同日
現在、特出し劇場丸久座
現在、洸夜は先ほどのフロアで助けに来てくれエリザベスと助けかたで揉めていた。
壁を破壊するんだったら中にいる人達の事を配慮しろと注意する洸夜に対し、エリザベスはあれでも手加減したと言って反論して、ああでも無いこうでも無いと言い争いをしていた時だった。
突然現れた巨大な力に、洸夜とエリザベスは会話を中断する。
「ッ!? この力は……!(また大型シャドウクラス……! しかも、りせのシャドウよりも強力な……)」
「このエリア全体を覆う程の力ですか……中々やりますね、このシャドウ」
「だが、マズイな……この力は少なくとも、満月の大型シャドウクラスだ。しかも、後半の……」
流石に焦りの色を隠せない洸夜の様子に、エリザベスは口を開いた。
「総司様達に勝算は?」
「お前にも分かるだろ。はっきりとは分からないが、恐らく無理だ。総司達は只でさえりせのシャドウと戦ったばかりでの連戦……いくら力が強く成ったとは言え、それ以上の力の持ち主が現れたら意味は無い……! どうする……一体、どうすれば……!」
流石に連戦での大型シャドウ戦は洸夜でも予想外だった。
自分の行動に後悔する洸夜は、どうするか頭の中で回転させていると、エリザベスが話し掛けて来た。
「洸夜様、一つ聞いても宜しいでしょうか?」
「なんだ、時間が無いんだから早く言え……」
流石にこれ程の力を持つものとの連戦に成るとは思っていなかった為、洸夜は冷静を保ちながら考えていた為もあり、洸夜はエリザベスに返答を急がせた。
「……では、御言葉に甘えて……洸夜様、彼等に何か手助けする意味が有るので御座いますか?」
「なに?」
エリザベスの言葉に洸夜は聞き返した。
「お姉様から色々御聞きしました、洸夜様は今まで影ながら彼等を手助けしていましたね」
「そうだ、アイツ等はまだまだ知らなければ成らない事が多く有る。それを自分達自身の手で気付かなければ意味は無い。だから俺は裏方に回った」
「その方法にこそ意味は無いのです」
「……どういう意味だ?」
エリザベスのまさかの否定的な言葉に洸夜は再び聞き返し、エリザベスは近くの瓦礫に腰を下ろした後、本を開きながら口を開いた。
「そのままの意味で御座います。ハッキリ言いまして、己と向き合い、ペルソナ能力に目覚めた時点で力の重さと責任に気付く、又は気付き始めない方々に何か助言をしたところで意味は無いのです。その程度の覚悟すら出来ない方々はいつか必ず誤った選択をし、勝手に破滅の道を歩むのですから放っておいても別に良いのでは有りませんか?」
「ッ! 良いわけ無いだろう……! 命に代わりは無いからこそ、そうなら無い為に俺達が教えなければ成らない!」
「ふふふ……!」
「ッ!?」
自分の言葉に笑い出すエリザベスに、洸夜は少し恐怖を感じたがエリザベスは本にしおりを挟むと洸夜に目を合わせた。
「こう言う事を古から矛盾と言うのです……洸夜様、貴方様は前に助けられた筈の女性を総司様達の成長の為とはいえ、見捨てた事が有りましたね?」
「……ああ、言い訳はしない。俺は総司達に経験を積ませる為に天城雪子を見捨てた」
「……それだけでは無く、その後に学業を無断で休み、天城雪子様を助けに行った総司様達を御叱りしました筈です」
「ああ、その通りだ」
何故ここまでエリザベスが事情に詳しいのか少し不審に思った洸夜だが、今はエリザベスの話に集中する事にした。
「確かに、学業が仕事であり、義務でもある彼等にとって、無断で休むと言ったその行動は正しいモノとは言えないでしょう。お金をご両親が負担しているならば尚更……ですが、貴方様は言いましたね、命に代わりはないと……」
