それいけ!ファンゴ君 シーズン3G   作:JUBIA

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スピンオファンゴ君[バギィ編]~第25歩

【スピンオファンゴ君[バギィ編]】

 

 ここは凍土の、とある洞窟の中。

 そこでは3匹のバギィがたむろをしていた。

 

A「俺、思い切って大佐に言ってみようと思うんだ」

B「何を?」

A「俺達の名前……バギィAとかバギィBとか、識別名で呼ぶのをやめて欲しいってさ」

B「別に今のままでもいいじゃん」

A「お前はいいさ、バギィビィーって何か聞こえがカッコイイし」

C「確かに今のままだと、村の男Aとかみたいでカッコ悪いな」

B「…………」

C「じゃ、なんて呼ばせんだよ」

A「うーん、自分達で名前を考えてみないか?」

C「いいね、それ!」

B「…………」

A「明日までに、みんな自分の名前を考えておけよ。その後、集合して大佐んとこに行こうぜ」

 

 翌日、バギィ達は待ち合わせをして、揃って大佐であるドスバギィのところへ向かった。

 

A「大佐!おはようございます!」

B「おはようございます!」

C「おはようございます!」

大「うむ、おはよう」

 

A「……あのう、大佐っ! 失礼を承知でお願いしたいことがあります!」

大「何用だ?」

 

A「……あの、自分達をそれぞれ名前で呼んで頂けませんかっ!」

大「名前? 識別名なら、すでにあるだろう」

 

A「あっ、いえっ、AとかBじゃなくて、自分らで考えたそれぞれの名前で呼んで頂けたら……と思っております!」

大「お前達も同一の考えか?」

C「っサー!」

B「っサー!」

 

大「うむ、ではどんな名前を付けたのだ?」

A「はっ! 自分は……ミカエリスでありますっ!」

C「自分は、ジュラーレでありますっ!」

B「自分は……バギィZiiでありますっ!」

A(えっ!?)

C(えっ!?)

 

大「却下だ!」

A(しゅん)

C(しゅん)

B(しゅん)

 

大「では、私がもっとも男らしい名前を付けてやろう」

 

 大佐は考え込んでいる。

 

大「よし、バギィAはバギィ一郎、バギィBはバギィ二郎、バギィCはバギィ三郎だ!」

A(えーっ!?)

C(えーっ!?)

B(えーっ!?)

 

大「不服か?」

A「ノーサー!」

C「ノーサー!」

B「ノーサー!」

 

大「では、本日の巡回を開始せよ」

A「っサー!」

C「っサー!」

B「っサー!」

 

 バギィ達は、凍土の巡回に向かった。

 

C「……最悪じゃん」

A「くっそ! ……余計なことを言ってしまったか」

B「……だから言ったのに(小声)」

 

A「大佐に呼ばれるのはしゃーないとして、あのままだと超絶カッコ悪いから、俺らで呼び合う時は、少しモジって呼ばね?」

B「何て?」

A「俺は……バギイチな、三郎はバギサンだ、二郎は……バギィジー……か」

B(やった!)

 

C「なんか、バギィジーだけズルくね?」

B「あざーっス♪」

A「くっそ!」

 

 本日の巡回も異常なしっ!!

 

 

【第25歩】

 

 ボクは、偉大なドスファンゴになるのを夢見て、一匹旅をしている。

 

 ギギ坊の不慮の事故で、重い気持ちでトボトボと歩いていると、一際目立つ看板があるのに気付いた。

 

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旅の疲れに温泉はいかが?

腰痛、神経痛、打ち身など

温泉まであと50メートル

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 こんなところに温泉?

