ペルソナ4~迷いの先に光あれ~   作:四季の夢

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自分は皆よりも優れている。
そう思う事しか出来ない者は天しか見れない為、地からの恐怖に気付かない。


傷だらけの仮面使い

同日

 

現在、ホテル(廊下)

 

 

「ふぅ……。(予定よりも、飲みすぎてしまったな……)」

 

美鶴は現在、明彦と堂島の話を聞き終わり、軽くほろ酔い状態に成りながらも一足先に自分の部屋へと向かっている。

今は着物では無く、先程よりもラフな格好に成ってはいるが、それでも汗は書く。

それも有って早くお風呂に入って休みたい。

また、堂島の話は自分が思っていたよりも楽しい物で有った。

洸夜の子供の頃の話。

洸夜から聞かされていなかった話でもある為、話がかなり新鮮に捉えられたからだろう。

だが、全てが楽しい話と言う訳では無く、美鶴は堂島の話で気になる部分を思い出した。

 

「……。(……子供らしく無かった……か)」

 

美鶴の気に成ってしまった部分の話。

それは、洸夜と総司の母親が、二人を堂島の家に連れてきた時の話。

洸夜がまだ幼稚園で、総司がまだ目を離すのが怖い位の時期の事。

 

まだまだ若かりし、当時の堂島は、洸夜と総司が赤ん坊の時位にしか有っておらず、柄にも無く当時は楽しみにしていたと言う事だった。

仕事の都合で父親の方は来れ無かったらしいが、堂島は駅へと向かいに行ったとの事。

そして、車を駅前に止めて三人が来るのを待っていた。

久しぶりの姉と甥っ子達との再会。

どんな顔をしたら良いか、当時の堂島は迷いながら待っていたとの事。

そんな感じで待つ事、数分……。

洸夜達を連れた母親が駅から出てきた。

堂島は、出来るだけ怖がらせない様に努力しようと思いながら車から降り、三人を迎えた。

だが……その三人を見た瞬間、堂島は違和感を覚えたと言った。

その理由は……。

 

「親子らしく無いとはな……」

 

誰もいない廊下で、美鶴は自分だけにしか聞こえない位の声で、そう呟いた。

 

日常で幼い子供を連れた大人がいれば、大半の人は親子連れと思うだろう。

恐らく、子供や大人の様子、又は雰囲気等から判断してそう思う事が多いと思われる。

総司を抱き、もう片方の手で洸夜の手を掴む母親。

これだけならば、良い親子。

だが、堂島が感じた違和感。

親子では無く、大人の隣に子供が"只いるだけ"。

そう感じたのだと、堂島は苦笑いしながら感じていたのだと言う。

その話が、美鶴の頭の中で何度もリピートされていた。

 

「……。(堂島さんは自分の気のせいかもと言っていたが……洸夜は、私達といた三年間、一度も両親について話した事が無かった……)」

 

両親がいない明彦や、父親や母親が他界しているゆかりと乾に遠慮したとも思われる。

だが、弟の事は積極的に話すのだが、美鶴は両親の話を洸夜が意図的に話したく無かった様に感じていた。

 

「……ふう。(洸夜は、自分の両親が苦手なのか?)」

 

等と、美鶴が洸夜について考えた時だった。

 

「ん……? (ここは……)」

 

自分の部屋へと向かっていた美鶴。

しかし、気付けばここは洸夜の部屋の前。

どうやら、無意識の内に来てしまった様だ。

 

「……洸夜。(何をしているんだ私は……ここに来た所で、私が洸夜に出来る事は無いと言うのに)」

 

シャドウワーカーを設立する時も色々と大変では有ったが、偶然とは言え、警察の関係者に疑似的な影時間とシャドウを見たからか、自分の思っていたよりは簡単に設立まで運べた。

メンバーも少なく、組織としてもまだまだ完全な活動は出来ていないが、それでも大きな進歩。

一族の罪を背負いながら歩んで来た。

だが、洸夜の前では何処か自分の弱い部分が出てきてしまう。

そんな事を感じながらも、美鶴は扉から移動しようと左を見た。

すると……。

 

「ん……? あれは……。(明彦……?)」

 

廊下の奥で、何かを隠れながら見ている、先程バーで別れた明彦の姿が美鶴の目に入った。

他の人に部屋の前に立っている自分が言うのも何だが、明彦の場合はその存在感が災いしてしまい、余計に怪しさが醸し出されている。

そんな事を思っていた美鶴だが、好奇心というのはだろうか?

