EDEN ─ その5人は《楽園》を動かす。─   作:キャメル16世

13 / 29
EDEN(エデン)
そこは、偽りの世界
この街は、全てを知っている…



File.13「序、始まりの(エデン)

「……何だここ…?」

「…地下帝国『NEDE』、死者が彷徨う影の街」

「……ッ」

「……ようこそ、我が楽園へ」

俺は息を飲んだ

こんな事が現実に起こっていい筈がない

目の前には大きな街に、何人もの人が街を歩いていた

等身大の街だ

こんなのが地下にあったのか?

それを知らずに俺達は……

 

「驚くのも無理はない。私も初めてこの街に訪れた時は驚きを隠せなかったよ……」

ネディは俺の横に立ち、街を眺めた

 

「……美しいだろ?光も届かぬくらーい街で、彼らは彷徨い続けてるんだ。何を求めるでもなく」

「……」

「…私はね、ローレン…この街を解放したい」

「…!?」

「…つまり、この街の住人を現世に解放する。何万という数の死者が生き返れば、世間は騒然とするだろう」

「……」

「…しかもその全員が、人を襲ったら…」

「…っ!」

「死者の街に生者は不要。これからEDENは死者が支配する」

「…何を言って…」

「私はね、ローレン…人に認められたかった…世界に認められたかった……そして何より、お前に認められたかった」

「……」

「でもそれが叶わないなら、お前がこよなく愛する全てを破壊する。我々ルシファーは!来たる7月19日!百鬼夜行を行う!」

「……7月19日…」

「…そう…お前が私を見限り、私の全てが奪われた日」

「……」

「それと同じ日に、お前から全てを奪ってやる!」

「……ネディ…」

「……ローレン……きっと次に会う時は殺し合いになる……だから最期に言っておきたい…」

「……」

「……私は…お前が嫌いだった。世界で1番ね」

 

 

「っ!」

俺は気付けば(エデン)に戻っていた

 

「ローレンくん!」

「……ヴィンさん…俺…?」

「独りでにエレベーターから降りて来たんです!ここの…っ!」

ヴィンさんが指さしたのは、壁だった

俺は、壁から歩いてきたのだろうか…?

 

「おかしい!確かにここにあったのに!?」

「……7月19日…」

「……え?」

「…来年の7月19日…この街が終わる」

「…ロ、ローレン君?何を言ってるのですか…!?」

「……ネ……ディ…」

「ローレン君!しっかりしてください!ローレンく…」

 

「……」

 

 

 

「7月19日……その日にどんな意味があるのか、僕たちには到底理解出来ないでしょう……でも、貴方からは話して貰えるなら、それでいい」

「……ローレン、『ルシファー』のボスと何があったんだ?私たちに出来ることなら何でもするから!」

「皆さん落ち着いてください。ローレンくんは責められるために皆さんを呼んだわけではありません」

「……」

あの後、俺は倒れてしまったらしい

ヴィンさんがそばにいてくれて助かった

俺は今、拠点にてみんなに事の経緯を説明し終えたところだった

 

「どうしますか?今からでも対策を…?」

「それは無理でしょう、話を聞く限り、その男はもはや人間の領域を超えている」

「人間…じゃないってことか…!?」

「その可能性は充分有り得ます。現に死者や地下帝国何てものが存在しているのですから」

「アクシアくんは戦闘不能、未だ回復の目処がたっていない…」

「あいつらに先手を打たれたら終わりだよ!ローレン!」

「……いや、あいつはそんな事はしない」

「……え?」

「…どういう意味ですか?」

「…あいつは、1度決めたことは必ずやりとおす。あいつの辞書に、「嘘」なんて言葉はない」

「…彼とは、どういう関係だったのですか?」

「……」

 

俺は多くは語れなかった

ただ今は、みんなに謝る事しか出来ず

深く頭を下げると、みんなは許してくれた

 

 

「……あれ、『お客様』は?」

「おかえり頂いたよ……ところで、何してるの?ガル」

「見てわからねぇか?ナイフ(相棒)の手入れだよ」

「えぇ〜?無機物に相棒って名前受けるの?変わってるね〜」

「………ぅるせ…」

「図星じゃん!」

「いいから!さっさと行くぞ。幹部(あいつら)が待ってる」

「…うん、そうだねっ」

 

 

 

「いやぁ〜申し訳ない!遅れた!」

「遅いです。2分4秒32遅刻です」

「堅苦しいわねぇ〜…で、今日はなんの会議なの?」

「接客しててね、遅くなりました。で、今日なんですが…」

「……」

「来年の7月19日まで解散とします!」

「……は?」

「ごめんなさいね〜私の一存で決めちゃって〜」

「…いや、それはいいが…何故急に?」

「その日に全てが終わる。私の全てが」

「……?」

「これは私の問題でもある。だが、皆さんにも協力して欲しい」

「……」

「…お願いだ…協力してください」

私は頭を下げた

今まで彼等に頭を下げたことなんて1度もなかった

しかし、それほど私は本気だった

 

「……ガッハッハ!リーダーがそこまで言うとはなぁ!乗ったぜ!ようはその日まで鍛えてろって事だろ!」

「…はぁ、あなたの考えはいつも傲慢ですねぇ…しかし、私たちもあなたに借りがありますから、協力しましょう」

「手伝ったらその分の報酬はいただけるんだろうね?それならいいさ。私は金さえ手に入れば」

「……」

 

勝負だローレン……お互い大切な街を守るため…戦おうじゃないか…!

