ペルソナ4~迷いの先に光あれ~   作:四季の夢

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イヤホンとヘッドホン。

私は家ではヘッドホン。
外ではイヤホン……たまにヘッドホン。


決戦 ボイドクエスト (前編)

同日

 

現在、ボイドクエスト(最上階・コロッセオ)

 

ボイドクエストの最上階にし、扉の先で洸夜と総司達が見たのは周りが高い壁に覆われ、その壁の上に存在する観客席。

そこは正に戦う為だけの場所、コロッセオを彷彿させる場所であった。

そして、そのコロッセオの中央には洸夜達の目的である人物……久保美津夫が立っており、更に奥にも久保と同じ姿をした者が立っており、洸夜はそれを見て嫌な予感が当たってしまい思わず悪態をついた。

 

「チッ! 遅かったか……! 既にシャドウが出ている!」

 

「でも、なんて言うか……どっちが本物なのか分かりづらいな」

 

「どっちもシャドウっぽいしね……でも、場所的に考えたら奥のがシャドウじゃないかな?」

 

総司の言葉に、配置的に考え奥にいるのがシャドウだと推理する千枝。

だが、こんなにもすぐ後ろで洸夜達が話しているにも関わらず、久保は洸夜達に気付いておらず奥の方にいる自分のシャドウに何かを叫んでいた。

 

「誰も俺の凄さに気付かねえ! だから殺してやったんだッ! あの馬鹿な女子アナや第一発見者を……そして、モロキンの野郎をもだっ! 繁華街にいただけで停学にして、俺のプライドをズタズタにしたあのモロキンをだぜ! 」

 

「あの野郎……!」

 

自分のやった事に対する罪の意識が全く感じられない久保の言葉に、完二は思わず歯を噛み締めながら拳に力を入れた。

近所では族潰しの不良で通っている完二だが、その心は優し、やって良い事と悪い事も理解している。

それ故に、自分がどれ程の事をしたのか全く理解していない久保に怒りが込み上げたのだ。

そして、同じ怒りを陽介や雪子達も感じていた。

 

「あんな奴に小西先輩は……!」

 

「さっき諸岡先生に補導されてプライドをズタズタにされたって言ってたけど……もしかして、私が誘拐されたのは私が誘いを断ったから……? でも、だったらなんで他の人まで……」

 

「……誘拐した奴全員が気に喰わなかったんだろ。アイツの言葉から察するならな……」

 

洸夜がそう言った時だった。

ようやく洸夜と総司達に気付いたらしく、久保が洸夜達の方に振り向いた。

ゴツゴツとし、妙に四角く身体に似合わない程に大きな顔と、死人の様な生気の感じない瞳。

総司達はおろか、洸夜ですらその姿を見た瞬間に背筋に悪寒が過った。

一体何を仕出かすのかが分からない。

いきなり奇声を上げて襲い掛かって来るかも知れない。

洸夜達にそう思わせる程に、久保の雰囲気等は異色だった。

そして、何をしてくるかが読めない久保の行動を警戒し、洸夜、総司、完二の三人が皆を守る様に一歩前に出た。

また、陽介とクマは千枝と雪子を守る様に洸夜達と千枝達に挟まれる形の場所で構え、千枝と雪子は探知タイプのりせを守る様に自分達の背後にりせを来させた。

最早、相手は只の学生では無く殺人犯。

この刀では人を斬らず、シャドウだけを斬ると決めている洸夜でさえ右手だけで刀身を少しだけ鞘からだし、片足を前後に展開する事で間合いを取り、総司と完二も洸夜の真似をして同じ様に間合いをとっていた。

だが、そんな洸夜達の様子に微塵も興味が無いのか、久保は口元を歪ませると突然笑いだした。

 

「アッハッハッハッハッ!!」

 

「ひっ!」

 

がらがら声の様な乾き切った笑い声に、りせは思わずビク衝いてしまい千枝と雪子の二人が落ち着かせる様にりせの手を各々が掴み、洸夜達も身構える。

だが、久保は暫く笑うと特に何もせずに馬鹿にするかの様な口調で洸夜達に指を刺しながら口を開いた。

 

「なにお前ら? 本当にここまで追っ掛けて来たのかよ」

 

「一応、確認するけど……久保 美津夫だな」

 

久保の背後にいるシャドウから出来るだけ遠ざけようとしているのだろう。

総司は久保に対して他愛ない言葉を投げる。

すると、総司の言葉に久保は再び口元をニヤつかせた。

 

「ニュース見たんだろ? なら分かんだろ! 全部だ! 全部俺が殺ってやったんだ! 二人だけじゃあ誰も俺を見ねえから……だから三人目……モロキンの野郎も殺して殺ったんだっ!!」

 

「マジかよ……本当にお前が、小西先輩達を……!」

 

