ペルソナ4~迷いの先に光あれ~   作:四季の夢

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遅れましたが投稿です。
待って下さっていた方々は誠にありがとうございます。
待っていなかったと言う方々も読んでくれれば幸いです。


決戦 ボイドクエスト (後編)

同日

 

現在 ボイドクエスト(最上階)

 

洸夜達とミツオの戦いでコロッセオは既に半壊し、周りは廃墟のように瓦礫が散乱していた。

また、ミツオの中から出現した宙に浮く胎児の様な姿のミツオの影だが、武器を構えながらペルソナを召喚して自分を睨む洸夜と総司達の姿を見ると突如、とてつもない程の大音量で泣き叫んだ。

 

『オギャアァァァァァァッ!!!!』

 

ミツオの影の鳴き声はフロア全体に響き渡り、大気が揺れた。

最早、鳴き声等と言うかわいい物ではなく爆発音に近い。

その余りの声の衝撃に洸夜と総司達の耳に強烈な痛みが走り、痛みで立って聞く事が出来なくなってしまうと耳を塞ぎ、苦痛の言葉を叫んだりしながら思わず膝をついてしまった。

 

「アアァァッ!? み、耳が……!」

 

「ふざけた泣き声だな……!」

 

「痛いクマッ!」

 

「なんなのこの声……!」

 

総司、洸夜、クマ、雪子がミツオの影を見詰めながら苦痛の言葉を洩らした。

他のメンバーも耳鳴りを我慢しようとするが、総司達と同じ様に苦痛の色を隠せないでいた。

 

「つぅ~~~! 耳が遠いぜ……」

 

「あんの野郎……!」

 

「蹴りの一発は絶対入れてやるんだから……!」

 

耳を押さえる陽介の隣で完二と千枝は、膝を着きながらもそれぞれの武器である盾と脚籠手を確認しミツオの影を睨み付ける。

元々、千枝と完二はこのメンバーの中でも久保への怒りが数倍多い。

友をストーキングしていたと思えば誘拐し、更には人を殺害しているにも関わらずこの状況を楽しんでいる仕草をする久保に、この二人の怒りも既に頂点に達していた。

ペルソナだけでは無く、自分達の手と脚で一発程お見舞いしてやらなければ気がすまない。

そして、そんなメンバーの後方で耳を塞ぎながらも決してヒミコを戻さなかったりせが口を開いた。

 

「……今のは文字通り只の泣き声。技ですら無いの」

 

りせの言葉に陽介は驚いた。

 

「ええっ!? て事は、あのシャドウ……」

 

「うん……体力、力、耐久力。この全てがさっきのシャドウよりも強い」

 

りせの言葉に総司達は表情を強張らせながら武器を構え、ペルソナ達も主の想いに答えるかの様にそれぞれが各々の構えを取った。

だが、頭が冷静な総司はともかく陽介達は少し構えが硬かった。

肩に力が入り武器を無駄に力強く持ってしまっている。

これでは体力が持たず、気疲れもしてしまい精神的にも参ってしまう。

そんな時だった。

足下を少しふらつかせている洸夜が刀を肩に置きながら前に出ると、ミツオの影を見ながら軽く笑った。

 

「フッ!……さっきのが只の泣き声で当たり前だ。 あんなの昔の総司の夜泣きに比べればクラシックだぞ」

 

洸夜の言葉にクマは目をギョッとして驚いた。

 

「い、今のがクラシック!? セ、センセイは一体どんな風に泣いていたクマか?」

 

「ロックかメタルだったんじゃないかな」

 

「なんでちょっと誇らしげ!?」

 

親指をあげて何故か誇らしげな表情をする総司に千枝のツッコミが入った。

 

「でもまあ、相棒らしいって言えばらしいよな」

 

「……瀬多君ってたまにキャラ変わるよね」

 

陽介と雪子も二人のやりとりに微笑んだ。

この陽気な雰囲気に、いつの間にか先ほどのダメージの事はすっかり忘れており、肩の力も抜けたようだ。

だが、あくまで忘れたに過ぎず、ダメージ事態は確実に洸夜と総司達に響いている為にこれ以上の長期戦は望めないと洸夜と総司の二人は感じていた。

その時だった。

 

『オギャアッ!!』

 

ミツオの影が再び泣き叫ぶと衝撃が生まれ、その衝撃は無数の斬撃である物理技『空間殺法』と成って洸夜と総司達に迫ってきた。

 

「っ!? 皆! 左右に飛んで!!」

 

ミツオの影の攻撃を察知して皆に向かってそう叫ぶりせの言葉に、一斉に左右に飛ぶ洸夜と総司達。

先ほどの突然出現するミツオの攻撃に比べれば、今の攻撃はちゃんと目視が出来ている。

それに、空間殺法自体は洸夜も重宝しており良く使用している技の一つ。

洸夜の戦いを見ている総司達も空間殺法は見慣れており、タイミングや規模も理解しており躱すのは造作も無い事だった……だが。

 

