ペルソナ4~迷いの先に光あれ~   作:四季の夢

18 / 110
優しき暴君~巽完二編~
稲羽の暴君


 

 

5月14日(土)雨

 

現在、堂島宅

 

直斗との会話からそれなりに月日が経つ。

あれから連絡が無いと言う事は自分で答えを見付けたのか、それとも自分に頼るのが嫌なのか、理由はどうであれ直斗からの連絡は無い。

そして現在、洸夜は居間で総司と菜々子、そして珍しく休みの堂島と一緒にテレビを見ていた。

そして、珍しく洸夜も真剣にテレビの画面に集中している。

元々アイドルや芸能人に興味が無い洸夜。

たまにニュースや映画で出演して周りから騒がれている俳優や女優やアイドル等にも「誰……?」なんて言う程の始末。

久慈川りせの事を知っていたのは出演しているCMが多い為、嫌でも覚えてしまったからだ。

そんな洸夜が見ている番組は、稲羽市の周辺での暴走行為をする少年達についてのニュース。

ハッキリ言えば、ヤラセが多い様なバラエティ番組よりは真実性が多く、面白く感じるのが理由で洸夜はこう言った番組を好む。

 

『静かな町を脅かす暴走行為を誇らしげに見せ付ける少年たち……』

 

自分達の前で、何か異様な雰囲気で会話をしている少年達。

そんな少年達にレポーターは怯まずに実況を続ける。そして、そんな映像を見ながら洸夜は、菜々子を膝に座らせながらお茶を口に運んでいた。

 

「ズズ……お茶を飲みながら、こう言った番組を見る……平和だ」

 

「少なくとも番組の内容に合う様な台詞を言おうよ兄さん……」

 

「お兄ちゃん、お茶のおかわりいる?」

 

「頼む……」

 

洸夜がテレビの番組を見て呟いた言葉に総司が苦笑いしながら呟く。

そして、そんな様子に多少は苦笑いしながら洸夜にお茶を注ぐ菜々子。

 

するとその時。

 

『その時! そのリーダー格の一人が、突然カメラに襲い掛かった!』

 

ガシャン!ガチャガシャ!

 

『見世モンじゃねーぞコラァッ!!!』

 

突然騒がしい音を出した番組に驚きながらも、洸夜は番組に視線を戻す。

そこには、目にモザイクを掛けられている周りの少年達より一回り大きい少年がレポーター達に掴み掛かって、レポーター達が逃げている光景だ。

そして、先程まで新聞を読んでいた堂島がさっきの少年の怒鳴り声を聞き、テレビに視線を移すと口を開いた。

 

「あいつ……まだやってんのか」

 

そう言ってため息を吐く堂島。

その様子からして、堂島の顔見知りだと言う事が分かる。

 

「お父さんのしりあい?」

 

「ん? まあ、仕事の知り合いだな」

 

菜々子の質問に堂島は少し言いづらそうに話し始めた

 

「“巽完二”。ケンカが得意で、たかだか中三でこの周辺の暴走族をシメた問題児だ」

 

「おいおい……中三でって、どんだけ強いんだよ」

 

堂島の言葉に多少は驚いた様に話す洸夜。

しかし、洸夜の周りには美鶴や明彦等と言った連中が多く、感覚がマヒしている為に今一凄さが分からないでもいる。

 

「けどたしか……高校受かって、今はどっかに通ってんじゃなかったか?」

 

「ふーん」

 

そう言って、またテレビに視線を戻すと、顔にボカシ掛かっているが完二の映像が大きく映っている。

しかし、いくらボカシが掛かっているとは言え誰だか一目瞭然だった。

しかも、レポーター達はここぞとばかしに映像を撮影し続ける。

 

「テレビ的には、コレ以上に無い程の良い絵だな」

 

洸夜の言葉を聞き、堂島もその映像を見ると苦い顔をする。

 

「あーあー。せっかくボカシ掛かってんのに……こいつ、実家が老舗の染物屋でな。母親が夜、寝られないから毎晩走ってた族を一人で潰しちまったんだ」

 

「母親の為だからって中三で族を……!」

 

「根は綺麗な奴なのかもな……少し極端過ぎるが」

 

堂島の言葉にそれぞれの思った事を口にする総司と洸夜。

そして、堂島はテレビに映る完二の姿を見て再びため息を吐いている。

 

「ハァーこれじゃあ、その母親が頭下げることんなっちまうな……」

 

堂島がそう言い終わると番組も天気予報へと変わる。

 

「あ! 明日、雨だって洗濯物は中だね」

 

「雨……か(マヨナカテレビをチェックだな)」

 

菜々子の言葉に思わず呟く洸夜。

今までの被害者は皆、メディアに取り上げられてる。その為、明日映るマヨナカテレビに映るのは恐らくは……。

 

 

5月15日(日)雨→曇り

 

そして、夜

 

ザーッザーッ!

