機動戦士ガンダムー漆黒の流星ー   作:たれちゃん

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第4話

 皆さんおはこんばんにちは。

 

 唐突ですが現在、オレはトト家の使用人一同と一緒に土遊びに興じています。

 スコップでザクザクと土を掘り、バサバサと隣にある空き地にいらない土をぶち込んでいく簡単な作業で、土でお山を作ったりもしています。

 

 全員土や埃によって土まみれ埃まみれで、さながら気分はフロンティア=スピリットに燃える西部開拓時代のアメリカ人のよう...。

 開拓精神があふれんばかりの自分の姿に少し酔ってしまったのか、なんだか楽しいです。

 

 

 という冗談はさておき、俺達トト家の使用人一同はトト家の保有する大きな庭の一部を絶賛開墾して農作地へと変えている途中である。

 唐突になぜこんな農作業をしているかというと、ぶっちゃけてしまうとアクシズでかなり深刻な食糧不足が発生しているからだ。

 

 それもそのはず。

 資源採掘用の鉱床兼MSの製造工廠も持つ巨大な基地とはいっても、元々ジオン軍のただの地球圏外拠点の一つでしかないという側面しか持っていなかったところに、敗戦によって地球圏を脱出したジオン軍の将兵やその家族が数万人も突如大挙して押し寄せたのである。

 急に増えた人員の生活物資を用意出来なかったアクシズでは、上流階級や軍の高級幹部はともかくとして、下層階級では食料などの奪い合いまでもが発生する始末であった。

 アクシズの統括責任者であるマハラジャ・カーン総督が、農業プラントに対して食糧を始めとする生活物資の増産を指示したらしいが、その成果がすぐに出るはずもなく、こうしてオレ達トト家使用人一同はトト家から庭の一部を貸して頂き、自分達の食料を確保する為にも農作業に励んでいるのである。

 資源採掘用の小惑星だっただけあり、こんな鉱物を大量に含んだ土壌でちゃんとした作物を育てることができるのかは甚だ疑問ではあるが。

 上流階級の使用人という、ある程度恵まれた人間であるオレたちでさえこうなのだから、下層市民たちの苦労は想像するに難くない。

 

 こんな状況の為、流石にここ数日は戦闘訓練もお休み...かと思いきや、普通に戦闘訓練をしっかりやらされてからの農作業なので肉体的にも精神的にもかなり疲労が溜まってくる。

 全ての業務が終わって自室に戻るころには精も根も尽き果てて、ベットで死んだように眠るということが最近のオレの1日であった。

 

 ちなみに、食糧不足でにっちもさっちもいかないアクシズの現状をジオン軍のお偉いさん方は分かっていないのか、やれ戦争継続だとか、やれ武力での独立獲得だとか、頭がおかしいとしか思えないようなラジオ放送を1日に数回流してくる。

 確かに景気のいいことを言って国民の戦意を維持することは必要かもしれないが、今じゃなくてもいいだろう。

 勘弁してくれという感じだ。

 

 そうして今日も今日とて訓練後の開墾&農作業にいそしんでいたわけだが、急に正門の方向が騒がしくなったかと思うと、一台のエレカが停車しようとしているところを発見した。

 トト家に訪問客かとも思って使用人一同で出迎えに向かう。

 近づいてよく見てみるとジオン軍で広く普及しているタイプのエレカであり、普段軍人の出入りがあまりないトト家では珍しいなと思っていたのだが、そのエレカから降りてきた人物を見てオレは驚愕のあまり卒倒しそうになった。

 

 「久しいな、ムサシ君。」

 

 そう言って出てきたのは、あのシャア・アズナブルであったのだ。

 なんとか我慢して驚愕した表情を押し込め、ペコリと彼に頭を下げる。

 この人何しに来たんだとか、シャアみたいな有名人がなんでちょっと会っただけのオレのことなんて覚えられているんだとか思ったが、ガンダム屈指の有名キャラのこの人とはあまり関わらないと決めていたので、ここは逃げるのが先決だ。

 オレは回れ右をすると、さっさと農作業に戻ろうとしたのだが、そこでシャアがボソリと一言。

 

 「まあいい。これからは会う機会も増えるだろう。」

 

 戦慄した。

 訳がわからなすぎて、正直ちょっと泣いてしまった。

 もしかすると、トト家に用事でもあって、しばらくここに通うつもりなのだろうか?