ついつい、明彦が何をしているのか気に成ってしまい、明彦に静かに近付いた。

だが……。

 

「っ!?」

 

「!」

 

美鶴が明彦の後方に、あと少しでたどり着くと言った瞬間。

突如、明彦が驚異的なスピードでその場で体を回し、足を上手く使って美鶴から間合いを取ったのだ。

色々と残念なところが有るとは言え、学生時代はボクシングを学び、二年前の戦いを生き抜いただけはあり、明彦の身体能力はそこらの常人よりも研ぎ澄まされたものだった。

そして、自分の背後に近付いていたのが美鶴だと分かると、明彦は静かに肩を落とした。

 

「なんだ、美鶴か……驚かせるな……」

 

「私はお前の反応に驚いた……。何故、私が近付いたのが分かった?」

 

「別にお前だとは分かってはいなかった。ただ、何者かの気配が感じたから振り向いた。それだけの事だ」

 

当然の事だと言わんばかりの口調で話す明彦に、美鶴は思わず溜め息を吐いてしまう。

明彦が武者修行をしている事は知っている。

だがしかし、明彦の反応、服装等があまりにも過剰すぎる。

さっきの反応といい、スーツを脱いだ現在の服装である、獣の爪で引き裂かれた様な穴の空いたTシャツと言った過剰的な服装。

ここに来るまでの時もそうだった。

空港近くで明彦と合流する予定だった美鶴はアイギスと共に車で待っていた。

だが、予定時刻が過ぎても明彦は来ず、美鶴とアイギスは嫌な予感を感じて運転手に空港まで走らせた。

そして、空港途中で警察から職務質問を受けていた、上半身をボロボロのマントだけで隠した明彦の姿を目の当たりにしてしまったのだ。

自分達が来なければ本当に危なかった。

武者修行も良いが、出来れば最低でも常人が理解できる服装をしてほしいと思う美鶴であった。

 

……余談であるが、アイギスを含め、美鶴の周りの人が彼女に対してもそう思っているのを美鶴は知らない。

 

「明彦……もう少し、その服装と過剰な反応をどうにか出来ないのか?」

 

溜め息混じりで喋る美鶴だが、明彦は何を言っているんだお前は? と言った感じの表情をすると、美鶴に反論する。

 

「美鶴……お前は野生の力を甘く見ている。奴らに背中を見せると言う事がどういう事か、お前は分かっているのか! 奴らに背中を見せる事、それ即ち……死を意味するぞっ!? 例え、逃げるとしても、奴らを刺激しない様に目線を合わせてゆっくりと……」

 

「……。(……一体、何の話だ?)」

 

一体、明彦がどんな武者修行をしてきたのか疑問が尽きないが、美鶴は話の内容による頭痛に溜め息を吐きながらも本題に入る事にした。

 

「所で明彦、お前はこんな所で何をしている?」

 

「ああ、実は……酔いつぶれた堂島さんを部屋に送って来た所なんだが……」

 

「?……どうした?」

 

何処か気まずそうに顔を背ける明彦。

その表情から、何かが有ったのは明白。

美鶴は明彦に問い掛けると、明彦は軽く息を吐いて口を開いた

 

「実は……さっき、アイギスが洸夜と階段の方へ行くのを見たんだ……」

 

「!……なに……?」

 

===============

 

その頃、洸夜とアイギス。

===============

 

現在、ホテル(屋上)

 

 

