ジンとウオッカが東京都高度育成学校に入学したら 作:ゆかりはるか
綾小路との密談が終わり、堀北達の下に戻る。どうやら龍園たちは既に去っているようで、櫛田と堀北と佐倉が離れた位置で待っていた。櫛田は誰かと話をしており、堀北と佐倉は1人でただ突っ立っている。佐倉は綾小路の下に駆け寄り、戸惑ったような心配しているような顔をしながら時々ジン達を見ていた
ジン達は堀北と合流をしたわけだが、どうも堀北の機嫌がとても悪い。櫛田はそんな堀北を心配そうに見ているが、内心ほくそ笑んでいるように見えた。場の空気はとても悪く、遊ぶ雰囲気ではない。どうしようかと思っていると、1人の生徒がやってきた。
彼は堀北学。ジン達が所属しているDクラスの堀北鈴音の兄である。堀北兄は妹の存在を無視するように綾小路に話しかけた。どうも生徒会に入らないかと聞いていて、それを綾小路は面倒くさそうに返答している。話を聞く限り何度も誘われているようだが、綾小路は乗る気が無いようだ。ジンとウォッカは軽く会釈する程度で、堀北兄に話しかけたりはしない。2人が談笑(?)していると、また誰かがやって来た。金髪のチャラチャラした男で、後ろに何十人の水着女子がいる。というか彼以外女子しかいない
堀北兄に馴れ馴れしい態度を見せる彼の名は南雲雅。2年生で生徒会に所属しており、副会長を務めているようだ。堀北兄に執着しているように、ねちゃねちゃと嫌な感じで絡んでいると、今度は綾小路に目をつけたようだ。綾小路を見る目が、餌を見つけたライオンのように、ギラギラとした目をしている。男ばかりに目を付けられる綾小路を少しだけ不憫に思っているジンは後ろにいる十数人の水着女子に目を向ける。
全員可愛い
どうにかして何人か持ち去って遊びたい
ジンの視線に気付いたのか、1人の女子生徒と目が合う。その人だけは、他の女子達とは違ったような視線を向けてきた。しかし、言葉を交わすことはなく、南雲と綾小路が少しだけ喋った後に、彼と一緒に去ってしまう
ウォッカ「いいですね」
ジン「あぁ」
外見もとても優れていた。彼女は南雲の行動を自粛するように言っていたし、あの中では比較的異端に当たるものではないだろうか。綾小路もそのことに気付いているようで、彼女を見ていたが、堀北妹に蹴られていた。ますます機嫌が悪くなっており、蹴られた綾小路はなんで蹴られたのか分からず首を傾げるしかない。
堀北兄も用が無くなったようでこの場から去った。先程から人に遭遇しては空気が悪くなる一方で、とてもじゃないが遊ぶ雰囲気は無くなっていた。そんなこんなで解散することに
堀北と佐倉は帰るようで、一言挨拶した後に更衣室に向かって行った。櫛田は近くにいた友人達と混ざって遊ぶことに。残った3人はいうと
綾小路「お前らはどうするんだ」
ジン「まー、遊ぶつもりだが?」
綾小路「俺は帰ろうかと…」
綾小路の言葉は、ジン達の後ろから来る女子生徒に気付き、出そうとした言葉を抑える。ジン達も後ろから来る気配に気付き、振り返ると、そこにはウォッカの知っている女子生徒がいた。名は神室真澄。Aクラスの女子だ
神室「ちょっといい?」
ウォッカ「それは誰に言っているんだ?」
神室「そこの根暗な彼よ」
綾小路にビシッと指を指す神室。差されたのは綾小路だ
綾小路「何だ?」
神室「アンタに会いたいって人がいるんだ。来てくれる?」
綾小路「誰だ?」
神室「会えば分かる」
ジン「行ってきたらどうだ? 特に用はないのだろう?」
ウォッカ「せっかくのお誘いだし良いと思うぞ」
綾小路「…分かった」
神室「じゃあ付いてきて」
綾小路は神室についていき、それを見送るジン達
ウォッカ「あいつが、豪華客船の時に接触してきたAクラスの神室ですぜ」
ジン「堀北鈴音と近い感じがするな」
ウォッカ「強気なくせに、あっちではとことん弱気になりそうな感じですぜ」
ジン「しっかしまぁなんというか空気悪すぎだろ。ここまでくると笑えてくるぜ」
ウォッカ「あのお方も腹を抱えて笑っているでしょうね。俺達は…あぁん?」
ジン「どうした?」
ウォッカ「俺の客がいるようですぜ」
ジン「奇遇だな。俺の客もいるようだ」
ウォッカ「場所は違いますね。今日はここで解散しましょう」
ジン「夕飯で会おう」
ウォッカ「はい」
(綾小路side)
神室という女子生徒についていくと、デッキチェアに腰を掛けてジュースを飲んでいる女子がいた。とても白い肌で、麦わら帽子を被っており、近くには歩行用の杖がかけられている。神室は彼女に声を掛けると、すぐにその場から去り、綾小路と彼女だけとなった。どのような用なのかと頭の中で考えながら彼女を見ていると、今まで口を開かなかった彼女はクスクスと笑っている
綾小路「俺に用があるのはアンタか?」
坂柳「えぇ、そうです。初めまして綾小路清隆君。私はAクラスの坂柳有栖と申します。以後お見知りおきを」
綾小路「それで何の用だ?」
坂柳「あら、何かこの後予定があるのでしょうか? 会話を楽しみませんか?」
