内容は某歌姫RPGを参考にして書いてみました。
あとは全国のユズファンにはここで謝っときます、ごめんなさい。
ガデテルでヤンデレ属性持ちって聞かれたらユズかメイリルしか思いつかなかったからさ…
もう一つの結末(R-18です)→ https://syosetu.org/novel/281640/1.html
カンタベリーの何処かにある小さな街、そこがインヴェーダーの襲撃を受けていると近くを通りかかった女騎士とユズが聞き、戦っていた。
「やぁぁ!」
ユズが大剣を振るい、インヴェーダー達を薙ぎ払う。
そのユズの背後から他のインヴェーダー近づき、切り掛かってくる、その刃を女騎士が盾で防ぎ、すかさず剣で反撃を行う。
「ありがとう相棒!」
互いに背中を合わせる2人、周囲にはまだそれなりの数のインヴェーダーがいた。
「まだ敵はいるけど相棒、いける?」
当然と応えるように剣と盾を構え直す女騎士。
「了解、背中は任せたよ!」
息の合ったコンビネーションにより、残りのインヴェーダーを倒すのにそう多くの時間は掛からなかった。
「ふぅ…相棒、大丈夫?どこか怪我はしてない?」
周囲に敵がいない事を確認して女騎士の方へと向くユズ。
女騎士もユズの方へ向き、怪我は無いと言う。
「そっか、なら良かった!とりあえず街に残っている人がいないか探さな…」
その時ユズは気づいてしまった、女騎士の後方で倒れていたインヴェーダーが最後の力を振り絞り、持っていた銃を女騎士に向けていた事に。
「相棒、危ない!」
咄嗟に女騎士を突き飛ばすユズ、女騎士が尻もちを突くと同時に銃声が鳴り響く。
一瞬何が起こったのか分からなかった女騎士が次に見た光景は左胸を撃ち抜かれ、倒れるユズの姿だった。
朝の浮遊城、多くが目を覚まし、そして一部はこれから眠りにつくもいるが何であれ各々が身支度を整える時間。
眠りから目覚めた女騎士は真っ先にある人物の所へと向かう。
「あっ!おはよう、あいぼ…」
こちらに気づき、元気よく挨拶をしようとしたユズに女騎士は抱きつく。
「わわっ!どうしたの相棒?」
突然の事に驚くユズだが、女騎士が啜り泣く声が聞こえると何かを察した様に静かに抱きしめ返すユズ。
「私が相棒を庇って銃で撃たれる夢を見た?」
あれから落ち着いた女騎士の話を聞いて目を丸くするユズ。
「安心して、見ての通り私はどこも怪我なんかしてないから」
笑顔でそう言うユズ。
確かにあれは夢だという事は分かっている、だけど本当に怖かった、夢とはいえ自分を庇い、身近な誰かが大怪我をしてしまうなんて事は。
「…そうだね、私も相棒が私を庇って何かあったらなんて夢でも怖いし、本当に起きちゃったら何て想像もしたくないかな」
ユズはいまだに不安げな女騎士の両手を握る。
「でもさ、本当にそうならない様に私には相棒がいるし、相棒には私がいるんでしょ?」
勿論と頷く女騎士。
「それに実際、撃たれるっていうならこのタルタロスで弾丸なんて全部弾き返してやるんだから!」
そう言い、自信満々に愛用の大剣を掲げるユズ、その表情を見てクスリと笑ってしまう。
「あっ、やっと笑った!やっぱり相棒は笑顔が素敵なフレンズじゃないとね!」
ようやく元気を取り戻した女騎士はこの後、ユズと一緒に朝食を食べたのであった。
「うーん、まさかあんな事になるなんて思わなかったかな」
そう呟くのは先ほど女騎士と別れ、自室へと戻ったユズ。
彼女の言うあんな事とは自分がインヴェーダーに撃たれてしまった事である。
「でもあの後、久しぶりに相棒と長く一緒にいれたしこれはこれで成功かな?」
彼女、サキュバスの冒険家ユズは人には言えないある趣味を持っている。
それは夜な夜な女騎士の夢を操作して自分と女騎士、2人だけの空間で過ごす事であった。
ユズがこんな事を始めた理由を説明するには少し過去を遡る必要がある。
ダンジョン王国で2人が出会いしばらく経った頃、急に浮遊城へ訪れる英雄が増えた事だ。
ユズは浮遊城に人が増える事に最初は喜んだ、しかし途中から相棒である女騎士と過ごす時間が少しずつ減っている事に気づいた。
女騎士、相棒は根っからの善人であり、さらに勇敢でもある彼女は自然と人を惹き寄せる力があった。
自分もそのうちの1人だし他を言えば、女神や豊穣神の使徒とその神獣、はたまたロボットなど数えればキリが無い。
最近は相棒と一緒に過ごしたいと思っていても必ず誰かがいる、それが自分には耐えられなかった。
相棒の隣は私が先にいたのに!と、怒りで相手を無理やり引き剥がそうと考えた事もある。
だが相棒がインヴェーダーによって滅ぼされてしまった王国を救うため、日夜戦いに身を投じているのを自分は知っている。
そんな我儘な行動をして相棒を困らせるのは自分の本意ではない。
だから考えた、相棒にも他のみんなにも迷惑をかけず一緒にいる事ができる手段を。
ユズが目をつけたのは自分の力だった。
サキュバスは皆、ドリームセラピーという対象に心地の良い夢を見させる事で生気の一部を貰い日々の糧としている。
つまりサキュバス側の意思で夢をコントロール出来るとも言える。
とはいえ何事にもトラブルはつきもの、昨夜は襲来したインヴェーダーを2人で倒すといった内容だったが、倒し損ねてしまい自分が撃たれてしまう事になってしまったのだ。
「相棒のこと、泣かせちゃったなぁ…」
ユズは思い出す、庇ったと理解したときの相棒の顔を。
狼狽、怒り、悲しみ、恐怖、それらが合わさり絶望の表情を浮かべる相棒、それを思い返すたびに
ゾクゾクした
「あぁ…あの時の相棒、可愛かったなぁ…」
夢の世界なので撃たれたところで痛くもないが、倒れた自分を抱き上げ涙を流しながら名前を呼び続ける女騎士を見てユズが感じたのは喜びだった。
あの時、相棒の意識は自分だけに向けられていた、偶然とはいえそれが歪んだ形であれ自分の欲しかったものが手に入ったのだ。
これなら現実ではみんなの相棒で我慢してあげれる、でも
(でもああいうのはもうダメ、相棒を悲しませるのは私も嫌だから)
ベッドで寝転びながら反省するユズ。
(それに悲しませなくても相棒が色んな表情で私だけを見てくれる方法はいくらでもあるはずだし)
想像を膨らませながらぺろりと舌なめずりをするユズ、何を考えているかは分からないがその紅い瞳はまさに悪魔の様に爛々と輝いていた。