魔法使い君が幻想入り   作:猫太子

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「アレッ?…ここは?」

「来ましたか、初めましてシオン…私は四季映姫ヤマザナドゥ……幻想郷の閻魔です」

「閻魔?…って事は僕死んじゃったの?」

「いえ違います…貴方が意識を失った所を小町に頼んで魂だけ呼び寄せたのです」

「それって殺人未遂…」

「人聞きの悪い事を言わないで下さい…今日、ここに呼んだのは貴方に話があるからです」

「話?…話って何?」

「貴方、以前ここに来た時勝手に帰りましたね?」

「そうだけど、それがどうしたの?」

「どうしたの?…じゃ有りません!!」

「!!」

「貴方は何を考えてるのですか!!…冥界の法をガン無視して霊魂が勝手に現世に帰るなど言語道断!!」

「だって完全に死んだ訳じゃ…」

「だってじゃ有りません!!…例え完全に死んだ訳で無くとも死神の案内無しで蘇るなど有ってはならない事です!!…そもそも貴方は自分勝手な行動が多すぎます!!…この前の異変も貴方に振り回されて迷惑を受けた者がどれほど居たのか解っているのですか!?」

「………」

「とにかく、貴方は一度猛省し自らの行いを…」

「…うっ…うっ…ひっく…」

「?…どうしましたか?」

「うえ〜〜〜〜〜ん(泣)」

「なっ!!…何を泣いてるのですか!?」

「うわ〜〜〜〜〜〜ん(泣)」

「お、落ち着きなさい!!…確かに説教と言う物は耳に痛い物ですが、これも貴方を思って…」

「ぐすっ…ぐすっ…映姫ちゃんなんか…映姫ちゃんなんか……大っ嫌いだぁぁぁぁぁぁ!!」

「待ちなさい!!……また勝手に帰って……しかし、少々言い過ぎましたかね…」


永遠亭でオヤツを食べよう☆

「う〜〜う〜〜」

 

 

僕は今、布団の中で唸っている。

 

 

前回の最後で風邪引いちゃったんだけど、これが中々治らなくて…

 

 

もう、二日経つけど熱が下がらず咳も酷い。

 

 

う〜む、これはもしかするとインフルエンザかも知れないねぇ〜

 

 

不味いね、幻想郷は敢えて文明を発達させない方向だから医療等もそれほど発達してない可能性がある。

 

 

手持ちの解熱剤と咳止めも切らしちゃったし……どうしたものかな?

 

 

「マスター、大丈夫ですか?…あまり、お加減が良くない様ですが」

 

 

「あまり良くないよ……やっぱり医者に見せないとダメかな?」

 

 

メリルは心配そうに僕を見ていた。

 

 

「う〜ん、でもマスター…この世界に頼れる医者なんて私達知りませんよ?」

 

 

「そうなんだよねぇ〜、ライカ……自力でどうにかしようにも、さすがに風邪の特効薬なんて作れないしね…」

 

 

…作れたらノーベル賞ものだよ……いや別に欲しい訳じゃないけど…

 

 

と、そこへ博麗霊夢が姿を現した。

 

 

「…全然良くならないわね……やっぱり、永琳に頼まないとダメかしらね?」

 

 

「…永琳?…八意永琳の事?……確かこの前の宴会に来てた人だよね?」

 

 

「そうよ、永琳は幻想郷でもっとも信頼出来る医者よ……まぁ正確には薬師なんだけどね」

 

 

成る程ね……でも確か彼女は…

 

 

「まぁ、永琳は永遠亭に居るから迷いの竹林を歩いて行かないとダメだけど」

 

 

「?……飛んで行く訳にはいかないのですか?」

 

 

メリルは訝しげに聞いた。

 

 

「…別にそれでも良いけど、空からだと永遠亭の位置が解りにくいわ……何せ竹林の中にあるから目視しにくいのよ……私も何回か行った事あるけど、正確な位置は把握してないわ」

 

 

「じゃあ歩いて行くしか無いんだね…」

 

 

「歩くにしたって案内人が必要よ……取り敢えずそこまで行かないとね」

 

 

「案内人?…まさか小野塚小町って人?」

 

 

僕は何故か三途の川で会った気っ風の良い姉ちゃんを思い浮かべた。

 

 

「それはあの世の案内人よ、アンタ死ぬつもり?…って言うか何で小町の事知ってるのよ?」

 

 

「この前死にかけた時に会ったよ……想像してた死神と大分違ってたけど…」

 

 

「この前?…ああ、ライカのアレね……全く、主人も主人なら従者も従者ね」

 

 

それ、どういう意味?…後、そんなに溜め息ついてると幸せが逃げるよ?