久保本人からの言葉に、陽介の口調から感情が溢れ出てくる。

何故、小西早紀がこんな訳の分からない奴に殺されなければ成らなかったのか。

何故、もっと早く久保の存在に気付かなかったのか。

陽介は今に成って後悔ばかり生まれてきてしまう。

洸夜達もそんな陽介の様子に気付いたが、今の状況では投げ掛けてあげられる言葉が無かった。

だが、先程の陽介の言葉を聞いた久保だったが、何故かその表情は嬉しそうであり、満足げな表情をしていた。

そして、久保はそのまま今度は自分のシャドウの方に向きなおした。

 

「どうだ! コイツ等だって俺を知ってるんだぜっ! 何も無いあの町で俺は時の人だ! 色んな奴が俺を見てるんだぞっ!!」

 

先程よりも感情的な喋り方をし始めた久保。

そのまま自分のシャドウに対し、色々と言葉をぶつけ出した。

だが、当の久保のシャドウは何も言わない。

いや、その表情を見る限りでは久保の言葉から何も感じてすらいないようだった。

 

『………』

 

何も言わない己のシャドウに対し、久保は怒りを露にした。

 

「なんなんだよ……なんで何も言わないんだよっ!!」

 

怒りに任せた言葉をシャドウにぶつける久保。

その言葉の感情から察するに、どうやら洸夜達がここまで来るまでにも色々とシャドウに話し掛けていた様だが、返事は無かったと思われる。

だがこの時、シャドウが初めて久保の言葉に対しリアクションを示した。

 

『……だって、何も感じないから』

 

「な、なんだと……!?」

 

見た目通り言葉にすら生気が感じられないシャドウ。

そのシャドウの言葉に久保は初めて喋った事への驚きよりも、シャドウの言葉に驚いてしまっていた。

 

『……僕は無だ。無なんだから何も感じない……そして、君自身も……君は僕だから……』

 

「な、なんだよそれ……!」

 

久保はシャドウの言葉に怒りを覚えた。

自分の事を殆ど知らない洸夜達ですら自分の事を知っている。

恐れくニュースかなんかで知ったのだろう。

もしかしたら町中所か、日本中が自分を知っているかも知れない。

なのにも関わらず、自分と同じ姿をしたシャドウは久保の事を無と言った。

それが久保はゆるせなかったのだ。

他人は知っているのに、自分自身が自分を知らない。

そう思われている様で、久保はシャドウに対し怒りを覚えたのだ。

久保は思わずその場で大きく叫び散らした。

 

「ふざけんじゃねえよっ!!」

 

「っ!? (マズイ……!)」

 

久保から醸し出される危険な雰囲気を感じ取った洸夜は、シャドウの暴走化を抑える為に話の話題を振った。

 

「お前に一つ聞きたい! お前は一体、何処でこの世界の事を知ったんだ?」

 

久保の事を模倣犯と予想していた洸夜。

だが、このダンジョンに入ってからの出来事や久保本人からの供述から察するに被害者三人を殺したのは久保という事に成り、その流れで自然に誘拐していたのも久保という事に成る。

ならば、一体久保は何処でこのテレビの世界を知り、どうやって誘拐を成功させていたのか?

テレビの世界は偶然知ったのならばそれで良いが、誘拐の方は偶然で片付けられない。

洸夜はどうにもその二点が気になったのだ。

しかし、洸夜の言葉に振り向いた久保は洸夜の顔を見た瞬間、何かを思い出した様に目を開き、そのまま洸夜を睨み付けた。

 

「……バイト」

 

「ん……?」

 

「バイトつってんだよ! お前! あの時、俺とりせの邪魔をしたバイトだろ!」

 

久保が言っているのは、暫く前に久保にしつこく話し掛けられて困っていたりせを洸夜が助けた時の事だろう。

どうやらその事で洸夜に対し、根に持っていた様だ

 

「邪魔って……なんで私がアイツの物みたいに言われてるの?」

 

「う~ん……あの子は恐らく世間をと言うか、周りを見下して世界が自分を中心に動いてると思ってるクマよ。 だから、他人が誉められたり認められたりすると面白くない。逆に、自分が他の人より勝っている部分が有ると出来ない人を凄く馬鹿にすると思うよ。 そんな感じで自然的に町に来たりせちゃんを自分の物と思ったんじゃない?」

 

「お前……本当にクマか?」

 

「ふふ~ん! クマは毎週ヨースケの家でパパさんとママさんと一緒にテレビを見ているクマから、ああ言う子に関しては任せるクマ!」

 

「お、お前……たまに居なくなると思ったら人の親となにパイプ築いてんだよ……」

 

「毎週水曜日! 歪んだ若者の直し方! オススメクマ!」

 

ピースしながらテンションをあげるクマに溜め息を吐きながら陽介に同情する洸夜達。

だが、久保を無視して盛り上がるクマ達だったが、その行為が久保の逆鱗に触れてしまった。

久保は自分を無視したクマ達を睨むと拳を握り絞めて叫んだ。

 

