ペルソナ4~迷いの先に光あれ~   作:四季の夢

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ミックスレイド

同日

 

現在、熱気立つ大浴場

 

「まずは、お前等から行くぞ。マゴイチ! ヤタガラス!」

 

洸夜の呼び声と同時にマゴイチは、己の持っている全ての銃の銃口をシャドウ達に向け、ヤタガラスは羽根広げ、空中へと上昇し、シャドウ達に大量の漆黒の羽根が舞い降りる。

 

「ミックスレイド、行くぞ……!」

 

『誇り高き象徴』

 

洸夜の言葉を聞いた瞬間、マゴイチは無限に舞い降りるヤタガラスの羽根の中にいるシャドウ達に、一斉砲火を浴びせる。

 

『!?』

 

無数に放たれる無限と思わせる程の弾丸の嵐。

シャドウ達もかわそうとするが、自分達の周りに舞うヤタガラスの羽がそれを妨害する。

そんな視界・移動が制限されている中でのマゴイチの一斉放火。

また、一斉砲火を浴びせられた大型シャドウ『闘魂のギガス』と雑魚シャドウ達は同じ様に銃弾に当たって黒い粒子と成ったヤタガラスの羽根に抱かれながら消滅した。

 

バサァァ……!

 

カチャ……!

 

まるで自分達の仕事をやり遂げたと言わんばかりに羽を広げるヤタガラスと、無数の銃を下ろすマゴイチ。

そして、敵を殲滅したマゴイチの肩にヤタガラスが止まりると同時に、役目を終えた二体を戻す。

 

「……後は、お前だけだ」

 

『……』

 

洸夜に刀を向けられているが、一向にリアクションをしない大型シャドウ。

自分以外のシャドウが倒された事により諦めたのだろうか?。

シャドウに限って、その様な事は無いとは思うが?。そう思いながら、洸夜が少しだけ警戒を解いた時だった。

 

『!!!』

 

「ッ!? しまっ……!」

 

突如、大型シャドウはその巨体に似合わない素早さで洸夜目掛け、タックルを食らわした。

しかも、今はミックスレイドの準備をしていた為なのか、ベンケイの物理無効の効果は無く、洸夜はモロに大型シャドウの攻撃を喰らう。

 

「グハッ!!」

 

攻撃を喰らった際に、歯を噛み締めた洸夜。

だが、相手がデブだからっと言って侮る勿れ、相手は大型シャドウ。

その攻撃の威力に、洸夜は思わずは声を上げてしまった。

しかし、大型シャドウの攻撃が直撃したとは言え、洸夜も伊達に二年前の戦いを生き抜いてはいない。

 

「……グッ! ナメるなッ!」

 

洸夜は直ぐに頭と態勢を切り替え、刀でシャドウを斬り付けて反撃する。

そして、振り下ろした刀の刃が大型シャドウの身体に傷を付けるが、刀の刃はシャドウの身体の半分も行かずに止まってしまった。

 

『……』

 

「ッ!? 手応えが鈍い……!(コイツ、これ程まで防御力が高いのか!)」

 

刀で斬られたにも関わらず平然としている大型シャドウに、洸夜は相手から距離を取ると刀を構え直す。

 

「(完全に油断した……力のブランクは克服したが、実戦のブランクの克服はまだ完全ではないか)」

 

そう内心で呟く洸夜だが、完全に戦い中での恐怖を忘れ掛けていた洸夜にとっては、この大型シャドウとの戦いは有り難いモノでも有った。

ニュクスや、ストレガとの死闘を戦い抜いた洸夜からすれば、此処の大型シャドウや雑魚シャドウは今のところ敵では無い。

しかし、それ故に洸夜は、戦いにおいて無意識に油断してしまい、自覚が有る無い関係無く戦いで手を抜いてしまう。

ペルソナやシャドウには、常識は通用する筈も無ければ絶対も無い。

その為、いつでも全力が出せない状態では、緊急の時に対応出来ない。

だが、この大型シャドウとの戦いによって洸夜は、戦いでの恐怖を思い出し、二年前の様に精神を研ぎ澄ませ始める。

 

「……フゥー(少しずつだが、二年前の感覚が戻って来たな。)そろそろ、終わらせるぞ」

 

『シングルショット!』

 

