4月12日(火)雨→雲
現在、ジュネス
洸夜は現在、近くのスーパーで食材を買っている。
はっきり言って、堂島宅には余り料理する人がいない為、食材が無かったのが原因だ。
このままでは、育ち盛りの菜々子にちゃんと栄養が回らない。
そう思い洸夜は食材を買っているのだ。
「卵、肉、野菜、調味料に……豆腐は商店街の方が良さそうだな。となると、後は……ん?」
買った物を見ながら、バイクに荷物を置いていると洸夜の視線の先で主婦の方々が何か話している。
本来ならば、他人の立ち話の内容に興味が無いのだが今回はそうもいかなかった
「聞いた? ほら、あそこの近所で……」
「殺人でしょ? しかも殺されたのって、あの不倫アナウンサーの……なんて言ったっけ?」
「山野真由美でしょ……でも、死体が家のアンテナに引っ掛かってたんなんて普通じゃないわよ」
「あ~怖い。早く帰りましょう」
そう言って主婦の方々は解散して行く。
「山野真由美……? ッ!? あの女性だ…昨日のテレビに映っていたのは山野アナウンサーだ」
洸夜は夜に映ったテレビに映し出されていた人物が現在、議員秘書の生田目太郎との不倫で騒がれている山野真由美である事を思い出した。
偶然なのかどうかは現状では材料が少な過ぎる。
そう思いながら洸夜は、ヘルメットを被り、バイクを家へ走らせる。
「(肉や卵が痛むからな……まずは家だ。しかし、一体この町で何が起ころうとしているんだ…!)」
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家に食材を入れた洸夜はその後、直ぐにバイクに乗ると事件現場へと走らせた。そして、事件現場に着くと思ったより野次馬は少ないが警察と学生が数人いる事に気付く。
「学生か……(ってアレは……総司か? 左右にいる女子は知らないが、叔父さんもいるのは好都合だな)」
前方で何か話している警察と学生が、総司と堂島である事に気付いた洸夜。
あわよくば、堂島に鎌を掛けて情報を得られるかも知れない。
そう思いながら洸夜は総司達に近付く。
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転校初日の学校の終わった後、総司はクラスで知り合った二人の女子、里中千枝と天城雪子と帰っていた。そんな時に何かの事件現場の前を通って、叔父である堂島に見付かり話している最中だ。
「まあ、あんまり寄り道せずに気をつけて帰れよ。俺はまだ仕事があるから今日は遅くなるかも知れん……だから、洸夜と菜々子にも伝えといてくれ」
「うん、分かった」
そう言って堂島の言葉に頷く総司。
すると、千枝が堂島の言葉を聞いて総司に質問する。
「ねえ、瀬多君? 洸夜と菜々子って誰の事?」
「ああ、菜々子は叔父さんの娘さんで洸夜は俺の兄さんだよ」
「ええッ! 瀬多君ってお兄さんいたのッ!?」
「ちょっと意外……」
そう言って驚く千枝と、静かに呟く雪子。
そして、二人の言葉に総司はそんなに意外かな?等と首を傾げている。
「ねえねえ? そのお兄さんってどんな人?」
「こんな人」
「へ~って……」
千枝の言葉に総司が答える前に誰かが口を挟む。
そして、その口を挟んだ人物の方を向いて見ると、黒いバイクのヘルメットを被った人物が立っていた。
「「きゃああああああああああああッ!!! 出たぁぁぁぁッ!!!!」」
此処が事件現場と言う理由と、無駄に存在感を出すヘルメット姿の人物に千枝と雪子は叫んでしまう。
しかし、総司はこの人物が誰か直ぐに分かった。
「兄さん…また、ヘルメット外し忘れてるよ」
「「えっ? 兄さん……?」」
総司の言葉に千枝と雪子は互いの手を掴みながら、恐る恐るそのヘルメットの方を見る。
「ああ、すまん。また、忘れていた様だ……っと」
「「わぁ~(か、格好いい……!)」」
洸夜がヘルメットを外して素顔が現れた瞬間、千枝と雪子は呆気に取られてしまっている。
ついさっきまで不審者だと思っていた人が、今日転校して友人と成った人の兄でしかも、顔も格好良かったと成れば余りのギャップの差に混乱する。