「なんなんだよ! お前等まで俺を無視しやがって! こうなったらお前等も全員殺してやるっ!」

 

そう叫ぶと同時に、今度はシャドウの方を向く久保。

 

「お前もだこのニセモノ! 俺は出来るんだ! 全員殺してやる……! ハハ……特に俺を馬鹿にするニセモノ野郎は……」

 

「ッ!? マズイ!」

 

「やめろっ!」

 

久保がなにしようとしたのか分かった洸夜達は、久保を止めようとしたが遅かった。

久保は自信を取り戻したらしく既に自分の世界に入っており洸夜達の声は聞こえていない。

そして、あの言葉が放たれた。

 

「俺の前から消えちまえっ!!」

 

……その言葉が引き金となった。

 

『認めないんだね……僕を……』

 

久保の言葉を聞いたシャドウの周りから大量の闇が溢れだした。

そして、その闇は久保を飲み込もうと久保の身体を包み込み始めた。

 

「なっ!? なんだよコレーーー」

 

闇に飲み込まれる久保を見て洸夜と総司達は助けようとしたが、闇の動きは早く、あっという間に久保を飲み込んでしまった。

そして、久保を取り込んだ闇はやがて一つの形になり始め……見た目はドット絵の塊だが、そのドット一つ一つが巨大なブロック状に成っており、右手にはそのブロックで作られた剣を持ち、まるでレトロゲームの勇者を彷彿とさせるシャドウ『導かれし勇者ミツオ』が現れる。

そして、シャドウの暴走により洸夜達はそれぞれ武器を構えて戦闘態勢に入った。

 

「結局こうなるのか……」

 

「まあ、そう言うな総司。 少なくとも久保が本当の自分を受け入れるとはお前も思って無かったろ?」

 

「まあね」

 

こんな状況下でも楽しそうに会話を鋭く洸夜と総司。

陽介達もこの二人がこんな様子なので安心して戦える。

周りを陽気な空気が包み込む。

だが、それも直ぐに無くなり、変わりに精神を研ぎ清ませる様なピリピリとした空気が包んだ。

そして、洸夜は召喚器を眉間に当て、総司達はペルソナカードを構え、戦いの合図の変わりに仮面の名を叫ぶ。

 

「ペルソナッ!」

 

「「「「「「「ペルソナッ!」」」」」」」

 

『!?!!?』

 

ペルソナが出現すると同時にミツオは見た目は剣だが、ブロック状に作られている為に最早鈍器と成った剣を洸夜達に降り下ろした。

 

「させっかっ! 行け! ロクテンマオウッ!!!」

 

『剛殺斬』

 

ミツオの攻撃を迎え撃つ形で、ミツオの剣と同等の大きさの大剣を下から上へと振り上げる。

互いにぶつかる武器。

フロア全体が響く程の重い衝撃音。

だが、ロクテンマオウもミツオも互いにそのまま動かない。

互いに相手を潰す為に力を入れるが、力は互角の様でお互いにその場を譲らない。

完二も押し負けてたまるかと言う勢いで額に汗を流しながら力を入れた。

 

「グウゥゥゥッ!! 踏ん張れロクテンマオウっ!」

 

「援護すんぞ完二!!」

 

『ガルーラ』

 

スサノオは押し合いをしている両者の間へ飛び、ミツオの顔面部分にガルーラを放つ。

 

「ドットなのに立体になってんじゃねえっ!!」

 

『?!?』

 

スサノオの攻撃はミツオへ直撃したが、ミツオには思ってだってのダメージは見当たらない。

しかし、衝撃までは殺せずミツオはロクテンマオウから離れ、そのままバランスを崩した。

その瞬間を待っていたと言わんばかりに駆け出す二人……洸夜と総司だ。

二人は刀を構えながらミツオの胴へ向かって行く。

 

「デカイ奴程、生まれる隙は大きく長い! 」

 

「下手に長引かせはしない。これで決める!」

 

そう叫びながら己を激昂させる言葉と総司。

下手に長引かせれば、不利に成るのが自分達の方だと洸夜と総司は理解している。

洸夜的にもレポートに書く内容が減るのは後々に残すと思うと少し抵抗があったが、ちゃんと時と場合は選ぶ。

キツネの葉っぱのお陰で回復したとは言え、精神的にも全快した訳では無い。

洸夜と総司はこの一撃で終わらせる気持ちでミツオの胴の部分に刀を降り下ろした。

 

「はあっ!!」

 

「ハアッ!!」

 

『小剣の心得』

 

『!?』

 

総司と洸夜の刀がミツオの身体を斬る。

そして、自分の身体に刀が入った事で動きが止まるミツオ。

洸夜と総司はこのままミツオを両断する為に力を入れた。

だが、二人の刀はミツオの身体の半分も行かない所で止まってしまった。

その事に総司と洸夜は驚きを隠せなかった。

 

