「如何した?」
「…少年の呼ぶ声が聞こえた」
「…!!…確かに私にも聞こえる……どうやら我等の力を欲している様だな…」
「ああ、久々に楽しめそうだな…」
「フフフッ…我等五人に声を掛けるとは…余程の事だな……腕が鳴る」
「はしゃぐのも良いが、やり過ぎるなよ……まだ終末の時では無いのだからな…」
「解っているさ…クックックックックッ」
「逃げるなぁぁぁぁぁ!!」
「や〜だよ♪…捕まらないよ♪」
竹林を掻き分け、僕とシャイニング・ナイト(輝夜ちゃん)は追いかけっこをしていた。
互いに高速で飛んで竹林を翔ているのだけど……流石にここで亜光速飛行は危険なので通常飛行で飛んでるから中々振り切れないよ。
あまり魔法に頼るなとは言われてるけど……シャイニング・ナイト(輝夜ちゃん)が本気で追い掛けてくるから使わざるおえないんだよね☆
「も〜、しつこいよ…シャイニング・ナイトちゃん」
「誰がシャイニング・ナイトよ!!…姫様と呼びなさい!!…この、愚民!!」
「…僕はシャイニング・ナイトちゃんの民じゃないよ〜♪」
「黙りなさい!!」
むぅ〜、意外と怒りっぽいな……このままだと地の果てまで追い掛けてきそうだな……仕方無い…
僕は近くの藪に突っ込んだ……そして…
「あっ!?…待ちなさ〜〜い!!」
シャイニング・ナイト(輝夜ちゃん)は僕が放ったデコイを追い掛けて、明後日の方向に飛んで行った。
そして、僕は藪から顔を出して呟いた。
「フフッ…あの様子なら暫くは誤魔化せるな……」
デコイは紅魔館に向けて放ったから上手くすれば夜まで誤魔化せるかも…
「何をしてるの?」
不意に声を掛けられた。
声の方向を見ると、そこには背中に鳥の羽根を生やした女将姿の少女が居た。
「ちょっと悪い魔女に追い掛けられて隠れていたんだ……所で君は誰?」
「それは私の台詞なんだけどね(^_^;)……まぁ良いわ…私はミスティア・ローレライ、夜雀よ」
少女はそう名乗った……ふ〜ん…ミスティア・ローレライね…………可愛い女の子だね(////)
「僕はシオン、人間の魔法使いだよ♪……所で、ミスティア・ローレライはここで何をしてるの?」
「ミスティアで良いよ……私は屋台の準備をしていた所だよ」
「屋台?…こんな所に客なんて来るの?」
「結構来るよ、こう見えても割と人気があるんだから」
とミスティア・ローレライは胸を張って答えた………むむっ…意外と『有る』
「ちょっと……どこ見てるのよ」
っと、いけないいけない…ジト目で睨まれちゃった。
「あ〜、うん…でへへ☆」
「でへへじゃない……あまりスケベだと女の子にモテないよ?」
「大丈夫♪…もう手遅れだから☆」
「全然大丈夫じゃないじゃん」
ありゃ、呆れられてしまった。
「まぁ、そんな事より……ここって竹林のどこら辺?…逃げるのに夢中で迷子になっちゃったんだ……永遠亭ってどっちの方向かな?」
「永遠亭?…もしかして、シオンは永遠亭の患者さんなの?……その割には元気そうだけど…」
「まぁ、色々あってね……それより永遠亭の場所、知ってるなら教えてくれる?」
「う〜ん……教えるのは良いけど、ここ迷いやすいから私が案内するよ……ついて来て」
「本当?…ありがとう♪」
…………よっしゃあ!!