 

 

 

「……ネディ、お前…死ぬ気か?」

「……何言ってるんだい?ガル」

「……」

「…私はもう…とっくに死んでるじゃないか」

 

 

時は流れた

 

「アクシアくん!もう大丈夫なのか!?」

「うん!もうすっかり!」

「殺されかけたと知った時は、ドキドキしましたよ」

「退院出来て良かったですねぇ〜!もう少しで私の被検体になってたところですよォ〜!」

「もうヴィン博士!その冗談笑えないからやめて!」

「はははは!」

 

「……」

 

アクシアの身体は完全に回復し、日常生活にも特に支障は見られなかった

 

「……ローレンッ」

「…退院出来て良かったな、アクシア」

「うん、ローレンのおかげだよ」

「……え?」

「ローレンの言葉が、おれを助けてくれたんだ。だからおれは諦めずに戦えた」

「……」

「……ありがとう!ローレン!…おれの相棒!」

「…相棒……か…」

 

 

 

「……ふ〜…」

「珍しく一服ですか、ローレンくん?」

「……ヴィンさん…」

「お付き合いしますよ?毒煙は分かち合うほど美味しいですから」

「……有毒だけどな」

「…では何故吸ってるのですか?」

「……俺は…」

「……」

「……俺は、死に場所を探してるのかもしれないな」

「……え?」

 

俺はタバコの火を消してヴィンさんの元を離れた

 

「……大丈夫ですよ…まめねこ、彼ならね…」

 

 

 

「……」

「随分と平和になりましたね、この街は」

「……あれから、どの位経った?」

「……4、5ヶ月…いえ、下手すれば半年は経ってるかもですね」

「……」

「…何処に行くのですか?ローレン君」

「……ごめんエバさん…1人にしてくれ」

「……」

 

 

 

「……うん、うんじゃあ明日な…寝坊すんなよ〜?へへっ!じゃあねっ!」ピッ

「……誰だ?」

「え?あぁ〜友達!明日水族館に行くんだ。久々だな〜」

「…そうか、楽しんでこいよ。パタ姐」

「うん…なぁローレン…一体何があったんだ?半年前…」

「……言えない…今はまだ…」

「……そうか…」

「……」

「…でもまぁ、言いたくなったらすぐに言えよな!話を聞く位なら、私でも出来るからさ!」

「……あぁ、ありがとな…」

 

 

 

「……」

 

俺は、仲間に恵まれている

お人好しの集まりの中に、俺がいる

その輪の中に、俺がいる

 

「……」

 

そんなのは間違っている

俺は皆と肩を並べて歩いて良い人間じゃない…

 

俺もアイツと同類だ

 

俺は…正義のヒーローなんかじゃない…

 

 

安っぽい正義感振りかざして警察になって

 

人に感謝されるのが当たり前みたいな顔してた

 

多分今もそれは変わらない

 

 

 

「ローレンが…消えた…!?」

「そうなんだよ!何処を探してもいないんだよぉ〜!」

「とにかく!街を探ってみましょう!」

「僕は街の人達に情報収集へ…!」

 

 

 

俺は皆からしたらヒーローかもしれない

 

今まで色んな事件を解決してきた

 

でも、本当の俺は

 

世界で一番醜いヒーローだ

 

感謝されるべき人間じゃない

 

それだけが事実だ

 

 

 

「……ローレン…何処行っちゃったんだよ!」

 

「……ローレン…!」

 

「……ローレン君…!」

 

「…ローレンくん…!」

 

 

 

俺はこの街が大好きだ

 

だからこそ…

 

俺は…

 

この街にいるべきじゃない…

 

 

 

「……ハァ…ハァ…」

「見つかった…!?」

「いいえ、こっちは見つかりませんでした」

「有力な情報も無く…」

「……そんな…なんで急に…!」

「7月19日まであと約3ヶ月…このままじゃ…」

「失礼」

「…っ!?」

「…あ、貴方は…?」

「…私は都市警備部隊隊長、グリファード・レオポルド。ローレン・イロアスの過去について、お話致しましょう」

 

To Be Continued...




次回

File.14「急、繋がる(エデン)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。