 

 

「竹林の案内人は藤原妹紅よ……アイツは竹林に住んでるから先ずはそこに行くわよ」

 

 

「ん……解った」

 

 

そして僕達は竹林の案内人の元へと向かった。

 

 

因みにライカとメリルが布団を掛けて黒檀で出来た輿で僕を運んで行った。

 

 

自前の羽毛の掛け布団(カバーは絹製)と低反発枕(カバーは絹製)を見て博麗霊夢は何だか溜め息を吐いていたけどね。

 

 

やがて、竹林に着き暫く進んで行くと一軒の家が見えてきた。

 

「妹紅、ちょっと竹林の案内を頼みたいんだけど良いかしら?」

 

 

博麗霊夢は家の扉をノックして言った……程無くして一人の女性が姿を現す。

 

 

「何だ?…霊夢、私に用?…って何、この輿は!?…貴族でも乗って居るのか?」

 

 

輿の中から外を見ると、家の前に長い銀髪の指貫袴(要はモンペ)を履いた女性が見えた……どうやら彼女が藤原妹紅って人みたいだね。

 

 

「違うわよ、妹紅……中に入ってるのは只の悪ガキよ…このバカ、馬鹿の癖に生意気にも風邪引いちゃって困ってるから永琳に見て貰おうと思ってね」

 

 

「そ、そう……解ったわ、なら永遠亭に案内すれば良いのね?」

 

 

「そうよ、お願いね」

 

 

「では早速案内するからついて来て」

 

 

こうして僕達は藤原妹紅の案内で永遠亭に向かう事になった。

 

 

途中、何度か妖怪達に襲われたが博麗霊夢と藤原妹紅が妖怪達の鎖骨を砕いて次々と撃破して行った。

 

 

そして、僕達は一軒の屋敷に辿り着いた……どうやら、ここが永遠亭みたいだね。

 

 

「じゃあ、私は帰るから」

 

 

「そんなに急いで帰る事無いんじゃない?」

 

 

「いや霊夢…顔を会わせたく無い奴が居るから…」

 

 

「…ああ、アイツね……解ったわ妹紅、案内ありがとう」

 

 

もこたんは挨拶もそこそこに帰って行った……顔を会わせたく無い奴って誰だろうね?

 

 

博麗霊夢は屋敷の扉を叩いて中に呼び掛けた。

 

 

「永琳、永琳、助けてエーリン(゚∀゚)О彡゚」

 

 

「霊夢さん、何をしてるんですか?」

 

 

突然の博麗霊夢の奇行にメリルが若干引きながら質問した。

 

 

「いや、意味は無いけど何と無くよ…」

 

 

「霊夢さんまでボケに回ったら、この小説はお仕舞いですぅ〜」

 

 

「うるさいわね!!…ライカ、私だって色々と貯まってんのよ!!…少しは発散させろ!!」

 

 

「…だから前にも言ったじゃん…ゴホッ、ゴホッ…相談になら…ゲホッ、ゲホッ…僕は乗ると…」

 

 

「アンタが原因でしょうが!!…大人しく寝てろ!!」

 

 

と、その時扉が開き兎の耳を生やしたブラジャ…ブレザー服を着た少女が姿を現し、ジト目で言ってきた。

 

 

「あの、何を騒いでいるのですか?」

 

 

「ああ、ちょっとね……それより、この子を見て欲しいんだけど…」

 

 

と言って、博麗霊夢が輿を開けた……フッフッフ、甘い!!

 

 

「…あの、霊夢さん…うちは案山子なんて診れませんよ?」

 

 

「へっ?……アレッ?…アイツ何処に行ったのよ!?」

 

 

すり替えたのさ!!…そして僕は…

 

 

「僕はここだよ…うっ!!…ゲホッ、ゲホッ…ぐはぁ!!」

 

 

博麗霊夢の背後から声を掛けて僕は…意識を失った。

 

 

「ちょっとシオン!!…アンタ何をやってんの!?…体張ってボケる所じゃないでしょ!?」

 

 

「霊夢さん!!…急いで中に運んで!!」

 

 

ああ、遠くから博麗霊夢達の声がする……

 

 

…そして、僕が次に目を覚ましたのは永遠亭の一室の布団の中だった……うぅ、映姫ちゃんのバカ…

 

 

「目が覚めたみたいね」

 

 

「博麗霊夢?」

 

 

目の前に博麗霊夢が座って居た。

 

 

「…アンタ、泣いてたの?」

 

 

僕は頬を伝う涙に触れてみた……知らぬ間に泣いてたみたいだね。

 

 

何と無く気恥ずかしかったから僕は反対側を向いた。

 

