ペルソナ4~迷いの先に光あれ~   作:四季の夢

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本当の自分~久慈川りせ・クマ編~
会見


6月20日(月)晴

 

現在、堂島宅

 

エリザベスとの会話から数日、洸夜は悩んだ。

理由は単純に、自分のペルソナ能力の弱体化の原因について。

原因が分からず、分かるのは日々日々弱体化が進行していると言う事だけ。

この所、再び見出した悪夢、犯人について分からないと言う焦り、自分の存在価値と言っても過言では無いペルソナ能力の弱体化の不安。

顔には出さないが、洸夜の中に色々な感情が渦巻いている。

そんな風に考えていると……。

 

「お兄ちゃん……?」

 

「!……どうしたんだ菜々子?」

 

現在、洸夜は自分が居間で皆とテレビを見ていた事を思い出し、自分を見る菜々子の頭を撫でる。

それに対して菜々子は、気持ち良さそうな顔をするとテレビを指刺す。

 

「りせちゃん出てるよ」

 

「りせちゃん……?」

 

「“久慈川りせ”だよ、兄さん」

 

「久慈川りせ……? あっ……あのアイドルか」

 

その名を聞いた瞬間、一瞬誰だか良く分からなかった洸夜だが豆腐屋のお婆さんの話を思い出した。

 

「(確か、近々この町に来る予定だったな)それで、その子がどうしたんだ?」

 

「会見だよ。何か、少しの間休業するらしい」

 

「休業……?」

 

その言葉を聞いて、洸夜はテレビの方を見てみるとりせらしき子とマネージャーらしき人の数人が座っていた。

また、会見事態は既に終わっていたらしく今から質問の様だ。

 

『……以上、当プロ“久慈川りせ”休業に関します本人よりのコメントでしたえー時間が押しておりますので質問等は手短に……』

 

進行役の人の言葉に一人の男が手を挙げる。

 

『失礼、えー《女性ビュウ》の石岡です。静養と言う事は何か体調に問題でも?』

 

『いえ、別に体を壊してるって訳じゃ……』

 

『とすると、やっぱり心のほうですか?』

 

『え……?』

 

『休業後は親族の家で静養との噂ですが確か稲羽市ですよね! 連続殺人の! 老舗の豆腐店だと聞いてますがそちらを手伝わ』

 

ピッーーー!

 

記者がそこまで言った瞬間、洸夜はチャンネルを変えた。

 

「ん? どうしたんだ洸夜?」

 

チャンネルを変えた事に疑問に思ったのか、堂島が読んでいた新聞を畳んで洸夜へと聞く。

 

「いや、ただ少しイラっと来たから……」

 

「イラっと来た……?」

 

「ああ、何かいくらアイドルだからって、人の事をまるで物見たいに扱う様な様子がさ……それに、表情が余りにも辛そうだった」

 

そう言って洸夜はテーブルにおいて有るお茶を飲み、それを聞いた堂島も少し考える様にそぶりをする。

 

「まあ、お前の気持ちも分から無くは無いが……芸能界はそんなモノ何だろう……」

 

「まあ、確かにね……(理解出来るが、理解したくない自分がいる。まだまだ俺がガキだって事か……)あと、彼女が少し羨ましかった……」

 

「彼女……? りせちゃんの事? お兄ちゃんはアイドルに成りたいの?」

 

自分の言葉に真っ直ぐな反応をする菜々子の言葉に、洸夜は軽く笑いながら再び菜々子の頭を撫でる。

 

「ハハ……違うよ。別にアイドルにはカケラも興味が無い」

 

「じゃあ何で?」

 

「久慈川りせの事はCMで見てたから何だが、テレビの彼女とさっきの会見での彼女、全然別人だった……」

 

当たり前なのだがCMでのりせは明るく、さっきのりせは暗く、何処か疲れていた感じがした。

 

「まあ、イメージは大切だからな。テレビの前だからそうなるだろう」

 

堂島の言葉は普通の人ならば、誰もが想像しそうな普通の言葉なのだが……。

 

「だからさ……彼女は“二色”も色を持っている。それが羨ましいんだ」

 

洸夜には少し特別だった。

 

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6月21日(火)曇→雨

 

現在、商店街の豆腐屋

 

昨日のりせの会見のニュースから翌日。

洸夜はバイト先の豆腐屋に来ていた。

実はあのニュースの後、洸夜の携帯に豆腐屋のお婆さんから連絡を貰い、本来ならば休みの筈の今日の午後に、誰にも言わずにお店に来て欲しいとの事。

詳しい事はその時に話すと言われた為、洸夜は何も知らずに此処にいる。

 

「(何か有ったのか……?)お婆さん、何か有りましたか?」

 

そう言いながら店の中に入った洸夜を待っていたのは椅子に座っているお婆さんの姿だった。

そして、お婆さんは洸夜に気付くと椅子から立ち上がる。

 

「あら、洸夜さん。ごめんなさいね、お休みの日に突然呼び出しちゃって……」

 

「いえ、俺は何も問題無いのですが……何か有りましたか?」

 

何か問題が発生したのでは無いのかと心配していた洸夜だが……。

 

「いやね、実は洸夜さんに駅まで迎えに行って貰いたい子がいるのよ」

 

「迎えに……? 俺は構いませんけど、一体誰を迎えに行けば良いんですか?」

 

迎えに行くのは構わないが、迎えに行く相手が分からなければどうする事も出来ない。

そう思い、洸夜はお婆さんに聞くのだが……。

 

End


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