「ああっ!」

 

「天城先輩!?」

 

りせの叫びに一斉に声の方を向く一同。

そこには先程の攻撃の反動が原因なのか、さっきより少し飛んだ所で膝をついている雪子の姿だった。

そんな主を守る為にアマテラスが雪子の前に出るが、攻撃の反動の影響はペルソナにも出ている筈であり、このままではダメージを受けるのは必然だった。

 

「雪子っ!!」

 

「なっ!? おい!!」

 

雪子の危機に飛び出したのは千枝だ。

ペルソナではなく単身生身で助けに行くのが彼女らしいが、その行動は無謀の域に入っており、それに気づいた陽介も後を追う様に飛び出した。

しかし、空間殺法はもうすぐそこまで迫ってきている、このままでは余計に怪我人を増やしかねない。

洸夜と総司は仲間を守る為に三人の前に出て新たにペルソナを召喚した。

 

「ベンケイ!」

 

「キンキ!」

 

二人はそれぞれ物理に強いペルソナを召喚し総司達の体の数倍大きいキンキが雪子達の前で仁王立ちを、ロクテンマオウよりも巨大なベンケイは全員を覆う様に全身を使い包み込んだ。

だがその瞬間、洸夜は左手の腕輪が急に締め付ける様な感覚に襲われる。

 

「っ! (なんだ! ベンケイを召喚したら急に腕輪が……!?)」

 

 

洸夜は突然の事に混乱するが、それがなんなのか分からないまま空間殺法はベンケイの巨大な籠手を装備した両腕に当たり、金属か何かを削る様な鋭い音が響く。

そんな先程から何度見た仲間を傷つける光景に、完二とクマの怒りが爆発した。

 

「なっ! ……あの野郎っ!!!」

 

「いい加減するクマッ!!」

 

久保とそのシャドウへ対する怒りを叫びながらペルソナと共にミツオの影へと駆け出す二人。

一部の瓦礫が邪魔だが、完二とクマにはそんな事は関係なかった。

障害物レースの如く瓦礫を避けてミツオの影へ近づいた二人はロクテンマオウとキントキドウジを前に出すと、キントキドウジは持っていたミサイルをロクテンマオウへ放り投げた。

 

「かっ飛ばすクマよ完二!!」

 

「任せろ!! ロクテンマオウ!!」

 

クマからの言葉に気合を入れた完二はの言葉と同時に、野球のバッターの様に剣を構えたロクテンマオウはそのままキントキドウジのミサイルをミツオの影目掛けて全力でフルスイングし、打った衝撃で変形したミサイルは弾丸の如くのスピードで吹っ飛んだ。

 

『!!?!』

 

ミツオの影は自分に飛んでくるミサイルに気づき躱そうとするが、ロクテンマオウ程のパワーがあるペルソナが全力で打った物だ、避ける間もなくそのまま直撃すると同時に爆発したミサイルの爆風によってミツオの影は壁に強く叩き付けられ、そのまま地面にポトリと虫が落下する様に落ちた。

そんな姿に完二とクマはガッツポーズを決めた。

 

「しゃあっ! ざまあ見やがれ!」

 

「ふふ……クマ無双の真の幕開けクマよ」

 

 

完二とクマが勝利気分に成っていると同じタイミングでベンケイが身体を上げ、洸夜と総司達が中から出てきた。

少し目立つ傷が有るが、雪子を始めとし皆無事だった。

完二とクマは合流しようと洸夜と総司達の下へ駆け寄った。

 

「おーい! 皆無事ッスか!」

 

「センセーイ! ユキちゃん! チエちゃん! りせちゃん! ついでにヨースケ!」

 

「安心しろ! 皆無事だぜ! (クマの野郎、日給下げてやる……)」

 

クマの言葉に怒りを何とか内側に押し留める陽介。

そんな少し明るくなった雰囲気に千枝に支えられていた雪子は立ち上がると、辺りを見回しアマテラスに指示を出した。

 

「ごめんね……私のせいで皆に迷惑掛けちゃって。今、回復するから……アマテラス!」

 

雪子がそう言うとアマテラスからメディラマの光が降り注ぎ、総司達の傷が回復した。

 

「はあ~癒される」

 

「今回も結構大変だったな」

 

傷が回復した事で千枝や陽介を始めとした皆は一息落ち着いたが、総司は先ほどから洸夜が口を開いていない事に気づき、自分達の前で刀を持ったまま立ち尽くしている洸夜へと近づいたが洸夜は黙ったままだった。

 

「……」

 

「兄さん? どうしたの何処かダメージでも受け―――」

 