「なっ!? 硬いっ!」

 

「小剣の心得でもこの程度のダメージだと……! (だが、なんだこの手応えは? まるで中身の無い箱か何かを斬った様な感じだ。 それに、この刀で斬ったのに何故弱らない……? )……チッ! 訳の分からんシャドウだ! オシリスッ!」

 

シャドウを弱らせる力を持つ刀で斬ったにも関わらず、全く効果を感じない事に洸夜は疑問を持ったが、下手な隙は命取りに成る事を知っている為に刀をミツオに刺したままオシリスに指示を出した。

最初から短期決戦に持ち込むつもりだったのにも関わらず、無意識の内に体力を温存する為にペルソナでの攻撃を渋ってしまった洸夜と総司。

始めからペルソナで攻撃をすれば良かった。

そう思えばそこまでだが、洸夜は反省するよりも先に攻撃を優先させた。

そして、ミツオの右側を斬っていた総司も洸夜の行動を見てイザナギに指示を出した。

 

「イザナギッ!」

 

『ジオンガ』

 

雷を纏った大剣をオシリスよりも早く振り上げるイザナギ。

大剣から洩れ出す雷がコロッセオの周りを走り、天井にまで及び客席の一部を破壊する。

そして、雷を纏った大剣で先ずはイザナギが構え、そのままミツオの顔面目掛けて降り下ろした。

 

「ドットだろうと顔はそこだ! 弱点を突かせてもらう!」

 

ミツオの大きな顔を弱点だと判断した総司。

どんな生き物も目や顎にダメージを受ければ怯まない者はいない。

イザナギの大剣はそのままミツオの顔面へ直撃する。

その衝撃でミツオを中心に放電する雷。

そして、崩れる様に倒れるミツオ。

その光景に総司は手応えを感じた。

 

「やった……!」

 

「流石瀬多君!」

 

崩れる様に倒れるミツオの姿に勝ちを確信した総司達。

だが、ミツオは再び起き上がった。

ドットの目を禍々しく光らせながら……。

 

『ユウシャ……ユウシャ……!』

 

「そんな……! 確かに手応えは有ったのに!」

 

「くそ! 俺らの攻撃が全く効いてる気がしねえ!」

 

「つうか、コイツ体力とかどうなってんだ!? 息切れ一つしてやしねえ!」

 

その光景に総司は信じられない物を見たと言った表情をしたが、直ぐに武器とペルソナを構え直し、陽介と完二も同じ様に構え直した。

そんな暗雲が立ち込める雰囲気の中、総司の攻撃の時に後ろか下がった洸夜が三人に叫んだ。

 

「下がれ三人ともっ!!」

 

洸夜の言葉に振り向く三人。

そこには、大剣を掲げながら紅い雷を放電させるオシリス、同じ様に放電させるムラサキシキブと、赤い布の纏い全身が多色で染まったカラフルなペルソナ ディオニュソスの三体を召喚した洸夜の姿だった。

そして、三体のペルソナから感じる力と、それを従える洸夜に総司達は驚いていた。

「スゲェ!」

 

「花村! 驚いている場合じゃなく下がるぞ!」

 

「確かにここじゃ俺達も巻き添えだぜ……!」

 

このままでは危険と判断し洸夜よりも下がる総司達。

それを確認した洸夜は安心すると同時に、ミツオを睨んだ。

 

「ここまで手間を欠かせるか……だったらこっちも少しゴリ押しさせてもらう。(……一度に多数の召喚は体力を多く消費するが今回は仕方ねえ………それに、心配はどちらかと言えばこの腕輪だ)」

 

洸夜はもう何度目なのか分からない程、美鶴から受け取った能力制限の腕輪を見た。

ペルソナ能力を制限してくれる事で暴走を抑えてくれるので助かる。

だが、逆に言えば能力の制限は自分を弱くしている事とも言える。

先程の入口付近での戦いでさえ、弱体化と能力制限のこの二つの重荷によって苦戦してしまった。

ならば、ペルソナと技の数で攻めるしか無い。

洸夜は攻撃をペルソナ達に指示した。

 

「オシリス! ムラサキシキブ! ディオニュソス!」

 

洸夜の言葉に、三体のペルソナはミツオへ各々の雷を放とうとした。

だが、その瞬間に洸夜の予測通り腕輪が締め付けながら光だし、三体のペルソナの雷が先程よりも小さく成った。

その光景を見て、洸夜は予測はしていたがやはり面白いものでは無かった。

 

「くそ……! (こんな火力じゃ無理だ! )」

 

内心で悪態をつく洸夜だったが、三体はそのまま技をミツオへと放った。

 

『紅き稲妻 / 真理の雷 / ジオダイン』

 

『!?!!?』

 

