう一旦区切ると、次の瞬間オールマイトはムキムキのゴリマッチョ姿(マッスルフォーム)になった。

 

 「ちなみに! 私が! 雄英高校に! 教師として! 就任! する! 予定だ!」

 「知ってる」

 「そ…そっか……」

 

 一つ一つポージングしながらそう言ってきたが、以前から聞かされていたので今更驚くことでもない。

 アルヴィオンの一言により風船のように萎んでガリガリ姿(トュルーフォーム)に戻るオールマイト。

 

 

 正直に言えば、アルヴィオンは英雄になる気などさらさら無い。

 興味が無いというのもあるが、アルヴィオンの“個性”は英雄に向いていないのだ。それを上手く使おうと事実が変わることはない。

 

 とはいえ、こうしてわざわざこちらに出向いてまで勧誘してくれたのだ。その行動に誠意を示すのも道理だろう。

 

 「………受けるだけ受けてみる」

 「ああ、それで構わないよ。そう言ってくれるだけでもありがたいことさ」

 

 アルヴィオンの言葉に根津がそう返してくる。人間じゃないので表情はわからないが、おそらく喜んでいるのだろう。

 

 アルヴィオンは立ち上がると、そのまま玄関へと向かっていく。

 

 「何処かに出かけるのかい?」

 「暇だから散歩してくる。晩飯までには帰ってくる」

 「わかった。気をつけて行っておいで」

 

 オールマイトの言葉を背に、アルヴィオンは玄関から外に出ていった。

 

 

………

……

 

 

 アルヴィオンが散歩しに部屋を出ていった後、リビングに残されたオールマイトと根津は会話を続ける。

 

 「すみません校長先生、あの子はどうにも気難しくて」

 「気にすることでもないさ。むしろ雄英高校に入学してくれるだけで儲けものだよ」

 

 申し訳なさそうにするオールマイトに根津は機嫌を悪くするわけでもなくそう返す。

 

 正直なところを言えばオールマイトも根津もアルヴィオンには雄英高校の『ヒーロー科』に入ってもらいたいのだが、彼女がヒーロー科に所属する気が無い以上それを強要するわけにもいかない。

 

 「────あの子のことが心配かい?」

 「!? い、いえ、それは………」

 「隠さなくてもいいことさ。君はあの子の親なんだから、そう思うのも当然のことだね」

 

 根津の言葉にオールマイトは何も返せない。

 確かに一人のヒーローとしてはアルヴィオンにも立派なヒーローになってほしい。しかし父親としては正直な話、アルヴィオンにはごく普通の少女としてごく普通の生活を送ってほしい。

 

 「だが君もわかっていることだが、彼女の“個性”は余りにも異質で強力過ぎる。何せ()()()()()()()()()()()()()()()()

 「…………」

 「────『ゴジラ』。あの子の“個性”のオリジナルであり、遥か昔の地球の支配者であった怪獣達の王。今はこの地球上から姿を消してしまったけど、彼の力は“個性”という形で彼女に受け継がれている。いわば彼女が今のゴジラだ」

 

 

 ────ゴジラ。まだ“個性”というものが現れるよりも前の世界に存在していたという巨大生物『怪獣』の頂点に君臨していた王たる存在。その姿は竜のようであり、まさに『神』そのものであった。

 そしてその力をアルヴィオンは“個性”という形でその身に宿してしまっていた。

 

 「そう、ですね。ですが今の彼女なら大丈夫だと、私は信じています」

 

 オールマイトはその瞳に強い光を宿しながらそう言う。

 

 アルヴィオンを引き取った当初、彼女は目に映る全てに強い敵意と憎悪を滲ませ、オールマイトでさえ迂闊に手を出すことができないほど危険な状態であった。

 しかしオールマイトが心から向き合い続けたことで彼女は次第に心を開いていき、今では親子として生活することができるようになった。

 つまり何が言いたいのかというと、彼女と正面から向き合ってくれる人なら必ずわかりあえるということである。すでに一人、一つ年上の女の子とは(比較的)仲良くなっていることをオールマイトは知っており、それを知った時は滂沱の涙を流したことは言うまでもない。

 

 「ま、何はともあれ私達はあの子の行く先を見守ろうじゃないか」

 「そうですね」

 

 根津の言葉にオールマイトは同意する。アルヴィオンがヒーローを目指すのも、普通の少女として生きていくのも、オールマイトはただ見守るだけである。

 ただ、もし彼女が間違った道へ進もうとした時はヒーローとして、教師として、そして何より父親として正しい道へ導く。それが今は亡き、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 「さて、じゃあ私はそろそろ雄英に戻るとしよう。今度の入試の準備をしなきゃだからね」

 

 そう言って根津はソファから立ち上がり、テクテクと玄関へと歩いていく。

 しかしその途中で立ち止まると、オールマイトの方を振り返って言った。

 

 「君がこの街に戻ってきた理由はわかっているさ。そのために雄英への教師就任を勧めたのだからね。でもそれにかまけてあの子との接する時間を削ってはいけないよ。今のあの子の心は父親である君の存在によって支えられている。それが崩れ去れば、あの子は怪獣王になってしまうからね」

 「はい、そのことは肝に銘じています」

 「うん、それならこれ以上私から言うべきことは何も無いよ。今度こそお邪魔するとしよう」

 

 そう言って根津は今度こそ部屋から立ち去っていく。その後ろ姿をオールマイトはただ見つめるのみであった。




・アルヴィオン

身長:165cm(尻尾除く)
体重:48kg(尻尾除く)

アルヴィオン‘s眼:蒼みがかっている。あと瞳孔は縦長。たまに左眼から蒼い炎が灯る。

アルヴィオン’s毛:蒼みがかった黒。めっちゃサラサラ。基本左右非対称のツインテールに纏めている。

アルヴィオン‘s顔:無表情。オールマイトにしかわからないほど。

アルヴィオン’s体躯:モデル並に細い。あと白い。

アルヴィオン‘s尻尾:長くて太く、硬い鱗に覆われ背鰭が生えている。オールマイト曰く、「振り回されると痛い」。


個性『黒き神(ゴジラ)
かつて存在した巨大生物『ゴジラ』の力そのもの。
体内で生成した核エネルギーを熱線として放ったり、運動エネルギーへと変換して爆発的な身体能力を得ることができる。
 その力は未知数であり、アルヴィオン自身もまだ把握しきれていない。
 しかし余りにも力が強大過ぎるため、普段は鎧状の拘束具を身につけ、巨大な槍状の武器を使用してその力を抑え込んでいる。


イメージとしてはインセイン・ブラックロックシューターの紫と白の部分を青色にし、腰から尻尾を生やした感じ。

またゴジラはモンスター・バースのゴジラ。
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