 

「……」

 

いつも通り、マヨナカテレビに映ったのは霧や砂嵐が邪魔でよく見えない。

だが、特徴的な髪型に型のいい体を見て洸夜は核心を得た。

 

「巽完二だ……」

 

こうして洸夜は自分の推理に核心を得て、つい笑みが盛れてしまった。

 

「……おっと。また誰かが危険に成る恐れがあるのに不謹慎だな(しかし、いつまで総司達の成長を待つ訳には行かない。そろそろ犯人の面も見てみたいしな。……商店街の染物屋か、行ってみるか)」

 

 

========================

 

5月16日(月)晴

 

現在、ジュネス

 

総司達はマヨナカテレビの一件が合り、その事について話し合う為に今この場に集まっている。

そして、この場には総司・陽介・千枝と、その隣にはペルソナ能力に覚醒した雪子の姿が合った。

 

「オイ!マヨナカテレビみたか?」

 

「見たから!。つーか花村あんた少しうるさい!」

 

「……で見たんだよな?」

 

早速、陽介がマヨナカテレビについて喋りだし、その言葉を聞いた千枝が耳を塞ぎながら陽介を睨む。

元々この場所には人が多い為、ハッキリ言って静かに話し合うのが理想なのだ。そして、何だかんだで陽介の言葉に頷く千枝。

 

「見た見た!。いまいちぼけててわかりずらかったけど彼だよね……巽完二」

 

千枝の言葉に皆が頷く。

マヨナカテレビの映像を見て、全員があの人物が巽完二だと思い浮かんでいた様だ。

 

「私もあんな風に映ったんだ……あれ?でも被害者の共通点って“一件目の事件に関係する女性“……じゃなかったっけ?」

 

確かに、最初に殺害された山野アナその死体の発見者の小西先輩、そして誘拐された山野アナが泊まっていた旅館の娘の雪子。

この全ての被害者の共通点から、狙われているのは最初の事件に関係する女性だと総司達は推理していた。

 

「確か、私のときは事件に遭った夜からマヨナカテレビの内容が変わったんだよね?」

 

「ああ、急にハッキリ映って内容もバラエティみたいなものになった……今思えばクマの言った通り、中の天城が見えちまってたのかもな」

 

確かに、雪子が中にいた事によってシャドウが出現した。

そして、あの様な世界が生まれ、マヨナカテレビに動きが見られた……つまり

 

「まだはっきり映らなかったって言う事は……」

 

「まだ、さらわれてない!。つまり、今はまだ“あっち”に入ってない!」

 

「うん、可能性は高い……」

 

総司の考えに反応して千枝が答えたが、陽介は少し考え込むそぶりをする。

 

「でもよ……見るからに……なあ?」

 

「「……確かに」」

 

陽介の言葉に頷く総司と千枝。

場合によっては逆に、自分達がカメラマンみたいになるかもしれない。

と言うよりも、逆に犯人を捕まえそうな感じがするとここにいるメンバー全員がそう考えていた。

 

そんな時、雪子が口を開いた。

 

「あの子、昔はあんな風じゃなかったんだけどな……」

 

「えっ! 雪子、彼と知り合いなのッ!?」

 

雪子の言葉に驚いた様子の千枝。

だが、老舗の旅館の娘の雪子に老舗の染物屋の完二。良く考えてみれば何だかんだで接点があるのかも知れない。

 

「今は全然話さなくなっちゃったけど、完二君の家って染物屋さんだから、ウチも昔からお土産品を仕入れてるの。だから今も完二君のお母さんとはたまに話すよ……染物屋さんこれから行ってみる?。話くらい聞けるかもしれないし」

 

「それしか無いか……」

 

他に手掛かりはないし、雪子の提案を受ける事にした総司達。

何もしないよりはいくらかマシな筈。

 

総司がそう感じていた時だった。

 

「その前に! 皆に一つ注意してもらう事がある!」

 

テーブルをバンっ!と叩き突然、喋りだす陽介。

 

「何?陽介?」

「空気読んでよ」

「手……痛くないのかな?」

 

自分を含む、皆から散々言われて陽介は声を上げた。

 

「うるさいな里中は! これから大事な事を言うんだよ!」

 

「だったら早く言いなよ!」

 

「早くしてくれ……」

 

総司がそう言うと、千枝との言い争いを止めた陽介は真面目な顔になる。

 

「俺達が犯人探しをしている事は、相棒の兄貴には言わないことだ」

 

「?……何で?」

 

 

陽介の言葉に頭を捻るのは千枝だ。

確かに、本来ならば今回の事件に無関係の筈の洸夜の事が出るのは違和感を感じる。

 

「犯人探しやってますってあの人に言ってみろ!……あん時みたいに『人が死んでるのにふざけるな!』とか言われそうじゃん」

 

「あー確かに……」

 

「殺人事件だしな……」

 

陽介の言葉に千枝は苦笑いしながら喋る。

総司もあの時は自分達に被が有るとは言え、洸夜にこの事をまだ教える訳には行かないと思っているのも、また事実。

 

「でも、あれって私を理由に学校をサボったからだよね?」

 

「ま、まあそれも有るけどよ……」

 

雪子が思い出すそぶりをしながら答え、その様子に陽介は罰が悪そうな顔をするそして、その様子に千枝も何かを思い出す様に口を開いたが、表情は何処か暗く成っている。

 

「私、ジュネスでお兄さんに叱られたのにモロキンの奴、うちの家にも電話してたから親に色々言われたよ……」

 

「あれは辛かった……」

「ゴメンねみんな」

 

ハッキリ言ってモロキンはやる事が過剰で極端。

口も悪ければ、生徒からの人望も無いのが現状の教師だ。

そして、そう言いながらその時の事を思いだし、肩を落とす総司と千枝の肩に手をおく雪子。

 

「確かにそうかも知れないけどよ、何かお前の兄貴ってほっとくとテレビの世界まで突き止めて来そうな感じがするんだよな……」

 

陽介の言葉に「ああ、うんうん」と言って頷く総司達。

洸夜も洸夜で、何処か普通とは違う感じがするのを無意識に総司達は感じていた。

 

END

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。