「驚かせてすまない……先程の紹介通り、総司の兄の瀬多洸夜だ、宜しく」
そう言って千枝と雪子に手を差し出す洸夜。
そして、洸夜の手を申し訳なさそうに掴む千枝。
「あ、どうも里中千枝です…さっきは叫んですみません。不審者かと思って……」
「千枝ちゃんだね。別に気にしてはいないさ、アレはこちらの不注意だ。それと、君は…
「天城雪子です……初めまして」
千枝とは違い、落ち着きながら挨拶する雪子。
「宜しく。まだ、この町に慣れてないし、迷惑かけるかも知れないが弟を宜しく頼むよ」
「「は、はい……」」
洸夜の言葉に頷く千枝と雪子。
だが、先程より落ち着きながら話す千枝達を見ると、さっきの会話で洸夜の人柄が分かった様だ。
しかし、総司は少し顔を赤くしながら前に出る。
「に、兄さん……もう良いから、お節介焼かないでくれ」
コレ以上言ったら何だかんだで、総司の嫁にならないか?、なんて言い兼ねなくなる。
厳しい時は厳しいが、何だかんだで自分に甘い兄に総司はため息を吐いた。
総司の友人である千枝と雪子との自己紹介も終わると先程まで黙っていた堂島が口を開いた。
「それで、結局お前は何でこんな所にいるんだ?」
「ただの大人しい野次馬さ……そっちこそ何か事件でしょ?」
「いくら家族とは言え、一般人に言えるか」
そう言って少し目を厳しくする堂島に、総司や千枝達は少し怯む。
だが、洸夜は一切怯まなかった。
(「流石は叔父さんだ……伊達に刑事やってない)」
そう考えながらも、何とか情報を獲たい洸夜は辺りを見てみると面白い者を見付け、再び堂島へと口を開いた。
「と言っても、変死殺人でしょ?」
「な、お前何処でそれを!」
何も知らない筈の洸夜が何故、そんな事をしっているのか?。
と言う疑問に堂島が洸夜を探る様な目で見るが洸夜は…。
「いやだって、あれ……」
「「「「アレ……?」」」」
洸夜がある一点を指差し、堂島と総司達が一斉にそこに目をやると…。
「オ、オェ~~! うっぷ……やっぱり死体何て見るもんじゃないなあ、しかもアンテナの上だぞ。それに害者には怪我一つ無かったんだぞ、どうやって殺したんだよ。うわ~最悪だ…」
「「「「……」」」」
そこには事件についてベラベラ喋りながら、吐いている刑事がいた。
余りの事に総司達は絶句しているが、堂島に至っては怒りで言葉が出ない様だ。拳を握り締めてプルプルしている。
流石にあそこまで情報を貰えると返って申し訳ない気もする。
そう思いながら、洸夜は隣で今にも爆発しそうな堂島を見ていると……。
「足立ぃぃッ!!!! 何してんだお前は!!! また本庁に戻るかぁッ!!」
堂島の怒りが爆発し、それに対して吐いていた刑事は驚きの余りビクッ!と飛び上がる。
そして、その光景に洸夜と総司達も同じ様にビクッ!として仕舞う。
「(叔父さんもまだまだ現役だな…)」
何て思いながら。
「ヒッ! すいません堂島さん……」
「全く! 大体お前はな……!」
本当ならば堂島から情報を得たかったのだが、結果オーライで足立から情報を得る事に成功した洸夜。
だが、その変わり足立が可愛そうに見えて仕舞った。そして、堂島は足立にガミガミて説教をしている為
これ以上は情報は得られないだろうと判断した洸夜は再びヘルメットを被るとバイクに跨がる。
「それじゃあ総司、俺は先に帰るからな。千枝ちゃんと雪子ちゃんも今日は早く帰った方がいい。それじゃあな」
「分かったよ兄さん」
「あ、はい!」
「お兄さんもさよなら」
総司達の台詞に洸夜は頷くとバイクを家へと走らせた
「(真夜中のテレビに、それに映って死んだ山野真由美。そして、害者には外傷が無かった……しかも、死体が見付かったのは民家のアンテナだ。普通じゃない…この事件は恐らく、警察じゃあ解決出来ないだろう。きっと裏に、とんでもない何かが隠されている筈だ)」
今回の事件に異様な何かを感じた洸夜は、再び覚悟を入れ直した。
きっと、今回の事件は異常何てレベルでは片付けられないのだから。
END