総司が心配の言葉を洸夜へ掛け様としたが、その言葉が最後まで言われる事はなかった。

何故ならば、洸夜が自分の目の前で糸の切れた人形の様に倒れたからだ。

そんな洸夜の姿にりせは思わず叫んだ。

 

「きゃああ!! 洸夜さん!?」

 

りせの叫びに総司や雪子達も洸夜に急いで駆け寄ったが、そこには異常な程の汗をかきながら息を乱した洸夜の姿だった。

 

「はぁ……はぁ……! クソ……が……!」

 

洸夜は左手首に熱の様な何かが自分の体全体を駆け巡る様な感覚に襲われていた。

左手首の腕輪をどかせと言わんばかりに全身を熱が駆け巡り、腕輪はそれを防ごうと手首を締め付ける。

洸夜はその繰り返しに頭痛が起き、体に力が入らなく成るのを感じた。

総司達の声もあまり聞こえない。

 

「はぁ……はぁ……!(俺は……足手纏い……だな……スマナイ……!)」

 

洸夜はぼやける意識の中で総司達に謝罪しながら、先程と同じ様に呼吸を繰り返す。

 

「大センセイひどい汗クマ! 大丈夫クマか!?」

 

苦しそうにする洸夜にクマが心配し洸夜の下に近づき、総司達も同じ様に洸夜に近づいたと同時の事だった。

メンバーの中で一番後方にいたりせの背後で何かが崩れる様な大きな音が響いた。

総司達が音のした方を見ると、そこには大量のヒビや刃こぼれをした武器や防具を身に纏いながら主の洸夜と同じ様に倒れるベンケイの姿だった。

その姿に総司達は目を開いた。

 

「なっ!? ペルソナまで!?」

 

「ちょっ! 洸夜さん一体どうしたの!?」

 

頭が洸夜の身に何があったのか理解出来ず驚く総司と千枝。

雪子の回復は間違い無く洸夜に行き届いていた。

ならば何故なのか? 少し顔を強張らせながら洸夜見ていた千枝は答えを求める様に総司や陽介達に顔を向けるが皆、顔を反らしてしまう。

 

「もしかして……さっきの攻撃が原因なんじゃ?」

 

雪子が今思いつく中で一番有りそうな可能性を言ったが、隣にいた完二が大きく手を払う様に振って雪子の言葉を否定した。

 

「そんな訳ねえって! 俺はこのペルソナと直に戦った事があっから分かるけどよ、このペルソナは物理に対して無敵なんだぜ! なのに、さっきのあんなヘナチョコ野郎の攻撃で洸夜さんがやられたってのかよ!」

 

嘗て、洸夜との戦いにてベンケイと唯一戦った完二だからこそ先程の攻撃で洸夜がやられる訳が無いと言い切れるのだ。

だがそうなると何故、この中で一番シャドウと戦い慣れている洸夜が倒れているのか分からない。

総司達は皆、原因が理解できなかった。

 

「おい! 原因よりも今は洸夜さんをなんとかしねえと!?」

 

「!? そうだ……こんな事している場合じゃない」

 

倒れている洸夜に肩を貸す様にして、洸夜を安全な場所へ運ぼうとする陽介の言葉に総司達は我に返った。

普段は冷静に物事を判断する総司だが、兄である洸夜になるとたまにこの様に冷静に最善の策を練れなくなってしまう。

総司は急いで陽介とは反対の方に行き肩を貸した。

そんな時だ、総司達の耳にキーンと言う耳鳴りの様な音が耳に届いた。

 

「なに……? この変な音?」

 

「なんだってんだ一体?」

 

耳に手を置き、周囲の音を拾うとするりせと完二だったが、音が小さく今一よく分からない。

だが、確かに音は聞こえる事からこの近くだと言う事は総司達全員にも分かっていることだった。

そんな時、洸夜のそばにいた陽介が気づいた。

 

「!? なあ……? この音って洸夜さんが付けてるブレスレットからじゃねえか?」

 

「……? どれの事だ?」

 

「ほら、その左手首についてる奴」

 

総司は陽介に言われるままに洸夜の左手首を覗き込み、他のメンバーも同じ様に覗き込んだ。

そこには、白をベースとした黒の十字架のデザインが刻まれた腕輪が小さく洸夜の手首を締め付ける様に振動しており、さっきから鳴っていた音は確かにこの腕輪からの物だった。

そして、微かに手首との隙間から青白い光が漏れていた。

 

「な、なんなんスか、この腕輪は……?」

 

「外した方が良いんじゃねえか?」

 

原因がこの腕輪にあると判断する陽介だったが、りせはその腕輪に何かを感じ取った。

 

「ちょっと待って!」

 

そう言って総司と陽介の二人に肩を貸して貰っている洸夜の左手首を見て、りせは徐に腕輪に触れた。

総司達は一瞬触っても大丈夫なのかと心配するが、りせは構わずに触って目を閉じた。

 