「うわあっ!?」

 

「ぐうっ!」

 

ミツオに降り注がれる紅い色の稲妻と巨大な雷の力によってミツオを中心に爆発し、爆風が周囲を吹き飛ばした。

コロッセオの周りの壁はヒビが入ったりし、ほぼ半壊状態と成り果てた。

そんな状況下で総司達はなんとかペルソナ達に守ってもらい爆風に耐えた。

そして、辺りに立ち込める砂煙と爆雲を見ながらミツオの出方を警戒する洸夜と総司達。

このまま終わって欲しいと誰もが思っていた。

だが、煙の中から巨大な物体が姿を現した。

一部一部のドットが崩れたミツオだった。

ミツオは消滅しておらず、洸夜の攻撃を耐えきったのだ。

洸夜はミツオの予想以上の強さに無意識の内に刀を掴み手に力を込めた

 

「紅い稲妻……真理の雷……ジオダイン……これら全て雷属性最強クラスの技だぞ……! 弱体化や制限があったとしても……それをあのシャドウは耐えたのか……! (そこまでこのシャドウは強いのか……! それとも……俺の力がそこまで低く……) 」

 

先程の攻撃でも倒れないミツオの状態に、洸夜は自分の力の現状に悩みながら手首の腕輪を握り砕くかの如く握った。

そんな旗色の良くも無く悪くも無い状況に、りせを守る為に後衛にいた千枝と雪子も表情を険しくし、ミツオを睨む。

その後ろでりせがヒミコの力を使いながら何やら悩んでいる様子に気付かずに……。

そして、最初の攻撃から目立った攻撃をしてこなかったミツオだが、洸夜と総司達が自分から距離をとった事で動いた。

 

『アイテム』

 

ミツオが大剣を翳すと、洸夜と総司達の各々の目の前に大剣と同じ用な形状の爆弾が一瞬の内に出現し、その場で爆発してドットの破片と爆風が生まれた。

突然の攻撃に陽介と完二は反応出来ず、洸夜と総司ですら剰りに速い攻撃スピードに追い付けずペルソナに指示を出せないまま爆風に吹き飛ばされ、そのまま壁に激突し洸夜は思わず背中からの衝撃に体内の息を吐き出した。

 

「グハッ! (速い……!? 本物のゲームのアイテムの様に一瞬にして出現……! こんな戦い方のシャドウ……初めてだ……! っ!? そうだ……総司達は……)」

 

洸夜は自分が戦った事の無いパターンのシャドウを考察しながら呼吸を整えながら、自分と同じ様に吹き飛ばされた総司達を見ながら呼吸を整える。

総司達も洸夜より離れた壁に寄っ掛かりながら呼吸を整えていた。

痛みで表情が強張っていたが、どうやら上手く受け身をとって難は逃れた様だ。

皆の無事に洸夜は安心するが、自分を含め総司達を無視して千枝達の方へと移動するミツオの姿に千枝達に指示を出そうとするが痛みと乱れた息で声が出なかった。

そんな皆の様子にクマが前に出た。

 

「センセイッ! 大センセイッ! ……もう、クマ怒っちゃったもんね! キントキドウジ!」

 

クマの叫びに反応するかの様に、丸い身体の全身が鉄に覆われたクマのペルソナ キントキドウジが己の武器である完二を超える程の大きなミサイルを構える。

 

「まだまだクマッ!」

 

クマがそう叫んだ瞬間、ミサイルを構えるキントキドウジの周りに同じ同型のミサイルが何本もミツオの方を向く様に出現した。

その数は正確にはクマすら良く分かっていないが、恐らくは三十近く有るだろう。

それほどの数のミサイルを出現させる程、クマも成長していたのだ。

そして、クマはミツオの方を指差すと高らかに発射号令を発した。

 

「ブフーラミサイル! 全弾発射クマッ!」

 

キントキドウジがミサイルを投げたのを皮切りに、次々とミツオ目掛けて飛んで行くミサイル。

先程の様に爆弾を出したとしてもこの数のミサイルだ、爆弾でこの全てのミサイルを防ぐの無理に等しい。

このまま直撃するとクマは確信を持っていた。

だが、ミサイルが自分の間合いに入った瞬間、ミツオの目が光った。

それを洸夜は見逃さなかった。

 

「全員伏せろっ!!」

 

洸夜が叫んだが遅かった。

ミツオが何やら唱えたその時……。

 

『まほう』

 

ミツオがそう唱えた瞬間、ミツオの周りに雷らしき光が降り注いだ。

そして、その光にクマの放ったブフーラ入りのミサイルが一つ触れると、誘爆したかの様に放ったミサイル全てがミツオに当たること無く消滅した。

その現状にクマはショックで腰を付き、それを伏せながら見ていた陽介と完二は驚きで目を開いた。

 

「クマの攻撃が……」

 

