それいけ!ファンゴ君 シーズン3G   作:JUBIA

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スピンオファンゴ君[アオアシラ編]~[ウロコトル編]~[リノプロス編]

【スピンオファンゴ君[アオアシラ編]】

 

 ブーンブーンブーン♪ ブナがとぶぅー♪

 

 孤島に流れる川のそばを、いたくご機嫌な様子のアオアシラが鼻歌混じりに歩いていた。

 と、そこへドスジャギィが巣穴に通じる穴から出てきた。

 

「おっ、アオアシラ! この前はウチのコワッパが失礼したな」

「あ、ドスジャギィくん♪ ハチミツちょーだーい♪」

 

「……すまない、今は持ち合わせがなくてな」

「そーなんだー。それじゃー、こんどハチミツちょーだいねー♪」

 

「あ、あぁ、わかった。今度、手土産にハチミツ持ってくるよ」

 

 ブーンブーンブーン♪ ブナがとぶぅー♪

 アオアシラは、また鼻歌混じりに歩き出した。

 隣のエリアに辿り着いたアオアシラは、立派なハチの巣が付いている木を見付けた。

 

「わーい、ハチミツー♪ ハチミツー♪」

 

 その木へ近付こうとしたアオアシラは、その根元に数匹のオルタロスがいるのに気付いた。

 

「うーん、うーん、オルタロスくんたちがどいてくれないと、ハチミツとれなーい♪」

 

 その場でアオアシラはペタンと座り込むと、オルタロス達が去っていくのを待ち続けていた。

 

 と、そこへ上空からバサバサとクルペッコが舞い降りてきた。

 

「あっ! アンタはこの前のっ!?」

「あ、ペッコさん♪ こんにちわー♪ ハチミツちょーだーい♪」

 

「はぁ? 何言ってんのよっ!? 目の前にハチの巣あるでしょ? 自分で取りなさいよっ!」

「だってー、オルタロスくんたちがいるんだもーん♪」

 

「虫ぐらい何よっ!」

 

 クルペッコは、木の下にいるオルタロス達をついばみ始めた。

 すると、怒ったオルタロス達は、クルペッコに向けて蟻酸を吐出した。

 

「ちょっとー、何よこれーっ!?」

 

 クルペッコの頭から、プスープスーと白い湯気のような煙が立ち込めている。

 

「わーい、わーい、ゆあがりペッコさんだー♪」

「なんですってぇーっ!?」

 

 クルペッコは、アオアシラをついばみながら追い掛け回した。

 

「わーん、いたいよー、やめてよー、ペッコさん♪」

「今度という今度は許さないわよーっ!!」

 

 立ち止まったクルペッコは、グオォォォーっ! と鳴き真似を始めている。

 上空からバサバサと舞い降りてきたリオレイアは、クルペッコの姿に気付いた。

 

「また、あなただったのねっ!?」

「はっ!? しまった!!」

 

 クルペッコは、アオアシラの背後に隠れた。

 

「私じゃないわよっ! こっ、この熊がいけないのよっ!」

 

 リオレイアは怒りの咆哮をすると、アオアシラの背後に隠れていたクルペッコを追い掛け回した。

 

「あっ、ハチミツー♪」

 

 いつの間にか、オルタロス達の姿はどこにもなかった。

 ハチの巣に腕を突っ込み、ハチミツをペロペロと舐めるアオアシラ。

 その(かたわ)らでは、クルペッコとリオレイアの追い掛けっこが繰り広げられている。

 

 今日も、いつもと変わらない平穏な孤島だ。

 

 

【スピンオファンゴ君[ウロコトル編]】

 

 火山の頂上で、一頭のウロコトルが眼下に広がる景色を眺めていた。

 

「…………親父が……生きていた。……俺は……何のために今まで……」

 

 生きる目標を失ったウロコトルは、これから何を糧に生きていけばいいのかわからなかった。

 

「……お兄ちゃん?」

 

 ふと、後ろから聞こえてきた声にウロコトルが振り返ると、そこには一頭の雌のウロコトルがいた。

 

「あっ! やっぱりお兄ちゃんだわっ!」

(…………え? 兄? 俺の……ことか?)