「……。(なにこれ? 洸夜さんからの力がこの腕輪に蓋されてる様に感じ取りずらい。それに、なんか、ヒミコの力が上手く使えない気もする。……もしかして、ペルソナの力を制御してる? ううん、違う。これじゃあまるでペルソナ能力の…………でも、こんな事してたら力があふれ出し―――)」

 

皆が見守る中、りせが腕輪の力に気づき掛けた時だった。

りせは自分の背後から氷の様に冷たい殺気の様な物を感じ取り、洸夜の手を掴みながら背後を向くと先程、完二とクマに倒されたと思ったミツオの影が此方を見ていたのだ。

その目は自らを無と言いながら、殺気や絶望と言った様な黒い感情が読み取れてしまう程に総司達を睨んでいた。

 

「なあっ!? あの野郎、まだ動けんのかよ! つうか、なんでクマもりせも気付かなかったんだよ!!」

 

何故、自分達の中で探知に優れている者達が大型シャドウの気配に気付かなかったのかと思い二人に怒る陽介の言葉に、クマとりせは申し訳ない感じで顔を下に向けてしまう。

 

「ク、クマはこの頃ちょっと鼻づまりが……」

 

「ご、ごめんなさい……なんか、あのシャドウに睨まれたら上手く力が使えなくって……」

 

元々探知能力の調子が悪かったクマと、久保に直に会って恐怖を植え付けられていたりせの二人。

今回の戦いでりせがサポートする事が少なかったのは、この事が有ったからだった。

 

「……。(怖いのは私だけじゃないのに……情けなさすぎるよ)」

 

恐怖によって思った様な行動出来ず、その結果が今の状況を招いた事を自分に言い聞かせるりせだったが、そんな中でミツオの影は行動を起こす。

 

『祈り……』

 

ミツオの影が何かを呟いた瞬間、ミツオの影の足下に謎のブロック状の物体が出現しそのブロックはミツオの影を包むかの様に形を形成して行き、その形はやがて足となり最終的には何かの下半身へと形成された。

そして、その下半身に総司達は見覚えが有った。

 

「あのドットもどき……! さっきのミツオの下半身か!」

 

「不味いクマ! またさっきのシャドウを作り上げるつもりクマ!」

 

「そんな……また、さっきのと戦うなんて……」

 

「なに、先輩達までビビってんだよ! 一回は倒してんだ。それに、あの野郎は見た感じ未完成……復活させる前に倒せば問題ねえっ!!」

 

そう言ってロクテンマオウを従えミツオの影へと単身突っ込む完二。

洸夜が戦えない今、誰かが切っ掛けを作らなければ成らない。

それならば、斬り込みは自分が引き受け、後の止めは総司に決めて貰えば良い。

そんな事を思う完二の姿にミツオの影は、忌々しい者を見る様に少し目を細めながらも勇者ミツオの復活へ力を入れる。

 

『えいしょう』

 

ミツオの影の言葉に次は剣や腕、胴体が甦りミツオの半分以上が完成された。

その光景に完二は回復の早さに驚いたが、足を止めずにそのままさらに接近する。

 

「それ以上はさせっかよ! 行くぜロクテンマオウ!! 新技ぶちかませ!!!」

 

完二の遠吠えの様に力が入った叫びに答えるかの様に、ロクテンマオウは拳を握り締め、ミツオの半身の中で浮いているミツオの影目掛けて右拳と左手に持つ大剣を同時に降り下ろした。

 

『マッドアサルト』

 

総司達メンバーの中で一番の巨体であるロクテンマオウの攻撃を直接その身に受ければ、ミツオの影であっても只ではすまないだろう。

完二の攻撃に対し、まだ不完全なミツオの半身が剣と腕を使いロクテンマオウの攻撃とぶつかり合う。

 

「うおっ!? そんな状態で動けんのかよ!」

 

「完二っ!」

 

「大丈夫だ相棒。最初の時と同じでまた押し合いだ」

 

心配する総司に対し言った陽介の言葉通り、最初の時と同様に押し合いが始まり地面が揺れ動く。

自分達は援護し、ミツオの影に隙を作って後はそこで一気に止めを刺せば良い……そう完二を含め全員が思っていた。

だが、その考えは呆気なく崩れさった。

 

『!』

 

ロクテンマオウと押し合っていたミツオの半身の中で浮いていたミツオの影は、完二の相手をそのまま半身に任せ、自分はその小柄の身体を生かして素早く飛んで洸夜を抱える総司達へ向かう。

 

「なっ!? 先輩っ!」

 

完二はミツオの影の行動に驚きながらもすぐに総司達に危機を知らせる。

洸夜を抱えている為に素早く動けない総司と陽介。

そんな二人に、洸夜は朦朧とする意識の中で目を開けてこう良い放った。

 