洸夜とアイギスはあの後、何も語らずにただ静かにホテルの屋上へと来ていた。

特にこれと言った物は無い、只の屋上。

屋上に何か特別な物を求めても仕方ないのだが……。

強いて挙げるならば、今日は皮肉にも満月。

学園都市での戦いに参加していた者ならば分かる筈である特別な月。

美鶴達との再会。

そして、今日は満月と言う偶然。

この続けざまに体験する偶然に、洸夜はこれは定めれらた運命では無いかと錯覚しそうに成りかけた。

しかし、ただ気持ち良く吹く夜風が洸夜の頭を冷して冷静にしてくれた。

だが、いつまでも夜風を楽しんでいる場合では無い。

洸夜は、隣で瞬き一つしないで夜景を見ているアイギスに視線を向け、此処に来るまでに入ってしまった肩の力を抜くと、ゆっくりと口を開いた。

 

「……今更だが、元気そうだなアイギス」

 

「はい……色々と忙しいですが、それなりに楽しい毎日を過ごさせて頂いています」

 

「楽しい毎日を……か」

 

自分の隣に立ち、一緒に夜景を眺めながら話すアイギスを見て、洸夜は本当にアイギスが今の生活が楽しいのだと分かった。

最初に出会った時のアイギスは、はっきり言って普通の機械と変わらない……と言うよりも今一感情が出せていなかった。

これと言った必要最低限だけの感情。

他者とコミュニケーションを取りもしなければ、笑いもしない、只彼女の存在理由でもあるシャドウ殲滅の為だけの機械人形だった。

しかし、自分達と生活している内にアイギスは感情豊かに成って行き、学校にも通い『彼』を初めとした色んな人から色々な事を学んだのだ。

そして、今隣にいる彼女はごく自然に自分の意思で笑う事が出来ている。

その事が、とても嬉しかった洸夜は、アイギスからの言葉を呟き、小さく微笑みながら口を開いた。

 

「お前が笑顔で生きているならそれで良い……ところで、俺に話ってのは?」

 

「その事なんですが……」

 

洸夜の言葉にアイギスは、少し言いにくそうに顔をさげるが、意を決した様な表情で洸夜を見た。

 

「……洸夜さんにお願いがあります」

 

「?……なんだ?」

アイギスからのお願い事態が珍しいのだが、次にアイギスが言った言葉で洸夜は表情を固くする事に成る。

 

「実は……洸夜さんに戻って来て貰いたいのです」

 

「なに……?」

 

「そして……美鶴さんを支えて頂きたいのです」

 

「!」

 

アイギスの言葉に、洸夜は一瞬言葉が出なかった。

恐らく、アイギスは自分が寮から姿を消した本当の理由を知らないのだろう。

その事を伝えれば、アイギスもこんな事は言わない。

そう思った洸夜は、これであの日の事を思い出すのは何度目かと想いながらも、アイギスに事情を説明しようとする。

 

「アイギス……本当の事を言うが、俺が皆の前から消えたのは……」

 

少し抵抗が有ったが、洸夜がアイギスに二年前の事を伝え様とした時。

 

「存じております、美鶴さん達との事を……」

 

「っ!? お前、何でそれを……!」

 

美鶴達の反応から察するに、あの場に居なかったアイギスを含んだ風花達には本当の事を伝えてはいない筈。

それなのに、何故アイギスがその事を知っているのか洸夜は不思議で成らなかった。

 

「不思議……ですよね? 私が洸夜さんと皆さんとの間の事を知っているのが 」

 

「……ああ、少なくともアイツ等が自分から言う訳がない……何処で知った?」

 

「……"コロマル"さんからです」

 

「コロマル!? (そうか……アイギスはコロマルと話せる。それに、よく一階で遊んでいたコロマルなら、あの時の俺達の会話を聞いていても可笑しくはない……)」

 

S.E.E.Sメンバーの中で唯一の動物にしてペルソナ使い犬であるコロマル。

よく一階のリビング周辺でリラックスしていたコロマルならば、あの時の自分と美鶴達との揉め事を見ていても可笑しくはない。

意外な目撃者の登場に、洸夜は一瞬思考が止まりかけるが、直ぐに冷静になりアイギスの言葉に耳を傾ける。

 