 

 シャアが言った言葉の意味を考えてドキドキしながら農作業を引き続き行っていると、しばらくしてからトト家の本邸から俺に対して出頭命令が出たことを他の使用人の一人から教えられる。

 特に問題を起こした覚えはないし、基本的にはグレミーの管理下にあるオレに対して本邸から呼び出しがかかることなど今までほぼなかった為に首をひねったが、呼び出されたものはしょうがない。

 ささっと持っていた農具を片付けてシャワーを浴び、最低限の身なりを整えてからオレは本邸へと歩いていくのであった。

 

 

 広大な庭を歩いていくこと数分。

 オレはトト家の本邸に到着した。

 名家にふさわしい荘厳なつくりをしながらも、ところどころに建築してからそう長い時間が経っていないことを感じさせる巨大な邸宅。

 その最上階にトト家当主、つまるところのグレミーの父親であり、オレを私兵として軍から買った張本人の執務室はあった。

 

 「ムサシ・ミヤモト、入ります。」

 

 数度のノックの後入室する旨を伝えると、それを許可するように小さく執務室のドアが開かれた。

 だがおかしい。そこにいるはずのない人物が見えるのだ。

 執務室の中から先ほど見たばかりの赤い人物が見える。

 オレはおかしくなってしまったのだろうか、幻覚か何かを見てしまっているようだ。

 

 何度か目をこすってみるが赤い人は消えず、オレは諦めて今見ているのが現実であることをようやく認める気になった。

 内心ため息をつくが、呼び出されていつまでも黙っている訳にもいかない。

 シャアが室内にいたことで、一気にこの呼び出しが胡散臭いものとなったので気乗りはしなかったが、意を決して口を動かし、言葉を紡いでいく。

  

 「ご当主様、自分をご指名でお呼びであると聞きました。

何か御用でございましょうか?」

 

 そうオレが訪ねると、当主は厳かに首を縦に振ってから呼び出した理由を説明し始めたのだが、あまりの内容にオレの脳が当主の話していることの理解を拒否しているのか、全く頭に入ってこない。

 オレが話を理解できていないことに気づいたのか、シャアが途中で当主の話を止めた。

 

 「ご当主、どうやら彼は混乱しているようですので、私が説明致しましょう。」

 

 そう言うと彼はオレの方を向き、目を合わせて語りかけてきた。

 流石にそうまでされると、こちらも必死に聞かざるを得ない。

 オレは先ほどよりも集中力を上げて、シャアの話を一言一句も聞き逃さぬよう頑張って聞くのであった。

 

 そこでシャアが話したことを要約すると

 

 ・オレは、ニュータイプというある種のエスパー的な能力を持った人間であり、シャアも似たような能力を持っている。

 ・オレが1年戦争時に入れられていた施設が、まさにそのニュータイプの研究機関であり、そこでの研究を通じて、オレのニュータイプとしての能力は芽を出しかけている。

 ・しかし、このままの生活を続けるとこれ以上の能力向上はあまり見込めない。

 ・ニュータイプは別のニュータイプと共鳴して能力を引き出せる場合があるので、オレは同じニュータイプ能力を持つシャアについていくべきである。

 

 意訳:私の同志となれ、ムサシ君

 

 「は?え?ドユコトデスカ?」

 

 シャアの話を最後まで聞いてしばらく嚙み砕いた後、なんとか理解に努めたのだが、内容も内容だった為に、つい素で返してしまった。

 ちょっと待ってくれ、展開が急すぎるし、訳がわからなすぎて(本日2度目)顔が引きつってきてしまう。

 あ、少し涙が出てきた。

 

 流石にお断りを入れようとしたのだが、当主が一言。

 

 「お前の役目を考えろ。

 能力をシャア大佐に引き出してもらい、グレミーの為の立派な護衛となるのだ!」

 

 これによって、オレが口に出しかけたお断りの言葉は完全に封じられることとなる。

 この状況でトト家の当主に逆らってもいいことはないので、オレは口をパクパクさせるだけで動くことも出来ず、魂が抜けたようにその場に立ち尽くすしかなかった。

 

 その後は当主の執務室を追い出され、シャアに手を引かれるまま彼の運転してきたエレカに押し込まれたのだが、気分はまさにドナドナされていく子牛のよう。

 

 頭の中をあの特徴的な音楽が流れていく。

 

 ル~ル~ルルル♪

 出涸らしムサシが運ばれてくよ~♪

 きっとこのまま売られていくよ(すでにトト家当主からシャアに売られてしまった模様)~♪

  

 「すまない。

 そこまで言われると流石に私も堪えるので、その歌はやめてはくれまいか?」

 

 おっとしまった。

 つい歌が口に出てしまっていたらしいねテヘペロ。

 




ドナドナの歌はそのままだと使いづらかったので、このすばのアクア様のverを参考にしました。
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