と、その時兎の耳を生やしたブレザー姿の少女が現れた………………………チッ
この少女は永琳ちゃんの弟子で鈴仙・優曇華院・イナバって名前だけど長いから、うどんげちゃんって呼んでるんだ。
「ここにいましたか……って言うか今、舌打ちしませんでしたか?」
「してないよ、うどんげちゃん…所で何の用?」
「何の用?…じゃないですよ……トレーニングすっぽかして何やってるんですか…私まで師匠に怒られるじゃないですか」
「ん?…もうそんな時間か…」
そうなんだよね、僕は体質改善の為にトレーニングしないといけないんだよね。
…そのトレーニングをうどんげちゃんが見てるから監督責任を取られるんだよね。
「それと、今日はまだ薬を飲んで無いですよね?…持ってきたから飲んで下さい」
と、うどんげちゃんが黒い丸薬(正露丸じゃないよ)を渡してきた。
この薬は僕の免疫力を上げる薬なんだけど、効果が1日しか無いんだ。
一応、免疫を幻想郷に適応させる事も出来るらしいけど……それをやっちゃうと今度は僕の居た世界で必要な免疫が衰えるみたいなんだ。
永琳ちゃんが言うには、人間の体は使われない機能はドンドン衰えていくから下手に手を加えない方が良い………だって。
だから、この薬は免疫力を上げるのと同時に元々ある免疫を保つ為に飲むんだ。
「…あらっ?…怪我してますね?…ちょっと見せて」
うどんげちゃんが僕の膝を見て言った……確かに擦り傷が出来ていた。
「あっ…本当だ…」
僕は魔法で傷を治そうとしたが…
「ダメですよ、その程度の傷で魔法に頼るのは……師匠から言われたでしょ?」
…そう言えば、魔法で治すと治癒力が衰えるって言ってたなぁ〜
「手当てするから傷を見せて下さい」
うどんげちゃんがそう言って念入りに消毒をして、止血剤の軟膏を塗り滅菌ガーゼを被せてテープで固定した。
「…随分と大袈裟だね」
見ていたミスティアが半ば呆れて言った。
「…この子は免疫が弱いので小さな傷でも感染症になりかねないのよ」
…そうなんだよね…薬飲んでも、まだ人並み以下の抵抗力なんだよね……魔法を使えば同時に殺菌出来るから今まで、あまり気にして無かったけど…
「ふ〜ん、大変なんだね」
「…まぁね…」
ミスティアは同情の眼差しで僕を見ていた。
「さて、手当てが終わりましたので一緒に帰りましょう……?…何か機嫌悪そうな顔をしてますね」
「……そんな事無いよ…それよりシャイニング・ナイトちゃんにお土産でも持ってかないと後で恨まれそうだよ………まぁ、それでも良いけど…」
「……シャイニング・ナイトって誰ですか?」
「輝夜ちゃんの事だよ」
「…姫様の事ですか……そう言えば姫様に追い掛けられてたけど、何か悪戯でもしたんですか?」
うどんげちゃんがジト目で聞いてきた。
「…さっき言ってた悪い魔女って、蓬来山輝夜の事だったんだね」
ミスティアもジト目で言った。
「魔女……姫様が聞いたら怒りますよ?」
「もう既にキレてるから問題無いよ♪」
「問題だらけです……色々と…」
うどんげちゃん…溜め息吐かないでよ…
「仕方無いですね……ミスティアさん、ヤツメウナギを戴けますか?」
「ん〜、今準備中だから夜になったら届けるよ」
「助かります、お代をどうぞ」
「まいどあり〜♪」
うどんげちゃんから代金を貰ってミスティアは上機嫌に答えた……結構な額だったけど、皆の分も買ったのかな?……流石に一人分って事は無いよね。
「それじゃあ、帰りましょう」
「………うん…解ったよ、うどんげちゃん…」
「?……やっぱり不機嫌ですね?」
「…………気のせいだよ…」
…別に不機嫌じゃないさ…本当だよ(#`皿´)
…まぁ、そんなこんなで僕達は永遠亭に戻ったんだ。
「おかえり……?…シオン、アンタ何かムクれてない?」
玄関で博麗霊夢が出迎えてきた。
「そんな事無いよ……それより博麗霊夢、何処か行くの?」
見ると博麗霊夢は外に出掛ける準備をしていた。
「そのつもりだったけど、必要無くなったわ……アンタが帰ってきたからね」
「ん?…もしかして僕を探しに行く所だったの?」
「そうよ、さっき輝夜に追い掛けられてるのを見掛けたから、また何かやらかしたかと思ってね……それで輝夜はどうしたのよ?」
「…さぁねぇ…夜には帰ってくるんじゃないかな?」
「……アンタ、輝夜に何したのよ?」
博麗霊夢が恐い顔で聞いてきた。
「まぁ、ちょっと化かしただけだよ」
