ペルソナ4~迷いの先に光あれ~   作:四季の夢

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P4U・・・やっぱりエリザベスは使いやすいし、強い・・・


我と愛

 

 

現在、雪子姫の城

 

「まさか、あんな形でシャドウを受け入れるとはな……」

 

洸夜は、雪子達の様子を見ながらそう思っていた。

自分達の時は、シャドウにそんな感情を持つ暇なんて無かった。

やるか、やられるか……そんな関係だ。

 

「……(しかし、コレでペルソナ使いは四人か。戦力的には安定しているが、問題なのは内面だな)」

 

今回の一件がある為、総司達が再び今回の様な方法をとる可能性がある。

本来ならば、メンバーに一人ぐらいはブレーキ役が必要なのだが……。

 

「シャドウとの戦いはまだ馴れてないから仕方ないと思うが……。心配して救出しに行った方も心配されたら苦労は無いな」

 

そう言って洸夜は、雪子の影がいなく成った事によりシャドウの気配が消え、最早廃城と成ったこの城を後にする。

 

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現在、テレビの広場

 

広場を歩いている時に洸夜は、フとある事を思っていた。

それは千枝の行動である。千枝がペルソナに覚醒したのはつい昨日の事。

なのに、昨日の今日でペルソナを使い熟し、シャドウと言う謎の存在と戦い抜いた。

そして、彼女をそうした理由はただ一つ……。

 

「天城雪子……か(親友の為とは言え、あそこまで彼女の為に戦うとは。そんな仲間がいて、雪子ちゃんと総司達が羨ましいな……俺には、そんな仲間はもういないから)」

 

洸夜はかつて、自分が親友や仲間と呼んでいた者達の事を思い出す。

 

「(俺だけに全ての怒りや不満をぶつけたアイツ等を、俺は恐らく許せないだろう。だが、俺が誰も守れなかったのは事実)」

 

洸夜はそう思う事で、二年前の揉め事での苦しみを和らげていた。

 

「まあ、その事は今は忘れよう……(それよりも、早く総司達が出て来るであろうテレビの場所へ行かないとな……)」

 

その場所で総司達に説教する為、洸夜は右手の力を使うと、現実の世界へ戻って行った。

 

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現在、総司達はクマからテレビを出してもらい現実の世界に戻る所だ。

 

「……雪子、大丈夫?」

 

「大丈夫……少し……疲れただけだから」

 

そう言う雪子は何処か顔色が悪い。

やはり、この世界は長くいると負担がかかるようだ。雪子の姿を見て総司は、この世界について考えていると、陽介がクマのテレビに入ろうとしていた。

 

「そんじゃあ帰るか!」

 

「センセイ達!また来てクマ!」

 

そして総達は、クマに手を振りながら現実へと戻る。

 

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現在、ジュネス

 

「戻ったな……」

 

「ああ、でも今回は流石にやばかった……」

 

そう言いながら、周りにはばれない様にテレビからでる総司達。

 

「(確かに陽介の言う通りだ、今度からもっとペルソナを連れて上手く戦わないと……)」

 

総司は、今回の戦いで自分がもっとペルソナを上手く扱える様に練習する必要があると考えた。

すると、雪子に肩を貸していた千枝が雪子を見ながら口を開いた。

 

「それじゃあ、私はこれから雪子を家に連れてくから」

 

「分かった。気をつけて……」

 

「ああ、お大事に」

 

「皆、今回は本当にありがとう」

 

総司達の言葉を聞いた雪子は、顔色が悪いにも関わらずお礼を言う。

 

「ところで、瀬多君と花村はこれからどうするの?」

 

雪子を支えながら、千枝が聞いてくる。

時間は昼ぐらいだが、今から学校に行ってもモロキンに文句を言われるだけだと総司は思っていた。

 

「そろそろ昼だろ? 今更学校に戻ってもしょうがないから売店で飯食ってから考えようぜ」

 

「……そうだな」

 

笑いながら話す陽介の言葉に頷く総司。

なんだかんだで、この所大型シャドウと連戦が続き総司疲れたのだ。

 

「それじゃあ行くか!」

 

陽介がそう言った時だ……。

 

「何処に行く気だ?」

 

その言葉と同時に声の主の方を向く総司達。

そこには、冗談のカケラもない雰囲気を纏った洸夜がいた。

 

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テレビから戻った洸夜は、総司達が出てくるで在ろう場所、ジュネスへ向かっていた。

 

「(あの集団で目立たなく大型のテレビがあり……そして、叔父さんから聞いたあいつらがよくいる場所……ジュネスだ)」

 

ジュネスに着いた洸夜は、テレビの置いてある家電製品のコーナーに向かった。ジュネスで、大型テレビが置いてある場所はそこしか考えられない。

そして案の定、周りに気をつけながらテレビから出てくる総司達がいた。

 

「(!?…!あの馬鹿共、あんな所から何やってんだ。誰が見てるのか分からないんだから、もっと警戒しろ……!)」

 

この所の総司達の行動のせいで起こる頭痛の為、頭を抑える洸夜。

しかし、洸夜のそんな思いなど知らず、総司達は会話をしているが、その内容から反省の色が見えないと感じた洸夜は我慢の限界を超えた。

そして、洸夜は総司達の下へ向かう。

 

「それじゃあ行くか!」

 

「何処に行く気だ?」

 

洸夜の言葉に四人がこちらを向く。

その表情は、何故自分が此処にいるのか理解出来ないと言った表情だ。

 

「兄さん……」

 

「……」

 

そして、洸夜を見て呟く様に話す総司に無言で近付き洸夜は……。

 

「アホ!」

 

ドンッ!