「総司……花村……俺の………事は……そこら辺に捨てとけ……」

 

「そんな事、出来る訳無いだろ! 今度は俺達が兄さんを守る番だ」

 

「そうだぜ! 俺達も成長してる。 さっきまで無理だったけど、今なら洸夜さんに見せてやれる……スサノオ!」

 

いつもなら絶対に見る事の無い筈の弱った洸夜の姿に、総司と陽介は多少は驚くが自分を捨て置く様な洸夜の発言に一喝し陽介は洸夜に肩を貸した状態のままスサノオに指示を出し、此方に一直線に飛んでくるミツオの影目掛けてソニックパンチを放つと直撃し、ミツオの影は空中でそのまま回転しながら吹っ飛んだ。

だが、ミツオの影は吹っ飛ぶ途中で急に停止するとスサノオに一睨みし今度はスサノオ目掛けて頭から突っ込み、スサノオの顔面に頭突きを喰らわす。

そのダメージはスサノオを通し陽介にも降りかかった。

 

「ぐっ! くそ………小西先輩の為にもここで負けれるかよ!」

 

陽介の叫びに再び攻勢に出るスサノオは、自分の周りで回転する円上の刃を前に出しながらミツオの影に向かって突撃したが、直線的な攻撃は小柄なミツオの影にとって避けるのは容易であったらしく、その場から下に下がってスサノオの攻撃を回避した。

だがその瞬間、ミツオの影の背後が突如氷付けに成り、突然の出来事にミツオの影は泣き叫んだ。

 

『オギャアアアアァァッ!』

 

何が起こったのか分からないミツオの影は自分の背後を振り返った。

そこには、してやったりと言った表情の千枝とクマ、そして、二人のペルソナであるスズカゴンゲンとキントキドウジの姿があった。

どうやら、陽介の攻撃をかわしたミツオの影の一瞬の隙を狙って二人はブフーラを放った様だ。

 

「良し、当たった!」

 

「やったクマね、チエちゃん!」

 

『………!』

 

手応えを感じる二人を、親の仇でも見るかの様に睨み付けるミツオの影だったが、その行動は総司にとっては只の隙でしか無かった。

 

「イザナギ!」

 

『!?』

 

総司の言葉にイザナギは大剣を横にして振りかぶり、千枝達を睨み付けている無防備なミツオの影に目掛けて真上から全力で振り下ろし、ミツオの影の頭に直撃すると地面にミツオの影は叩き付けられボールの様に二、三度バウンドした。

総司達の攻撃は確実にダメージを与えている。

だが、その攻撃はミツオの影を本気にさせた。

 

『アギャアァァッ!!』

 

キュイィィィィィンッ!

 

ミツオの影の怒号と共に聞こえる耳鳴りの様な聞き覚えのある鋭い音が総司達、そして洸夜の耳へ届いた。

 

「この音って……確か……!」

 

「え? えっ!? なになに!? なんだっけこれ!?」

 

「確かこれって……洸夜さんの使った……」

 

今一、この音の正体が掴めず行動が遅れる総司達だったが洸夜とりせは経験とペルソナの力で気付いた。

 

「マズイ……! 頭を下げろ……二人共!」

 

「力が大きい!?」

 

洸夜とりせはこの耳鳴りの正体が分かると同時に、ミツオの影から大きな力を感じ洸夜は身体の疲労等を無視して肩を貸す総司と陽介の頭を伏せさせると無意識の内に立ち上がり、りせと共に他のメンバーへ向かって同時に叫んだ。

 

「伏せろ! メギドラだっ!! / 皆!伏せてっ!!」

 

『メギドラ』

 

二人の叫びに反射的に完二達が伏せた瞬間、蒼白い光がフロア全体を包み爆発音がこだまする。

総司達は伏せた事で直撃は避けられたが、重苦しい衝撃と強風までは避けれず両腕で頭と顔をかくし、りせもヒミコに抱えられ直撃と衝撃に耐える。

だが、洸夜はそうも行かなかった。

総司達を伏せさせ、身体が悲鳴をあげているにも関わらず無理に立ち上がった事で咄嗟に伏せる事が出来ずに衝撃で吹き飛んだ。

 

「グゥ……! (万能属性の攻撃を防ぐ術は無い……だが、アイツのメギドラオンじゃなかっただけマシか……)」

 

洸夜は吹き飛びながらそんな事を思っていた。

メギドラの類いは防ぐ術の無い高威力の万能属性だが、洸夜は『彼』と共にエリザベスのメギドラオンをその身で体験した事がある。

耐性と言えばおかしいが、メギドラをその身で受けても不思議と威力が低く感じてしまい最悪、物足りないとまで感じてしまう自分が洸夜は馬鹿らしくて笑えた。

だが、このままでは壁に激突して笑い話ではすまなく成る。

 