 

「お兄ちゃん、生きていたのね? よかったぁ~、ずっと探してたのよ」

 

 雌のウロコトルは、嬉しそうに目の前ではしゃいでいる。

 そして、その雌のウロコトルの可愛さに、もしも妹でなければ完全に恋をしているところだったと、ウロコトルは内心焦っていた。

 

「…………お、俺は……」

 

 ウロコトルがもごもごしていると、妹と名乗る雌のウロコトルは背後にいるウロコトル達へ声を張り上げた。

 

「みんなぁ~、お兄ちゃんいたわよ~っ!!」

 

 すると、ぞろぞろとウロコトル達が集まってくる。

 

「わーい、お兄ちゃんだーっ!」

「僕達、ずっと探してたんだよーっ!」

「わーい、わーい、やっと見付かったねーっ!」

 

 自分の回りで、はしゃぎまくる弟達。

 

「…………おまえ達は……本当に……俺の……なのか?」

「何言ってるのよ!? 私達家族のことを忘れてしまったの?」

 

 妹ウロコトルはため息混じりに、ブラキディオスに襲われたあの日から、生き残った家族を必死に探していたと説明した。

 

「…………俺は……おまえ達を探すどころか……親の仇だと勘違いして……ヤツをずっと……追っていた」

「バカね~、あんなヤツに敵うワケないじゃない! それよりも、やっとこうしてみんな集まったんだから、昔みたいにワイワイやりましょ~!」

「…………あ、あぁ……」

 

 …………ブルファンゴよ、俺は今……こうして兄弟達と……再会……した。

 憧れだった妹……も一緒だ。

 しかし、……俺は……どう接していいのか……わからない。

 教えてくれ……ブルファンゴよ。

 俺は……どうすればいい?

 戻ってきてくれ……ブルファンゴよ!

 

 ウロコトルは、遠い目で頂上から眼下を見下ろした。

 

 

【スピンオファンゴ君[リノプロス編]】

 

 ドドドドーーっ!!

 ドドドドーーっ!!

 

 砂原中に地響きが鳴り響く。

 

「ちょっと!待ちなさいよーっ!」

「ごめんって言ってるだろっ、もう許してくれよーっ!」

「今度という今度は絶対に許さないわよーっ!!」

 

 なにやらディアブロスとディアブロス亜種が大ゲンカをしているようで、ディアブロスがディアブロス亜種に追い掛け回されている。

 

「私がちょっと留守にしたからって、私達の巣に他の雌を連れ込むなんて、ほんっと最っ低ーっ!」

「悪かったって! 何もなかったんだから許してくれよっ!」

「何もなかったワケないじゃないっ!!」

 

 ディアブロスのちょっとした浮気心が、ディアブロス亜種の逆鱗に触れたようだ。

 

 ラングロトラやボルボロスなどの大型モンスターでさえ、こうなってしまったディアブロス達の大ゲンカには太刀打ちできなく、皆、大きな岩陰や安全な場所で息を潜めて隠れていた。

 

 ドドドドーーっ!!

 グワシャーーっ!!

 

 ドドドドーーっ!!

 ガラガラーンっ!!

 

 ディブロス達の派手な追い掛けっこで、蟻塚や岩山までもが崩れ落ちている。

 崩れ落ちた蟻塚からは、オルタロスの集団が避難しようと引っ越し作業をしていた。

 

「おいっ、今度のケンカはマジでヤバイぞっ!」

「マジかよっ? ったく毎度、毎度シュールじゃねーなっ!」

 

 リノプロス達も避難しようと大騒ぎだ。

 

「俺ら、とりあえず火山に避難するけど、おまえどうする?」

「……火山か。うーん、俺的にはシュールじゃねぇな」

 

 この大騒ぎは、ファンゴが旅に出発した少し後のことだった。

 

「あっ、俺、ちょっとシュールな旅に出てくるわ!」

「旅ってどこ行くんだよっ? アテはあんのか?」

「ん、まぁな」

 

 火山へ避難していく仲間達を見届けたあと、リノプロスは一匹、みんなとは違う方角へ旅立った。

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