綾小路「先に用件を聞いてからだ」
坂柳「釣れないですね。私はもっと話をしたいのですが…まぁこの先話すことが沢山あるでしょうし、いいでしょう。話というのは…」
(ジンside)
ジン「いい加減出てきたらどうだ。そこにいるのは分かっているぞ」
少し待つと、隠れていた彼女は姿を現した
軽井沢「何?」
軽井沢恵だ。パーカーを羽織っており、上半身は覆われている。ジンとは目を合わせようとせず、居心地が悪そうに視線を地面に当てている。来た時から視線を感じていたが、それが複数あるため戸惑っていたが、特に強かった視線は彼女だ。
ジン「いや、俺を見ていただろう?」
軽井沢「はぁ? 自意識過剰じゃないの?」
ジン「綾小路に何か言われているのか?」
軽井沢「綾小路君? 話したことないけど…」
ジン「そうかい。この後何か予定はあるか?」
軽井沢「あるよ」
ジン「そうか。無いのか」
軽井沢「無いなんて言ってないでしょ」
ジン「もしよければ俺と遊ばないか?」
軽井沢「はぁ? ジン君と?」
ジン「こんな人気の無いところで予定があるのか? 綾小路と遊ぶのか?」
軽井沢「だから!」
しつこく言うジンに苛立ったのか、少しだけイラついてきた軽井沢。彼女の反応に、綾小路が関係していると思うジン。綾小路と共闘関係を築いたわけだが、決して仲良しこよしの関係ではない。あくまでお互い利益があると判断した結果の関係だ。
ジン「あ、綾小路だ」
軽井沢「え」
軽井沢の後ろを見るようにそう言うと、反応した軽井沢。その時の反応が助かった感が強かった。先程は全く関係の無いという感じの言い方だったが、それとは異なるような反応だ。
軽井沢「いないじゃない」
ジン「人違いのようだ。少ししつこかったな。俺はもう行っていいな?」
軽井沢「好きにすれば?」
ジン「また学校で」
軽井沢「…はいはい」
(ウォッカside)
ウォッカ「誰か探しているのか?」
佐藤「ひゃっ! な、なんだ…ウォッカ君か」
ウォッカ「兄貴からよろしく言われてな」
佐藤「そ、そうなんだ。じゃあ報告はウォッカ君にすればいいのかな?」
佐藤から軽井沢以外にも情報を集めてもらっている。例えば他学年の様子や一部の生徒だ。軽井沢よりもクラスの地位は高くないが、彼女は男女共によくコミュニケーションを取っており、女子寄りの情報が集まる軽井沢と比べ、汎用性は高い。女子だけの情報なら軽井沢が上手だが、男女となると佐藤が優位といえる。
調べてもらったのは南雲雅。以前から堀北兄から話題に上がったことがあり、副会長という立場なので、上手く利用が出来れば学校を思う存分操ることが出来る存在だ。堀北兄は彼を嫌っているようだが、女子をてっとりばやく手に入れるなら彼に協力した方が、都合が良いのかもしれない。彼は2年生のほとんどから支持されており、その影響力は3年生にも上ると言われている。しかも、次の試験で生徒会長に何か仕掛けるのではないかという情報が入った
ウォッカ「それは本当か?」
佐藤「うん。この前南雲先輩が部下の人達に話をしていたのを聞いたから間違いないよ。生徒会長を嫌っている感じがしたよ」
調べによると、このままだと南雲が生徒会長になるだろう。生徒会長を狙っているならわざわざ生徒会長を狙うような真似をするだろうか。さっきのヘラヘラした感じから、どうも自分の力を示したくて仕方ないという感じがあったが…
ウォッカ「そうか。この情報なら兄貴も間違いなく喜ぶと思うぞ」
佐藤「ほ、ほんと!?」
ウォッカ「あぁ。それとこれは別のことなんだが、兄貴が佐藤のことで少し悩んでいたな」
佐藤「え!? なんで!?」
ウォッカ「なんでも自分に魅力が無くて、佐藤に飽きられてしまっているのではないかと悩んでいるようだ」
佐藤「そんな…どうすればいいのかな…」
ウォッカ「なんでも、しているときに自分に魅力が無いのではないかと。佐藤を満足させられていないのではないかって感じでな」
佐藤「……」
ジン「男なんて身体でいう事を聞かせればどうとでもなるからな…。もしよければ俺が付き合おうか? 佐藤が更に上手くなれば、兄貴をリードしてやることが出来るかもしれない…」
佐藤「え、でも…」
ウォッカ「佐藤のテクが上がれば上がるほど、兄貴も喜ぶぞ。こればっかりは実践経験を積むしかない」
佐藤「で、でも。このままだと距離を取られたりするのかな…。それは…嫌だな…」
ウォッカ「自分のために一生懸命な子は大好きって言っていたぞ」
佐藤「……ウォッカ君は経験あるの?」
ウォッカ「あぁ。あるぞ。ちなみに今付き合っている人はいないから、そこは安心してくれ」
佐藤「…うー…でもこれも好きになってもらうため……。じゃあその…良いかな?」
ウォッカ「じゃあそこの個室に行こうか」
佐藤「うん//」
個室の一部から何か喘いでいるような声が聞こえたと一部の生徒が言っていたが、同時刻で何か別の場所で大きく盛り上がっていたので、気のせいだと判断された