 ちょうど凍土を出たばかりだから、まだ体も少し冷えている。

 これまでの旅で、何度も高い場所から落ちたりして、節々も少し痛い。

 悲しい思い出をリセットするためにも、ここは温泉でリフレッシュでもしようか。

 

 看板の案内通りに進んでいく。

 

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温泉まであと10メートル

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 もう少しだ。

 

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ここを右折して3メートル

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 右に曲がると、高い岩壁に囲まれた海のような場所に出た。

 遠くにある岩の柱みたいなところの上からは、炎が上がっている。

 そして、海面は夕日で赤く染まっていた。

 

 ここが温泉、か。

 なんだか、おどろおどろしい雰囲気だけど、本当に大丈夫……かな?

 ボクは、赤く染まった海に入ってみた。

 

 ……なんだっ?

 冷たいじゃまいかっ!?

 ぜっんぜん温かくないぞっ!

 補償汁っ!

 

「おや? まだ開店前なんだけど、お客さんかい?」

 

 え?

 ええぇーーっ!?

 突然、炭の塊のような大きなモンスターが海の中からぬっと現れた。

 

「私は、この温泉宿の女将でグラン・ミラオスっていうのさ。アンタ……一匹かい?」

「は……はいっ!」

 

「それじゃ、今から水を温めるからちょっと離れてな」

「はいっ!」

 

 ボクは急いで岸に上がった。

 どうやってあの冷たい海水を温めるんだろう。

 すると、女将は翼の先にある筒みたいなところから炎を噴出させたかと思うと、海面に次々にボトっ……ジュウ……と、マグマの塊のようなものを空から降らせた。

 

 なんということでしょう!

 冷たかった海面から、辺り一面湯けむりが立ち込め、情緒ある温泉郷へと早変わり。

 

 waoっ!

 す、凄い!

 温泉って、こうやってできるんだっ!!

 ボクは、その凄まじい光景を見ながら感心していた。

 

「そろそろちょうどいい頃じゃないかねぇ」

 

 女将がそう言うと、ボクは静かに海に入った。

 うん、熱過ぎず、ぬる過ぎず。

 これはまさに匠の業だ。

 

「湯加減はどうだい?」

「極楽ですぅ♪」

「そうかい、そうかい、それは良かった」

 

 温泉客はボク一匹とあってか、女将とボクは旅の話で盛り上がっていた。

 

「そうかい、そうかい、アンタも大変だったねぇ」

「ボクは常に最前線に立つ男だからねっ(えっへん」

(じゅるっ)

 

 え?

 今、女将がヨダレをすすったような音が。

 ……気のせいか。

 

「ところで、この温泉って夕日が海に反射して、なんかロマンチックな雰囲気だよね」

「……この色、夕日の反射だと思うかい?」

 

「えっ? 違うの?」

「あれは……昨日だったか、一昨日だったかねぇ。一人のハンターが私を狙ってきてねぇ、返り討ちにしてやったのさ」

 

「ま、まさか、この色って……っ!?」

「さぁ、そろそろアンタもイイ感じに()で上がったかねぇ」

 

 なんだか海の温度が熱くなっている気がする。

 女将はザバーっと海から上がると、ボクに襲いかかってきた。

 

「うっ、うわーーーーっ!!」

 

 うわーーーーっ!

 わっ……わわ……あわわっ……。

 ハァハァ……アレ?

 アレアレ?

 

 気が付くと、ボクは木陰の草むらで仰向けになりながら、手足をバタつかせていた。

 ゆ、夢か……。

 

 ギギ坊のことで、あんな悪夢を見てしまったようだ。

 あぁ、怖い怖いっ。

 ブルブルっと身震いする。

 

 ボクは、気を取り直して旅を再開することにした。

 すると道中、見覚えのある看板が目に入ってきた。

 

 こっ、こりは……!

 イザナミかっ!?

 

 いや……きっと、ギギ坊があの世からの警告として、ボクにあんな夢を見させたんだ。

 南無三……。

 君の死は、無駄にはさせないっ!!

 

 ボクは、夢の中に出てきたのと同じ看板を無視して歩き続けた。

 

 ボクの飽くなき道の冒険譚は、まだまだ続く。

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