「受け身だけでも……!」

 

壁との距離が迫る中、洸夜は壁に激突しても大丈夫な様に身体を丸め衝撃に備えた。

だが、洸夜が壁に激突する事は無かった。

 

「………ベンケイ」

 

『ヴォ……ヴォォ……!』

 

壁に激突する筈だった洸夜をベンケイが守り、今はその巨大な両腕の中で抱かれていた。

だが、身に付けている武器や鎧、籠手等は全てヒビが入っており使用出来る技もステータスも殆ど無い事に洸夜は気付いた。

弱体化によって通常よりも早く進行している固有スキルによってベンケイは既に虫の息状態。

しかし、そんな状態でもベンケイは洸夜を守った。

洸夜が自分の危機に、無意識の内にペルソナに助けを求めたのかも知れないが洸夜はこの所、次々と消えたり暴走するペルソナ達しか見ておらず、今だけはベンケイが自分の意思で自分を守ってくれたと思いたかった。

そして、それと同時に洸夜にある思いが生まれた。

 

「………。(……俺は一体何をしている? 総司を……皆を………もう二度と……あんな事が起きない様に……誰も悲しまない為にこの町に来たんだ…………なのに、俺は……!)」

 

まるで記憶を掘り起こしている様だ。

自分がこの町に来た意味、イゴールが再び自分をベルベットルームに招いた意味。

これら全て、洸夜は忘れ掛けていた物だった。

それら全てを思い出そうとしたそんな時、洸夜は前方から悪寒を感じた。

 

「!?……アイツ」

 

『ギャアオオオオオオ!!』

 

ベンケイの腕から降り、悪寒のした方を洸夜が見ると、怒気を含ませた金色の瞳を照らつかせながら自分の方へ直進してくるミツオの影の姿だった。

異常なまでの咆哮とスピードで洸夜へ迫るその姿に、総司達でさえ驚きを隠せない。

 

「兄さんっ!?」

 

「なっ!? ふざけんなよ! 何で俺達無視して洸夜さんを!?」

 

自分達の隣を素通りし完全無視。

洸夜に狙いを定めたミツオの影には既に総司達は眼中にすら入っていなかった。

 

「一体なんなの!?」

 

「シャドウにとってペルソナ使いは天敵クマ! あのシャドウの本能が大センセイを一番の脅威に感じているから真っ先に襲うクマよ!」

 

「あんな速度、アマテラスじゃ追い付かない! りせちゃん!」

 

「無理だよ! 動きが早すぎて探知が間に合わない!?」

 

ミツオの影を目で追うだけでやっとの今、総司達の援護は間に合わない。

完二も勇者ミツオの半身に足止めされて洸夜の状況を知るだけでやっとだ。

 

「クソが……! 顔無えくせに調子に乗んじゃねえ! ロクテンマオウ!」

 

『ジオンガ』

 

ロクテンマオウは大剣からジオンガを放つが、勇者ミツオの半身は効いているのかどうかも怪しく、勇者ミツオの半身は電撃を浴びても一切怯まずにロクテンマオウに掴み掛かり、完二は再びインファイトを続けざる得なかった。

 

『ギャアオォォォォォ!』

 

総司達の反応も虚しく、ミツオの影は猛スピードで洸夜へ迫る。

その姿は最早胎児ではなく、只の化け物。

常人ならばどうすれば良いか分からない程に恐怖して足にも力が入らないだろう。

だが、洸夜は違った。

洸夜はベンケイの後ろには隠れず、堂々と刀を構えて前へ出た。

その眼に、一瞬だけかも知れないが強く光る覚悟を宿しながら。

 

「……。(……今だけは余計な事は全て忘れろ! 今、俺がすべき事は総司達を守り……久保を捕らえる事……忘れろ! 今だけは! ここは学園都市じゃない………稲羽の町だ!!)」

 

ピキ……!

 

洸夜はそう己の内側で叫ぶと、左手の腕輪にヒビが入ったが洸夜は気付かず眼を閉じた。

耳に届くミツオの影の咆哮、風を切って自分に近付いてくる存在感。

全く怖くないと言えば嘘に成るが、不安では無かった。

洸夜はニュクスと戦った。

その事を思い出せば、ミツオの影の何処に恐怖するのか。

洸夜は自分が歩んできた道を思い出し、内心で覚悟を決めて眼を大きく開け叫んだ。

 

「ベンケイッ!!!」

 

バキンッ………!