「あんだけの数のミサイル全部潰したってのかよ……! あのシャドウ……なんかおかしいッスよ」

 

今まで戦ってきた大型シャドウとは根本的に何かが違う。

動き、思考が全く読めない。

完二の言葉を聞いた総司は、そんなシャドウについて自分が感じた事を口にする。

 

「……久保は、日常レベルで本当の自分とは向き合っていなかった。 それどころか、理想の自分と言う名の仮面と鎧で自分を固め続けた結果、それが本当の自分と思い込み、本物の自分がいなく成ったんだろうな……」

 

「つ、つまり……あのドット勇者モドキは久保の野郎の妄想の塊って事か!?」

 

「考えるだけならタダッスからね……道理で無駄に強い筈ッスよ」

 

総司の言葉を聞き、陽介と完二がそう言った時だった。

先程まであまり動かなかったミツオが後方でヒミコの力を使って動けないりせを守っていた千枝と雪子の方へと向かって行く。

 

「待つクマッ! チエちゃん達には手を出すなクマァァァァッ!!」

 

三人の危機にクマが再び前へと出ると、己の武器である爪を出しミツオの顔面へとジャンプした。

だが……。

 

『………』

 

ビシッ!

 

「うぎゃっ!」

 

ミツオは飛び掛かってきたクマをまるで虫でも叩き落とすかの様に剣で弾き、クマはそのまま床で二三度バウンドし壁にぶつかった。

 

「クマッ!?」

 

「クマさん!?」

 

陽介と雪子が叫んだ。

そんな二人の叫びにクマは目を回しながらも無事を知らせる。

 

「ク、クマは……無事……クマ……」

 

メンバーがその言葉に安心する中、ミツオが再び動き出した事に洸夜は気付き叫ぼうとしたが先程の攻撃の痛みが身体を駆け巡り言葉が出せなかった。

代わりにそれに気付き、叫んだの総司だった。

 

「逃げろ三人ともっ!!」

 

危険を知らせる為の総司の言葉だったが、その言葉に千枝と雪子はりせを連れて逃げる処か前に出た。

そして、動いたのは雪子だった。

雪子は扇子を舞う様に回しながら自分の目の前に翳し、自身のペルソナであるアマテラスも前に出しながら内心で集中した。

 

「………。 (いつも瀬多君達や洸夜さんに頼ってばかり……そんなのは嫌。あの久保って人が私に恨みが有るなら、別にそれでも良いけど……なんで他の人も誘拐したのか私は知りたい……そして、この悲しい事件を終わらせたい! )」

 

その場で集中すると同時に内心で強い想いを胸に秘める雪子。

そして、雪子がそう内心で想いを露にすると、彼女の身体を青い光が包み込むと同時に足下から花弁の様な小さな赤い光が出現した。

その赤い光は雪子の足下から頭の上まで上がると消えるの繰り返しで、雪子もそんな自分の状況に冷静を演じながら身体同様に青く光らせた目でミツオを睨んだ。

その姿はまるで、花弁舞散る桜の木の下で舞を踊っているかの様に綺麗な姿だった。

そんな雪子の姿に、りせも思わずヒミコの能力を中断してしまい、そんな雪子の綺麗な姿に思わず呟いていた。

 

「雪子先輩……綺麗……」

 

千枝と陽介もまた、雪子のそんな姿に見とれながら無意識の内に口を開いた

 

「雪子……。(す、凄い……)」

 

「なんだ……あの光は……? 桜……?」

 

雪子の周りを舞う光を桜と陽介は呟くが、洸夜はその光の正体を知っていた。

そして、その光を大量に出現させる雪子に驚き、洸夜はそれが何かを語った。

 

「あれは桜じゃない、火だ。……だが、あれはブースタ? いや、ハイブースタか……? (いや違う……あの火の量は……ブースタとハイブースタ両方の掛け合わせか! こんな短期間で………最早、才能……いや、それほどまで彼女の想いが強いのか……)」

 

洸夜は雪子と言う少女の事を全て理解している訳では無いが、少なくとも総司を除くメンバーの中で一二を争う程にペルソナの扱いが上手い事を知っていた。

基本的な物理技を一切持たないが、それを補う程に貴重な回復技を持ち、属性技それに多数のスキルの所持はS.E.E.Sメンバーと比べても見劣りしない。

だが、それらを踏まえたとしてもこんな数ヶ月でブースタ系のスキルの習得及び、ブースタの重ねがけが出来る程の技術を持つ事が出来る者は殆どいない。

洸夜が総司達に何度も言った様に、ペルソナの力は体力・精神両方に負担が掛かる。

その時の力が強く複雑ならば尚の事。

それなのにも関わらず、天城雪子は洸夜が驚く程の力と技術を披露しているのだ。

そして、洸夜は自分の身体を回復する事も忘れ、無意識の内に立ち上がり雪子の事を見守る様に眺めた。

 