「……私も最初は疑問に感じていました。確かに洸夜さんならば、二年前の戦いと『あの人』の事を自分一人の責任にしてしまう可能性は確かにあります。ですが……洸夜さんの事を説明した時の美鶴さん達の様子が少し、おかしかったので……」

 

簡単に言うアイギスだが、『彼』がああ成った状況下でそこまで冷静に物事を見極められたのはアイギスだからこそ出来る事だ。

本来ならば、一番心が傷付いているのは彼女自身の筈なのに。

 

「それで、疑問に感じていたお前の下に来たのがコロマルか」

 

「はい……」

 

そう言って小さく頷くアイギス。

そして、洸夜はアイギスの言葉で複雑な心境だった。

元々、洸夜と揉めたのは美鶴達の四人だが、力が有ったのにも関わらず誰も守れなかったのは洸夜も認める事実。

関係のないアイギス達の事にも、洸夜は後ろめたさを感じてしまっているのだ。

 

「ちなみに、この事を知っているのは私とコロマルさんだけですから安心して下さい」

 

洸夜の心境を察してくれたのか、アイギスはこの事を誰にも告げていない事を伝える。

しかし、洸夜にとってそれはもうどうでも良かった。

いっそのこと、残りのメンバーからも罵倒された方がいっそのこと楽だった。

 

「……お前は何とも思わないのか」

 

「?……何をですか?」

 

洸夜の言いたい事が分からないと言った感じのアイギス。

しかし、その反応が逆に洸夜を不快にさせた。

 

「何がじゃないだろ……! 俺が美鶴達に八つ当たりされたのは事実……だが、誰も守れなかったのも事実! 本当なら、お前も俺が憎い筈だ! 俺は、お前の大切な人を守ってやれなかったんぞ……」

 

「……」

 

日頃は冷静な洸夜だが、やはりS.E.E.Sメンバーと関わると無意識に感情的に成ってしまう。

自分でも情けない。

これでは、自分がしているのはアイギスに対して八つ当たりしている様な物。

洸夜は、過去の事だけでは無く自分に対する不快感でも、胸が重苦しく成ってしまった。

そんな洸夜を、アイギスは只々静かに見詰めていた。

 

「……もう、俺自身でも分からねえんだよ。アイツ等を憎む気持ちが有れば、自分の無力を憎む気持ちもある……もう、訳が分からなくて疲れた……クソ……何で俺にワイルドの力があるんだ……俺に何をさせたかったんだ……! (何で俺は、こんなにも罪を背をわなければ成らないんだ……)」

 

どんなに強い力を持っている者でも、心の傷はそんなものを目でもないと言わんはがりにその人物を追い詰める。

そして、疲れもってか洸、夜はそのまま膝をついてしまった。

 

「結局、俺の力はシャドウを殺すだけのもの……誰かを傷付ける事しか出来ない力だ……! ましてや……誰かを救う力でも無い……ただの暴力でしかないんだ……俺の力は……!」

 

そう言って洸夜は拳を握り締め、力任せに拳を地面に叩き付けた。

……この二年、洸夜はどうしようもないこの思いを、只ひたすらに一人で耐えてきた。

周りに誰か話せる人がいれば、まだこれ程苦しむ事は無かった筈。

しかし、ペルソナ、シャドウ、影時間等言った非現実的なモノを言う事が出来なかった。

何よりも、家族に自分の罪に巻き込みたく無かったのが理由でもある。

そんな事が有り、心が傷だらけの洸夜。

誰もなぐさめてはくれない……しかし、今回は違った。

 

「!」

 

突如、頭の上に何かを置かれた様な感覚がした洸夜は、ふと上を向くと。

 

「アイギス……?」

 

洸夜が上を向くと、アイギスが洸夜の隣に腰を下ろして自分の頭を撫でてくれていた。

 

「洸夜さんの力は暴力では有りません……。貴方がいつも必死に戦ってくれていたのを私は知っています……勿論、美鶴さん達も本当は分かっている筈なんです」

 

「だが……ここぞと言う時は俺は無力だった。……なにより、同じ力を持っていたのにも関わらず、全てを『アイツ』だけに押し付けてしまった……手助けしてやる事も出来ず、俺は『アイツ』を見殺しにしたんだぞ……だから『アイツ』は俺を恨んでいる筈だ』

「……」

 

自分の無力を呪い、洸夜は再び拳を握り締める。

アイギスは知っている、瀬多洸夜と言う一人の仲間の力を……。

洸夜が見殺しならば、自分達はなんなのか?