 

洸夜はそう言って手を手刀の様に細くして総司の頭に落とし、店内にその音が響き渡る。

 

「ぬがっ!?」

 

「!?……え? ちょッ……!」

 

「瀬多君!」

 

「相棒!」

 

洸夜が総司を叩いた事に驚く陽介と、危うく雪子を落としそうになる千枝。

あまりの出来事にどうすれば良いか分からず、困惑した表情をしている。

しかし、洸夜はそんな陽介を無視する。

 

「誰にも連絡無し……周りに心配を掛けた……何をしてたか分からないが軽率すぎじゃないか?」

 

「……うん」

 

洸夜の言葉に頷く総司。

少なくとも今回は自分達が悪いと、多少は自覚している様だ。

総司の様子にそう思う洸夜だったが、だからと言ってコレで話を終わらせる気は無かった。

 

「総司、前にも言ったがお前は高校生だ。だから、お前がする事に一々口を挟む気はない……が、俺は言ったな? 叔父さん達や周りに迷惑をかけるなと。お前はやりたい事があると言ったが、今回のはなんだ? 誰にも連絡せず、周りの人達を心配させた。やりたい事の前に連絡や学校等、最低限の事ぐらいはちゃんとやれ!」

 

洸夜の声に花村達と周りのお客さんが洸夜達の方を向くが無視する。

 

「けじめぐらい自分で決めろ。 最低限の事もしないで何がやらなきゃいけないだ。ふざけるな…… けじめすらつけられなく、只誰かに迷惑をかけるだけなら今やってる事をとっとと止めろ」

 

「ッ! おい!さっきから黙って聞いーーー」

 

「お前は黙ってろ」

 

「……ぐっ」

 

口出ししようとした花村を一蹴する。

それに陽介達も人事では無い為、洸夜は陽介と千枝の方を向き口を開く。

 

「だいたいお前らもだ。人の命を学校をサボる理由に使ってんじゃねよ 」

 

洸夜は内心で花村達を見て苛々していた。

ペルソナという玩具を手に入れ、そして自分達だけが特別だと思い、誰かを理由に何をしても許されると思っている。

別に誰かを助けるのが悪いと言いたい訳ではない。

ただ最低限の事をしなければ、最終的には何をやっても説得力が無くなってしまい、誰からも信頼されなく成ってしまう。

洸夜はその事に、総司達自身で気付いて貰いたいのだ

 

「……ごめん兄さん」

 

洸夜に向かって謝る総司

 

「謝るのは俺だけにじゃねぇ……ちゃんと叔父さんと学校にも謝っとけ」

 

すると、洸夜はそんな総司の頭を掴む洸夜。

総司はまた怒られると思い身構えるが、洸夜は総司を叱らずに自分の胸の方に押し付け、こう口にする。

 

「余り心配掛けるな……馬鹿野郎……! 連絡ぐらいしろ、皆心配していたんだぞ……」

 

只でさえ、殺人事件が起こっているのだから、何の連絡もなく生徒が三人も消えたなら親は勿論、知り合いや周りの人も心配する。

 

「ッ!?……ゴメン兄さん……本当にごめんなさい……!」

 

洸夜が、どれだけ自分の事を心配していたのか分かった総司は兄に再び謝罪した。

それに洸夜も総司達を心配していた気持ちは本物だ。

過去の戦いで、沢山の命が失っている所を見た洸夜にとって、総司達の命はとても大切に感じてしまう。

そして洸夜、総司を離すと花村と千枝の方に視線を向ける。

 

「総司も君達も、今から学校に行けば五時限目には間に合うだろ。昼食ぐらいは奢るから、それを食べたら学校に行け。良いな?」

 

「……あの~」

 

「ん?……どうした?」

 

洸夜の言葉に恐る恐る手を挙げる千枝に、洸夜は聞き返すと、千枝は苦笑いしながら口を開く。

 

「いや、あの……私、雪子が心配だから家に送って行ってもいいですか?」

 

千枝の言葉に洸夜は雪子の方を向く。

 

「はぁ……はぁ……」

 

「(……確かに顔色が良くないな)」

 

雪子の状態を見て、洸夜はそう感じるとサイフから二千円程取り出し千枝に渡した。

 

「(コレぐらいで足りるだろ……)分かった。お金を渡すから、タクシーで家まで送ってやれ」

 

「えっ!? いや、でも……」

 

洸夜の行動に困惑する千枝だったが、洸夜が口を開きこう告げる。

 

「ここまで疲労した人間を家まで歩かせる訳には行かないだろう。お金の事は良いから、早く休ませてやれ……」

 

少なくとも、自分は彼女を見捨てる様な形をとってしまったのだから、コレぐらいの事をしても罰は当たらないだろう。

そう思っていると、洸夜の話を聞いた千枝の表情が先程より柔らかくなる。

 

「あ、ありがとうございます!。雪子、行こう」

 

「あ、洸夜さん……ありがとうございます……」

 

そう言ってお礼を言うと、千枝と雪子は行ってしまった。

そして、二人を見送ると洸夜は携帯を取りだして誰かに電話をかけた。

 

「……」

 

そんな中で総司は今、少し考え事をしていた。

別に兄である洸夜に怒られた事で考えている訳ではない。

逆に真っ直ぐに自分達を心配してくれた事に、嬉しく感じるぐらいだ。

しかし、それとこれとは別で、洸夜の先程の言葉に何故か総司は違和感を感じたのだ。

 

「……(兄さんの言葉は至って普通だった。なのにこの違和感は一体……?)」

 

そう考えていると、気付いたら洸夜と陽介は既に階段を上り始めているの気付く

 

「ッ!?(二人共、歩くのが早いな……それにしても、さっきの違和感は気のせいかな……?)」

 

今だにスッキリした答えが見付からなかったが、総司はこの事は一旦保留にする事にして、洸夜達の後を追った。

 

End


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