 

「まぁ、良いわ…何の夢を見たのか知らないけど……今はゆっくり休んで早く治しなさい…アンタがそんなんじゃ、こっちまで調子が狂っちゃうじゃない」

 

 

「もしかして、心配したの?」

 

 

「…別にそう言う訳じゃないわ……ただ、面倒を見てる手前でね…」

 

 

「そう、でも………」

 

 

「?…何?…良く聞こえなかったけど…」

 

 

「何でもないよ」

 

 

僕はそう言って頭から布団を被った。

 

 

「…まぁ良いわ…じゃあ私は隣の部屋に居るから何かあったら呼んでね…それと枕元に薬があるから、ちゃんと飲みなさい」

 

 

「ん…解った、所でライカとメリルは?」

 

 

「隣の部屋に居るわ」

 

 

博麗霊夢はそう言って部屋を後にした。

 

 

僕は言われた通り薬を飲んだ……うぇ、苦い…

 

 

暫くして部屋に一人の女性が入ってきた。

 

 

…この人、宴会で見た事がある…確か、八意永琳って人だ。

 

 

聞いた話だと永遠亭で医者(正確には薬師だけど)をやってる人で、何でも蓬来人と呼ばれてるらしい。

 

 

蓬来人ってのは不老不死で遥か昔から生きているらしいけど……見た目じゃ解らないよね…

 

 

「お加減はどうかしら?」

 

 

「ん…大分良くなったよ、永琳ちゃん…」

 

 

「そう、このまま薬を飲んで安静にしてれば二、三日で良くなるわ……風邪の方は…」

 

 

「風邪の方は?…何か他にも有るの?」

 

 

「まだハッキリと解らないけど、少し気になる事があるわ……風邪が治り次第、色々と検査したいけど…良いかしら?」

 

 

「…解った、検査を受けるよ」

 

 

何だろうね?…まぁここは医者の言う通りにしよう。

 

 

「検査が終わるまで何日間か逗留する事になるけど、構わないかしら?」

 

 

「……博麗霊夢が良いって言うなら良いよ」

 

 

「…解ったわ、霊夢には私から話を通しておくわ……今日はもう寝なさい」

 

 

永琳ちゃんはそう言って部屋を後にした。

 

 

…一体、何の検査をするんだろうね?

 

 

面倒なのは嫌だけど…何と無く気になるな〜、まさか某かの重病でも患ってるのかな?

 

 

ここ最近、大魔法の乱発に大掛かりな儀式や魔道設備の製造、召喚実験ばっかりやってたから無理な負荷で体にガタが来てるかもね…

 

 

…これを期に体を休ませるのも良いかもね…

 

 

取り敢えず、今日はもう寝るとしよう。

 

…そして三日後、永琳ちゃんの言う通り僕は治った。

 

 

あんだけ苦しんだのにね。

 

 

それで僕は今、永琳ちゃんの言う通り検査を受けてるのだけれど…やった内容は体力測定だった。

 

 

てっきりレントゲンやCTスキャンでもやるのかと思ったけど…

 

 

そして、その結果…

 

 

「やっばりね…貴方、標準の12歳児と比べると体力、運動力がかなり低いわ」

 

 

永琳ちゃんは僕にそう告げた。

 

 

「そうなの?…でも永琳、シオンは今まで私やフランとかと互角以上に渡り合っていたわよ?…この前だってフランと一晩中追いかけっこしたのに平然としてたし…」

 

 

「多分それは魔力で体力、運動力を肩代わりさせてたからじゃないかしら?……魔力だけ見れば上古の妖怪や上級神族を遥かに上回ってるわ」

 

 

「成る程、じゃあシオンは聖みたいに身体強化の魔法を使っていたと言う訳ね」

 

 

まぁ、そうなんだけどね…それにしても聖ちゃんも身体強化をしてたんだ…

 

 

「でも、この子の場合それに頼り過ぎよ…だから素での体力が弱いのよ…それに免疫力も驚く程弱いわ、だから只の風邪でもここまで長引いたのよ」

 

 

そうなんだ…それは知らなかったな…

 

 

「…このままだと間違いなく早死にするわ…今まで、どう言う環境で育ったか知らないけど1年持つのかも怪しいわね」

 

 

「えっ!?…僕そこまで軟弱なの?」

 

 

「体力に関してはそうね……ただ、免疫力については少し違うわ」

 

 

「?…それってどう言う事?」

 

 

「貴方の場合、必要な免疫が乏しく、逆にこの世界では不要な免疫が強いのよ……確か、貴方は異世界から来た外来人だったわね?…多分そのせいよ」

 

 