「まだ! もう少し……! (洸夜さんが私達の時に見せたブースタこんな物じゃなかった! 出鱈目に力をペルソナに送るんじゃなく……ペルソナを包む様に……ペルソナと自分を重ねる様に……!)」

 

雪子は前に洸夜が自分達との戦いで見せたブースタ強化の事を思い出しながら内心でそう言った。

あの時、洸夜は只のマハジオにブースタを少し与えただけでとても大きな力へと変えた。

普通のブースタなのに、ハイブースタで強化したと思わせる程に完璧な強化だった。

しかし、雪子は内心ではあの時の戦いが悔しかった。

あの時、自分が上手くペルソナを扱えなかった為に炎無効を消され、そのまま返り討ちに合って、総司や千枝や完二の三人との連携でやっとの事で洸夜のペルソナを一体倒した事が……。

洸夜が自分に言った行動で示せと言った言葉を思い出し、雪子はその時自分の情けなさに思わず泣きそうに成っていた。

こんな様では洸夜に言われた通りの只のヒーローごっこ。

自分と向き合ったなんてどの口が言うのだろうか。

最終的には総司を守ったりした事など踏まえ、半人前だが認めて貰えた。

だが、雪子は内心では納得していなかった。

そんな意外性等では無く、その想いや力等、正面から認めて欲しかったのだ。

 

「……。(今のままじゃ駄目。そう思って色々とイメージしたりした。……洸夜さんにちゃんと一人前と認めて貰いたいから……… 千枝を……瀬多君を……皆を……守りたいから!) アマテラス!」

 

雪子が内心で自分の想いを力に変えると同時にアマテラスの名を叫んだ。

その叫びと共に雪子を包む様に舞う桜吹雪の様な小さな炎が一段と輝きだした。

洸夜と総司達はその光景から、今から攻撃を放つのだと確信し全員が伏せた。

そして、雪子はミツオへ向かって扇子を上へと掲げ叫ぶ。

 

「これが今の私の最大技!」

 

『火炎ブースタ+火炎ハイブースタ+アギダイン』

 

雪子の叫びと同時にアマテラスの白銀の剣から放たれた赤く巨大な剛々しい炎球はそのままミツオの顔面へ向かい巨大な爆発を生み、顔の一部が吹き飛んだ。

また、その衝撃波から伝わる熱は総司達は思わず腕で顔を隠す程に強烈だった

 

「凄い……」

 

「雪子……! (雪子……いつの間にこんな……)」

 

『?!??!』

 

雪子の放った渾身の一撃に総司達の声はかき消されたが、ミツオの悲鳴は雪子と皆の耳にしっかりと届いた。

そして、爆発で吹き飛ばされなかった余りの顔のドットが熱によって溶けだした。

不思議と何の匂いも無かったが逆にそれが気味が悪かった。

だが、ミツオは顔が吹き飛んだ事でバランスを崩しそのまま倒れ込むと、残りの身体もまだ床に残る炎から生まれた陽炎の中に熔けて消えていった。

 

「か……勝ったクマか!?」

起き上がりながらクマがそう言った。

それに続く様に洸夜と総司達も雪子達の下に駆け寄り、総司達は激励の言葉を雪子へ伝えた。

 

「凄かったな」

 

「本当にスゲーよ天城!」

 

「今回は天城先輩に良いところ全部取られたッスね」

 

「流石だよ雪子! 私も驚いたよ!」

 

「も、もう……皆褒め過ぎだよ……!」

 

皆の言葉に表情を赤くし照れる雪子。

そんな雪子の前に洸夜が歩み寄ると、静かに語りかけた。

 

「雪子ちゃん……」

 

「あっ……洸夜さん。……あ、あのさっきの私のーーー」

 

自分が一番認めて貰いたい相手の登場に雪子は、先程の攻撃の疲労もあって上手く言葉が出なかった。

しかし、それを洸夜が察したのかどうかは分からないが、洸夜は優しい口調で雪子へ話し掛けた。

 

「……さっきのブースタの重ねがけ、良く出来たな?」

 

「えっ? は、はい! 洸夜さんとの戦いの後、少し自分でも色々とイメージトレーニングとかしてみたりしてたので……でも、ぶっつけ本番だったから上手く出来たかどうか……」

 

雪子は少し心配そうに言った。

だが、洸夜はその雪子の言葉に首を横へと振った。

 

「いや、謙遜する必要は無いよ。逆に見事だった。……只、注意する所は少し力の溜めが長く隙が大きかった所だな」

 

「!……は、はい! 有り難うございます!」

 

洸夜の言葉に雪子は嬉しそうにそう答えた。

注意点はあったが、ちゃんと認めて貰えた所もあった。

だからと言って雪子は全てを満足した訳では無かったが、今はそれでも満足だった。

また、洸夜もそんな雪子と先程まで死ぬかも知れなかったにも関わらず笑いあっている総司達の姿にこんな事を思っていた。

 