「アンタは妖怪か!!……はぁ、悪戯も程々にしないと何時か痛い目見るわよ?」
「痛い目なら何時も博麗霊夢が見せてるじゃないか」
「バカね、あんなの痛い目の内に入らないわよ……私が言ってるのはそう言う事じゃなく…」
「何?…心配してくれてるの?」
「アンタのトバッチリを受けたくないだけよ!!…詰まらない事言うな!!」
「そんなにむきになって怒らなくても良いじゃん」
「誰がむきになってるって言うのよ!!…このっ!!」
「痛い!!…痛いよ!!…コメカミをグリグリするのは止めて!!」
博麗霊夢がまた僕を苛める……酷いや。
「あの…もう良いですか?」
うどんげちゃんが遠慮がちに声を掛けてきた。
「そろそろトレーニングを始めたいので、もうその位で…」
「…解ったわよ、ほらっ行きなさいシオン…」
「う〜、痛い…」
「それじゃあ、シオンさん…行きますよ」
うどんげちゃんに促されて僕はトレーニングを開始した。
トレーニングが終わる頃にはすっかり日が暮れて夜になっていた。
トレーニングが終わった直後に玄関から輝夜ちゃんの叫び声が聞こえてきた。
「出てきなさい!!…愚民!!」
うわぁ〜、メチャメチャ怒ってるよ……しょうがないなぁ〜
僕は玄関に向かって行った。
そこには輝夜ちゃんの他にフランちゃんと咲夜ちゃんが居た。
「アレッ?…何でフランちゃんと咲夜ちゃんが居るの?」
僕は輝夜ちゃんを無視して二人に聞いたが……
「私を無視するなぁぁぁ!!…よくも、あんな真似をしてくれたわね!!…覚悟は良いかしら?」
「シオン!!…今日こそ決着をつけるよ!!」
「…お邪魔します」
…え〜っと……三人一辺に話されても困るんだけど…
と、ここで騒ぎを聞き付けて永琳ちゃんとライカとメリルが姿を現した。
「姫様?…こんなに遅くまで何処に行ってたんですか?……それと、そちらの方達は紅魔館の妹君とメイド長じゃないですか」
「永琳…訳はそこの愚民に聞いて…取り敢えず私はそこの愚民をぶっ飛ばすわ!!」
「輝夜さん、落ち着いて下さい……マスターに原因があるのは想像がつきますが…」
「そうだねぇ〜、どうせまたマスターの悪ふざけなんでしょ?」
…そうだけどさぁ〜、二人とも少しはフォローしてよ。
「姫様、落ち着いて下さい…取り敢えず中へ……それで、お二人は何の用かしら?」
永琳ちゃんは輝夜ちゃんを宥めてからフランちゃんと咲夜ちゃんに質問した。
「私はその人からシオンがここに居ると聞いたから決闘しに来たのよ」
「……私は只の付き添いです…」
「そう……解ったわ、でも彼はうちの患者だから決闘は止めて戴きたいのだけど…」
「患者?…やっぱり、シオンは何処か悪いの?」
「そうよ!!…そこの愚民は性格が悪いわ!!…だから拳で叩いて治さないといけないのよ!!」
輝夜ちゃんは握り拳を作って叫んだ………ぶって解らせるですね?…解りたく無いです。
「姫様、お願いですから落ち着いて下さい……ライカにメリル…姫様を自室まで運んでくれるかしら?」
「解りました〜♪」
「了解しました」
ライカとメリルが輝夜ちゃんの両脇を抱えて、ズルズルと引き摺って輝夜ちゃんを連行していった。
「…良いかしら?」
咲夜ちゃんが額に汗を垂らして話を促してきた。
「…この子は体質改善の為に、ここで療養してるわ……特別、病気や怪我をしてる訳じゃないから安心して」
「別にシオンの心配なんかしてないよ!!…病気や怪我じゃないなら決闘しても問題ないよね?…じゃあ早速勝負よ!!」
「いえ、だから決闘はちょっと…」
フランちゃんの言葉に永琳ちゃんが困った顔をして答えた……因みに僕も困った。
「何を騒いでるの?」
と、そこへ博麗霊夢が姿を現した。
「あら?…フランに咲夜じゃない……って事は何時ものアレね?」
「そうです霊夢……妹様の何時ものアレです……はぁ…」
「咲夜、アンタも大変ね……ちょっと待ってなさい」
博麗霊夢は中へ戻っていった……暫くすると手に何かを持って再び姿を現した。
「はい…これで勝負しなさい……負けたからって弾幕ごっこは禁止よ」
と言ってフランちゃんに手渡した……これはオセロだね。
「…解ったわ……じゃあ早速勝負よ!!」
フランちゃんはビシッと僕に指を突き付けて言った。
その時、新たな来訪者が姿を現した。
「こんばんわ〜」
「あっ、ミスティア♪…こんばんわ♪」
女将姿のミスティアが玄関に入ってきた♪
「アハハ、賑やかだね」