成る程ねぇ〜、僕の居た世界と幻想郷では環境が大分違うみたいだね。

 

 

「暫く、ここで体質改善の為に療養した方が良いわね」

 

 

「…それ込みで何日間か逗留する必要があるって事だったんだね?…まぁ僕は良いけど…」

 

 

僕はチラッと博麗霊夢とライカとメリルを見た。

 

 

「私とライカならお気遣い無く……私達はマスターの意向に従います」

 

 

「そうだねぇ〜、でもマスターだけ残す訳にはいかないから私達も一緒に厄介になるよ♪」

 

 

うん、二人はそう言うと思った☆……博麗霊夢は…

 

 

「はぁ…仕方無いわね…でもコイツの事だからまた騒ぎを起こしかねないわ…悪いけど私も一緒に残るわよ……良いでしょ永琳?」

 

 

「構わないわ、貴女達の部屋も用意してあるから一緒に泊まっていきなさい」

 

 

こうして僕達は永遠亭で暫く過ごす事になった。

 

 

そして僕は体力作りの一環として魔法を使わないで基礎体力向上のトレーニングと、ついでにライカとメリルと一緒に雑用をこなす事になった。

 

 

えっ?…博麗霊夢はどうしてるかって?……部屋でゴロゴロしてるよ…その内ゴロゴロがコロコロになるかもね(^_^;)

 

 

まぁ、そんな事より今は永琳ちゃんに頼まれて蓬来山輝夜って人の部屋にオヤツを運ぶ所だけど……何処だろうね?

 

部屋の前に名前が書いてあるから直ぐに解るって言ってたけど…

 

 

ん?…この部屋に表札が掛かってあるぞ……何々?

 

 

「ホライゾン・シャイニング・ナイト……ここじゃないね…う〜ん何処かな、蓬来山輝夜の部屋は…」

 

 

僕は部屋を通り過ぎ様としたが、突然襖が開き部屋の中から伸びた手に襟首を掴まれた。

 

 

「待ちなさい!!…私が輝夜よ!!…ホライゾン・シャイニング・ナイトって何なのよ!?…私は中二病か!!」

 

 

「へ?…君が輝夜ちゃん?」

 

 

「そうよ!!…私が輝夜ちゃんよ!!…ってちゃん付けするな!!…いえ、そんな事より表札にそう書いてあったでしょ!?…お前は字が読めないのか!!」

 

 

「だって難しい漢字なんだもん……これ、絶対常用漢字じゃないよね?」

 

 

「人の名前にケチつけるなぁぁぁぁ!!…単純にアンタの漢字読解力が無いだけでしょうが!!」

 

 

「失礼だなぁ〜、漢字ぐらい読めるよ…」

 

 

「本当?…じゃあ、ちょっと試してあげるわ……中に入りなさい」

 

 

輝夜ちゃんが部屋に招いたので僕は中に入った。

 

 

そして、僕と輝夜ちゃんは部屋の中央で対峙して座った。

 

 

「じゃあ行くわよ…難題 博麗霊夢!!」

 

 

「銭ゲバ!!」

 

 

「いきなり違う!!…いや、確かにそうだけど違うわよ!!…次、難題 霧雨魔理沙!!」

 

 

「メインシーフ、サポ黒!!」

 

 

「そのネタは止めなさい!!…次、難題 八雲紫!!」

 

 

「更年期障が……空から拳が!?…うぎゃああああ!!」

 

 

「無茶しやがって…次、難題 チルノ!!」

 

 

「バカ!!」

 

 

「正解!!…って会った事無いのに何で知ってるの!?」

 

 

「そっちこそ会った事無い事を何で知ってるの!?」

 

 

「乙女の勘よ……って言うか今の漢字じゃ無かったわね…だからノーカンよ!!」

 

 

「うわっ…ひでぇ…」

 

 

「酷いのはアンタの漢字読解力よ!!…まぁ、これでアンタが漢字読めない事が解ったわ……所で何の用だったの?」

 

 

「っと、そうだった…僕は永琳ちゃんに頼まれてオヤツを持って来たんだけど…」

 

 

僕はそう言って持ってきたお盆を差し渡した。

 

 

「?…何これ、お盆だけだけど……オヤツはどうしたのよ?」

 

 

「ゴメン♪…食べちゃった☆」

 

 

「表に出ろぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 

…こうして僕は輝夜ちゃんと一緒に激しい運動をする事になっちゃった☆




ここまで読んで戴いて有り難うございます。


今回から永遠亭が舞台になりますが、ここで主人公の思わぬ弱点が露呈しましたね。


まぁ、バカでも風邪を引くと言う事です。


次回、輝夜とバトル?
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