「……確かに言った」
自分でも、矛盾に気付いた洸夜。
その様子を見て、エリザベスは静かに頷くと話を続けた。
「命に代わりは無い……その言葉の通り、総司様達はご友人の命の為に学業を放り出しました。その意味は洸夜様も気付いてる筈です」
「……」
エリザベスの言葉に洸夜は黙って話を聞く。
その様子にエリザベスは、洸夜に近付き洸夜の顔に触れ、優しく洸夜に視線を合わせた。
「御自分でも理解している……でも、それでも叱ってしまった理由。それは……貴方様が内心何処かで、総司様達にペルソナやシャドウに関わらず、普通に暮らして欲しいと言う思いがあるからでは? その反面、総司様達を少しずつペルソナ使いとして認め、成長の手助けをする貴方様もいる……違いますか?」
「エリザベス……俺は」
洸夜はエリザベスに自分の気持ちを殆ど言い当てられてしまい、どうにも成らない感情を押さえながらも口を開くのだが、その言葉はエリザベスの人差し指によって阻止された。
「別に質問に答えなくても構いません……ですが洸夜様、もし、彼等を助けに行くならば貴方様も覚悟を決めねば成りません。貴方様の気持ちを、しっかりと決めて下さい」
「……」
エリザベスの言葉に、洸夜は黙って考え始めた。
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その頃……。
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現在、特出し劇場丸久座(最上階)
『ガルーラ!』
『アギラオ!』
陽介と雪子がシャドウに向かって風と炎の属性攻撃を放つのだが、シャドウは手に力を込め、陽介達の攻撃ごと二人目掛けて腕を振り下ろした。
『メザワリな……ヒートウェイブ!』
シャドウの攻撃は糸もたやすく陽介達の攻撃を相殺したと思ったが。
シャドウの攻撃はまだ生きていて、その攻撃の余波が総司達全員にへと流れる。
「ぐわぁぁっ!」
「きゃあっ!」
「纏まってたら駄目! アイツの攻撃は基本的に広範囲の技が多いの! だから、纏まってたら危険だよ!」
「なら! 各個がバラバラに成りながらも上手く周りをサポートするんだ! マカミ!」
『アギラオ!』
総司は身体が長身の獣型のペルソナを召喚し、炎をシャドウに放つ。
そして、総司に続けとばかりに完二と千枝も駆け出した。
「私は右! 完二くんは左よ! スズカゴンゲン!」
「うっス! タケミカヅチ!」
『疾風斬!/剛殺斬!』
バラバラに成った事により、シャドウは上手く攻撃が出来なく成り、総司の攻撃が命中する。
更に、千枝と完二がその隙をついて追撃した為、シャドウは思わずその身体を大きく揺らした。
「よし! 足ごたえあり!」
『グオッ! そのチカラ、ジャマだな 愚者の囁き』
ペルソナ能力に目をつけたシャドウがそう唱えると、シャドウから放たれる黒い霧の様な者が総司や後方にいるりせにまで包み込んだ。
そして、その霧の正体を総司達は直ぐに知る事に成った。
「なっ!? ペルソナが……!」
「な、何だよコレ! ペルソナが……出せねぇ!」
突如、ペルソナが消えてしまう総司達。
そして、それと同時にまるで何かに押さえ付けられている様な感覚によって、総司達はペルソナが召喚出来なく成ってしまった。
「そんな、コレじゃあ皆をサポート出来ない……!」
『そんな必要はないぞムスメ……キサマ等は全員死ぬのだからな。虚無への導き』
「しまっ……!」
総司がそう言おうとした瞬間、シャドウの攻撃は放たれた。
「ぐわぁぁッ!/きゃあああッ!」
全員がシャドウの攻撃により、その場から吹っ飛んでしまった。