「……。 (今はまだ……俺が見守っているが、これが只のお節介に成るのも時間の問題だな)」

 

総司達の成長は洸夜が思っていたよりも早いものだった

今はこんな感じだが、もう暫くすれば自分が手助けする必要も無くなる事を洸夜は感じ取っていたのだった。

洸夜がそんな事を思っていると、後ろの方から声が聞こえた。

 

「チエちゃ~ん! ユキちゃ~ん!」

 

頭を押さえながらそう言って合流して来たクマ。

洸夜はそんなクマの方を見ると、とある疑問が頭を過った。

それは、クマの力についてだった。

 

「……。 (先程の攻撃はシャドウに防がれたが、良くあれ程の数のブフーラを………もし、これでまだ発展途上なら潜在能力は計り知れないな。それに、今まで気にしていなかったがクマは一体何者なんだ? 最初からこの世界にいたらしいがそうなると……まさか……)」

 

洸夜はクマの正体に一つの結論を出したが、すぐにそれを否定した。

もし、クマの正体が自分の考える通りならばペルソナを扱える訳がないし、何よりも自分達を襲って来ない訳がない。

それに、こんな風に感情豊かな訳も無い……と、洸夜が考えた時だった。

洸夜の中にある人物の姿が思い浮かんだ。

 

「………綾時。 (……っ!? 何故、今俺はアイツの事を思い出した? クマとアイツが似ているとでも言うのか? )」

 

洸夜は文字通り嘗て友だった者……望月綾時の事を思い出してしまった。

冬の時期に何処から途もなく現れ、女性に積極的な明るい性格な為に順平達と仲良く成った少年。

何故か見た目が良いと言う理由で順平と綾時に連れられナンパさせられる等、色々あり、いつの間にか気付けば洸夜自身も綾時の事を友と思っていた。

だが、今では全て終わった事だった。

 

「………一体、俺は何がしたいんだろうな?」

 

昔の事を思い出し、少し暗い雰囲気に成ってしまいついそんな事を言ってしまった洸夜。

そんな時だった。

完全に勝利の雰囲気で盛り上がっていた総司達の後ろにいたりせが叫んだ。

 

「駄目っ! まだ終わって無いっ!!」

 

「え? まだ、終わって無いって……おいおい一体どう言う事だよ?」

 

「あっ? つうか、お前さっき全然サポートしてなかった癖に何を今更言っーーー」

 

りせの言葉に完二が、先程全くサポートしていなかったりせに対し不満をぶつけようとした時だった。

皆の背後から突如、完二の言葉を遮る程の衝撃が発生した。

幸い洸夜も総司達も怪我は無かったが、地面に残っていた先程の雪子とアマテラスが放った全力の炎の残り火が一瞬にして消されてしまった。

その衝撃に何事かと後ろを見る洸夜と総司達。

そして、その後ろからりせが語り始める。

 

「ずっと引っ掛かってた……あのシャドウから攻撃の時だけ気配が二つ感じてたの。それに、本当なら総司先輩と洸夜さんの攻撃であのシャドウはとっくに限界が来てた……そしたら、今度はあのシャドウの内側からあのシャドウをまるで修復する様な力を感じたの……」

 

「っ!? ワイトッ! …………そう言う事か。 (通りで刀に触れても弱らない筈だ……)」

 

りせの言葉に洸夜はワイトを召喚し衝撃の中心を探知すると、ある反応を感じ取り洸夜はりせの言葉を理解し納得する。

そして、洸夜が自分の意図を理解したのをりせは分かり、頷いて話を続けた。

 

「うん。あの衝撃の中心から感じる力とシャドウを修復してた力は……全く同じ力……」

 

「ッ!? うわっ! なんだあれっ!?」

 

りせの言葉が終わると同時のタイミングで、陽介が衝撃の発生場所を指差しながら驚愕の声を上げた。

そこにいたのは……。

 

「……胎児?」

 

『………』

 

千枝が呟いた言葉通り、そこに居たのは胎児の姿をし頭の周りにデジタル文字を流しながら宙に浮かぶシャドウ『ミツオの影』がいた。

その姿は胎児その者だが、目は胎児では無くシャドウ特有の禍々しい金色の目をしていた。

しかし、その目に同時に生気も全く感じられ無かった。

また、そのシャドウの存在から察するに今まで洸夜と総司達が戦っていたドットのシャドウは、文字通りこのミツオの影の鎧だった事を洸夜達は理解した。

そう、洸夜と総司達はまだ、シャドウの鎧を破ったに過ぎなかったのだ。

そして、洸夜と総司達は無言で再び構えた。

もう、洸夜がわざわざ言わなくて理解していた。

今からが本当の戦いと言う事………。

 

End

 

 


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