「うん♪…何故かね、それよりミスティア…どうしたの?……ってそうか、さっき頼んだヤツメウナギを届けに来たんだね?…さぁさぁ中に入って♪…お茶位出すよ♪」
「実はその事でちょっと……」
ミスティアは困った表情を浮かべていた……とその時咲夜ちゃんが…
「ほほう…これは…」
とニヤニヤしながら呟いた。
「ふ〜ん、へ〜……そう言う事ね〜」
博麗霊夢もニヤニヤしながら呟いた。
「な、何…二人とも…」
「アンタも隅に置けないって事よ……まさかアンタがねぇ〜♪」
「そうね霊夢……フフッ、珍しい物が見れたわね」
「…………」
二人とも、どうしたの?…それとフランちゃんが無言で睨み付けてきて恐いんだけど…
「ねぇ永琳…コイツをミスティアの屋台を手伝わせたら?……そこで雑用させれば体力つくんじゃない?」
「そうね霊夢……そっちの方がおもしろ……いえ、何か目的意識が有ればトレーニングも捗るわね」
「ちょっと永琳ちゃん、何を言ってるの!?……まぁ、それはそれで良いかも♪」
僕が呟いた瞬間、フランちゃんに腕を噛み付かれた。
「いっっったぁぁぁい!!…フランちゃん、何するの!?」
「黙れ!!…鼻の下伸ばしてないで、さっさと勝負しろ!!」
「フランちゃん、落ち着いて」
僕とフランちゃんのやり取りを尻目にミスティアが遠慮がちに言ってきた。
「え〜っと…今日届ける予定のヤツメウナギなんだけど……実は屋台をここの悪戯兎に隠されちゃって、まだ出来てないのよ」
「屋台を?……てゐの仕業ね……はぁ、全く困った子ね」
てゐ?…確か永琳ちゃんの弟子だったね……何度か顔を合わせた事が有るけど、あの子の仕業なの?
まぁ、『あの子』なんて言ったけど実際は僕より遥かに年上なんだけどね。
痴情…じゃなかった、地上の兎で古参の妖怪らしいけど……かなりの悪戯者らしいと聞いてるけど…
「このままじゃ、営業出来ないから何とかならない?」
「う〜ん…多分てゐは竹林の何処かに隠れてると思うけど……探すとなると骨ね」
ミスティア大分困ってるね。
状況を整理すると…
屋台が無い→ヤツメウナギが届かない→輝夜ちゃんの機嫌が直らない→輝夜ちゃん暴れる……これは不味いね。
…それに、このままだと屋台の手伝いイベントが消滅する!!
……結論、殺るしかない!!
「…解った、てゐちゃんを抹さ…探すよ」
「探すってシオン…貴方独りじゃ迷子になるだけよ……てゐも飽きたら戻ってくるから、その時に」
「永琳ちゃん、あんまり遅いとミスティアが可哀想だよ……大丈夫、人数揃えてローラー作戦で行けば直ぐに見つかるよ」
僕は表に出て、ある者達を召喚した。
「召喚!!…ホワイトライダー、レッドライダー、ブラックライダー、ペイルライダー、トランペッター!!」
地面に五つの召喚陣が現れ、四人の馬に乗った騎士とラッパを携えた楽士が現れた。
全員骸骨姿で異様な気配を醸し出していた。
「久しいな少年、世界を焼き尽くす日が来たのか?」
ペイルライダーが僕に話し掛けてきた。
「違うよ、この竹林に隠れてる兎を狩って欲しいんだ」
「ほう、兎狩りか…面白い……して、その兎の名は?」
「てゐって名前だよ♪」
「てゐ……あい解った、その名に刻まれてる言霊を記憶した……成る程、一見幼子に見えるが中々の時間を生きてきた妖怪の様だな」
フフッ…これで、てゐはもう逃げられないよ。
「ふむ、詰まらぬ狩りになる心配は無さそうだな……なぁ、皆の者」
ペイルライダーの言葉に答える様に他の四人が哄笑をあげた。
「痛め付けても良いけど、生け捕りにしてね♪」
「あい解った………それが出来たらな…クックックックックッ……さぁ、ラッパを鳴らせ」
ペイルライダーの言葉を受けて、トランペッターが終末のラッパを鳴らした。
すると、地に眠っていた大量の悪霊が沸きだし…地獄のイナゴ、アポリオンが空を覆いつくした。
「さぁ、狩りの始まりだ!!…ゆくぞ!!」
ペイルライダーの号令で五人の魔人が悪霊とアポリオンを従えて竹林に向かって行った。
「……永琳、私達もてゐを探すわよ」
「……そうね、霊夢……てゐが生きてる内に見つけないとね」
ここまで読んで戴いて有り難うございます。
今回はほのぼのとした展開で書かせて貰いました。
一応、多感な年頃ですのでこう言う展開が有っても良いですよね。
ラストに出てきた、あの五人は……メガテンシリーズをやった事のある人なら御存知かと思いますが……出して良かったかな?
次回、てゐと竹林がピンチです。