 

洸夜の叫び、そして腕輪が崩れ落ちる音。

この全てが同時に重なった瞬間、洸夜の全身から巨大な蒼白い光が溢れだしたのだ。

その巨大な蒼白い光は、総司が初めてペルソナを召喚した時よりも巨大で剛々しいが確かな優しさも感じ取れる。

その光は洸夜の服を靡かせ、眼にも蒼白い光が宿っていた。

その力の巨大さからか、洸夜の付けていた黒い眼鏡のレンズに亀裂が走るが洸夜は気にせずにミツオの影を睨む。

 

『………!』

 

突然、出現した巨大な力にミツオの影は動きを止めてしまっていた。

ミツオの影が洸夜を襲おうとしたのがシャドウとしての本能ならば、今、ミツオの影が動きを止めたのもシャドウの本能が教える恐怖。

自分よりも強い天敵に対する防衛本能がミツオの影に教えている。

今の洸夜には勝てない、負ける…………死ぬ。

 

『ヴォォォォォォォォォォォォッ!!!!』

 

『!??』

 

フロア全体に響き、フロアを軋ませるベンケイの咆哮がミツオの影、そして総司達の耳に届く

その咆哮にミツオの影は正気に戻ったが、ベンケイの姿は先程とは違った。

ヒビだらけだったベンケイの姿は既に無く、武器や防具全てにヒビは無く完全な姿のベンケイだった。

その身体からは洸夜同様に蒼白い光が流れており、眼も赤くギラついて弱体化で弱っていた今までのベンケイとは明らかに別物だ。

だが、その眼の見ている物はシャドウでは無く、主である洸夜だった。

 

「!? ……やはりか。 (腕輪が無くなった瞬間に暴走の兆し。もう、俺はこれだけの力を制御出来ないのか)」

 

先程は洸夜を守ったベンケイだが腕輪が壊れ、力が制限されなく成った途端に主である洸夜に牙を向けようとする。

その事に洸夜は、もう自分ではこのペルソナ達と共に戦う事が出来ないと思い始めてしまう。

だが、それでも今だけは……ミツオの影を倒すまでの間だけを従って欲しい。

洸夜はその想いを胸に、ベンケイの向ける眼に正面から向かい合い、ベンケイの眼を見てハッキリと叫んだ。

 

「クッ! (今だけで良い……!) ベンケイッ!!!」

 

『!……ヴォォ………!』

 

今にも洸夜に攻撃しそうだったベンケイだったが、洸夜の叫び困惑気味に動きを止めた。

そんな姿に陽介は驚く反面、子供の様に眼を輝かしていた。

 

「す、すげぇ……! 洸夜さんのペルソナって、まだあんな凄い力があったのかよ!』

 

ベンケイと、それを従える洸夜の姿に陽介は勝ちを確信してはしゃいでいた。

しかし、そんな兄の姿に総司は疑問に感じる物があった。

 

「さっきの……。(あのペルソナ、さっき兄さんを攻撃しようとしてた様な……気のせいか? あの腕輪が壊れたのと関係が有るのか?)」

 

総司はベンケイの異変に気付いていた。

だが、それがなんなのかまでは分からず、気のせいで片付けてしまうしか無い。

総司がそう思った時、誰かが総司の後ろから話し掛けた……りせだ。

 

「あの……総司先輩」

「どうした、りせ?」

 

「実は…………」

 

総司はりせの話に少し驚いた表情で聞いていた。

 

 

そして、りせと話している総司から少し離れた所でミツオの影は洸夜とベンケイを見ていた。

先程は本能から恐怖を感じたミツオの影だったが、洸夜の叫びに動きを止めたベンケイを見て口元をニヤリと歪ました。

叩かれる前に叩く。

チャンスを目の当たりにしたミツオの影に、ペルソナ使いを攻撃すると言う本能が甦ったのだ。

ミツオの影はベンケイに接近すると、小さな両手に力を込めてベンケイへ『両腕落とし』を放った。

だが……。

 

「……ベンケイの物理への耐性は吸収だ」

 

『!?ーーー』

 

洸夜がミツオの影へそう言い放った瞬間、ミツオの影を巨大な籠手を装備したベンケイの拳が捉えた。

これは技では無く、只の純粋なパンチ。

技ですら無い攻撃にミツオの影は大きく吹き飛んだ。

元々、ベンケイ本来のステータスは物理吸収に物理攻撃力ならば洸夜の持つペルソナの中で断トツを誇る。

そんなベンケイにミツオの影と言えど、両腕落とし等の物理技をを放っても今の洸夜のベンケイに効く訳が無い。

そして、吹き飛んだミツオの影はそのまま完二と、ミツオの半身の所へまで吹き飛ぶ。

 

「ぬお!?……危ねえ」

 

自分の元へ吹き飛んだ来たミツオの影に完二は、咄嗟にロクテンマオウを引っ込めて避けた。

その結果、ミツオの影は自分が生み出したミツオの半身と正面衝突し、そのままの勢いで半身共々に壁へと激突した。

今のベンケイに弱体化の影響は見当たらない。

洸夜はそんな様子に自分の今の状態を含め、内心で考えた。

 