「あれ……?(衝撃が来ない?)」
りせは自分が何も起きない事を不思議に思い、ゆっくり目を開けた。
そこには……。
「ッ!? 先輩!」
「ハァ……ハァ……!」
りせが目を開いた先にいたのは、剣を構えながらもボロボロに成っている総司の姿だった。
そして、その様子からして総司が自分を守ったのだとりせは理解した。
『……ニンゲン。ナゼ、そうまでして抗う? 仮面の力さえ無ければ無力のオマエ達に真実を与えるのだぞ?』
「そんな真実はいらない……! 真実は必ず俺達の手で見付ける!」
「先輩……!」
『真実の為だけにそこまでボロボロになるか……愚かだな』
総司の様子に鼻で笑うかの様に投げ捨てるシャドウ。
だが、その言葉を聞いて総司の口元に笑みが零れる。
『……ナニが可笑しい?』
「ハァ……クッ……!~別に俺は、真実の為だけにやっている訳じゃない」
『ならば何の為だ?』
「そんなに深い理由じゃないけど……ただ、此処で仲間を見捨てて何もしない様な道の先に……兄さんはいないだけだッ!」
自分の人生の目標であり、尊敬する人物。
そんな兄をいつか越える為に総司は、洸夜に顔向け出来ない様な事は絶対にしないと自分に誓っている。
そして、そう言って総司は剣を構える。
それを見たシャドウは、総司とりせに留めを刺す為に再び腕を上げる。
「あ、相棒、りせちゃん……逃げろ……!」
「死んじゃうよ……瀬多君……逃げて!」
「チクショウ……! 恨むぜ……力の無い俺自身を……!」
「せめて、ペルソナが……!」
周りで倒れている陽介達が総司とりせに逃げる様にするが、総司はもう立っているだけで精一杯。
『終わりだ……ニンゲン! ヒートウェイブ!』
そう言ってシャドウは腕を振り下ろし、総司とりせは目を粒って覚悟を決めた。
「クッ!(ゴメン……!皆……兄さん!)」
「ッ!(おばあちゃん……! 洸夜さん……!)」
そして、攻撃は放たれた……。
筈だった。
攻撃は放たれた筈なのだが、いつまで経っても攻撃は来ず。
それに疑問に思った総司とりせが目を開けると……。
「これは……!」
「嘘……何で……? 何で洸夜さんの鈴が?」
そこで総司達が見たのは、りせが無くした洸夜から貰った紫色の鈴。
それが謎の壁を生み出し、シャドウの攻撃を防いでいた光景だった。
『な、なんだコレは!』
攻撃を防がれたシャドウも何が起こったのか分からず、初めて表情を歪ませる。そして、総司達も何が起こったのか分からず混乱して来た時だった……。
チリーン……! チリーン……!
「何この音……?」
「鈴……?」
何処からともなく聞こえて来た鈴の音に困惑する陽介達だが、総司だけはこの鈴の音を知っていた。
「ッ!?(この鈴の音……)」
この鈴の音は、引っ越す度に洸夜の後を追い掛け、そして良く迷子に成っていた総司に自分の居場所が分かる様に洸夜が付け出した鈴の音。
そして……。
「だから言ったろ? その鈴は肌身離さず持っていて欲しいって……」
扉の方から聞こえて来た声の方を総司達とシャドウが振り向き、総司達はその人物を見て驚愕する。
「あ、ああ……!」
「嘘……何で……!?」
「どうして此処に……!?」
「マジかよ……!」
「そんな……!」
「は、はは……私、笑いが込み上げて来ちゃったよ」
「誰クマ……?」
それぞれが、各々の思わずでた言葉を吐く。
その様子に、その人物は口元に少し笑みを浮かべ、刀を肩にかけ、ペルソナ白書を腰に、そしてホルスターに入れた銃型の召喚器を確認すると、シャドウを睨みつける人物……。
「……悪いが、シャドウ。この戦い、俺も混ざらせてもらう!」
瀬多洸夜、その人だった……。
END