洸夜の言葉にまるで逆上したかの様に銃を連射し、突っ込んでくる大型シャドウ『狭量の官』。

それに対し洸夜は、己の反射神経を頼りながら刀で迎撃する。

そして、洸夜は一気にシャドウの懐に飛び込み、刀で大型シャドウを一閃する。しかし、この大型シャドウに物理技は効きにくいのは先程の事で洸夜にも分かっている事。

だが、洸夜には考えが有った……それは。

 

『☆▲★○◎!?』

 

先程まで、洸夜に怒涛の勢いで攻撃していた大型シャドウが突如尻餅をつく。

それを見た洸夜は、待っていたと言わんばかりに口元に笑みを浮かばせた。

 

「この刀には、(原理は知らんが)シャドウを弱らせる力がある。いくら、物理に強くてもあれだけ斬られたら、嫌でも弱るさ。……さて、大型シャドウ。この戦いもクライマックスだ……ヨシツネッ!ベンケイッ!」

 

『ヴォォォォォッ!!』

 

『……』

 

洸夜の言葉に、ヨシツネとベンケイはそれぞれの武器を構え、尻餅を付いている大型シャドウに一気に接近する。

 

『九十九・一刀一閃』

 

『ヴォォォォォッ!』

 

まずは、ベンケイが周りに大量の刀を周囲にばらまいた。

そして、九十九本の刀は地面に刺さり、その大量の刀の上に乗って刀の上を跳び移りながら移動しながら、シャドウに接近するヨシツネ。

そして、シャドウの目の前に来た瞬間、ヨシツネが空中に高く跳ぶと同時に、地面に刺さっていた刀が宙に浮き、シャドウに斬り掛かる。

一閃、二閃、三閃。

徐々に増えていく九十九本の刀の斬撃に、大型シャドウは反撃の隙も見付けられないまま攻撃を喰らって行く。

その瞬間、その大型シャドウの隙を見てベンケイは、一気に大型シャドウに接近し、大型シャドウの巨体を空中に殴り飛ばす。

 

『◎★▲□ッ!?』

 

そして、大型シャドウが宙に浮いた瞬間。

 

『ッ!?』

 

空中に跳んでいたヨシツネが刀で一閃し、大型シャドウは両断され、消滅した。そして、大型シャドウが消滅したのを確認し、洸夜はヨシツネとベンケイを戻して近くの壁に寄りかかる。

 

「ムラサキシキブ……!」

 

『メディア』

 

寄り掛かった洸夜はムラサキシキブを召喚し、ムラサキシキブから優しい光が放たれて洸夜を包み、大型シャドウからの傷を癒して貰う。

内側から感じるズキズキとした痛みに掛かるメディアの光が心地良く感じる。

 

「……フゥー。一段落は付いたな」

 

傷を癒して貰らいながら洸夜は、周りの安全を確認しながら、先程消滅したシャドウ達がいた場所に視線を送る。

 

「(やはり、何かが違うな。この世界のシャドウ達と、タルタロスのシャドウ達は根本的に何かが違う……)」

 

洸夜がそう思うのには、訳がある。

最初の疑問は単純に美鶴、つまりは桐条から聞いた情報に無い事があった事や。二年前まで戦っていたシャドウは元々、人間が絶望等と言った感情に支配された時に、その人間の無意識と一体化したニュクスの一部が意識の表面に顔を出し、宿主から分離しようとするニュクスの一部がシャドウなのだ。

しかも、このシャドウ達は現実世界でも悪さをしていた。

しかし……

 

「(ニュクスは(一応)もういない筈。それに、此処の世界のシャドウ達は直接、現実世界に悪影響を及ぼしてはいない。……本当に良く分からないな“此処”のシャドウは)」

 

洸夜がそう思っていた時だった、洸夜の視界とフロア全体が大きく揺れた。

 

「ッ!? ……総司達も手こずっている様だな」

 

自分のいるフロアにまで響く震動と音に、上で完二のシャドウとの戦いの壮絶さを教えている。

そして、洸夜は立ち上がると、ゆっくりと階段を上り始めた。

 

「それにしても……暑い」

 

サウナの様な構造をしている為、フロア全体がムシムシしていてとても暑い。

そして、額の汗を拭きながら洸夜はゆっくりと前に進んで行った。

 

End


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