その事を考え続けていたアイギスは、空いている方の手を洸夜の手の上に被せる様に触れると静かに首を横に振った。

 

「それは違います……『あの人』は誰も恨んで無ければ、何の後悔も無く自分自身の意思でニュクスを封印したんです……」

 

「……そんな事が何故分かる?」

 

「……あの後に、色々と合ったとでも言いましょうか……」

 

そう言うアイギスの表情は、少し曇っていた。

自分の妹だと名乗る"メティス"が現れて始まったあの事件。

『彼』の事を巡って各々の目的の為に、S.E.E.Sメンバー同士で戦い合った。

それから、"エレボス"と言う異質なモノとの戦い。

……何よりも、『彼』の想い。

それが自分達は知る事が出来たが……洸夜は知らない。

アイギスは、本当ならば直ぐにでも伝えたかった。

しかし、美鶴達との一件を知っている為、アイギスは躊躇した。

もしかしたら、自分の話を聞いて変に後悔させてしまうのでは無いか?

自分は『彼』を救えたかも知れなかったチャンスを逃した?

自分はいなくなっていたが、美鶴達はあの後も戦っていた?

今自分の目の前で弱々しく成っている洸夜を、これ以上傷付けては成らない。

アイギスは基本的に弱音を吐いた洸夜の姿を見た事も無ければ、創造も出来なかった。

その為、これ以上洸夜を傷付けるとどうなるか分からない。

強き姿しか見たこと無かった仲間のここまで弱々しい姿を見る。

そんな経験を初めて体験し、ある意味で人生経験が少ないアイギス、そう思ってしまいあの時の事はもう少し話すタイミングを探す事にしてしまった。

また、少しはぐらかす様な喋り方をするアイギスに洸夜は疑問に感じたが、アイギスがそんな事を考えているとは分からず、今はそれほど気にはしなかった。

そして、アイギスは洸夜の顔に見合わせる。

 

「……『あの人』が今の洸夜さんを見たらきっと悲しむとおもいます。……なにより、洸夜さんは卒業式の時……わざわざ卒業式を途中で抜け出して来てくれたじゃないですか……! そんな貴方を『あの人』は恨んでない! それどころか、洸夜さんのお陰で私も『あの人』も変われたんです……だから、もう"自分を許して上げて下さい"……」

 

「……アイギス」

 

彼女成りの全力での言葉だったのだろう。

アイギスは、どう言えば一番良いかは分からないが、洸夜はアイギスから確かに自分を助けたいと言う気持ちだけは伝わった。

そして、洸夜はアイギスの言葉に顔を下に向けた。

 

「だが……百歩譲って俺が『あいつ』を助けたとしても結果は……それに、戻って来てくれって……一体、何にだ? S.E.E.Sはもう無いだろう……」

 

あくまでS.E.E.Sはシャドウ討伐とタルタロスの謎解きが主な存在理由。

タルタロスとシャドウが消滅した現在では必要性は無い為、既に無いものだと洸夜は認識していた。

そんな洸夜の言葉に、アイギスは静かに立ち上がった。

 

「戻って来てほしい……と言うのは間違いですね。正確に言うならば……"参加"して欲しいが正しい言葉です」

 

「参加……? 何に……?」

 

何の事か分からない洸夜。

アイギスは何を言っているのだろう?

また新たな組織でも出来たのか。

そう考えるのが困惑する洸夜の頭では限界だった。

そして、洸夜の言葉にアイギスは真剣な表情で洸夜を見て静かに口を開いた。

 

「今、私や美鶴さん達が参加している部隊『シャドウ事案特別制圧部隊』……通称"シャドウワーカー"……」

 

End

 


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