「……不思議だ。 (さっきまでの疲労が嘘の様に感じない。それに、ベンケイも一回は暴走仕掛けたが、そんな様子は無くなった……それどころか、弱体化の影響も無い。これは一体……)」

 

洸夜は今の状況に更に考え込もうとしたが、すぐにそれを止めた。

 

「……。(いや、細かい事は後だ。ベンケイが弱体化の影響を受けてないなら今が好機だ) ベンケイッ!」

 

『天軍の剣』

 

洸夜の指示にベンケイは背中に背負っていた特別大きな剣を片手で逆手に持ち、半身の中にいるミツオの影へ投げた。

投げたけ剣から光が溢れだし、そのままミツオの影へ吸い込まれる様に飛んで行く。

だが……。

 

『!……ささやき』

 

ミツオの影はベンケイの攻撃に備える為か、勇者ミツオを復活させる最後のスキル『ささやき』を唱えた。

すると、半身からドット風のブロックが次々と現れ、そのままミツオの影を中に入れたまま勇者ミツオが復活し、ミツオの影は安心した。

これなら勝てる、今度の勇者ミツオは先程よりも強く成る様に誕生させたのだから……と、だが、ミツオの影のその考えは脆くも崩れ落ちる事と成った。

ベンケイが放った『天軍の剣』は、先程と変わらないスピードと威力で勇者ミツオへと飛んでいた。

そして………。

 

『!?』

 

天軍の剣はそのまま勇者ミツオへ突き刺さり、刺さったから亀裂が入って勇者ミツオの一部がテレビの砂嵐の様な姿になってしまった。

そして、天軍の剣は突き刺さったまま爆発の様な巨大な光を放ち消えていった。

 

「えッ!!」

 

「ウソ!?」

 

雪子と千枝はその光景に驚いていた。

先程、皆でやっと倒した勇者ミツオをいとも簡単に破ったのだ。

しかし、ベンケイの攻撃はそれで終わらなかった。

 

「終わらせるぞ、ベンケイッ!」

 

洸夜の言葉にベンケイは駆けた。

そして、そのまま勇者ミツオの目の前に来ると亀裂の穴へ巨大な両腕を突っ込み、抉じ開けようとする。

 

『ヴォォォォォォォッ!!!』

 

『!………??………!!?……』

 

ベンケイが抉じ開けようと力を入れれば入れる程、まるで壊れる様に身体のドットブロックの砂嵐が増えて行く勇者ミツオ。

そして、勇者ミツオの亀裂が身体全体に成った瞬間、ベンケイの赤い瞳が光った。

 

『ヴォォォォォォォォォォォォッ!!!!』

 

ベンケイは両腕に全力を込め、勇者ミツオの頭部分を引き裂いた瞬間、勇者ミツオは前回し消滅した。

だが、その瞬間、勇者ミツオの中からミツオの影が飛び出し、ベンケイと洸夜を無視して、このフロアの入り口へ猛スピードで駆け抜けて行く。

 

「……タルタロスのシャドウも、俺達が自分達よりも強いよ分かると逃げていたな」

 

洸夜の呟きが聞こえたのか、ミツオの影は駆け抜けながら洸夜の方を振り向き、口元に笑みを浮かべる。

しかし、そんなミツオの影に洸夜は焦った様子は無かった。

 

「逃げるのは得策だが……その場所へは失策だぞ?」

 

『!?』

 

洸夜の言葉にミツオの影は正面を向くと、そこに居たのはイザナギ、スサノオ、スズカゴンゲン、アマテラス、ロクテンマオウ、キントキドウジ、総司達のペルソナ達だった。

何故、このペルソナ達が此処にいるのかミツオの影は分からなかった。

だが、ミツオの影が入り口の方を見た瞬間、全てが分かった。

 

「べぇ~~!!」

 

ミツオの影が見た先には、まるで決別の証とも思える様に自分へ向かって舌を出すりせとヒミコの姿だった。

 

「洸夜さんのペルソナが攻撃している間あのシャドウ、中で不自然に力を溜めてから、あ~これは逃げるなって分かったの。逃げるのが分かったなら後は探知するのは簡単だし!」

 

「そう言う事だ、久保美津雄のシャドウ。これで……」

 

総司の言葉に全ペルソナが構え、ミツオの影は最初の時の様に泣いて空間殺法を放とうとしたが、ミツオの影が逃げ出す前から準備していた総司に間に合う訳がなかった。

全ペルソナは各々の武器を振り上げ、そして……。

 

「「「「「「「終わりだぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」」」」」」」

 

武器を降り下ろし、ミツオの影は木っ端微塵に斬られ殴られ爆発され消滅した。

跡には、消滅したミツオの影に呑み込まれていた久保 美津雄その人だけだった。

 

End


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